ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『VRおじさんの初恋』#19~#24

2024-05-18 16:44:10 | TVドラマ全般

IT企業の経営者である母=飛鳥(田中麗奈)に指示されて祖父=穂波(坂東彌十郎)の様子を見に来た葵(柊木陽太)は、謎のVRおじさん=直樹(野間口 徹)が何者なのか探るべくVRゲーム「トワイライト」にアオイ(井上音生)となってログインし、ホナミ(井桁弘恵)とナオキ(倉沢杏菜)のキスシーンを目撃しちゃう。

大人でも理解しがたいその関係性が、小学生のガキンチョにすんなり理解できるワケがない!

きっと好奇心もくすぐられたんでしょう。VRでホナミになりすました葵はナオキとコンタクトし、なりゆきでキスしそうになるんだけど、今度はそれを穂波に目撃されてしまう!

キスしかけたのは葵が変態だからじゃなく、相手がホナミだと信じ切った直樹のせいなんだけど、孫にホナミのことを知られた穂波はなぜか激怒し、「飛鳥には言うなよ!」と釘を刺して自室に籠もっちゃう。

そして、やはり人間関係がニガテらしい葵に共感した直樹が、「反省してるから許してあげて」と仲を取り持とうとしたら、今度はドア越しで「家族の問題に立ち入らないで下さい!!💢」とさらに激怒。

二人して穂波を怒らせ、拒絶されて途方に暮れた直樹と葵は、あらためてトワイライトの「生命の森」で話し合おうと約束するのでした。



「結局、現実でも、こっちでも、ずっと独りだ。そんなオレに、唯一興味を持ってくれた人が、ホナミだったんだ」

「祖父と、ナオキさんは……恋人なんですか?」

「…………」

「樹の下の二人と、現実の二人……二人の関係が、よく解りません」

「そりゃ仕方ないよ。オレだって解らない。ホナミは恋人って言う時あるけど、オレはあんまり……」

「好きじゃないんですか?」

「好きじゃないワケじゃない。……というか、オレ、今まで誰ともつき合ったこと無いから……もう、今後もそういうのとは関係なく生きていくんだろうなって思ってたんだよ。働けなくなったら、周りに迷惑かけないで死ぬ方法とか、考えたこともあってさ」

めちゃくちゃよく解る! 20代後半あたりの私がまさにそんな感じで、当時話題になった『完全自殺マニュアル』なんて本も買って熟読したもんです。

人付き合いを全くしなかったワケじゃないけど、とにかく自分自身が嫌いで嫌いで、こんなオレでも生きる価値があるんだ!って初めて思えたのは、女の子に「大好き」って初めて言われた瞬間でした。至福のときは長く続かないにせよ、その貯金だけでこれまで生きて来られたようなもんです。

「でもね……ホナミと出逢って、よく分からなくなった。そのうち、オレの方がホナミと別れたくなくなった」

「別れたくないのって、恋人どうしって言わないですか?」


「この関係に名前なんて無くたっていい。“初恋”ってだけでいいんだ」

「…………」

その言葉を聞いて葵は、直樹という人を何となく理解できたようで、母の飛鳥にこんなLINEメッセージを送るのでした。

<VRのおじさん、いいひと。心配いらない>



飛鳥は、父親である穂波と何年もの間コンタクトを取ってない。どうやら穂波は色々あって離婚し、溺愛した娘にもなぜかこうして拒絶されてる。

だから主治医に「余命3ヶ月」を宣告されても動じません。


「私は延命治療を希望しません。誰も悲しむ者もおりません。その時が来たら、それまでです」

果たして本当にそうなのか? 穂波にしろ直樹にしろ、そう思い込んでるだけのように見えます。いつも自分のことを「孤独の王様」みたいに書く私が言うのも何だけど。

すでに仕事を引退した穂波はともかく、決して居心地悪そうじゃない職場で働く直樹は違うのでは?と思ってたら、やっぱり彼もそれに気づいて来たみたいです。

いつも“呑み”の誘いは断る直樹なのに、VRのホナミばりにグイグイと誘ってくる同僚の佐々木さん(堀内敬子)に、今回は珍しく「ここ(社内)でなら」と根負けしちゃう。

そんな直樹に、佐々木さんは「心配なんでしょ?」といきなり核心を突いて来ます。

「え?」

「何を話したらいいとか、どう振る舞ったらいいとか。二人だと緊張するし、大勢だと気を遣うし」

「……そういうのはあるかも知れないですけど、職場の人と呑むって、意味ありますか?」

「ありますよ! ふだん語れないことを語り、その人の知らない面を知るのって大事じゃないですか?」

「仕事は仕事なので、その必要は感じないですけど」

「腹を割るって言葉あるでしょう?」



どうやら佐々木さんは、先週から“心ここにあらず”な感じの直樹を心配して、なんとか励ましたくて、呑みに誘ったみたいです。そこまで気にかけてくれる同僚のいる直樹が、本当に孤独な人なのか?

