シュタイナー教育を一言で表すならば「リベラル-アーツ教育」で、これは全ての学問はアートに通じているという考え方です。
そこではアートの域に達していない教育は良しとされず、子供たちに学問が楽しくて美しいモノだと伝えるのがモットーです。
シュタイナー教育では、科学は自然の芸術を理解して活用する学問とされ、歴史は人類の愛の物語としてアート化され、言語は歌や文学などの芸術から学びます。
宗教や経済も当然アートとして捉え、神の創造物はみんな美しい調和の中で生きていると教えます。
しかし、現代社会ではこの調和が乱れているのも確かで、どうやったらそれを取り戻せるのか? という問題提起も怠りません。
これは「答え」の出ていない問題で、子供たちと一緒に考えるスタイルを取ります。
そこでは子供たちの方が本質的な「答え」に近づける場合も多々あり、例えば「経済格差をなくすには」という問題提起では、「誰も富を一人占めしようとせずに、みんなで分け合えば良い」と言った具合です。
「それは美しい考えだ」と先生は認めますが、では何故そうならないのか? と更に「答え」を求めて行きます。
「それは人は他人よりも優位に立ちたいと思うから」で、何故そう思うのか? には「人には欲望があるから」となります。
では欲望を断つにはどうしたら良いのか...と「答え」は宗教の領域に入り、そこから更に科学や歴史、文学にまでどんどん「答え」を探って行きます。
チベット仏教では「人は今生だけでなく、前世と来世にも思いを馳せるべき」と教え、それが今生で良いカルマを積むモチベーション(動機)になり、欲望に支配されるリスクを減らせると考えます。
トゥルクはその転生を体現する存在で、「教育の女神サラスワティー」は歴史的に何度も転生しては子供たちを導いて来ており、それは美しい文学として後世に伝わっています。