ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『特捜最前線』#215 (再)

2021-11-29 18:50:13 | 刑事ドラマ'80年代

さて、'80年代作品に戻りましょう。風吹ジュンさん繋がりで、テレ朝&東映系刑事ドラマの最高峰『特捜最前線』の、1981年に放映されたこのエピソード。

過去記事のリバイバルになりますが、自分でレビューを読み返しても泣いちゃうくらい、実によく出来たストーリーなので、より多くの読者さんに届けるべく画像を大幅に増量し、再掲載させて頂きます。



☆第215話『シャムスンと呼ばれた女!』

(1981.6.17.OA/原案=内館牧子/脚本=橋本 綾/監督=辻 理)

横浜のドヤ街で10kgの覚醒剤が取引されるというタレ込み電話を受け、日雇い労働者を装って潜入捜査する、桜井刑事(藤岡 弘)と紅林刑事(横光克彦)。

冒頭で披露される、藤岡さんのガテン系コスプレがあまりに似合い過ぎてて笑っちゃいますw ほんと、果てしなく肉体派ですよねw



で、場末のスナックで見かけた売春婦=通称シャムスン(風吹ジュン)がシャブ中である事に気づいた桜井は、彼女に接近し、思いっきり漢のフェロモンを撒き散らしますw

そう、桜井はシャムスンをナンパし、自分の女にして覚醒剤組織の正体を掴もうとしてる。かねてから麻薬絡みの事件には異常なほど執念を燃やす桜井は、組織摘発の為なら手段を選ばないのです。

そんな弘に騙されて、これまで誰とも口を聞かず、一切笑顔を見せなかったシャムスンが、徐々に心を開いて行きます。



ところで、なぜ彼女はシャムスンと呼ばれるのか? 書店で外国語の本を物色した桜井は、アラビア語の辞書にその言葉を見つけて、急にニヤニヤし始めます。

「冗談だろ? えらく冗談好きなヤツがいたもんだね、こいつは。ハッハッハ、参ったなあ」

ガテン系コスプレのまま、あの濃い顔で独り言を呟きながらヘラヘラ笑う桜井刑事。さぞ周りのお客さんは不気味だった事でしょうw



やがて、特命課の捜査でシャムスンの過去が判明し、それを知らせに来た紅林刑事は、すっかり男女の仲になった様子の桜井&シャムスンを見て驚愕します。

一匹狼の桜井は例によって、自分の捜査方針を同僚達に一切知らせてなかった。あまりにダーティーな桜井のやり方に、紅林は怒りをぶつけます。

「シャムスンは普通の人間から見ればクズみたいな女だ。しかし彼女だって人間だ! 感情のある生きた人間なんですよ!?」

「紅林!」

「それとも何ですか。あんた、本気であの女に惚れたとでも言うんですか? 平気でカラダを売るような淫売女に!」



次の瞬間、紅林は強烈なライダーパンチを浴びて、約25メートルほど吹っ飛びます。

「あ、すまん」

慌てて謝る桜井に、瀕死の紅林はシャムスンの過去を(自分が息絶える前に)教えようとします。

「いや、それなら分かってるんだ」

「そうですか。そりゃそうですよね、あの様子じゃ」

「他に無いんだったら、俺は……」

「シャムスンは人を殺したことも言いましたか?」

「!?」

桜井の濃い顔が固まります。シャムスンには、2人の男の死に関わったという過去があった。にわかに信じられない桜井は、シャムスンを問い詰めます。



かつてシャムスンと愛し合った2人の男は、いずれも不幸な境遇を背負い、彼女に心中を持ちかけた。シャムスンはそれを受け入れたんだけど、結果的に自分だけが生き残ってしまったという、まるで『嫌われ松子の一生』みたいな波瀾万丈バイオグラフィー。

「みんな、私がやったんだろうって。だから私、頷いた」

「頷いた? なぜ本当のことを言わなかったんだ?」

「どうでも良かったんだもん……捨て子で、施設で育てられて、15になったとたん世の中に放り出されて、助けてくれる人なんか誰もいなかった。頷くか、心を閉ざすしか、生きていけなかった」

自分と愛し合った男は、みんな不幸になる。シャムスンがそう思い込むのも無理ありません。

「だから、私が殺したんだよね」

「いや、殺したんじゃない。シャムスンは助けてあげたんだ。その2人の男をな」

「助けた?」

「ああ。俺がその男達だったら、きっとそう思うだろう」

最期の時間を、一緒に過ごしてくれるパートナーがいる。絶望の淵にいる人間にとってそれは、確かに唯一の救いだったかも知れません。

「ねえ……あんたも私のこと怒ってないよね? 私たち終わりじゃないよね?」

「……これからが始まりだよ、俺たちは。そうだろ?」

「本当? 本当にそう思っていいの? 本当にこれから始まるって思っていいのね?」



桜井は、本気でシャムスンを愛してしまったのか? それともやっぱり、覚醒剤組織を摘発する為に利用してるだけなのか? 顔があまりに濃すぎて、我々視聴者には彼の真意が読み取れません。

だけどシャムスンは、桜井を信じた。信じたからこそ「しばらく帰りません」という書き置きを残し、彼女は姿を消してしまう。

桜井は焦りますが、特命課がすぐにシャムスンの居場所を探し当てます。彼女は、ドヤ街にある小さな病院にいたのでした。



「シャブと縁を切ろうとしてるんです。これからが始まりだと言ってくれた男のために」

昔から知ってる町医者(織本順吉)に、シャムスンはクスリ抜きを志願し、隔離病室に籠もってた。

「生きたいと言ってるんですよ、シャムスンは。これからが始まり……シャムスンにとって、それ以上重い言葉はない」

これまで2度も人生を捨てかけたシャムスンが、桜井と一緒に過ごす未来の為に、大きく自分を変えようとしてる。桜井は、もう既に彼女の人生を背負ってしまった。

……ところが!