「いったい何があったんですか? 腹を割って話して下さい!」

あまりにグイグイ来られて、直樹は根負けを通り越して笑っちゃう。



「あっ、笑った。珍しい」

「なんか、楽しいです」

「でしょう? 喜びは、人と人との間にあります」

「……そうですね」

「物を買ったって、喜びは一瞬です。人間関係、つらいことも多いけど、乗り越えたところに、喜びはあります」

耳が痛い!……って言いたいところだけど、最近、自分もそういう心境になって来ました。コレクションは確かに楽しいけど、人と心が通い合えた時の嬉しさには遠く及びません。

「カノジョの反応なんか気にしちゃダメです。本心でぶつかって下さい!」



いくらお節介焼きでも、気にかけてなければこんなアドバイスはしない。きっと直樹の人柄が佐々木さんにそうさせてるんでしょう。彼は決して孤独なんかじゃない。



穂波もたぶん同じで、断絶状態とはいえ飛鳥は明らかに父の病状を気にしてる。

父娘がそうなったのは数年前、なかなか友達ができない葵にA.I.搭載のロボットを買い与え、「友達をプレゼントしたんだ」と悪気なく放った穂波の一言に、飛鳥がハイパー激怒したのがきっかけ。

「あなたは解ってない! あなたは死ぬまで解らない!!」

家族だからこそ“デリカシーがない”だけじゃ済まされない、なにか絶望的な隔たりを飛鳥は感じたみたいです。この辺りが私と兄の関係に似てたりするんだけど、それはまぁどーでもいい。



相手の気持ちを推し量り過ぎる直樹と、推し量ることが出来ない穂波。必要以上に引いちゃう人と押しちゃう人。同じ“孤独”でもその原因が実に対照的で、だから二人は磁石みたいに引かれ、惹かれ合ったのかも知れません。

「仲直りって難しいね」

「直樹さんは、祖父と仲直りしたくて僕にメールをくれたんですよね?」



現実世界でまたミーティングしてる直樹と葵も、すでに世代を越えた友達と言えそうです。

「祖父と母も、仲直りしたいんじゃないかって思います」

「穂波が? お母さんも?」

「はい。母が本当に嫌いなら、僕が祖父に会うことも許さない筈です」

のちに判ることですが、飛鳥は幼少期に、穂波に習ってチャレンジしたシュークリーム作りが失敗に終わり、それをこっそりゴミ箱に捨てられたらしく、そのトラウマが断絶へと繋がる伏線になっちゃった。

「僕は、祖父と母に仲直りして欲しい。このまま、おじいちゃんが亡くなったら可哀想です」

「……穂波が望んでればね」

そんなの『探偵!ナイトスクープ』に応募すれば竹山探偵あたりが解決してくれるんだけど、あれは民放の番組だからそうもいきません。(キダ・タロー最高顧問の御冥福をお祈りします)


「直樹さん、確かめてくれませんか?」


「オレが?」

「直樹さんは、唯一祖父が心を開ける人です。二人のために、よろしくお願いします!」

「……やれることを、やってみるよ」

とは言ったものの、人付き合いがほぼ皆無だった直樹にはハードルが高すぎるミッション。どうすればよいやら見当もつかず、途方に暮れる直樹の脳裏に、「本心でぶつかって下さい!」という佐々木さんの言葉がよぎります。


「逃げちゃダメ、逃げちゃダメ、逃げちゃダメ、か……」

なんだか『エヴァンゲリオン』みたいになって来たけど、これこそ人生における最大のテーマですよね。次のステージへ進むには、逃げずに壁をぶち破るしかない。

<またホナミと旅をしたい。仲直りできないかな>

既読スルーが続いても、直樹はめげません。

<嫌かもしれないけど、とにかく来てくれ> <オレはいつまでもホナミを待つ> <あと一日ここで待ってる。来なかったら、終わりにしよう>



決定的に嫌われちゃう恐怖を乗り越え、諦めずに誘い続ける直樹は、もう既に大きな進化を遂げてると思います。私なんぞは「去るもの追わず」なんて言ってカッコつけてるけど、しょせん自分が傷つくのが怖いだけ。やっぱ死ぬことにします。

それはともかく、いつもの喫茶店に来てくれたホナミは、決してナオキが嫌いになったワケじゃなさそうだけど、表情は暗い。



「また怒るかも知れないけど……立ち入ったことだけど……どうしてあんなに怒ったの?」

「…………」

「オレはキミのことが心配で声を掛けただけなんだ」


「もうVRはやめます」


「え……本気なの?」

「本気です」

「本気でやめるつもりなら、オレのメッセージ、スルーすればいい。ここに来たのは、なにか話したいことがある筈だ」

「ずいぶん口が達者になりましたね。会ったときは、ワタワタして可愛かったのに」

「……ホナミにとってこの世界は、どういう存在なの?」

「……引退して、独りの時間を持て余してました。暇つぶしです」

「……オレたちの時間も暇つぶし?」

「ほかに何だって言うんですか? 美少女になって恋愛をする。その感情が本気だって言うんですか?」


「オレは……本気だ。お祭りやショッピング、ホナミが大活躍したシューティングゲーム、特別列車の旅……全てが、オレにはリアルな想い出だ」


「私が、現実でも会いたいって望んだときに、VRは現実と分けて楽しむものだって、あなたが言ったんですよ?」


「そうだよ! そうしようと努力したよ! だけど、もう自分の心の中がシッチャカメッチャカで、オレの初恋は、何に恋してるんだか分かんなくなって……VRのホナミに会えないなら失恋で終わりなんだけど、現実のホナミが心配で、何がどうなってんだか……でも、何かしないと、何か出来ることがあるって、抑えようとしても湧き上がって来るんだ! こんなこと、人生で初めてなんだ! 人と関わらないように生きて来たのに、お節介だって分かってるのに、どうしょうもないんだ!」

