まず、前回では触れなかったヒンドゥー教徒のカイラス巡礼を描きますと、わたしが22歳(2002年)でカイラス巡礼をした時は、インドはまだ貧しくてルピーも安かったので(日本の10分の1くらいの物価)、チベット高原を旅するインド人は見かけませんでしたが、近未来ではインドも経済発展し、多くのヒンドゥー教徒がカイラス巡礼するようになるとします。
彼等も輪廻転生を信じるので「来世がより良くなりますように」という祈りを捧げており、死ぬまでに一度はカイラス巡礼をしてカルマを浄化したいと願います。
因みにカイラス山は「真のシバ-リンガ(男根)」とされ、「破壊と創造の神」のパワーを貰って「シバジー」(「ジー」は「さん」)と呼ばれるような超老人を目指す行者もカイラス巡礼をします。
そんなヒンドゥー教徒向けの巡礼宿も建ち、そこは当然シバ寺院で「ボン(大麻)」がタダで振る舞われます。
これにはボン教徒も大喜びで、チベット人とインド人の絆をいっそう強めるコトになります。
因みに2002年のカイラス巡礼路には2つのチベット寺院があり、巡礼者はタダで泊まれました。
ボン教徒の遊牧キャラバンにも泊めて貰えましたが、こちらは歓待してくれる代わりにしっかりとお金を要求されました。
近未来ではジャイナ教徒向けの巡礼宿も建つとし、ジャイナ教寺院はやたらと豪勢で、それは信者に「無所有」を説いて財産を全て喜捨させるからに思えますが、ジャイナ教の司祭は無所有を体現するタメに素っ裸でいる必要があるので、標高5000m近くでも温かい温室のような寺院とします。
これは当然ソーラー発電に依りますが、近未来では「光の塔」(塔のてっぺんに沢山の鏡で光を集めて発電する)が普及してその効率は格段に高まるとします。
チベット高原は日射量では世界一なので、「光の塔」を沢山建てれば余った電力で水素などを作ってエネルギー輸出国になれるでしょう。
近未来では温暖化もより深刻になるので、ジャイナ教徒が喜捨によって建てた「光の塔」は先進的だと賞賛され、標高5000mを素っ裸で走って巡礼するアドベンチャーも革新的だともてはやされて、ヒマとお金を持て余した老人達に大いにウケるとします。