ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『シリアル・ママ』

2020-09-29 00:00:16 | 外国映画










 
「POPEYE」なんてチャラチャラした雑誌、ふだんは見向きもしないんだけど、昨年刊行された『僕の好きな映画。』っていうタイトルの映画特集号が再版されてて、ふと立ち読みしてみました。

恐らく普段「POPEYE」誌と関わりの深い著名人たちが、1本ずつ選んだ「好きな映画」を各自のコメント付きで紹介した本で、映画評論家が薦める名作集よりよっぽど信用出来そうだと思いました。

で、パラパラと頁をめくってみて、真っ先に私の眼に止まったのが、女装家(そんな肩書きがあったとは!w)のミッツ・マングローブさんが選ばれたこの映画。ジョン・ウォーターズ監督による1994年公開のアメリカ映画です。

マングローブさんは『風の谷のナウシカ』を鹿の物語だと思い込んでたくらいw、実は映画嫌いなんだそうで、普段はほとんど観ないのに、この『シリアル・ママ』だけは何度も繰り返し観ておられるんだそうです。

内容は、郊外に住む見るからに良妻賢母な主婦(キャスリーン・ターナー)が、気に食わない相手を片っ端からぶっ殺していくという、ただそれだけの話w

そんなシンプル過ぎる粗筋と、最高にナンセンスとおっしゃるマングローブさんの解説、そしてキャスリーンが真っ昼間の住宅地を包丁片手に突っ走るスチール写真を観て、私も猛烈に観たくなってレンタルした次第です。

ホラーでも社会風刺でもなく、ナンセンス・コメディーとして連続殺人鬼を描くなんて、ちょっと日本じゃあり得ないですよねw

息子を侮辱した教師や、娘の女心を傷つけたチャラ男をぶっ殺すのはまだ解るとして、駐車場で割り込んで来た近所の主婦とか、分別しないでゴミを出す隣家の婆さんとか、勤労感謝の日を過ぎても白い靴を履いてる女が許せないって、それだけの理由でバンバン殺しちゃうw

そんな彼女に罪悪感みたいなものがカケラも無さそうなのがまた凄い!w で、これが実話を元にした映画だっていう事実がもっと凄い!w

でも、どこか共感しちゃうんですよね。私自身、仕事でお客に理不尽なクレームとか嫌味を言われた時はもちろん、自分に直接関係なくても、例えば車からゴミをポイ捨てするようなヤツを見かけただけで殺意を抱くようなことが、正直言ってしょっちゅうあります。もし本物の銃を持ってたらとっくに実行してるかも知れません。

この映画の主人公も、必ず何らかの理由があって殺してる。人を殺すこと自体が目的じゃないんですよね。

それでも、彼女に迷いとか後ろめたさが見えたら笑えないだろうけど、ほんとに微塵も無さそうだからつい笑っちゃうw それをキャスリーンが心底から楽しそうに演じるもんだから、殺人なんてそれほど大したもんじゃないって錯覚しそうになっちゃうw

もしかしたら、そこが監督の狙いなのかも知れません。世間から注目されたくて人を殺そうとするような愚者に、お前がやろうとしてるのは所詮この程度のことなんだって、なんの意味もありゃしないんだって、そう言いたかったのかも?

私が'90年代にハマった映画の1つに、マイケル・ダグラスが主演した『フォーリング・ダウン』っていうのがあって、これも一見平凡なセールスマンが、エアコンの効かない車で炎天下の大渋滞に巻き込まれ、日頃溜めてたストレスが不意に爆発しちゃう。

で、道すがら気に食わないヤツを片っ端からぶっ殺していくんだけど、殺られるのはチンピラとか金持ちとか人種差別者とかで、やっぱり我々庶民が日頃から懲らしめたいと思ってるヤツばかり。仮面を被れば特撮ヒーローと変わんないかも知れません。

そのセールスマンは最後に報いを受けて死んじゃうんだけど(メジャー映画としてはそれが常識)、さてシリアル・ママの場合はどうなるか? 未見の方は是非、その結末をお確かめ下さい。最後の最後まで悲壮感はカケラもありませんからご安心をw