溜まりに溜まったマグマが一気に(もしかすると生まれて初めて)爆発したであろう、直樹の心情がリアルに伝わって来ます。暗闇で、しかも口元しか見えないのに! やっぱり野間口徹さんは凄いアクターです。


「私は、死にかけの男です。残された人生は、長くて3ヶ月です。ムダな労力は使わないで下さい」

「え……3ヶ月……」

「ですから、もう終わりにして下さい。静かに死なせて下さい……お願いします」

「……ごめん。自分のことばっかり言っちゃって」

「いいえ。では……」

「穂波の気持ちも聞かせてよ!」

「何もありませんよ」

「伝えたいことがある筈だ! ね、頼むよ! 話してよ!」

「……さっきは酷いことを言いました。申し訳ありません」

「謝って欲しいワケじゃないよっ!!」

「……私は、自分の信じた人生を、生きて来たつもりです。もう、いいですか?」

そう言ってログアウトしちゃう穂波。もしかして彼は……

心配で一睡も出来なかった直樹は翌日、初めて仕事を休んで穂波の屋敷を訪ねますが、留守で車も見当たらない。

「海の見える高台かも?」と葵から聞いた直樹は、自然と全力で走り出すのでした。


「オレ、これまで人と関わって来なかったから分からなかった。穂波は独りでも大丈夫だと思い込んでた。穂波もオレと一緒なんだ。だからオレも……もう一度会わなきゃならない」



「どうして?」

「初恋の相手は、独りで死なせるワケにはいかないから」

「私を?……こんな私を……ありがとう」



「想像もしてなくて……ごめんなさい」

「ううん、来てよかった」



屋敷に帰り、ようやく笑顔が戻って来た穂波に、直樹は最近「ここには居場所がある」と感じ始めた職場についての話をします。

穂波と会ってから、面倒くさいと思ってた佐々木さんとの会話が楽しいものに変わったと言う直樹。

「佐々木さんは穂波のこと“カノジョさん”って呼んでて、いっつもアドバイスくれるワケ。それがいちいち心に刺さるんだよね。もしかしたら、これまでも同じようなこと言ってたのかも知れないけど……それでオレも、だんだん彼女に本音を喋るようになったの。話すこと苦手なのに」

「…………」

「なんで苦手だったかって言うと、上手いこと、面白いこと、相手がどう感じるかってことを、今までは考え過ぎてたと思う」

「…………」

さっき「二人は同じ孤独でも原因は対照的」って書きましたが、それは間違いかも知れないって、後のエピソードを観て今考え直してます。(1週間がかりでこれを書いてるもんで、その間に放映が進んじゃうワケです)

実は「言葉足らず」が原因で人間関係をこじらせてる点じゃ穂波も同じで、たぶんシュークリームやロボットの件もそのせいで飛鳥に誤解されてる。

対照的なのは原因というより性格そのものなんですよね。そんなの最初から判ってることなのに、私も回りくどく考え過ぎたようです。

「なんでこんな話してるかっていうと、VRのホナミは、オレにズカズカ入り込んで来たでしょ?」

「鬱陶しかっでしょう」

「かなりね。でも、あれがキッカケなんだ。ホナミのお陰でオレは、ずっと無視してた恋心を引き出されて、現実でも佐々木さんとの会話を楽しめて、今でもこうやって、自分でも驚くほど話して……嫌がる穂波の家を、会社休んで訪ねるなんて大胆な行動も出来るようになった。全ては、穂波が、オレの心の殻を破ってくれたから始まったんだ」


「初恋の衝動って凄まじいね!」


「ですね!」

ホナミや佐々木さんに心の殻を破られた直樹が、今度は穂波の心の殻を破ってみせました。以前はオドオドしてた振舞いも、今は堂々としたもんです。

以降、まだ2週分のエピソードが残ってますが、もう詳細なレビューを書くつもりはありません。その2週でなにが描かれるかは明白だし、私が本作にハマったのは直樹に“自分自身”を感じればこそで、彼がこんなに逞しく成長したらもう書くことが無い。

テーマが全て佐々木さんのセリフに込められてるのも明白でした。直樹だけじゃなく、穂波、葵、そして飛鳥にもきっと当てはまる筈。

「仲直り大作戦」に活かされるらしい“ブルース・リーの名言”は私も検索しようかと思ったけど、このドラマについて語る人はみんな同じことするだろうから、やめときます。(ハズレ書いたら恥かくし)

何にせよ、2024年上半期の連ドラ・ベスト1はもう確定でしょう。いつも「昔は良かった」的なことを書いてしまいがちだけど、昭和の時代じゃ決して生まれ得なかった、これは令和ならではの傑作エンタメ。

だけど、根本的なテーマ(要するに成長ドラマ)は古今東西ホント変わらない。斬新と言われる作品を観たときほど、つくづく実感させられます。



ポートレートは再びホナミ役の井桁弘恵さんと、少女だった頃の田中麗奈さん。

最終週に登場しそうなアバターの「アスカ」がどんなキャラクターになるか、それが一番楽しみです。(ブルース・リーだったら面白いけどw、普通にイケメンだとつまんない)



