芦ノ牧温泉へ 20

じいちゃん、私の父が泣いた　人前で、ましてや家族の前では強い人だった
そのじいちゃんがあなたを東京に連れて帰る日の朝、あなたを抱いて泣いていた
別れがよほど辛かったのだろう

そのとき私は心の中で　きっと親孝行するからと誓った

そしてそれからだいたい3か月に1度は会津にあなたを連れて行った

産前産後お世話になったお礼を兼ねて芦ノ牧温泉へ

おひつに手を突っ込んでご飯を食べるあなたを見て
おじいちゃんは喜んだ
「わんぱくでもいい　たくましく育ってほしい」
何かのコマーシャルのセリフだが
ことあるごとにじいちゃんはあなたに
「わんぱくでもいい　たくましく育ってほしい」
だからワイルドなことをするようすけが嬉しくてうれしくて仕方がなかったようだ