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久々に『切込焼(きりごめやき)』の里に出かけた。場所は、宮城県加美郡加美町の宮崎。
加美町まちづくりセンターで『後藤美智子・三浦早苗 二人展(油絵・水彩画)』が開かれていたし、『陶芸の里』や三町合併後の町の様子を知りたかったからである。
三浦さんからは「絵を始めてから日が浅い。」と聞いていたが、それとは反対。なかなかの作品群。とりわけ、萩の雨を描いた作品は淡い彩色の墨絵風で、空間の取り方といい、とてもすばらしいもの。(絵を掲載できないのが残念)
その後、宮崎名物の餅(もち)料理『もちご膳』を堪能。アンコ、ズンダ、ゴマ、クルミ、ダイコンオロシ、雑煮の6種が並んだ膳は、懐かしい故郷の味。店の方との談話もまた楽しい。
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『切込焼』とは、江戸時代末期から明治時代の初期にかけて、宮崎町(現 加美町)の切込地区で作られていた陶磁器。仙台藩の御用窯として上質な焼物を創出する一方、庶民向けの日用品も数多く作られていた。記念館は ⇒ こちら
白地に淡い青の染付け磁器は、その曲面の形状とあいまって穏やかで温かみのある風情をかもし出している。一方、トルコ青・紫・白という三彩が融合した作品は、色合いが絶妙。ひょっとするとこれが斯(か)く言うところの“彼岸”という場所の色かもしれない。そんな思いにさえさせられてしまう。
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ところで、地域活性化の取組みの先進モデルとして名を馳せた『陶芸の里』は、4月にオープンしたばかりということもあるだろうが、訪れる人も少なく、閑散としている。広い駐車場には車が4台(うち1台は私の分)。
記念館の展示ギャラリーには私一人。「じっくり鑑賞」そんなものではない。底冷えのするやや薄暗い照明の室内には、150年にもわたる工人たちの苦難と創作エネルギーが凝縮されていると思うと、畏(おそ)れさえ感じてしまうほど。
道を隔て、それもすぐ下方に沢が流れる杉木立の中に、陶工たちの墓標群がある。自然石に刻まれた名も薄らいだり欠けたりしている。カタクリ(まだ蕾)、エンレイソウ、フクジュソウといった足元に群生する野の花々も、どこか寂しげ。
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(エンレイソウ)
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(フクジュソウ)
切込焼の復興に取り組んだ三浦征史さんは、すでに彼方に旅立たれてしまわれた。この里で今も陶房を開き創作を続けているのは三浦征史陶房の早苗さん一人という。このまま行けば、”後継ぐ人無き歴史遺産”としての切込焼に戻ってしまう。
もうすぐ、春のレジャーシーズン。ぜひ多くの方々に、切込焼の里を訪れて欲しいと切に願っている。
(追記)
総合運動公園・・・すごく立派。しかし、利用率はどれくらいだろう。年間維持費は? 過大投資。このほかにも、学校統廃合にともなって生涯学習施設を整備する計画があるという。そんな投資をするくらいなら、どうして町の歴史や文化資産を生かす方に回さないのだろうか。情報発信の充実なども、大きな支援になることだろう。ハード整備で実績を挙げたとしても、結局のところ借金を後世に残していくことになるのに・・・。いやいや、施設が存在する限り、「あの人は迷惑ばかりを残していった」とさえ言われかねないのだから。
加美町役場のホームページ ⇒ http://www.town.kami.miyagi.jp/
加美町の観光情報 ⇒ http://www.town.kami.miyagi.jp/kanko/
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