「桜井さん、あんた正気なんですか!?」

なんと桜井はシャムスンを退院させ、あえて泳がせるという手段に出た。つまり覚醒剤組織を摘発する為に、彼女をオトリに使おうとしてる。再び紅林が噛みつきます。

「シャムスンはね、あんたの為にシャブと縁を切ろうとして病院に入ったんですよ? それをまた引きずり出そうって言うんですか!?」

「お前さん達がどう思おうと構わん。俺は俺のやり方でやる!」

シャムスンは、桜井が外国に旅立つという情報を与えられ、病室を飛び出します。

「私、待っててもいい? あんたが帰って来るまで……私、あんたが帰って来る日までにちゃんとした女になってる! だから……」

そんなシャムスンに、桜井は優しい笑顔を見せ、甘い言葉を囁きます。

「待つ必要なんか無いよ。一緒に行こう。な? いつか言っただろ? 本当にシャムスンのある所へ……そこへ一緒に行こうって」

「一緒に?」

「そうだ。一緒だ」

シャムスンがすっかりメロメロになったところで、桜井は覚醒剤の包みを取り出し、こう言います。これを売って外国行きの資金を作るから、買い手を紹介してくれと……



かくして組織との接触に成功する桜井ですが、残念ながら……いや、天罰が下ったと言うべきか、正体がバレてしまいます。

「シャムスン、お前はハメられたんだ」

「ハメられた?」

「利用されたんだ、このデカに!」



組織の連中から真実を聞かされ、シャムスンはしばしボーゼン、そして自嘲の笑みを浮かべ、囚われた桜井を冷たく見下ろします。

鬼! 悪魔! 畜生! 濃い顔! せっかく芽生えた未来への希望を、この濃い顔の男に全て奪われたのです。

「私にこの人ちょうだい……今度こそ本当にあの世に行く。この人と一緒に……」

2人で心中してくれりゃ好都合って事で、連中はシャムスンにナイフを手渡します。

「あんたのせいよ……あんたがいけないのよ」



ためらう事なくシャムスンは、桜井の腹にナイフを突き刺します。一切抵抗せず、黙って潔く刺される桜井。縛られて抵抗出来ないし、猿ぐつわされて声が出せないだけかも知れないけどw

……と、その時! 桜井の持ち物から、組織の連中がある物を発見します。それは、赤い表紙の小冊子2冊。

「パスポートだ。ヤツとシャムスンの」

「!?」

シャムスンは理解します。やっぱり桜井は、本当にシャムスンと一緒に旅立つつもりだった! 刑事の職を捨てる覚悟で……

「知らせてあげる。あんたの仲間に」

シャムスンの言葉を聞いて、初めて桜井が、首を激しく横に振ります。

桜井の仲間、つまり特命課の刑事たちがアジト(ビル)の外まで来てるのに、部屋が特定出来ず踏み込めないでいる。4階にあるこの場所を知らせるには……



桜井は涙を流しながら止めようとしますが、どうする事も出来ません。

「本当に連れてってくれるつもりだったんだね、私の国に……私、それだけでいい。後のこと全部ウソでも……それだけでいいんだよ」

そしてシャムスンは、窓ガラスを突き破って……



外で待機してた紅林と神代課長(二谷英明)が、落下して来る女の姿を目撃します。

「シャムスンだ!」

「4階! 4階の西側だっ!」

かくして、覚醒剤組織は特命課によって制圧され、桜井は無事救出されます。もちろん、ナイフで刺された位でライダーは死にません。



シャムスンの面倒を見てたスナックのママ(横山リエ)は、桜井を人殺し呼ばわりして非難しますが、例の町医者がボソッと呟きます。

「知っていたのかも知れんな、シャムスンは」

そして、桜井にだけ告げていた、ある事実を告白するのでした。

「シャムスンはとっくに死んでた。いや、死んでもおかしくない体だったんだよ」

だけどシャムスンは、桜井を愛することで持ち直した。桜井は、危険を冒してでも事件を早く片付けて、彼女を少しでも長く生きさせようとしたワケです。本当に刑事を辞めて、残りの時間を一緒に過ごすつもりだった。

それが、桜井という男なんですね。藤岡弘さんが演じなければ成立しないキャラクターです。



「帰って行くようだな……生まれた所へまっすぐ帰って行くようだ」

シャムスンの葬儀に参列した神代課長が、焼却炉から空に向かっていく煙を見上げて、傍らにいる紅林に言いました。

「シャムスンだよ」

その煙が向かう先に見えるのは……

「太陽?」

「シャムスンというのは、太陽という意味だ」

「そうですか……太陽なんですか」



シャムスンは、桜井に殺されたんじゃない。きっと彼女は、助けてもらったと思ってる筈です。あの、濃い顔の男に……

このエピソードを経て、荒くれ暴走刑事だった桜井が、徐々にマトモな刑事へと進化して行きます。桜井自身もまた、シャムスンに救われたのかも知れません。


 

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『はみだし刑事情熱系』1ー#13

2021-11-28 00:33:16 | 刑事ドラマ'90年代


「あなたが私の父親なの?」

いきなり広域特別捜査隊を訪ねて来た、中学生の美少女にそう問われて、大いにうろたえる我らが主人公=高見兵吾(柴田恭兵)!

もちろん、上司であり元妻でもある根岸玲子(風吹ジュン)とチョメチョメしてデキた、やはり中学生の娘=みゆき(前田 愛)とは全くの別人です。

「……ああ、そうなんだ」

なっ、なにぃーっ!? ただでさえ、自分が父親であることを未だみゆきに言えないでいるのに、同じ年頃の隠し子がもう1人いただとーっ!? 高見兵吾おーっ!?



