年末年始は本当に久しぶりにブラジル国内を旅行してきた。10日間の短い旅行だったが、いい息抜きになり、精神的にリフレッシュできたかなと思う。
まず行ったのはブラジルの首都であるブラジリア。
ブラジリア空港に着くと、360度地平線を見渡せるような平らな土地。生まれて初めての不思議な感覚を味わった。
(内部は綺麗だが)空港の外観は古びており、これからワールドカップとオリンピックの開催国の首都の空港としてはかなり物足りない。このまま何も対策を取らなければ、多くの観光客を失望させてしまうに違いないと感じた。
到着ゲートには日本語の生徒Bさんが婚約者を連れて迎えに来てくれていた。僕らはBさんの自動車に乗って、早速ブラジリア市内を観光した。
まず連れて行ってくれたのが、世界各国の大使館がある地区。日本大使館もあったのだが、外観は何だか刑務所のようであった。各国の特色を出した非常に立派な大使館を構えている国もあったので、日本の大使館には正直失望させられた。
その後、ブラジルのニュースの中でもよく映るブラジルの国会議事堂を訪ねた。無料のガイド付きで中を見せてくれるということで、10分ほど待った後に、総勢30名ほどで上院・下院の議会の中を見学した。
下院議員は総勢で500名以上いるのに、議員席が400ほどしかないという事実には驚いた。また、前回の選挙で投票数1位で当選した文盲の元テレビコメディアンがどの席に座るのかといった質問がガイドに投げかけられ笑いが起きるなど、その開放的な国会議事堂見学ツアーの雰囲気は良かった。
ブラジリアはご存知の通り計画都市で、町全体が飛行機の形をしている。また、有名な建築家により、各公的機関の建物が設計されており、それぞれの建物が非常にユニークであり、彫刻なども奇抜なものが配置されている。
空間を非常に贅沢に使用しているために、広くて開放的なのはいい。しかし、町としての人間臭さ、味わいが全く感じられない。それこそ、ブラジルらしさなんて微塵もないのである。
以前から思っていたけど、実際に行ってみて確信した。ブラジリアは好きじゃない。
ブラジリア到着の翌日はゴイアス州の州都であるゴイアニアに連れて行ってもらった。
ブラジルに住んでいながら、ブラジリアがあるブラジル中央部の事は全く知らなかったのだが、このブラジリアは連邦直轄区と言う本当に小さな地区であり、ゴイアス州の中に位置している。
そして、そのゴイアス州の首都がゴイアニアなのだが、人口は約132万人で、256万人のブラジリアよりははるかに少ない。でも、僕が住むポルトアレグレの141万人とはほとんど同じだと言える。
ゴイアス州に関しては無知で、あまり産業・町も発展していないのだろうと勝手に想像していた。しかし、現実には連邦政府直轄区のある州として、連邦政府から多大な投資が行われているほか、ブラジル国内の新興州としてまだ人件費が安いこと、州が企業誘致のために税制優遇措置を取るなどインセンティブを与えていることなどから、海外企業が多く進出しており、まさに今が旬の州である。
その成果、市内には多くのマンションが建設中のほか、ショッピングセンターも数多く建設されている。また、サルバドールがあるバイーア州と隣接していながら、人種的には褐色系は少なく、白人系が多い。ショッピングセンターには可愛い女性もたくさん見かけた。さらに、気候は1年中温暖で、冬といった冬もない。
人間味に欠けた無機質なブラジリアと違い、ゴイアニアは町としてブラジルらしさが十分に感じられた。
ブラジリアには住みたくないが、ゴイアニアなら住んでもいいかなと思えた。
僕が住むリオグランデドスル州は、教育水準・生活水準ともに高いとされているが、その代償に人件費が高い。また、州政府は交渉が下手で、税制優遇措置などのインセンティブ政策を取らないために、海外からの企業誘致にことごとく失敗を繰り返している。
トヨタの誘致には失敗し、その他の日本企業もみんなサンパウロ州やパラナ州に取られてしまった。その点、ゴイアス州は三菱や韓国のヒュンダイなどの誘致に成功している。
まあ、自動車の生産後の販売を考えれば、ブラジル南部に工場を建設するより、ブラジル中央部で生産したほうが地理的に物流に関して得なのは明らかである。そう考えると、僕が住むリオグランデドスル州は、今後どんどん衰退していく州なのかなと思えてくる。
もしブラジルに移住を考えている日本人の方がいらしたら、ゴイアス州は1つの候補地として推薦できるかなと思う。