結局「POPEYE」は購入しました。このブログも最近マンネリになってるかも知れないので、この本で紹介されてる映画を週一ぐらいのペースで取り上げて行こうかな?と思い立ったので。

基本的にはまだ観てない映画、あるいは過去に観たけど今観たら違う感想を持てそうな映画をチョイスしようと思ってます。

自分の琴線に触れることが最低条件なので、たぶん如何にも「いい映画」とか「名作」の類いは選びません。基本はあくまで自分が「面白そう」「共感できそう」って思えた作品だけになると思います。
 

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『ターゲットメン』#06

2020-09-28 00:00:05 | 探偵・青春・アクションドラマ










 
こちらは1971年10月から翌'72年の元旦まで、NET(現テレビ朝日)系列の土曜夜9時枠で全13話が放映された、NET&東映制作による秘密捜査官モノ。

日活のスーパースターだった小林旭さん初のテレビ作品であり、唯一の現代アクション物でもある本作は、東映の制作でありながら日活無国籍アクションの色合いが濃く、ちょっと泥臭かった千葉真一さんの『燃える捜査網』よりずっと「スパイ活劇」らしさに溢れてます。

ただし、看板スターである小林旭さんを徹底的に立て、完全無敵のスーパーヒーローとして描いてる点では、千葉さんや杉良太郎さんの番組とほとんど変わりませんw


☆第6話『東京タワー大爆発』

(1971.11.13.OA/脚本=池田一朗/監督=江崎実生)

オープンしたばかりのオリエントホテルが爆破され、その犯行を記者クラブに予告して来た「草加五郎」を名乗る犯人が、次のターゲットとして東京タワーの爆破を宣言するもんだから警視庁が驚いた!

そんなワケで極秘指令を受けた秘密捜査班「ターゲットメン」の中西(小林 旭)は、爆破のスペシャリストである草川(大辻伺郎)という暴力団員に眼をつけ、まずは用心棒として潜入し、敵対する関西勢力の暴力団員たちを片っ端から痛めつけます。理由は、ヤクザが大嫌いだからw

一方、イケメンターゲットメンの新山(若林 豪)はダイナマイトの密売人を装って草川の情婦=雪江(三枝美恵子)と接触。彼女を慕うレズ女(清水まゆみ)に邪魔されながらも草川に近づいていきます。

それで判ったのは、草川が癌に犯されて余命宣告を受けてること。そんな彼が東京タワーを爆破して何のメリットがあるのか? そして彼を操る暴力団の真の狙いは何なのか? 頭脳明晰な中西は、もっぱら暴力を駆使してその真相に迫っていくのでした。

なにせ『ターゲットメン』は刑事ドラマの革命作『太陽にほえろ!』が登場する直前の番組ですから、主役はあくまで事件であり、描かれるのは捜査とそれに伴うアクションのみ。人間ドラマはほとんどありません。

だから正直言ってあまり面白くないんだけど、今回のエピソードに限っては、ヤクザを忌み嫌う主人公=中西の心情が描かれてたり、東京タワー爆破予告の裏に現金輸送車襲撃計画があった!っていう『ダイ・ハード』ばりのストーリー、その両方の犯行を同時に食い止めるターゲットメンの活躍、おまけに草川の情婦=雪江の正体は新宿署の潜入捜査官だった!みたいな、最後まで二転三転する凝った内容でけっこう楽しめました。

ターゲットメンの紅一点=芳村(奈美悦子)の出番が1シーンしか無いのが残念だけど、そのぶん日活の全盛期に活躍され刑事ドラマへの客演も多い清水まゆみさん、そして本作と同じ放映日に『仮面ライダー』第33話にもゲスト出演(ブラジルから怪人を追って来日したコニー山田役)されてた三枝美恵子さんが花を添えてくれました。

けど、それより見所はやっぱり、全身全霊でカッコつけておられるマイトガイ=小林旭さんの俺ジナル溢れる演技に尽きます。『燃える捜査網』の千葉真一さんと同じで、その一挙手一投足を見てるだけで充分面白い。ストーリーなんかどうでもいいんですよねw

