大阪市長で、維新の党の代表でもあります橋下徹氏が、いよいよ政界を去ることを決意されたみたいですね。大阪都構想の実現を巡り、大阪市民に対する住民投票の結果を受けてのものですが、反対票が多数を占めたのです。
私自身、大阪市に籍を置くものとして、散歩がてらではありますが投票へ行ってまいりました。大阪に籍をおいて2年も経たないため、「私如き新参者が…」、との想いもあり、白票を投じさせて頂きました。
そして結果として現状維持であります。
私自身の想いとしては、橋下徹氏が政界に進出した時よりすでに、政治家としての「質」を探ってまいりました。地方議会などを経験したわけでもなく、メディア出身の弁護士が人気票で選出されたわけでありますから、実績などなにもありませんからね。
「大阪を変えなくちゃ!」
その心意気は伝わります。私も関西人として、関西の中心である大阪がもっと頑張ってほしいと願っておりました。
しかし橋下氏による大阪府政を冷静に見ていきますと、独裁者や政治屋としての「質」は感じられても、政治家としての「質」が見えてこないのです。
この大阪は、奈良や京都と並び歴史ある町であり、戦後の焼け跡から急激に発展してきた近代都市なんかではありません。大阪の古い伝統や文化を台無しにし、先人が築き上げてこられた大阪を解体してしまっては、「この大阪に生まれて良かった」と誇りを持てない子どもが増えてくることになるかもしれません。
このことは、橋下氏にだけ言っているわけではなく、歴代の知事や市長にも同じことであります。そして、これら行政のトップを選ぶのは府民であり市民であります。
政治家というのは、その町の伝統や文化を守り、古くから暮らす人々を大切にし、そして魅力ある町を構築していかなければなりません。しかしながら歴代の知事や市長は政治屋として甘んじ、結果、大阪が長く低迷をたどる道筋を作り上げてしまったのです。橋下氏はこうした大阪を改革しようと努力されたことでありましょうが、結局は同じ政治屋だったのです。
話は変わり、維新の党を保守系の自民党寄りだという知識人などがいますが、私は限りなくリベラル系の民主党に近い政党だと思っています。なぜかと言いますと、維新の党も民主党も結局は都市部での人気を維持することしか出来ない理由からです。
都市部というのは、現在の私のように地方から移り住んで間もない人々が大勢暮らしています。さきほども述べましたように、政治家というのは古くから暮らす人々を大切にしなければなりません。しかし、維新の党も民主党もこうした古くから暮らす人々を蔑ろにし、私のような後から移り住んだ人を大切にしようとします。そして、既得権益の打破と謳い、秩序を崩壊し、移住者が暮らしやすい都市に変貌させ、他の自治体や国に依存しない自立都市を目指そうとします。
これのどこが保守といえるのでしょうか?
なにわともあれ、大阪は解体されずに済みました。そうはいっても道州制を以て大阪の主導権を握ろうとする政党もあれば、現状維持にて主導権を握ろうとする政党もあります。
またいつの日か、橋下氏には政界に復帰していただき、この大阪のために尽力してほしいものです。