「教育の女神サラスワティー」はシタールを弾きながら歌って子供たちを教化したので、この女神の「初転法輪」を描いた前作「Say」では沢山の歌をフィーチャーしました。
今回もやっと「教育の女神」の登場となったので、前回のノリで歌と物語を
リンクさせて行きます。
今回タイトルを「教育的な歌」としたのは、英語圏で歌は既にサブカルチャーからメインカルチャーに育っており、その中でも特に重要な歌を "Educational Song" と呼ぶのがわりと一般的になっているからです。
さっそくそうした曲を挙げますと、日本でもアメリカでもカーペンターズを知らない人はまず居ませんが、20代で夭逝したカレンの代表曲 "Calling Occupant (乗組員に告ぐ)" は日本ではあまり知られていません。
これは宇宙人が地球の乗組員に対して "we are your friend" と唄う感動的な歌で、地球人が1つになる理想を謳っております。
二曲目に、見出し画像にしたジャクソン-ブラウンのアルバム「ファースト」から、代表曲の "These Days (この頃)" を挙げます。
この歌では「この頃は、あの頃にやり忘れたコトがとても気になる」と唄われており、「あの頃」は彼がベトナム戦争の徴兵から逃れて、インドに滞在していたヒッピー時代を差します。
そこで彼は一緒にインドに渡った友達を亡くしており(自殺と思われる)、そんな若き日の苦悩から「ファースト」は生まれて、ジャクソンは「アメリカの良心」と呼ばれるアーティストに成長して行きます。
三曲目は、女性ロックスターの元祖クリッーシー-ハインドの率いるプリテンダーズから、代表曲の "Revolution" を挙げます。
この曲はオリジナルのエレキ-バージョンも良いのですが、アコースティック-ライブの "Isls of view (島々の眺め)" のラストを飾っているバージョンも素晴らしく、ぜひとも両方聴いて欲しいです。("spotify"で無料)
次にクリッーシーと一時交際していたキンクスのリーダー、レイ-デイビスの「Working Man's Cafe」から、"One more time" を挙げます。
キンクスと言えばイギリスではビートルズと同格のバンドで、ジョンが30代で夭逝してしまったのに対して、レイは70代でもこんなに熱いアルバムを出しています。
彼こそは誰もが認める「最も息の長いロックスター」で、その社会批判の精神はますます尖って来ています。
五曲目は、「世界一のレゲエスター」の座を未だに譲らないボブ-マーリーの、妻リタ-マーリーから "A Jah, Jah" を挙げます。
ボブがジョンと同じ頃に30代で亡くなってから、もう半世紀程が経ちますが、未だにレゲエと言えばマーリーが1番人気です。
しかし、その魂を引き継いだリタの歌は日本ではあまり知られず、女性ならではのレゲエ(明るさ)は夫を越えているとも評されるので、御一聴をお勧めします。
次に、大学時代に先輩から勧められたXTCの "Homegrown (自家製)"から、"We're all Light" を挙げます。
XTCは「ブリティッシュ-ポップの至宝」と讃えられらバンドで、大学の音楽サークルでは特に人気でした。
このアルバムは有名アルバム "WASP Star" のデモ-バージョン集で、曲が出来るまでの過程を味わえます。
XTCの歌は非常にアバンギャルドなので、完成形よりもむしろ荒削りなデモの方が、気持ちがストレートに伝わって来ます。
ラストはまたボブ-ディランで締めるコトにし、ノーベル文学賞の呼び水に成ったとされる "Desolation Row (廃墟の街)" を挙げます。
これはとても詩的な言い回しの歌なので、カッコいい英語を習得するのに役立ちます。
また、ギターソロの曲でこれほど聴かせるアーティストは滅多に居らず、そのシブさにシビレたならば、彼の師匠格であるジョニー-キャッシュやピート-シーガーもぜひ聴いてみて下さい。