今回、実は最終回(#13)をレビューするつもりだったんだけど、小林旭さんがもうヤル気を無くされてたのか、あるいは急きょ打ち切りになって最終回のつもりじゃなかったのか、若林豪さんが主役の話で旭さんがちょっとしか登場しない。若林さんも魅力的ではあるんだけど、やっぱり旭さんが活躍しないと全然面白くないんですよね。

私は日活アクションの世代じゃないから小林旭ファンじゃないんだけど、それでもこの人が画面に映るだけでドラマが生まれるのを感じちゃうワケです。千葉さんや杉サマもそうだし、もちろん裕次郎さんに渡さん、ショーケンさんや優作さんも然り。そんなスターが現在のテレビドラマや映画には見当たりません。

作品のクオリティーだけ見れば現在の方が高いはずなのに、やっぱり昭和のスーパースターの圧倒的存在感には敵わない。これはもう、理屈じゃないんですよね。
 

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『燃える捜査網』#07

2020-09-27 01:11:23 | 刑事ドラマ'70年代










 
☆第7話『死者からの手紙』

(1975.11.21.OA/脚本=樽岡八郎/監督=江崎実生)

投身自殺した男が海南署の村上刑事だと知って、白鳥刑事(志穂美悦子)が驚いた! 村上は高校時代の親友=ヒロコ(市地洋子)の父親なのでした。

だから白鳥は葬儀に参列するんだけど、そこに高校時代のバレー部のコーチ=木嶋(大門正明)が現れたもんだからまた驚いた!

当時、白鳥とヒロコは女子バレー部に所属し、厳しく鍛えてくれる木嶋に2人とも恋をしてたんだけど、ヒロコが木嶋とデートしてる現場を目撃して驚いた白鳥は、親友の幸せを願って身を引いたのでした。

初恋の人と再会できて胸がときめいたのも束の間、現在の木嶋がナイトクラブの専務で、ヤクザ絡みの潮商事と深く関わってる事実を日比木警部補(金子信雄)から聞かされて、白鳥はまたまた驚きます。しかも、自殺したとされるヒロコの父親=村上刑事は潮商事の汚職を捜査していた、つまり殺された可能性があるという! 驚いた!

「違う、違うわ。木嶋さん、そんな人じゃない!」

秘密捜査班は木嶋に疑惑の眼を向けますが、白鳥は彼の無実を信じ、それを確かめるため母校の体育館に彼を呼び出します。

「ナイトクラブ勤めなんて木嶋さんらしくない。そんなサングラスも木嶋さんらしくない!」

「キミにはそう見えるかも知れないが……しかしね、白鳥くん。過去なんて何の意味もありゃしないんだ」

「あるわ!」

そう言って白鳥は木嶋にバレーボールを渡し、数年振りに鬼コーチの千本ノックを受けるのでしたw

そんな折り、ヒロコの家に死んだ筈の父=村上刑事から封書が届いたから驚いた! その中身は、潮商事の汚職を証明するメモ書き。身の危険を察した彼が襲撃される直前に郵送したのでした。

だけどそれじゃヒロコが危ないやん!って思ったら案の定、彼女は潮商事のヤクザどもに拉致され、拷問を受ける羽目になります。

この拷問シーンにおいてヤクザたちは、ヒロコのブラウスを破いてブラジャー丸見え状態にするという、実に正しい拷問のあり方を示してくれます。捕まえた女性を一糸乱れぬ姿のままにするヤクザなど、いるワケがないんです! グッジョブ! エクセレント!

しかし、いくら拷問されてもヒロコは証拠メモを「焼き捨てた」と言い張ります。こうなったら丸裸にして色々やっちゃうしか手はありません。

一方、潮商事に潜入していた佐久刑事(谷 隼人)から連絡を受け、ヒロコがブラジャー丸見えになってることを知った白鳥は、木嶋の事務所に乗り込み、ヒロコから託された例の証拠メモを差し出します。

「どうして俺に?」

「これを持って自首して。木嶋さん、お願い!」

あくまでも木嶋を信じ抜こうとする白鳥だけど、残念ながら初恋の人はすっかり変わってしまった。結局、白鳥も拳銃を持った潮商事のヤクザどもに捕まっちゃいます。

ところが! いよいよヤクザどもが白鳥とヒロコを撃ち殺そうとした時、木嶋がとっさに2人をかばって撃たれてしまいます。彼もやっぱり普通の人間だったという事でしょう。

「木嶋さん!?」

ヤクザどもは、一番怒らせちゃいけない人を本気で怒らせちゃいました。そう、ついに白鳥刑事こと我らが志穂美の悦っちゃんが、女必殺拳で連中を皆殺しにしてくれる……のかと思いきや!

