初めの「Syn」では長崎クリスチャン達の日本の中での「もう一つの国」を描き、次の「Shu-Shan」では中国共産党の侵攻に真っ向から立ち向かった「優樹国」を描きました。
その他にも滅亡を描いた国として「大英インド帝国」「満洲国」「太平天国」「ネイティブ-アメリカンの国」「バングラデシュ」「メソポタミア」などが挙げられ、今回の「シャンシュン王国」は誕生しか描きませんが、どの国も必ずいつかは終わりを迎えます。
因みに「もう一つの国」というのはアメリカの黒人作家ボールドウィンの作品名で、これは60年代アメリカの人種対立を描いた非常にコアな作品ですが、その中で「ゲイの国」を理想郷として描いています。 「ゲイ」は当時黒人よりも差別されており、そのため連帯心が高まって肌の色を超越できました。
「国について」でもう一つ異色作をアメリカから挙げるならば、「ネイティブの国」を描いた「リトル・トリー」が優れています。 そこでは国を守る為にたった二人で戦った伝説の男女が描かれており、これに影響を受けて「優樹国」の戦いも初めは愛真覚羅傑仁とケチャの二人だけの闘いを想定していました。(後に国の規模が大きくなって5年間の防衛戦となり、最後は核兵器に敗れる)
こうした「理想郷」の為に命を捧げる行為は美しいのですが、果たして現実世界にそんな「理想の国」が存在するのかは疑問です。
現在もウクライナを守る為の闘いが続けられていますが、ロシアはそれを「祖国を取り戻す闘い」としており、どちらが正しいにせよ「世界の穀倉地」は蹂躙されて食糧危機を引き起こしました。
その被害はシリアやアフガニスタンなどの「内戦国」でより深刻に現れ、アフリカの国々も援助が途絶えて飢餓状況が悪化しております。
戦争はいつも「国境」を巡って行われますが、大国間の戦争は関係のない「弱少国」にまで被害をもたらしました。
この先もし中国が「一つの国」に成ろうとすれば、台湾から数百万の難民が日本に押し寄せるコトでしょう。
北朝鮮が「一つ」になる闘いを始めても、同じく韓国から数百万の難民が来るでしょう。
今のポーランドがちょうどそんな状況で、昔はウクライナとベラルーシとポーランドは「一つの国」でした。
ヨーロッパに於いて国境は常に災いをもたらして来たので、それを無くす「EU」の取り組みは評価できます。
いつか地球上から国境が無くなる日が来れば、子供たちはみんなで仲良く生きられるコトでしょう。