☆第13話『殺人鬼!母の秘密』(1997.1.22.OA/脚本=今井詔ニ/演出=阿部雄一)

その陽子(大村彩子)という少女を連れて来た母親の比呂子(沖直未)に、兵吾は申し訳なさそうに言います。

「陽子ちゃん、恨んでるだろうな。父親らしいこと、何もして来なかったから……」

なにぃーっ!? やっぱり、玲子と毎晩チョメチョメして子作りに励むかたわら、比呂子とも同時期にチョメチョメして子作りしたのか高見兵吾おーっ!?



しかも比呂子は、11年前にモロ師岡(もろ・もろおか、と読みます)が実の兄と2人で起こした強盗殺人事件に巻き込まれた被害者だった!

その時、モロ師岡と兄師岡は河口湖のペンションへ逃げ込み、立て籠もって泊り客たちに乱暴狼藉を働いたんだけど、そのペンションのオーナーが合法所持してた猟銃で兄師岡をぶっ殺し、泊り客たちが一致団結してモロ師岡をとっ捕まえ、警察に突き出した。比呂子は、その時そこにいた泊り客の1人なのでした。



で、昨夜、野上さんという主婦が「出た! モロ師岡が出たわ! 気をつけて!」という電話を比呂子に掛けて来たのを最後に、消息を絶ってしまった。

そう、野上さんもあの時ペンションにいた泊り客の1人。もしかしたらモロ師岡がどういうワケか刑務所から野に放たれ、復讐に現れたのかも知れず、不安になった比呂子は当時その事件を担当した兵吾を訪ねて来たのでした。

そして案の定、野上さんが他殺死体となって発見され、件のペンションも放火されてオーナー夫婦が焼死しちゃいます。なんてヤツだモロ師岡! きっとモロ師岡は比呂子の命も狙って来るに違いない! だってモロ師岡だから!



しかし我らが主人公=高見兵吾も、モロ師岡に負けず劣らずのチョメチョメ野郎。広域捜査隊きってのイケメンでフェミニストでクールガイの西崎(風間トオル)が、クールに言い放ちます。

「あなた、最低ですね。事件の関係者とそういう事になるなんて……」

そういう事とはつまり、チョメチョメしたという事です。なにせ子供が生まれてますから間違いなくチョメチョメしてる。刑事が事件関係者とチョメチョメ。こっそりチョメチョメ。激しくチョメチョメ。



元妻で上司の玲子は、眼も合わさず兵吾に言い放ちます。

「あなたが何をしようと他人だから関係ないけど。この事件が終わったら、ちゃんと責任取りなさいよ」

そして当然、誰よりも兵吾を許せないのは、10年以上も放ったらかしにされて来た陽子です。



「なんで急に現れて……なんでお母さんがあなたなんか頼るのよ!」

ただでさえ母子家庭で偏見の眼で見られ、陽子は学校でも肩身の狭い思いをしてるのでした。ほんと最低だな高見兵吾おーっ!!

だけどただ1人、ベテランの杉さんこと杉浦刑事(平泉 成)だけは兵吾を擁護します。

「俺は高見を信じてるよ。高見はそんな事するヤツじゃない。本当にそんな子供がいたら、みゆきちゃんの顔をマトモに見られない筈だ」

そんな杉さんを演じる平泉成さんも、ついこないだまでは今回のモロさんみたいな凶悪犯ばかり演じておられました。

本来、杉さん役は井川比佐志さんだったけど撮影中の負傷により降板を余儀なくされ、急きょ当時ヒマしてた平泉さんが代役で呼ばれたんだそうです。それが一世一代の当たり役となり、現在も第一線でご活躍なのは皆さんご存じの通り。人生、どこでどうなるか分かりません。



「誰?」

「あなたこそ誰よ」

そう、人生どこでどうなるか分からない。とにかくモロ師岡の魔の手から護るべく陽子にくっついてた兵吾は、今いちばん会いたくない最愛の娘=みゆきとバッタリ出くわしちゃうのでした。

「わたしは兵吾くんの親友よ」

「わたしは……娘よ」

「ええっ?」

兵吾も慌てて言います。

「そ、そうなんだ。久しぶりに会って……」

みゆきは兵吾が自分の父親だとは知らず、本気で親友だと思ってるから、彼に自分と同じ年頃の娘がいるのを知らされてなかった事が、少なからずショックな様子です。

「そうなんだ……お邪魔してごめんなさい。さよなら」

「えっ? おいちょ待てよ、みゆきちゃん!」

取り乱す兵吾に、陽子が追い討ちをかけます。

「中学生なんかカノジョにしてたんだ。サイテー!」

「えっ? おいちょ待てよ、陽子ちゃん!」

ホント一体なにやってんだ、高見兵吾おーっ!?



で、あえなく陽子がモロ師岡に拉致されてしまい、兵吾はますます取り乱します。やっぱ本当に比呂子とチョメチョメして作った娘だったのか、高見兵吾おーっ!?

だけどモロ師岡の目的は復讐であり、真の狙いは比呂子ですから、人質の陽子をすぐに殺すことは有り得ません。玲子の指揮により広域捜査隊は危険なオトリ作戦に踏み切り、モロ師岡に呼び出された比呂子を徹底マークすることにより、ついにその居場所を突き止めます。



もちろん、モロ師岡ですから復讐を果たすまでは決して諦めません。まだ幼い女の子にナイフを突きつけ、あくまで悪あがきを続けるド外道な男、その名はモロ師岡!