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『VRおじさんの初恋』#12~#18

2024-05-11 20:55:40 | TVドラマ全般

「僕が愛したホナミは…」

「穂波だった。」



ネットオタクの直樹(野間口 徹)なら充分に予想できた筈のオチなのに、恋は盲目。そりゃもう仕方がない。

大きな屋敷に独りで暮らす穂波(坂東彌十郎)は、驚きつつも嬉しそうに直樹を迎え入れます。



けど、直樹は自分のことを棚に上げて、VR世界のホナミ(井桁弘恵)と現実世界の穂波とのギャップに戸惑いまくり、あんなに昂ってた気持ちがみるみる萎んじゃう。

それより何より、心のオアシスだった筈のVRゲーム「トワイライト」の世界を、自らの愚行により現実とゴッチャにしてしまったことを激しく後悔し、穂波はおろかホナミと会うことすら気が重くなっちゃう。

そのくせ、穂波のアクセスが途絶えると気になって仕方がない。VR世界でホナミがナオキ(倉沢杏菜)に別れを告げたのは、穂波が間もなく手術を受ける(それほどの病気を抱えてる)からなのでした。



普段にも増してボーっとしてる直樹に、お節介焼きの同僚=佐々木さん(堀内敬子)が「あまり思い詰めない方がいいですよ」と声をかけてくれます。

「分かってるんです。考えないようにしてるんです。でも、考えちゃう。考えないようにすればするほど考えちゃう。これ、どうすればいいんですか?」

すると佐々木さんは即答します。


「行動することです。案ずるより、産むが易しです」

佐々木さんは「直樹さんにカノジョが出来た」と勝手に思い込んでアドバイスしたんだけど、そのお陰で吹っ切れた直樹は穂波に<体調はどう?>とLINEメッセージを送るのでした。

<明日、手術になりました。怖いです>というレスに、直樹は<大丈夫、俺がついてる>と返す。



この辺りで我々視聴者は、本作が単にVR世界を舞台にしたメロドラマなんかじゃなく、そんな幻想が無惨に打ち砕かれた後のストーリーこそが、むしろ本題であることに気づかされる。

初恋相手=ホナミの正体が色んな問題を抱えた老人であることは、これまでの人生で直樹がずっと避け続けてきた「厳しい現実」の象徴であり、問題は彼がそれをどう受け止め、どう乗り越えて、どんな変化を遂げるのか。

先のLINEにおける力強いメッセージに、その兆しがすでに表れてますよね。

で、どうやら手術は無事に終わったようで、二人は「トワイライト」で再会する。

「私、感激です。誘ってくれて嬉しいです!」



けど、以前とは気分が明らかに違う。お互い相手がオジサンであることを知っちゃったし、特に直樹にとって「トワイライト」は煩わしい現実からの逃げ場だったんだから。

「現実でも会いたがる穂波の気持ちが解らない。正直、面倒だ……」



さもありなん。私だってそんな心境になるだろうと思います。けれど直樹は、穂波の病が想像以上に重いことを、まだ知りません。

穂波は、自分の人生が終焉を迎えつつある事実を、誰にも明かしてない。どうやら独りで静かに死のうと考えてる。

私はその気持ちも解るし、なのに残された時間を気の合う友と一緒に過ごしたいっていう、人間ならではの矛盾も何となく理解できます。



「また、家にも遊びに来てもらえますか?」

「……オレは、正直、こっち(VR世界)で会えればいいと思ってる」

「…………」


「オレは、こっちの世界が好きで、ずっと過ごして来た。こっちの世界があるから生きて来れた。それは、この世界を信じて来たからだ。現実と混ぜるのは……この世界を裏切ることになると思う」


「……もし、直接会わないなら、もうこの世界には来ないと言ったら、どうしますか?」

「……解って欲しいんだけど、オレは、穂波が男性で、自分より歳上で、だから会いたくないって言ってるワケじゃない。この世界は、現実と切り離してこそ成り立つんだ」

「…………解りました。直樹の気持ち、受け止めました。そうしましょう」

「ごめん」


「謝らないで下さい。ごめんって言うなら、有難うでお願いします」


「そうだね。有難う」

二人は決別したワケじゃありません。現実世界では会わないと決めただけで、VR世界でのデートはこれまで通り。だけどやっぱり気持ちが伴わない。

「前までは待ち遠しくて仕方がなかったのに、今は……よく分からない」

分からないんだけど、ホナミのことも穂波のことも頭から離れない。さんざん葛藤した末に、直樹が出した結論は……


「……オレ、勝手すぎるな」

現実世界でも穂波とつき合って行く覚悟を決めた直樹は、再び彼の屋敷を訪れるんだけど、ここで物語も再び大きく動き始めます。



まず、穂波の一人娘でIT企業の経営者=飛鳥(田中麗奈)が登場し、彼女の指令により穂波の様子を伺いに来た息子(すなわち穂波の孫)の葵(柊木陽太)が、祖父と謎のVRオジサンとの仲睦まじい姿を目撃してしまう!



