日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

キャッシュカード犯罪

2009年10月13日 08時05分38秒 | ブラジル事情
 父親が送ってくれた「キャッシュカードがあぶない」(柳田邦男著、文芸春秋)という本を読んだ。

 そこでは、日本の銀行は預金者が何らかの方法で誰かにキャッシュカードを偽造され、犯人がキャッシュカードを使ってその預金を盗んでも、そのお金は預金者に戻ってこない悲惨な実情が報告されている。

 また、日本の銀行は、1日の預金引き出し額が500万円とか高額になっているために、その被害額も大きくなりやすいこと。一方、アメリカなどでは、1日の引き出し限度額が少ないほか、カード犯罪に巻き込まれた場合、預金者が最低限の注意を払っている限り、50ドル支払えば預金は全額補償される制度であることが語られ、日本の銀行の預金制度の不備を痛烈に批判している。

 このブログでも紹介したが、僕の知人は昨年車強盗にあい、銀行のカードも一緒に盗まれた。知人はキャッシュカードの悪用を防ごうと、その日のうちにカード会社にキャンセルの電話を入れた。しかし、後日銀行から約5万レアル(250万円)に上る請求額が来た。犯人が10日余りの間にキャッシュカードで使用した金額である。

 当初、銀行は白を切ろうとしてキャッシュカード会社のせいにしようとしたが、知人が電話できちんとキャンセルの届出をしており、そのキャンセルを怠った会社の責任ということで知人はその金額を支払わずに済んだ。当たり前といえば当たり前なのだがとても怖い話だ。

 そもそもキャッシュカードには1月に使える限度額が設定されている。知人の場合は3千レアル(15万円)であった。つまり、3千レアルを越えたら、カードは自動的にブロックされなければならないのである。にも関わらず、使えてしまったことが不思議だ。さらに、カードには日本人の氏名が書かれており、ブラジル人の犯人が使用したら、お店の人は絶対に気付くはずなのである。犯人は20以上の店舗でカードを使用しており、これらの店主にも悪意があったことは否めない。

 ブラジルでは銀行の預金カードを申請すると、一緒にキャッシュカードがついてくる。これはお客さんが使用する旨を申請しなければ、使えるようにならない。僕はブラジル銀行に口座を持っているが、マスターとビザが一緒についてきた。

 1つでいいと言ったが、2つでも年会費は一緒だということで、両方ついている。最初の月の設定使用限度額は100レアルであった。僕の収入が低いことでこの金額になったわけだが、収入証明書などを見せて300レアルまであげてもらった。はっきり言って、100レアルでは全く意味がない。カードは大嫌いなので基本的に使用しないが、それにしても低すぎる。

 ブラジルでは銀行カードを利用してATMで1日に引き下ろせる預金額は1000レアル(約5万円)。それ以上の場合、銀行の窓口に行く必要がある。本来なら、身分証明書などを見せる必要があるのだろうが、カードを見せて、暗証番号を押せば、引き出せてしまう。これもかなり恐ろしいことだ。もう少し慎重にチェックして欲しい。

 僕も1度強盗に鞄を強奪された際、鞄の中に銀行の口座番号と暗証番号が書かれたメモ帳も一緒に入っていた。慌てて翌日僕が口座を持つ支店に行ったが、銀行員の説明によれば、カードがなければ、預金は下ろせないが、インターネットバンキングの場合、他口座への送金はできるとのこと。いやー、危なかった。僕を襲った強盗が少年だから何もなかった。もし、知能犯であった場合、やられていた可能性は十分あった。

 まあ、それにしても日本もせちがない世の中になったものだと思う。他人様のお金を盗もうという発想が本当に情けない。お金持ちになりたかったら、きちっと社会で相当のサービスを提供して、その見返りに多くのお金を受け取ればいいのに。世の中にはいろいろな人がいるということか。


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