その名前はジャクソンの愛称でジャックとし、彼の親友が長年の放浪生活に堪えられず自殺してしまった、というドラマも引き継ぎます。
ジャクソンの歌では、親友がなぜ自殺してしまったのか、その背景までは詳しく解りません。
なので物語では想像になるのですが、おそらくは彼の両親や兄弟が、徴兵拒否で逃げ回るコトに反対したからかと思われます。
ジャクソンの両親は「ベトナム戦争が終るまで決して帰国するな」と彼を励ましましたが、親友の両親や兄弟はその反対だったのかも知れません。
そのために親友は強い苦悩を抱き、それを忘れるためにアヘンに走って中毒死したと想像されます。
アヘンは「空の快楽」をもたらしてくれ、全ての憂いを消し去ってくれますが、依存性が強く耐性も付くため、どんどん用量が増えて行き中毒になります。
これについては漫画「満州アヘンスクワッド」がリアルに描いているので、これを読めば怖くて無闇に手を出せなくなると思います。
しかし、リスクを犯してでも「空」に逃げ込む必要がある時もあり、私はイランで腹膜炎(盲腸が破裂)になり死ぬ間際まで行った時、アヘン(モルヒネ)にはとてもお世話になりました。
それは痛みを消してくれるだけでなく、不思議な高揚感を与えてくれ、やたらと感動しまくります。
不眠症になり食欲も一切なくなりますが、そんな「空」の状態が心地よくて、まるで生まれ変わった様な気分を楽しめました。
ジャクソンの親友もそんな「空」の境地に浸り続けたようで、それはアーティストを目指すヒッピーには実りをもたらしますが、その分命を削るコトとなります。
そうした経験をジャクソンも歌っていますが、彼は自らの命を「空」に飛び立たせはしませんでした...
因みにインドでは、イギリス統治時代にアヘン生産量が世界トップとなり、独立後にはその産業は廃止されましたが、北部の山岳エリアまでは取り締まれず、カブールやペシャワール(パキスタンに分離)がアヘン生産地として残りました。
ネパールも山岳エリアはほぼ独立しており政府の取り締まりは及びませんが、イギリス人はそこまでアヘン生産の手は広げておらず、ケシ栽培は行われていません。
その代わりアサ栽培は文化として根付いており、麻は服や建築材としては勿論、食用や煙草としても広く用いられています。
因みにチベット仏教には、麻の種のみを食して修行する派(カギュ派)があり、それはブレサリアン(超少食者)を目指す修行で、詩聖ミラレパが開祖です。
ジャクソンの親友も、ケシではなくアサに救いを求めたならば、死なずに済んだだろうと思われます。