けれどかしこい葵は、飛鳥に報告する前に2人の関係を確かめるべく、こっそり穂波のVRマシン(もとは葵が使っていた)で「トワイライト」にログインし、2人の待ち合わせ場所である「生命の森」を探します。



葵のアバターである「アオイ」もやはり美少女(井上音生)。アバターを異性に設定するのはVRプレイヤー“あるある”なんだそうで、もし私がVRをやるとしてもやっぱり女の子を選ぶと思います。理由は、変態だからです。



それはともかく、アオイは目撃してしまう。自分の祖父が謎のVRおじさんに甘えまくった挙げ句……



チュバチュッチュしちゃう姿を!


「とんでもないものを見てしまった……!」

(つづく)


子役の柊木陽太くんがとてもイイ! キュートさが売りだったり泣く演技が得意だったりする「あざとさ」が無くて、芝居がすごくナチュラル。主演映画『怪物』で日本アカデミー賞 新人賞を獲られたのも納得の素晴らしさです。

そしてアオイ役の井上音生さんも第8回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞と集英社賞(りぼん賞)を受賞して芸能界入りし、舞台ミュージカル『魔女の宅急便』の主演などで知られる実力派。

倉沢杏菜さん、井桁弘恵さんと共に本作でブレイクされること間違いなし! 野間口徹さんはいわゆる“アゲチン”なのかも?


3人の中で一番ファッションモデル顔の井上音生さんが、一番背が低いのが意外。157cmなんだそうです。






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『VRおじさんの初恋』#01~#11

2024-05-05 21:40:13 | TVドラマ全般

2024年の春シーズン……つまり今、密かにというか、思いがけず私がハマってる連続ドラマが、NHK総合テレビの深夜15分枠「夜ドラ」(月曜〜木曜) で絶賛放映中の『VRおじさんの初恋』。まさか、野間口徹さんの主演作にハマってしまうとは!(いや、好きな俳優さんのお一人ではあるけれど)

「夜ドラ」は『作りたい女と食べたい女』や『ミワさんなりすます』あたりも面白かったけど、予約録画までして欠かさず観てるのは、以前レビューした『事件は、その周りで起きている』と『超人間要塞 ヒロシ戦記』以来のこと。

原作は“暴力とも子”という素晴らしいペンネームの作家さんによるウェブコミックで、2018年から’19年にかけて漫画アプリ「マンガコネクト」で連載された作品。

主人公は小さなタイヤメーカー会社に勤める冴えない営業マン=遠藤直樹(野間口 徹)だけど、ストーリーの半分以上は彼が夜な夜な没頭するVR (仮想現実) ゲーム「トワイライト」で展開されますから、むさ苦しくありません。

なにせVR世界における直樹のアバター「ナオキ」は、セーラー服姿の美少女(倉沢杏菜)なんです。

「どこにいても居心地が悪い。誰といても落ち着かない」



第1話冒頭における彼女(彼)のモノローグ、その一言だけで私は心を鷲掴みされちゃいました。簡単なもんですw

いや、簡単なようで実は簡単じゃない。私がその一瞬で感情移入できたのは、現実世界の直樹を演じるのが野間口徹さんであればこそ。これが民放のドラマだと松下洸平とか神尾楓珠になっちゃう。嘘つけ!って話です。

そりゃあ美男美女にだって美男美女なりの悩みがあるのは解るけど、そうじゃない人間とは生きていく難易度がスタートの時点から違ってる。野間口さんでないと「あっ、そこにオレがいる!」とは思えないワケです。



直樹のアバター、つまり実質的な主演者となる「ナオキ」役に、まだ多部未華子さんや今田美桜さんほど顔も名前も知られてない(現時点ではウィキペディアに単独の記載もない)倉沢杏菜さんみたいにフレッシュな女優さんを抜擢するのも、たぶん現在の民放局じゃムリでしょう。

ナオキだけじゃありません。彼女(彼)をVR世界で見つけ、一目惚れし、猛アプローチをかけてくる天真爛漫な美少女「ホナミ」を演じる井桁弘恵さんもまた、すでに『仮面ライダーゼロワン』の女性ライダー役など多くの作品で活躍されてはいるけど、私は今まで認識できてませんでした。



『CRISIS』や『警視庁・捜査一課長』など刑事物にもゲスト出演されてるから何となく見覚えはあったけど、その愛らしさを余すことなく発揮した本作で間違いなくブレイクされる事でしょう。



で、当然、VRおじさんにも恋心が芽生えちゃう。


「なんだ、これ?」

そんな直樹の姿を見た時点で私は号泣です。タイトル通り、彼はこれまで恋をしたことがない。他者との深い関わりをずっと避けて来たから当然です。

私自身、もし多くの他者と関わらざるを得ない“自主映画”という趣味を持たなかったら、恋愛でしか味わえないあの至福感も喪失感も知らないまま、たぶん直樹よりずっと若い年齢でこの世を去ってたはず。

だから、恋をしないまま歳を重ねちゃった直樹の絶望も、そしてオジサンになってから(バーチャルとはいえ)自分を「大好き」と言ってくれる人に出逢って“救われた”気持ちも痛いほどよく解る。