「子供しか相手に出来ねえのか? そういう汚えとこは兄貴そっくりだな!」

「なんだとぉーっ!?」

いよいよナイフを振り上げるモロ師岡を見て、耐えきれなくなった比呂子が、ここで遂に真実を明かします。

「やめてーっ! その子は、あなたの子供なのよ!」

「!?」



思わぬカミングアウトに陽子もモロ師岡も息を呑み、兵吾は今回で一番うろたえます。そう、兵吾は、陽子にこの事実を知られない為に、これまで自分が父親だと言い張って来たのでした。

「な、なに言ってんだ! やめろ!」

しかし、愛する娘の命には替えられず、比呂子はあの11年前のペンションでモロ師岡にレイプされ、そして陽子が生まれた事実をぶちまけます。

「お願い、信じて! その子は、あなたと私の間に出来た子供です!」

「俺の子? ひゃっはっはっ、こいつはいいや! じゃあ、ペンションでお前をやっちまった時の、あの1回でか!?」

てめえーっ、モロ師岡あーっ!!

もちろん、広域捜査隊の見事な連携プレーによりモロ師岡は逮捕され、陽子も無事に救出されるんだけど、たったいま知ってしまった事実はあまりに重い十字架です。

「今のは、嘘だからな? あいつを油断させる為に、お母さんは嘘を言ったんだ!」

兵吾の必死のフォローも空しく、陽子はガラスの破片を自分の喉元に押し当てます。



「来ないで! 来たら、死ぬわよ!」

「なに言ってるんだ、やめなさい!」

「汚いわ! 大人なんて汚い! 嘘ばっかりついて! 私なんか生まれて来なきゃ良かったのよ! なんで産んだのよ!」

「バカなこと言うな! 生まれて来なければ良かった命なんて1つも無いんだ!」

「でも私は!」

「オレは、キミがお腹にいると判った時、お母さんに手術を勧めた」

「そうよ! 産まなきゃ良かったのよ!」

「お母さん、その時オレに何て言ったと思う? キミのことを好きになったって。誰が父親かは関係ない、お腹のこの子が愛おしい、この子を愛してしまったって、そう言ったんだ!」

「…………」

「オレは忘れない。あの時のお母さんの笑顔を。お母さん、とってもいい顔して、サイコーの顔して言ったんだ。この子とずっと一緒に生きて行きたいって!」

「そんなの……そんな話……」

「ホントのこと言うと、その頃お母さん色々あって、死のうと思ってた。自殺しようと思ってたんだ。でも、キミがお腹にいると判った時、生きて行こうって決心したんだ。キミがいるから生きて行けるって!」

「…………」

「だからキミのことを、お母さん自分の太陽だと思って、太陽の子、陽子って名付けたんだ」

「…………」

「刑事やってると、イヤな事がいっぱいある。イヤな事件もいっぱい見る。でもそんな時オレ、いつもお母さんの顔を思い出すんだ。キミを産みたいと言った、あの時の、お母さんの笑顔を……」

「…………」

「その度に……その度にオレは、人間が好きになる。捨てたもんじゃないぞって、オレは力が湧いて来る。キミのお母さんは、お母さんはそういう人なんだ!」

「……ねえ、教えて。お母さん、私を産んでから一度も後悔したこと無かった? 教えて」

「無いわ。あなたを産んで、この10年間生きて来て、一度も、一度も後悔したこと無い。陽子と一緒に生きてることが、お母さんすごく嬉しかった。お願い、陽子……お母さんの幸せ、奪わないで」

「お母さん……」



陽子が比呂子の胸で泣きじゃくり、なんとか最悪の事態は免れました。背負った十字架はあまりに重いけど、これだけお母さんに愛されてるなら、きっと大丈夫でしょう。

今回ずっと曇ってた玲子の表情も、やっと明るくなりました。

「ホントはアレだろ? 少しは心配したんだろ? あの子がオレの子じゃないかって」

「はあ? なんで私が他人のあなたの心配をしなきゃならないの?」

「いや、他人ってさ。そういう言い方はさ」

「他人は他人でしょ? 言っときますけどね、みゆきとあなたも他人なんですから。そのこと、お忘れなく」

「…………他人か」

とは言いつつ、事件に巻き込まれた被害者の為にここまで親身になる、高見兵吾という男をきっと玲子は見直したに違いありません。



いや〜、しかし。実にハードなストーリーです。陽子のこれからの人生を想うと一件落着とはとても言えません。ただ1つだけ不幸中の幸いだったのは、陽子のルックスが実の父親に全く似ずに済んだ事ですw

今のご時世、人の顔や名前を笑いのネタにするのは御法度かも知れないけど、コメディアン出身のモロさんならきっと笑って許して下さる事でしょう。えっ? それも職業差別に当たるって? なんちゅー窮屈な世の中! そりゃあテレビ番組がどんどんつまんなくなるワケです。

しかしモロさん、お若いですよね。そして比呂子役の沖直未さん、前回レビューの『はぐれ刑事純情派』ご出演時は硬かった演技が、約6年を経てずっと自然になられてます。やっぱり、どんな職業でも場数は踏むもんですよね。

陽子役の大村彩子さんは当時12歳か13歳。あの頃ジュニアアイドルがちょっとしたブームで、みゆき役の前田愛さんと、以前レビューした第2話ゲストの浜丘麻矢さん、そして野村佑香さんと4人で「チャイドル四天王」と呼ばれ『Pretty Chat』というユニットを結成、CDデビューも果たされてます。

刑事ドラマは他に『はぐれ刑事純情派』第14シリーズをはじめ『おみやさん』『帰ってきた時効警察』『警視庁捜査一課9係』『臨場』『その男、副署長』『LADY/最後の犯罪プロファイル』『相棒』『刑事7人』『科捜研の女』『警視庁・捜査一課長』等々、テレ朝系の番組を中心に多数ゲスト出演、現在に至るまで第一線で活躍されてます。


 

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『はぐれ刑事純情派』4ー#24

2021-11-23 00:00:12 | 刑事ドラマ'90年代

しばらくハードというか濃厚な記事が続きましたので、お口直しにマイルドな刑事物レビューをお届けしたいと思います。

こないだBS朝日でやってた藤田まことさんの人気シリーズ『はぐれ刑事純情派』のシーズン4、第24話です。番組のキャッチコピーは「拳銃無用」w そんなバカな!?

