ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

武器輸出のなんちゃって万歳

2023-12-23 11:38:08 | 日記
今は昔、「なんちゃっておじさん」という人物がいたことをご存知だろうか。昭和52年ごろの話である。東京の電車内に出没したという多数の目撃証言がある。


この「なんちゃって」という言葉、今ではあまり聞かれなくなったが、元は「ほんの冗談でした」という意味の俗語である。 また「本物・本当ではない、模造(した)、偽物(の)」という意味の俗語でもある。


つまり、「XはYである」と主張しながら、大真面目にこれを言い張るのではなく、「な〜んてね、ほんの冗談のつもりだから、気にしないでよ。あまりムキになりなさんな」という含みを持たせているのだ。カッコよくいえば、真理の主張を相対化する殺し文句とでもといえるだろう。なんちゃって。


話はぐるりと変わるが、きのう夕餉の食卓で、次のニュースを聞いた。


政府は22日、持ち回りでNSC=国家安全保障会議の閣僚会合を開き、防衛装備品の輸出ルールを定めた『防衛装備移転三原則』の運用指針を改正しました。
それによりますと、外国企業から技術を導入し国内で製造する『ライセンス生産』の装備品の輸出について、これまではアメリカに対し部品のみ認めていましたが、完成品も含めてライセンス元の国への輸出を可能とします。
これを受けて地上配備型の迎撃ミサイル『PAC3』をライセンス元のアメリカに輸出することも決めました。
2014年に防衛装備移転三原則が策定されて以降、自衛隊法上の武器にあたる完成品の輸出は初めてとなります。

(NHK NEWS WEB 12月22日配信)


いや〜、大したものだ。技術のライセンスがアメリカにあるとはいえ、その技術を用いて製造した兵器を、まるごとライセンス元のアメリカに輸出できるまでになったとは、日本もなかなか捨てたものではない。


考えてもみよう。先の大戦でアメリカに敗けた日本は、航空機など兵器の製造につながる重工業分野を解体・弱体化され、戦争ができない国(=平和国家)になることを強いられた。しかし、これでやっと迎撃ミサイルなどの先端兵器を製造し、これをアメリカに輸出するまでに「成長」を遂げたのだ。


何だって!兵器を製造販売するなんて、「死の商人」になり下がること、これは平和国家にはあるまじきことだ!そう息巻く人も多いだろうが、まあ、そうムキにならず、頭を冷やして、ここはひとつこのことのメリット(=経済効果)を考えてみようではないか。


これまで日本は高額なイージスシステムなど、アメリカ製の兵器を買わされる一方で、そのために大きな経済的負担を強いられてきた。しかし、これからはそうした経済構造が変わるかもしれないのだ。


日本が国内の軍需企業から高い税金を取り立てるとか、軍需企業を国営化するとか、何らかのうまい手立てを考えれば、日本は歳入の増加によって経済的に潤うようになり、国民が高い税金に苦しむこともなくなるに違いない。


国の歳入が黒字に転じれば、日本は他国から「ワグネル」のような軍事のプロ集団を(いわば傭兵として)雇うこともできなくはない。そうすれば、日本人が危険な戦地に立つことだってなくなるだろう。

ーーほら、いいこと尽くめではないか。


「防衛装備移転三原則」の運用指針の改正、万歳!


なんちゃって。

コメント
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