ところで、現実世界の直樹が勤める職場ですが、人数が少ないお陰もあるだろうけど、VR世界に逃げ込みたくなるほど居心地悪い場所には見えないんですよね。



隣の席にいる佐々木さん(堀内敬子)はお喋りでお節介焼きだけど、他者のパーソナルエリアに土足で踏み込むようなアホじゃない。



向かいの席にいる若手の加藤さん(瀬戸芭月)は逆に無口で他者を寄せつけないオーラを放ってるけど、それはむしろ直樹にとっては有難いはず。



上からの命令で仕方なく、直樹に希望退職を勧めてくる歳下上司の澤田さん(細田善彦)も根は優しい人っぽいし。

で、なぜかみんな直樹のことを名字じゃなく「直樹さん」って呼ぶ。VR世界でもホナミが彼を「ナオキさん」って呼ぶから、もしかしてこの中にホナミの実体が?って我々に思わせる為のミスリードかも知れないし、あるいは視聴者の「家にいてまで不愉快な人間関係を見たくない」っていう昨今のニーズに応えてるだけかも知れないけど。

ともあれ、人間関係がニガテな人は周りの環境がどうあれやっぱニガテだし、それはVR世界でも同じだったりする。

そんなナオキにホナミが惹かれたのも、決して外見が可愛いからじゃない。お互い誰かのアバターだと分かってるんだから当然です。

古臭い表現かも知れないけど“フィーリングが合った”、あるいは“ビビッと来た”んでしょう。ホナミの実体も孤独な人であることが後に判ります。



会う約束をしてない日も、気がつけばいつもの喫茶店に来てしまうナオキ。


「来ないことを思いだすと、急に独りになったような気がしてくる。もとから独りだってことを忘れそうになる……こんな自分、初めてだ」



VR世界の描写が素晴らしくキラキラしてて、現実世界とのギャップがまた凄まじいw 当然CGも多用してるでしょうが、それよりロケやセット撮影の方が多そうに見えます。

で、ナオキがホナミと過ごす時間が輝けば輝くほど、私は泣けてくる。それは必ずいつか終わるし、そもそも現実じゃないんだから。

案の定、ナオキが生まれて初めて愛を告白しようとした時、ホナミが「もう会えない」と言いだすのでした。

「来週、手術します」

どうやらホナミの実体は病気を患ってるらしい。でも、だからって……



「オレは……オレは……ホナミのことが……好きなんだ……生きて来て、初めて好きになった人なんだ……初恋なんだ! バカバカしいことは分かってる……この世界が架空なことも分かってる……それでも……オレは……ホナミのことが……好きで好きでどうしょうもないんだ!」



「……嬉しいです。せめて、私とナオキが過ごした日々が、ナオキのこれからの人生の糧になればと……願っています」



失恋…… 胸にぽっかり穴が空いたようなあの喪失感は、きっと子孫繁栄のために組み込まれたDNAなんでしょうけど、すぐには立ち直れない点が他の生物とは違う“人間らしさ”なのかも知れません。



ましてや40代半ばまで恋をしたことがない、つまり免疫を持たない人があのツラさに耐えられよう筈がない!

そこで直樹は、VRプレイヤーが絶対やっちゃいけないタブーを犯しちゃう。不正アクセスによりホナミの住所を探り出し、直接会いに行ってしまう。

さて、そこで見たホナミの実体は……!?



70歳前後の男性だった!

(つづく)


現時点(5月5日)で第20話まで放映されており、明日には第21話が放映されるから一気に20話分レビューしたかったけど、タイムオーバーです。

ここ(第11話)までのストーリーさえ知っておけば途中参加でも充分に楽しめると思うので、皆さんにもオススメしておきます。

ポートレートは野間口徹さんではなく、ナオキ役の倉沢杏菜さんとホナミ役の井桁弘恵さんです。

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『怨霊女子学園』

2024-04-27 16:33:07 | TVドラマ全般

1981年に放映された東映&よみうりテレビ制作による単発2時間ドラマで、先日レビューした『夜の恐怖病棟』と同じ「木曜ゴールデンドラマ」の1本。この番組、基本はミステリーでも題材がバラエティー豊かで本当に素晴らしい!



「聖和女子学園」という女子高には2つの奇怪な噂が広まっており、まず1つは園長室に飾られた絵画=幼い双子の姉妹が夜な夜な絵から抜け出し、園内を遊歩するという『トイレの花子さん』的なお話。

そしてもう1つは、美しすぎる美術教師で生徒たちの憧れの的である水村涼子(真行寺君枝)が、実は2人いるんじゃないか?という「ドッペルゲンガー」系のお話。

そんなアホなと思ってたらある日、涼子先生に憧れてる生徒の1人である真弓(水島かおり)が、実際に2人の涼子を同時に見てしまう!



それと時を同じくして用務員の大沢(灰地 順)が変死体となって発見され、生徒の間で「双子のユーレイに殺されたのよ!」「いいえ、犯人はもう1人の涼子先生よ!」「そうよ、生霊よ!」なんて噂が飛び交うのでした。

死んだ大沢は数ヶ月前、美術室の掃除中にキャンバスを倒してしまい、涼子がせっかく描き上げたばかりの絵を台無しにするチョンボを犯していた。

画家志望の涼子にとって作品は我が子みたいなもの。つまり大沢を恨む気持ちがあったのは事実で、その念が生霊となって彼を……?

憧れの的だったはずの涼子が一転、好奇と疑惑の的となって孤立しちゃいます。



そんな涼子に寄り添い、「多感な年頃にありがちな冗談よ」と励ます英語教師の浅倉(五十嵐めぐみ)は、彼女の親友でもあります。



それとは対照的に、涼子の美しさと人気ぶりを以前から妬んでた音楽教師の飛鳥(永島暎子)は「あなたの生霊を見た生徒がいますのよ」と面白半分に彼女を追い詰め、いわゆる「死亡フラグ」を立てまくります。



案の定、飛鳥先生は数日後に学園の屋上から転落死。そればかりか、彼女が涼子らしき女に突き落とされる現場を、浅倉先生が目撃してしまう!



