得て聞くべからざるなり
「子貢(しこう)曰(い)わく、夫子(ふうし)の文章は得て聞くべきなり。夫子の性と天道とを言うは、得て聞くべからざるなり。」
■その意味は?
子貢の回想。
『先生の詩書礼楽や国の制度についてのお話はいつでも聞くことができるが、人の本質や宇宙の原理などのお話は聞くことができない。』
(「論語」一日一言より)
■感想
まさに、人の本質や宇宙原理(自然界)というものは、現在でいうところの宗教的、哲学的なものにあたるといえる。孔子(先生)はそれら一切を道義・道徳を以てすれば克服できるものと考えていたのかもしれない。
しかし、人々の心というものは、果てしない欲望に苛(さいな)まれてしまい、争いは絶えることがない。それは人類の歴史が物語っている。
そうした過去を省みり、上(じょう)も下(げ)もなく、広く人々が道義・道徳を以て世の太平を築いていく努力をしなければならない。