4月20日。
レフェリーから説明が終わると、
お互いに自コーナーへ戻る。
いよいよ開始のゴングを待つだけ。
目線の先には対戦相手だけが映っていた。
自ら、
つばを飲む瞬間に、
鳥肌がたっている感覚を覚えている。
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4月20日。
リングコールを終えると、
両選手、リング中央に呼ばれて、
レフェリーより確認事項の説明。
もう、
その時は何を言われたのか、
何の説明を受けたのか、
何も耳に入らなかった。
正確に言えば、
何も覚えてない。
心の中では、
はじまる『瞬間』への覚悟だけ秘めていたから。
ただ説明の最後に、
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4月20日。
リングコールを受けた。
いまだに「チャンピオン」としてコールを受けるのが、
他人事のように聞こえる。
誰よりも、
へたくそなことを理解している自分は、
ちっとも似合っていないことに劣等感を抱いている。
その劣等感の塊が、
練習に駆り立てる原動力だと言うことも、
自分自身が十分理解しているのだと思う。
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4月20日。
リングにあがった。
とうとう。
この瞬間が来た。
対峙するコーナーには、
もちろん対戦相手が立っていた。
僕と違って筋骨隆々な体の持ち主だ。
僕にはあんな体は作れない、と思った。
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