その直前、まったく別の場所にいる涼子と電話で会話したばかりの浅倉先生は、ショックのあまりブラジャーが透けちゃうのでした。

つまり、本当にもう1人の涼子が存在し、連続殺人を犯している!?



これは果たしてオカルトなのかミステリーなのか、よく判んなくなって来たところで登場し、ロス市警のコロンボ警部そっくりな声で辻褄を合わせ、無理やりミステリーに着地させようとするベテラン刑事=本城に、小池朝雄。



そして登場した瞬間から真犯人臭をプンプンさせてる園長の中川先生に、小山明子。



当時「ミステリアスな美女と言えばこの人!」って存在だった真行寺君枝さんをフィーチャーするために組まれたであろうストーリーを、味わい深い実力派キャストたちが支えており、ツッコミどころは満載ながら私はとても楽しめました。

ところが非常に残念なことに、おっぱいが出てきません。今回はおっぱいが出てこないんです。なぜおっぱいが出てこないんでしょうか?

絶対に欠かしちゃいけないシャワーシーンは一応あるけど、肝心のおっぱいが出てこない。おっぱいが出てこないんです。



けど、許します。変態も私ほどのベテランになると、ヌードは無くても女子高生の制服姿、ブルマー姿だけで充分報われる。



学生時代には日常風景だったものが、今となってはパラダイス。別にそれをどうこうしたいワケじゃなく、ただ眺めてるだけで満足。もちろんシャワールームがあるなら覗くに越したこと無いけど、おっぱいが見えないんじゃ仕方ありません。

そしてもう1つ、おっぱいは出なくても充分にエロかったのが、涼子先生を自宅に泊めた浅倉先生が夜這いをかける官能シーン。



というのはウソで、悪夢にうなされた涼子さんを浅倉さんが心配してるシーンだけど、この時に真行寺君枝さんが「あ〜っ、ん〜っ、やめてえ〜っ! いやあ〜っ!!」って悶える芝居がやたら長い。

これもまた、おっぱいの代替サービスとして活用すべく監督さんが「カット」をかけ忘れたフリをして、わざと真行寺さんの演技を止めなかった賜物でしょう。ご丁寧に別アングルから撮ったショットも後の回想シーンで使われてますから。(これもまたムダに長い)

そういう下世話な部分も含めて、昭和時代のテレビ番組はやっぱり面白い。クレームなんかどこ吹く風っていう心意気に溢れてる。創り手たちがすっかり萎縮しちゃった2020年代だからこそ余計に輝いて見える。当時はバカにしながら観てた筈なのに!



ところで結末ですが、浅倉先生の献身と本城刑事の執念により明かされた、真犯人の正体は……(以下、ネタバレ)


もちろん涼子先生の生霊なんかではなく……


実は親友の浅倉先生だった!みたいなヒネリもなくて、


やっぱり園長先生なのでした。かつて学生時代に親友だった涼子の母親に好きな男を奪われた恨みと、その失恋を引きずるあまり結婚を諦め、人生の全てを注いできた聖和女子学園を、たまたま赴任してきた恋敵の娘が「画家になる為の足掛け」程度にしか考えてない(ように見える)のが許せず、殺しの罪を着せて破滅に追い込みたかったというムチャな動機。

つまり涼子の“生霊”の正体は園長先生のコスプレだった! 普通そこまでやるか?って思うけど、普通じゃないことをやるのが“狂人”なんだと納得出来なくもない。

毎回、涼子が着てきたのと同じ服をその日の内に調達するのも至難の技だろうに、園長先生にとってはその苦労こそが生き甲斐だったかも知れない。

私だって自分自身がイヤになるばかりの毎日だけど、こういうアホなレビュー記事を手間暇かけてアップする“普通じゃない”ことがメンタルケアになってる気がするし。

無難に無難に創られた昨今のドラマや映画を取り上げても、アホな記事には仕立てようがない。それ以前に観ても面白くない。

まあ、どんでん返しをしつこく繰り返す昨今のドラマに辟易してるからこそ、第一印象のまんま園長先生が犯人だったりする本作を面白く感じちゃう側面もあるんでしょう。



園長先生が警察に連行される姿を見届け、なんとも言えない虚しさを感じながら帰路につく涼子先生と浅倉先生を、校舎の窓から無表情で見下ろすもう1人の涼子さん!



……ってな締めくくりはサスペンス・ホラーのお約束で、あれはやっぱり涼子の生霊なのか、あるいは非業の死を遂げたらしい涼子の母の幽霊なのか?(“幼い双子姉妹”のユーレイはどこへ消えた?)