本放映は1991年の9月11日、篠崎好 脚本&村川透 監督による作品で、サブタイトルは『女検事の恋・ラブホテルで殺された少年』。まだフィルムで撮影されてた頃のやっさんです。



新宿のラブホテルで未成年男子の遺体が発見されます。どうやら大量の覚醒剤を打ったことによるショック死と見られ、やっさんこと安浦刑事(藤田まこと)ら山手中央署の面々が捜査に乗り出します。

で、その少年の遺留品から、やっさんと顔見知りである東京地方検察庁・特捜部の女性検事=相沢真紀(沖 直未)の名刺が発見されます。

殺された少年は東都銀行の副頭取である竹本(福田豊土)の息子であり、真紀は東都銀行と暴力団「村瀬連合会」が絡む脱税事件を捜査中だった。

どうやら竹本少年はその秘密を知ってしまい、父親に不正をやめさせたい一心で真紀に事実を告発しようとし、口封じの為に殺されたらしい。



そんなワケでやっさん達は、剛腕検事の真紀と一緒に捜査を進めるんだけど、合理的に手っ取り早く結論を出したい真紀は、地道に歩いて小さな手掛かりをコツコツ集めるやっさん式捜査をバカにし、コンビを組んだ「女安浦」こと晴子(岡本 麗)をカンカンに怒らせます。なにせこのドラマの女性レギュラーは全員もれなく、やっさんのことが大好きなんですw

そこでやっさんは、真紀のヒミツをこっそり晴子に教えます。それは3年前、真紀の婚約者だった捜査4課の刑事がヤク中のチンピラに刺されて殉職したという、哀しすぎる過去。

そのお陰で違法薬物に対する憎しみが人一倍強い真紀にとって、ヘロインを使った今回の事件は亡き婚約者の弔い合戦みたいなもの。だから早く結果を出したかったんでしょう。

「まあ、人間には色々あるからさ。晴ちゃんもそうカッカするなよ」

同じ独身のワーキングウーマンとして、晴子も真紀に一目置くようになるのでした。



さて、やっさん式の地道な捜査により、事件当日ラブホテルで竹本少年と一緒にいたのは、ゲイバーで働くニューハーフのサユリ(矢木沢まり)であったことが判明。

で、そのサユリが、竹本少年をホテルに誘ったのは三上(本郷直樹)というクラブオーナーの指示だったと証言するもんだから真紀が驚いた! その三上という色男は、今まさに真紀とチョメチョメ真っ最中のお相手なのでした。

しかも三上は、恐らく少年殺しを画策したであろう村瀬連合会の中堅幹部だった!



「そんな、あの人が? 嘘です、確かめて来ます!」と息巻く真紀に、実はこう見えてハードボイルドなやっさんがクールに言い放ちます。

「そんな男が本当のことを話すと思いますか? あなたも検事なら分かる筈だ。いま妙な動きをしたら相手に警戒されるだけです」

「私は別に、捜査の邪魔をするつもりは……ただ、彼に……」

「あなたの個人的な付き合いよりもですね、誰が竹本少年を殺したのか、我々は真犯人を突き止めるしか無いんです!」



しかし連合会の村瀬会長(高城淳一)が自ら動き出し、現時点で唯一の証人だったサユリが証言を覆します。これでは手も足も出せません。

「こうなれば残る手は1つしか無いな、やっさん」

ヤクザにしか見えない署長の横溝(梅宮辰夫)が顔をドス黒くしながら言うもんだから、てっきり村瀬会長を引っ張って来てぶん殴り、「拳銃無用」のポリシーを破ってロシアンルーレットでも仕掛けるのかと思いきや、そこはさすが「純情派」のやっさん。繰り出した最後のカードは、被害者の父親で脱税の張本人でもある竹本副頭取を、真紀と一緒に説得するという、バキューン!ドッカーン!で一件落着を推奨する本ブログの方針とは相反するものでしたw

「このままでは、あなたが手を下さなくても、将来あるお子さんを、父親のあなたが殺したも同然という事になるんだ!」

やっさんにそう言われ、真実を証言することを一時は約束した竹本副頭取だけど、村瀬会長から「可愛い娘さんがいるんだねえ、うひひひひ」というお褒めの電話を賜わって、あえなく自宅の風呂場で自殺しちゃうのでした。

「財界、政界、そのうえ暴力団まで加わっての、大きな壁か!」

ヤクザにしか見えない横溝署長すら泣きごとを言う事態となり、いよいよ真紀も顔をドス黒く曇らせるんだけど、やっさんだけは諦めません。

「検事さん。あなたの仕事は終わったかも知れんが、我々刑事の仕事は終わっちゃいない。竹本少年を殺した真犯人を捕まえるまで、私はやりますよ」



こうなったら怒り心頭、今度こそポリシーを捨ててバキューン!ドッカーン!な必殺仕事人が見られるかと思いきや、やっさんが繰り出したのはやはり、ニューハーフのサユリを真摯に説得するという「純情派」の正攻法なのでした。



