この章のメインテーマは、ウラン鉱山で蜂起したチベット−ウイグル人の囚人たちが最期に華々しく散るシーンを描くコトです。
この反乱をリードしたのは、インド−アメリカ−チベット合同の秘密部隊SFF(実在する)で、そこのエースが「戦いの女神カーリー」ことリタ・メイです。
リタは世界最大のスラム(ボンベイ)で、16歳の若さにして覇者となった「刃牙」の様な少女で、人類で最初のベテラン メーヴェ パイロットとなります。
リタのメーヴェでの活躍(投げ縄)によって装甲ヘリを奪取した反乱軍は、すぐに核ミサイル基地を急襲して占拠し、「核の恫喝」を行います。
それによって中国共産党(ドン)は反乱鎮圧に本気にならざるを得なくなり、チベット上空のアメリカ−インドの衛星をみんな撃ち落としてしまいます。
これによって反乱軍は世界とネットで繋がれなくなりますが、まだ一つ通信手段が残されており、それはリタメイによる「メーヴェの使者」でした。
リタは2059年で最も「太陽のそばを飛ぶ」女性であり、散って行く反乱軍に対して戦友としての強い愛惜(あいしゃく)も抱いています。
そのリタの任務はSFF(スペシャル フロンティア フォース)のリーダーであるブレサリアン(不食者)のターシャと連絡を取るコトで、その情報をインド軍やアメリカ軍と共有するミッションでしたが、彼女のモチベーションはもっぱら虐げられているチベット−ウイグル人を助けるコトに向けられ、「聖戦」を戦っているという自負がメイに大きな力を与えました。
ターシャと秀祥(しゅうしゃん)は主従関係にありますが、秀祥はターシャに戦略的な指示はせず、ただ自らの意志で涅槃に入る行によって共に闘う姿勢を示します。
この「涅槃行」(バルドゥ、49日間に及ぶ)は世界中から注目されて、史上最大の葬儀となり、その知らせは反乱軍の元に突如太陽から落下して来たリタメイによってもたらされます。
チベット人の心の支えだった女性トゥルクの死は、最期の時を迎えようとしていた反乱軍に一緒に旅立てるチャンスを与え、それを誰もが栄光と捉えて死への恐れを失くします。
こうして「太陽のそばを飛ぶ」反乱軍は、3ヶ月に及んだドンの兵糧攻めによって衰弱しながらも、「戦いの女神カーリー」の飛来によって再び士気を高めて最後の戦いへと望んで行きます。