日本に住んでいる頃、「日本は世界一治安がいい国だ」という話を耳にたこができるぐらい聞かされたが、具体的に治安がいいというのがどういうことなのか実感できなかった。
しかし、ブラジルに12年近く住んでみて、その具体的な違いが理解できるようになったので、ここで皆さんに紹介して日本の治安の良さに対する認識を深めていただきたいと思う。
まず、日本在住の日本人の方に問いかけたいのが、以下の質問である。
「強盗(物取り)に襲われたことがありますか?もしくは、強盗に襲われた知人を知っていますか?」
僕が日本に住んでいた頃は、答えはNOであった。25年も住んでいたが、自分自身が襲われたことはなかったし、襲われた知人もいなかった。
しかし、ここブラジルでは個人的に2度襲われたほか、目の前で他の人が拳銃を持った2人に襲われるのを見たこともある。また、バスの中で、乗客を次々と恐喝している少年グループを見て、逃げるようにバスを降りたこともある。さらに、去年のクリスマスはブエノスアイレスで物取りに襲われ、先月は職場の敷地に警察と銃撃戦を繰り広げていた銀行強盗が逃げ込んだ。
1度襲われると、それがトラウマとなり、しばらく外に出るのが怖くなる。僕自身は金銭的被害だけで、幸いにも怪我などを負ったことはないが、もし暴力を振るわれていたらその精神的トラウマは計り知れないほど大きなものになっていたであろうことは想像に難くない。
また、僕の職場の同僚、知人、学校の生徒の多くが強盗の被害に遭っている。1度も強盗されたことがない人を探すほうが難しい。携帯電話を強奪された生徒、自宅の駐車場で車を強奪された同僚・生徒、昼間に人通りの多い通りで車を強奪された同僚…。例をあげたら、もう枚挙に遑(いとま)がない。
僕が知る限りでは、日本にはまだ自動販売機が道端に置いてある、と思う。ブラジルにはない。なぜか?自動販売機ごと盗まれるからである。そんなものを道端に置くというのは、泥棒に持って行ってくださいと言っているようなものである。
僕の職場もそうだが、家・アパートは必ず柵で囲まれているほか、監視モニターが設置され、誰かが侵入すれば警報装置が鳴るようなシステムもある。それでも泥棒は侵入する。時には引越し業者を装って、堂々とアパートに入り、家具・電化製品を根こそぎ持って行ってしまう大胆な泥棒も存在する。
ブラジルでは盗まれた方が悪いのである。
日本も最近検挙率が下がっていると聞いているが、ブラジルの検挙率の比ではない。つまり、泥棒は自分たちが捕まると思っていない。うまく盗めたら、もうそれで儲けものぐらいにしか考えていない。
そして、一番恐ろしいのは、一般市民でも安定した職に就いていない人などは盗みを働くことが多いという事実である。非常勤の教職員、お手伝いさんなど、給料が少ない人は自分が働いている場所から物を持って行ってしまう。残念ながら、これが現実である。
「日本では女性が夜一人で歩いても大丈夫だ」と言うと、ブラジル人は目を丸くする。ブラジルでは夜女性が一人で歩くことはない。いつ襲われても不思議ではないからだ。日本の場合、どちらかと言うと、女性の夜の一人歩きは痴漢対策として危ないという意味だろうが、ブラジルは完全に強盗対策である。だから、ブラジルでは男性は女性を自宅まで送るなり、タクシーを手配するなりするのがマナーである。ブラジルでは女性のみならず、男性も夜一人歩いてはいけない。襲われる確率はかなり高いからだ。
「市内で安全な所はありますか?」とよく聞かれるが、そんなものはブラジルには存在しない。他の地域と比べて危険度が低い所があるだけで、時間帯に関しても、昼だろうが危ないのである。気を抜いていたら、いつどこで襲われてもおかしくない。自宅近くのショッピングセンター内にあるジュエリーショップはよく強盗が入る。ショッピングセンター内も決して安全ではないと言う事だ。
対応策としては、多額の現金は持ち歩かない。カードを持つ場合は、ブロックの仕方・手順を覚えておく。襲われたら、抵抗せずに、持っているものを素直に渡す。検挙率が低いために、無駄な抵抗さえしなければ、強盗に殺されることはない。
ブラジルに旅行に来られる方で、怖い怖いと聞いていたけど、何も起きなかったとおっしゃる方もいるかもしれない。でも、それはたまたま襲われなかったに過ぎない。だから、常に万全の対策を取って、旅行してほしいと心から思う。
実際は、「そんなのもいる」ではなくて「それが当たり前」なのですね。
友人の車に同乗しているといきなり警官に止められて、免許証を見せろと来ました。何かブツブツ言って、なかなか免許証を返そうとしません。友人が金を渡すと態度が急変して、前方の人だかりを追い払い進路をあけてくれて、笑顔で、「さあお通り下さい」とばかりに送り出してくれました。20年以上前のことです。
確かに賄賂を要求してくる人もいるようですね。私は個人的にはまだ経験がありませんが、リオの友人はビザ関連で警察に行った時にあったそうです。
警察もあまり信用しないほうがいいです。
また、彼らの出身地は大都市ではないのではないでしょうか。地方の田舎だとやはり強盗は少ないことは確かです。
さらに、リオが怖いというイメージが先行していますが、現在では大都市であれば、どこも似たようなものです。
そして、軍政権が政権を握っていた頃は治安が良かったというのはよく聞く話です。つまり、それだけ統制がきつく、自由に制限がかかっていた時代だったのだろうと想像します。
もう一件は、普段あまり宝くじは買わないのですが、その時はたまたま買っていたので、結果を見に行ったのです。売り手のおばさんが、変な顔をしていたので変だなと思っていたのですが、すでに強盗が居たんですよ!2人組で私が気が付かないので、ピストルをチラッと私に見せて「怪我をさせたくない」と小さな声で言いました。完全にプロですね!もう一人の若い男の子とトイレに入れられました。その頃はインフレだったので40,50cmの札束を持って行きました。後で警察が来た時に住所だけ聞かれました。事情聴取みたいのがあるのかと思っていたら、それっきりでした。
その他にも友達が遭った怖い話などありますが、長くなったのでこの辺で終わりにします。