かくして、サユリが三上の指示で少年に覚醒剤を与えた事実を認め、真紀の見てる前で三上は殺人教唆容疑で逮捕されるのでした。

「1つだけ教えて下さい。あなたは私が検事だと知っていて……脱税事件を追ってるのを知っていて、私に近づいて来たんですか。恋人のフリをなさったんですか」

「もし、そうだとしたら?」

半笑いでうそぶく三上に、真紀の敏腕検事ビンタが炸裂します。



それでも一緒にいた村瀬会長に「我々には優秀な弁護士がついてる。ほんの少しの辛抱だ」と言われ、余裕の態度を崩さない三上に、ハードボイルド刑事やっさんがキメてくれます。

「三上、いい気になるなよ。村瀬さん、あんたもだ。証拠を揃えて必ず検挙してみせる。あんたも銀行も政治家も、いつまでも甘い汁を吸えると思うなよ」

実際、証拠を潰しても潰してもなお食らいついて来る、スッポンみたいなやっさん式捜査で、彼らはここまで追い詰められたワケです。そう言えば顔もスッポンに似てます。

「あんた達が裏取引で、脱税だ融資だといいようにした金は、ごく普通の一般庶民がマジメに働いてこつこつ貯めた金なんだ。あんた達が手にした泡のような、汚い金とは違うんだ!」

かくして一件落着! 拳銃を使えばもっと落着だったろうけどw、もはやそんな時代じゃないワケです。



「安浦さんのお陰で、ニセモノの恋、つかまえずに済みました。私も、諦めずに事件を追ってみます。安浦さんのように」

純情派のスッポン刑事やっさんに心酔し、やっぱ大好きになっちゃった真紀は、晴子ともすっかり仲良くなり、爽やかに次の現場へと歩みだします。

「安浦さんのどこに、若い美女を立ち直らせる秘密のもとがあるのかしら?」

まったくの部外者なのに、事件の内容を何から何まで知り尽くしてる高級バー「さくら」のママ=由美(眞野あずさ)に冷やかされて、やっさんはいつもの困り顔。捜査機密を気軽に漏らすからそんなハメになるw

「いや、そりゃ……つまり何て言うのかな……」

「………?」

「…………」

「…………」

「…………」

言わへんのかいっ!?と視聴者全員がツッコんだところでジ・エンドw みんなやっさんのことが大好きだから、誰も文句は言いません。



バキューン!ドッカーン!がいっさい無くても、やっさんは観てられるんですよね。それはキャラクターの魅力、役者さんの魅力に尽きるかと思います。

それと、以前の記事にも書いたように、みんなが主人公を愛してる世界観の居心地良さ。特に女性陣のツンデレぶりがたまりませんw それを不自然に感じさせない藤田まことさんの人間力。当たり前だけど誰が演じても同じにはならないワケです。

特に、悪口と文句ばかり言いながら誰よりやっさんを愛してる、血の繋がりがない2人の娘たち(松岡由美&小川範子)の存在が、我々オヤジ世代にはたまりませんw 少年マンガかよ!?ってくらいのハーレム設定です。

今回、彼女たちは本筋に絡んでないけど、松岡由美さんがちょっとしたセクシーショットを見せてくれました。小川範子さんもどんどんお綺麗になられて、まさにハーレム!



そして今回のメインゲスト、敏腕検事の真紀に扮した沖直未さん(当時のクレジットは沖直美)は、当時32歳。沖縄出身で’81年から近年までずっと活躍されてる女優さん。

サスペンス系ドラマへのご出演が多く、刑事ドラマは翌年『はぐれ刑事純情派』第5シリーズに再登場されたほか、『さすらい刑事旅情編』第5シリーズ、『はみだし刑事情熱系』第1、第3、第6シリーズ、そして『おみやさん』第6シリーズ等、テレ朝&東映系の作品に度々ゲスト出演されてます。


 

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「ニューナンブとサクラとブルドッグ」

2021-11-22 00:00:08 | コレクション

日本の警察拳銃と言えば、やっぱりこれ。ニューナンブM60! 詳細は明かされてないけど、デザインと構造から見てS&W M36チーフスペシャルを参考にして造られたことは間違いなく、トイガンもチーフをベースに造られてます。

ただし「ニューナンブ」を商品名にすることはどうやらタブーらしく、マルシン社から15年ぐらい前に発売されたこのニューナンブそっくりなエアーソフトガンは「ポリスリボルバー」という名称で、現在もヘビーウェイトやシルバーモデル等のバリエーションを増やしながら売られ続けてる人気商品です。



私が持ってるのは最初に出たABS製ノーマルブラックのポリスリボルバー2インチモデル。それ以前にもチーフスペシャルをニューナンブ風にカスタムしたモデルガンは売られてたけど高価格で手が出せず、リーズナブルな値段で売り出されたコレには即、飛びつきました。

チーフとニューナンブの違いは色々あって、バレルやグリップの違いは従来のカスタムモデルも上手く再現してたんだけど、フルートと呼ばれるシリンダー側面の溝の太さ(ニューナンブの方がかなり太い)だけはシリンダーごと造り直さなきゃ無理なのか再現されておらず、マルシンのポリスリボルバーはそれをちゃんとリアルに再現した(私の知るかぎり)唯一のトイガン。なのに決してこれは「ニューナンブ」じゃない!と言い張ってるワケですw



↑こちらはマルシンのポリスリボルバーとほぼ同時期に、ハートフォード社が旧CMC製チーフスペシャルの金型を引き継ぎ、それをベースにニューナンブ風にカスタマイズしたモデルガン「J.Police.38S」の2インチ・ブルーブラックモデル。この商品にABSモデルは存在せず、最初からヘビーウェイト仕様でした。

