小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

意志

2008-08-19 23:37:18 | Weblog
自分の感情を正直に言ったり行動にする事が、誠実さ、だと勘違いしている人がけっこういる。いい歳をして、まだ、そんなことを考えているのかと、そういう人を見るとあきれる。人間の多くは善と悪を両方持っている。私は、性善説だの性悪説だのでウロウロしてる人が阿呆に見える。青年の反抗期では、偽善を嫌って、自分の心の悪をことさら言ったり、行動したりすることがある。いじめ、も、そういう心理から起こっている場合がある。ニーチェが、「善悪の彼方」の中で、己の悪を凝視することを青年に進めている箴言がある。
私も人に意地悪をしたいという感情が起こった事がある。大学の時である。その人は二年から三年への進級で落ちて、私のクラスに入ってきた人である。その人は、内気でおとなしい人だった。その人が、私に似た所があったから、私は嫌悪感を感じてしまったのである。人間は、自分に似た人間を見ると嫌悪感を感じる事がある。また、留年者に対しては、いじめたい感情が起きやすいものである。私も四年の時、休学したため、復学した下のクラスでは、かなり意地悪された。あまりにもウジウジした、いじめだったので、ポリクリの時、皆の前で、椅子を思いっきり蹴っ飛ばした。それが利いて、グチグチは、ピタッとなくなった。
私は聖人君子ではさらさらない。愚劣な人間である。
人間において、一番大切なものは、その人の「意志」である。人生においてもしかり。
その人が何を感じたか、ではなく、どんな行動をしたか、が、その人の全てを決定する。
心の中では、どんな愚劣な事を考えてもいいのである。心など美しくなくてもいいのである。心の中で、どんなに愚劣な感情が起こっても、「意志」の力によって、相手にもわからないよう振舞うことは出来るのである。
この「意志」の力で自分を自制するか、「意志」を放棄して感情の赴くまま行動するか、が、人間の全てを決定する。

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