よくよく考えてみますと、世の中の歌はみんな絶望ではなく希望を謳っており、「嘆きの歌」も聴く人の心を慰めようという「希望」の元に作られたと考えられます。
なので「希望の歌」の範囲は限りなく広がり、とても7歌ではまとめられないので10歌に増やさせて貰います。
「歌」というタイトルの歌はウルフルズが唄っており、とてもストレートで元気な名唱だと思います。
「海」もとても元気な五輪真弓の歌で、彼女の真骨頂と言える「希望の心」が伝わって来ます。
「ぶらじる丸最終航路」は新井英一が得意とするロード・ソング(旅の歌)で、希望に燃える若者たちが謳われています。
中島みゆきの歌では「傷ついた翼」に一番感動を覚えると前に書きましたが、それは心に希望をもたらしてくれるからです。
アメリカで「希望の歌」と言えば、ブルース・スプリングスティーンが一番人気です。 しかし彼が自らキャリアの最高傑作とする「トム・ジョードの亡霊」では、はっきり「希望の歌」と取れるのは「Across the Border」だけで、その分とくに強い「希望の光」を放っています。
シェリル・クロウも多くの「希望の歌」を作っており、中でも「Diamond Road」に一番感動を覚えます。 これはある種「嘆きの歌」で、彼女の力強い歌声はラストで希望を謳い上げます。
トム・ウェイツのデビュー・アルバム「クロージングタイム」もマスターピース(傑作)で、そのオープニングナンバー「Ol' 55」はシブい「希望の歌」です。 彼のキャリアはとても変化に富んでいますが、若き日のブルースがやはり一番好きです。
「希望の歌」と言えばピート・シーガーのトリビュートアルバム「Where have all the flowers gone」も外せません。 その中ではピーターポール&マリーの「All Mixed Up」が特に光を放っており、近い将来に人類は「All Mixed Up」して兄弟ゲンカしなくなる日が来ると希望しています。 こうした楽天的な歌では黒人のレッドベリーも優れており、特にお勧めです。
前に「T Free」で紹介したジョニー・キャッシュの「Bird on the wire (Live)」は、「The Legend of Johnny Cach vol Ⅱ」に入っています。 彼のこの刑務所に「希望の光」を灯そうとしたライブ活動は、車イスで盲目になってからも続けられました。
締めはディキシー-チックスの「I Hope」とします。「私は希望する」というシンプルな歌詞で、当時戦争へ突き進もうとしていたブッシュ政権に立ち向かいました。 彼女達はディキシー(アメリカ南部)では暮らせなくなりましたが、今でもザ-チックスとして元気に活躍しております。