これは従来通りのチーフ・カスタムだから、シリンダーのフルートは細いまま。だけどやっぱり、生粋のモデルガンマニアとしてはエアガンのポリスリボルバーより、このJ.Police.38Sの方を支持しちゃいます。(まどろっこしい! 両方ニューナンブでええやん!w)



↑同じくハートフォード製ヘビーウェイト・モデルガン「J.Police.38S」の3インチモデル。発売は2インチよりこっちの方が先でした。制服巡査が装備してたのは、だいたいこの3インチモデルかと思います。

3インチになるとチーフというよりミリポリ(S&W M10)の縮小版みたいなスタイルで、2インチとはまた違った魅力があります。バランスは断然こっちの方が良いですよね。

一風変わった形状のグリップは、最初から日本人の手のサイズに合わせて設計されたものだから、とても握りやすいです。



↑さて、いま現在のところ警察拳銃モデルガンの決定版と言えそうなのがコレ。タナカ・ワークス社がほんの数年前にリリースした、S&W M360J「SAKURA」ヘビーウェイトモデルです。

SAKURAはチーフスペシャルの後継機であるS&W M360PDの日本警察特別仕様バージョン。紛れもない現在の警察拳銃そのもので、刑事ドラマで使われるプロップガンも今はこれが主流になってます。最近だと『ハコヅメ/たたかう!交番女子』で戸田恵梨香さんが構える姿がとても印象に残ってます。



ベースは前回ご紹介したタナカ製チーフスペシャルですから、トイガンとしてのクオリティーにも非の打ち所がありません。このSAKURAはグリップまでヘビーウェイト仕様で、小ぶりながら金属モデル並みにずっしり来ます。

ちなみにニューナンブとSAKURAの間にはS&W M37エアウェイトという、やはりチーフの後継機がJポリス仕様で制式採用されており、それもタナカ・ワークス社によりトイガン化されてます。



↑こうなったらオートマチック拳銃も行っときましょう! 戦前はコルトやブローニングの中型オートも日本警察でよく使われてたそうだけど、戦後はリボルバー中心。そんな中、ジェームズ・ボンドの愛用銃として有名なドイツ・ワルサー社の傑作オート=ワルサーPPKが、SPことセキュリティポリス用に輸入されてた時期もあるそうです。

で、その流れを受けて'90年代、やはりドイツのSIG SAUER社のピストルも警察用に輸入され、中型オートのP230が主に私服刑事用として使われてます。

画像上のワルサーPPKはマルシン社からリリースされたモデルガン。下のSIG P230JPはKSC社からリリースされたモデルガンで、いずれもヘビーウェイトのダミーカート仕様。私は鑑賞派で、撃って遊ぶことはまず無いから発火機能は要らないワケです。



↑オートマチック拳銃は、排莢口が見える右サイドがやたらカッコいい! 特にワルサーの銃は細かい文字がいっぱい刻印されてるのが、妙にスタイリッシュで見惚れちゃいます。

PPKは日本のテレビドラマじゃ主に女性刑事の護身用として使われてました。だからなのか、発砲される機会はほとんど無かったように記憶します。



↑SIG P230JPは近年のアクションドラマに欠かせない存在で、岡田准一くんの『SP』シリーズや天海祐希さんの『BOSS』シリーズ等で主人公たちが使ってたのが印象に残ってます。

だから買ったワケだけど、正直、買う前から「これにはあんまり愛着湧かないだろうな」っていう予感があったし、実際その通りでしたw 元よりリボルバー派だし、近代のピストルになればなるほど味が薄くなってる気がしちゃう。

モデルガンとしては先のワルサーPPKより遥かにハイクオリティーなんだけど、その点でも味気ない感じがするんですよね。だからシリンダーがちゃんと回り切らないリバティチーフの方が可愛く見えちゃうw つくづく、根っからの昭和人間です。



↑さて、これはたぶん日本警察で使われたことは無いだろうから番外編になっちゃうけど、チーフスペシャル3インチ用のホルスターにぴったり収まるサイズだし、日本じゃマイナーな機種なのに採算を度外視してモデルガン化してくれた!っていう意味じゃリバティチーフと同じカテゴリーに入ると思うので、この機会にご紹介しておきます。

44スペシャルというごっつい弾丸を5発装填する、本国アメリカじゃけっこう人気のリボルバー=チャーターアームズ「ブルドッグ」を、MULE社が10年近く前にCAW/SPEC社との共同開発で商品化したヘビーウェイトのモデルガン。

予約者には5種類ある木製グリップから好きなのを選ぶ権利が与えられ、私はニューナンブと似た感覚で握れそうな丸っこいのをチョイスしました。実際、こうして見るとニューナンブをもっと武骨にしたようなデザインですよね。

S&WでもCOLTでもないメーカーのリボルバーは滅多にトイガン化されないから、これも貴重なコレクション。頑丈さが売りらしい実銃のブルドッグと同じく、10年経った今でも快調に作動してくれる頼もしいモデルガンです。



如何でしたか? マジンガーコレクションから続けてマニアックな代物ばかり見せられて、喜んでくれてる人とドン引きしてる人にハッキリ分かれてるんじゃないでしょうかw

しかし、この程度で引くようじゃ本ブログの読者は務まりませんから、ちょうど良いリトマス試験紙、あるいは踏み絵になったかも知れません。

ここまで読んで下さった方はきっと長いお付き合いになることでしょうw 今後とも引き続きよろしくお願い致します!