セクシーショットは真弓役の水島かおりさん、飛鳥先生役の永島暎子さん、浅倉先生役の五十嵐めぐみさん、そして涼子先生役の真行寺君枝さん。’81年当時のサスペンスドラマや学園ドラマの“顔”を勢揃いさせたようなキャスティングです。

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『夜の恐怖病棟』

2024-03-31 17:18:28 | TVドラマ全般

1982年に日本テレビ系列の2時間スペシャル「木曜ゴールデンドラマ」枠で放映された、オカルト仕立てのサスペンスドラマ。

テレ朝「土曜ワイド劇場」のヒットにより巻き起こった2時間サスペンスのブームを受け、日テレが「火曜サスペンス劇場」よりも1年先にスタートさせたのが、この「木曜ゴールデンドラマ」。

’91年まで続いた割に「土ワイ」や「火サス」と比べてマイナーな印象があるけど、水谷豊、松坂慶子、千葉真一、中村雅俊、丹波哲郎、三國連太郎、大原麗子etc…と錚々たる俳優たちが主演を務めており、少なくとも今回ご紹介する『夜の恐怖病棟』はフィルム作品だし、VTR制作の「火サス」より気合が入ってる感じがします。

『雪国』みたいな文芸作品や青春物、人情物、災害パニック物などジャンルも多岐にわたってるし、それより何より、おっぱいが当たり前のように出てくるのが素晴らし過ぎます。

いつぞや書いた「若き原田美枝子さんがテレビの2時間ドラマで普通におっぱいを見せてた」作品もたぶん、この枠で’82年に放映された『性的犯罪』じゃなかろうかと思います。

そして同じ’82年放映の『夜の恐怖病棟』でおっぱいを見せてくれるのは、’80年に『太陽にほえろ!』#415(ドック登場編)に日立絵里子名義でゲスト出演されてた、中村れい子さん。



そしてもう1人、ナース主任役の飛鳥裕子さんも豪快におっぱいを見せてくれます。



乳首が見えないのは(変態揃いのブログ事務局に)記事を消されないよう私が必死こいて隠してるからで、実際は丸出しです。

近年、テレビ番組でも多様性が認められるようになったのは素晴らしい事だけど、そのクセおっぱいやパンティーが封印されたのは地獄としか言いようありません。我々世代がみんな口癖みたいに「あの頃は良かった」とぼやく理由は、それに尽きます。

いやホント、たまたまテレビをつけたらおっぱいが出てきた!パンチラを目撃した!っていう成功体験は何にも代えがたい。あんな幸せを味わえない今の若い連中が気の毒でなりません。



ほか、松本留美、鈴鹿景子、藤山律子、榊ひろみ、大竹あかね、清嶋智子、斉藤浩子、榊原久美子、島村美妃、平川弘美etc…といった女優陣が脇を固めてます。刑事ドラマや特撮ドラマでお馴染みの方が多い!



内容は、総合病院「菊見坂病院」で新任ナースの水谷陽子(中村れい子)が幽霊などの不気味な幻覚に悩まされるっていう、前述の通りオカルト仕立てなんだけど……



実は失踪した陽子の姉=悦子もこの病院のナースで、院長と愛人関係にあった。前・副院長も悦子と同時に失踪しており、二人は院長に背いて駆け落ちしたんだろうって結論にされたけど、本当にそうなのか? 姉がそんなことする筈がないと信じる陽子は、真相を調べるために此処のナースになったのでした。

陽子が見た幻覚は幽霊というより、恐らく次期院長の座を狙う跡目争いに巻き込まれ、前副院長と共に殺されたであろう姉からのメッセージ。だけどそんな話が信じてもらえる筈もなく、彼女はガイキチ扱いされたりしちゃう。



そんな四面楚歌な状況の中でただひとり味方になってくれるのが、直属の上司にあたるイケメン外科医=近藤正臣さん。



引退が迫る院長役には、梅野泰靖さん。



そして次期院長の座を狙ってますと顔に書いてある内科医に、そんな役を演じる為にだけこの世に生まれた石橋蓮司さん。



もちろん真犯人の正体はセオリー通り。どんなに鈍い視聴者でも中盤には見当がつくだろうに、ヒロインだけが気づかず罠にはまっていく。

それがスリラーってもんでしょうけど、ちょっと彼女がアホすぎて肩入れしづらいし、ご都合主義な展開が目立つ脚本もハイクオリティーとは言い難い。

けど、いいんです。おっぱいさえ見せてくれれば! 我々が見たいのは、おっぱいなんです!



いや、もう少しお尻もちゃんと見せてくれたらパーフェクトだけど、親の目を盗みつつテレビにかじりついてた我々(昭和少年)には充分すぎるほど至福のひととき。



そしてクライマックス、正臣が正体を表してヒロイン絶体絶命!って場面でも、忘れずにおっぱいを見せてくれる中村れい子さんが本当に素晴らしい!



変態事務局に忖度して“見えない瞬間だけ”しかお見せ出来ないのがつくづく無念ですが、昭和世代の口癖がなぜ「あの頃は良かった」なのか、これで“Z世代”とやらにもよく解って頂けたかと思います。

Blu-rayとかネット配信じゃ意味がない。ようやく家庭用ビデオデッキが普及し始めようとしてたあの頃、つまりテレビがまだ「そのとき限りしか観られない」メディアだったからこそ価値がある!

ましてや2時間ドラマなんて当時は再放送の見込みすら無かったですから。それを40年以上も経った今レビューする事になるとは、長生きはしてみるもんですホントに。




そんなワケでセクシーショットは飛鳥裕子さんと中村れい子さん。お二人とも脱ぎっぷりが良すぎて隠すのに苦労しました。


 

コメント (4)
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