残りの人生
笑って過ごしたい
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ひっくるめて私の人生

東京のアパートにもどるまで 12

2020-01-15 15:42:03 | 日記
あなたが産まれ年を越して1月
それは雪の深い年だった

おじいちゃんはかわいい孫ができたことが
よほど嬉しかったのでしょう
1月末に親戚一同集めてあなたのお披露目会を
会津の有名料亭貸し切りで行った
みんなあなたの誕生を祝ってくれた
そこには三鷹のおばあちゃんも来てくれた
そのとき写真を撮らなかったのだろうか
探しても見つからない

12月1日に生まれ いつ東京のアパートに帰ろうか
寒いアパートで生まれたばかりのあなたと2人
夫の帰りを待つばかりの生活
想像しただけで寂しくなった
わがままを言って2月末まで会津にとどまった
お父さんは寛大にも
私の気持ちを察してくれた

2月とうとうその日がやってきた
東京に帰る日
私は 帰りたくない このまま会津で暮らすことは出来ないか
と不可能なことはわかっていたがお父さんに胸の内を話してみた
お父さんは優しく諭してくれた
君の気持はよくわかる でも僕は君と陽祐を食べさせていかなくては
いけない 職場の港区役所をやめるわけにはいかないのだよ
私には十分わかっていたことだ

帰り支度をしているとおじいちゃんの呼ぶ声が
陽祐を抱きながら泣いていた
おじいちゃんが人前で泣いているのを初めてみた
よほどあなたと別れ難かったのだろう
親を泣かせてしまった


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お宮参り お諏方様 11

2020-01-09 16:37:30 | 日記
とても普通のことだと思っていた
そのときは誰もがみんなそう思っていた
愛する2人が結婚して次の年 かわいい元気な男の子が生まれた
どこにでもある”普通の幸せ”だと思っていた

普通であることがどれほど希なことなのかも知らずに
若い夫婦とおじいちゃんおばあちゃんははしゃいでいた

あなたの着ている鷹の模様の着物は
おじいちゃんとおばあちゃんが用意してくれた
鷹のように大きくはばたけと願いをこめて
だから航のお宮参りにもあなたの着た鷹の着物を渡したかった




















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お宮参り 10

2020-01-09 16:30:23 | 日記
あなたの生まれたその年は雪が深くて寒かった
風邪を引かせては大変とみんなであなたを思いやった
本当は生後50日で迎えるお宮参り
あまりに雪深くて10日伸ばして行った



















わたしがうまれたのは7月27日 お諏方様のお祭りの日
私の守り神氏神様であるお諏方様にお宮参り

あなたを大事に育てること 幸せにすることを誓った




お宮参り


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令和2年 9

2020-01-07 14:37:02 | 日記
新しい年をどこでどんなふうに迎えましたか?
幸せであることを願っています


37年前のお正月 あなたは生まれて初めてのお正月を会津で迎えました
何もかも初めて尽くしの新米お父さんお母さんおばあちゃんおじいちゃん
みんなが喜びに満ち 最高の年明けです
あなたはよく飲み、よく出し、よく泣いた 
私のおっぱいが出にくくて混合授乳です
飲んだ飲まないで一喜一憂
本当にドタバタです




ピンクのおくるみは私の友達が送ってくれました
当時は生まれるまで性別は教えないのが常識でした
だからどちらでもいいようにかわいい色のものを送るのが習わしです
黄色い産着は私の手作り






だんごさし
田舎では小正月の1月14日頃に、ミズキの枝に団子や飾りせんべいをさして飾る行事です。
雪深い会津では屋外に花が無いことから、赤い色をしたミズキの枝に団子を刺して花が咲いたようにし、
豊作を祈願するといわれています。
張り切って飾っただんごさし あなたは何もわからず大泣き



お父さんは東京杉並区のアパートから1週おきに会津へ通ってくれました
なんといっても初めてのわが子に会いたくて会いたくて
東北新幹線が開通する前だったので
会津まで急行で6時間近くもかかるというのに
本当にあなたはわたしたちの喜びでした
同時にあなたの人生を背負った責任の大きさに身を引き締めました

あの頃は幸せだったなぁ 
会津の改築前の家 




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母になった日 8

2020-01-01 16:24:04 | 日記
産院で 
出産時出血が多く、血種ができてしまったため
私は処置室で点滴を受けていた

そのとき父が(あなたのおじいちゃん)病院からの連絡に
嬉々としてかけつけてきた
処置室で寝ていた私には会えなかったがあなたを見て
歓喜の声が聞こえてきた
よっぽど嬉しかったのでしょう
看護婦さんとお医者さんに何度もお礼を言っていた

五体満足 元気な男の子
父の希望通り

翌日大部屋に移って寝ていた私に
父は何度も よくやったよくやった と
頭を撫でた
私はめったに褒められたことがなかったので
誇らしげで嬉しかった

大きな病院でのそこそこのベビーラッシュ
大部屋での生活は修学旅行のようでみんな
はしゃいでおしゃべりし通しだった
授乳の時間になると産婦たちはぞろぞろ
授乳室に向かった
慣れなくてぎこちない授乳に一生懸命な私たち

出産3日目
あなたはだんだん元気がなくなり母乳を飲まなくなった
そして黄色い これが黄疸というものか
あなたの黄疸はほかの子より強かった
乳児室に元気なく寝ているわが子
ついに授乳も止められた
ぐったりと保育器に入ったあなたをみて
小さな体で一人一生懸命戦っている 
胸が締め付けられた できるものなら
代わってやりたい 
その瞬間 自分が母親になったことを自覚した
そう 私はあなたの母親 身を投げうってでも
あなたを助けたい 
結局みんなは5日で退院するところ10日間
あなたと私は竹田病院にとどまった








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