ちなみに、こんなムックも出てます。今回の記事を書くにあたって大いに参考になりました。表紙の銃はホンモノのS&W M360J「SAKURA」です。



 

コメント (6)
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「チーフとディテクティブ」

2021-11-21 01:05:16 | コレクション

さて、もしかしたら日本警察の制式拳銃になってたかも知れない、リバティチーフのモデルガン発売にちなんで、我が家にある警察拳銃系のトイガンコレクションをご紹介させて頂きます。

一口に警察拳銃と言っても様々あって、ニューナンブM60が制式モデルになる前は、コルトとS&W (スミス&ウェッソン) が競作したリボルバーM1917や45オート等、軍用のでっかいピストルをぶら下げたお巡りさんも沢山おられたようです。

が、ここではスナブノーズ(銃身の短いリボルバー)を中心にしたあくまで護身用のピストル、携帯性に優れたピストルを警察拳銃と定義づけます。

まずは前回もチラッと登場した、オールドタイプのCOLTディテクティブスペシャル。’60〜’70年代のアメリカ映画で頻繁に登場してた非常にポピュラーな護身用リボルバーで、ニューナンブ登場前はチーフスペシャルと共に輸入され、警察拳銃にも使われてたそうです。

上の画像はタナカ・ワークス社が最初にリリースしたエアーソフトガンのディテクティブ、そしてそれをベースに製作されたモデルガンのヘビーウェイト・バージョンが、これ。




スナブノーズ(獅子の鼻)っていう呼称がこれほど似合うリボルバーは無く(もしかしてコレが語源?)、私もメチャクチャ好きな銃なので、最初のエアガンとABS製モデルガンは発売と同時に即購入しました。が……!

ディテクティブスペシャルって、同じコルト社の人気モデル=パイソン357マグナムと内部メカの構造がよく似てるんですよね。それはすなわち、すこぶる故障しやすいことを意味するワケです。

最初に買ったエアガンはシリンダーの固定が緩くはなったものの、奇跡的に今でも動くんだけどw、次に買ったABSモデルガンは3日程であえなくハンマーが動かなくなりましたw ほんとパイソンとそっくり同じ症状。ラッチ・ピンって部品を抜いてやると一応動くようになるのも全く同じです。

やっぱりディテクティブも故障して当たり前と思わなきゃいけないようで、だから後にヘビーウェイト版のモデルガンが出た時は「もういいか」って、私はいったんスルーしてました。

ところがどっこい! ある日、ネットオークションを眺めてたら「故障しないディテクティブのモデルガン」が出品されてるじゃありませんか!

パイソンやディテクティブのトイガンが故障しやすいのは、要するに内部パーツにかかる負荷が他の機種よりも強くて、何度も動かすと折れたり変形したりしちゃうから。実銃のパーツは頑丈なスチール製だから簡単には折れないけど、トイガンのパーツは脆弱な亜鉛合金だから負荷に耐えられない。

だったら、そのパーツだけスチールで造っちゃえばいいじゃん!って話だけど、ふつう一般のユーザーはそんな設備も技術も持ち合わせてない。

ところが! 普通じゃない一般人(?)も世の中にはいるワケです。その出品者さんがハンドメイドでこしらえたスチール製パーツのお陰で、私のディテクティブは壊れない!……今のところはw

もちろん、値は張りました。木製グリップ付きで、ちょうど定価の倍ぐらいしたと思います。けど、それだけの価値あり! 特に大切にしてるモデルガンの1つです。



↑これは15年ぐらい前にホビーフィックス社が限定生産した、金属製モデルガンのディテクティブスペシャル。これも買って1週間ほどでハンマーが動かなくなりましたw

故障して当たり前、しなかったら奇跡っていう商品を大枚はたいて買うモデルガンコレクターって、やっぱマトモじゃないですねw いつか、ちょっとやそっとじゃ壊れないディテクティブのトイガンが、普通に売られる日が来るんでしょうか?



↑タナカ製のS&W M36 チーフスペシャルのヘビーウェイト・モデルガン。つや消し塗装の表面仕上げが唯一残念だけど、それ以外は非の打ち所がないパーフェクトな製品。さすがはタナカ・クオリティー!

これが出る前はコクサイ製のチーフが文句なしの決定版だったけど、それを軽く凌駕しちゃいました。とにかく手にして動かしてみれば判ります。トイガンもここまで進歩したのか!って感動させられます。もちろんS&Wメカだからディテクティブみたいにすぐ壊れません。

もし仮に本物のピストルを自分が持つことになったら、私は迷わずチーフを選びそうです。ホントはディテクティブの方が味わい深くて好きなんだけど、やっぱ故障するのが怖いw 同じ亜鉛合金のパーツで出来てても、チーフのモデルガンが壊れたことは皆無ですからね。



↑タナカ製が出る前はこれが決定版だった、コクサイ製のチーフスペシャル2種。上がABSのシルバーモデル(グリップはパックマイヤー製のラバー)、下が金属モデル(グリップはアルタモントの木製)です。



↑コクサイのABS製チーフ、ノーマルブラックの3インチモデル。

2インチのチーフは日本の刑事ドラマでも頻繁に使われたけど、3インチはほとんど見かけませんでした。命中精度も操作性も2インチより優れてる筈なのに、ドラマで使うにはルックスが(コンパクトでもなければゴツくもなく)中途半端だったのかも知れません。



↑コクサイのスーパーリアル・ヘビーウェイト版のチーフです。前出の3挺は旧式の短いカートリッジしか入らないけど、こちらは「ニューコンセプト・モデルガン」のシリーズでリアルサイズの38スペシャル弾(もちろんダミー)が入ります。

表面仕上げの質感はこれがダントツ一番で、ほんとタナカ製さえ無ければ文句なしの決定版。

やっぱりチーフスペシャルはカッコいいです。携帯性も操作性も明らかにディテクティブより上で、日本の警察拳銃がこれを手本としたのも実に頷けます。というワケで、次回はニューナンブです!
 

コメント (7)
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