ここで唐突に、今までほとんど出番が無かった大神警部(千葉真一)が颯爽と現れ、必殺44マグナムでヤクザを皆殺しにしちゃうんですよね! これが今回一番驚いた!w 千葉さん、あんたもか!(『大捜査線』レビュー参照)

動かなくなった木嶋の手には、例の証拠メモが握られてました。ヤクザ連中に手渡す機会はいくらでもあったのに、彼は白鳥に言われた通り自首するつもりだったのかも知れません。

「木嶋さん……」

切なく涙を流す白鳥の肩を、まるで今までのいきさつを全部見てたような顔をして、大神警部が優しく抱き寄せます。そして千葉真一がしっとりと唄う主題歌『旅人ひとり』が流れてジ・エンド。

マグナムでヤクザどもを皆殺しにしてくれるのはいいんだけど、千葉さん、今回だけは引っ込んでて欲しかったですw せめて、志穂美さんがひと暴れするまで待って欲しかった!

今回のエピソードもたぶん、アクションやサスペンスよりも苦悩する主人公の姿を見せたかった。「ウチの悦子は芝居も上手いんだぜ」って、千葉さんは仰りたかったんでしょう。それが『燃える捜査網』という作品のコンセプト。

いやいや、それにしたって、美味しいとこだけ持って行くにも程がありますよ千葉さんw いくらなんでも今回は唐突でした。あの杉サマですら少しは段取りを踏んでから登場されますよw

そんなワケで、白鳥刑事が主役でありながら志穂美さんのアクションが見られなかったのは残念だけど、そのぶん婦警さんの制服姿やセーラー服姿、ブルマー姿までサービスしてくれましたから良しとするより仕方ありません。

こんな風に、看板スターを徹底的に立てるテレビ番組や映画っていうのも昭和ならでは。今どきのスターじゃこういうのは成立しないでしょう。同じスターでもスケール感がまるで違うんですよね。
 

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『燃える捜査網』#01

2020-09-25 22:22:11 | 刑事ドラマ'70年代










 
先日スタートした新番組『DIVER/特殊潜入班』はタイトル通り、潜入捜査を専門とするチームが秘密裏に活躍する、刑事ドラマというよりはスパイ活劇に近い内容。

古くは『キイハンター』から近作だと『絶対零度』シリーズまで、刑事物の中でも1つの伝統あるジャンルとして定着しており、時代劇みたいなタイトルの本作も、実はその中の1本。

『燃える捜査網』は1975年10月から翌'76年1月まで、NETテレビ(現テレビ朝日)の金曜夜9時枠で全14話が放映された、『ザ・ボディーガード』『ザ☆ゴリラ7』に続く東映&ジャパン・アクションクラブのタッグによるアクションドラマ。もちろん主演は千葉真一さんです。

荒唐無稽で底抜けに明るかった前作とはうって変わり、今回は人間ドラマを重視したシリアスな内容で、アクションはやや控えめ。とは言ってもそこは千葉さんですから、要所要所で空手アクション(なにせ当時はブルース・リー大旋風)を披露、とどめに44マグナムをぶっ放してくれます。

そんな千葉さんが扮するのは東京・根岸警察署で警務課長を務める大神史郎 警部。そして彼が秘密裏に指揮する「特別秘密捜査班」のメンバーは、根岸署経理課勤務の佐久 竜(谷 隼人)、青山署交通課勤務の白鳥アキ子(志穂美悦子)、その同僚の麻生 仁(佐藤蛾次郎)。それぞれ普段は制服警官として働き、召集がかかると休暇を取って極秘任務に赴くという設定。

ほか、彼らをバックアップする捜査課の刑事=日比木 警部補に金子信雄、指令を下す警察庁のエリート=高森 刑事部長に神山 繁、そして第9話からチームに加わる城 巡査部長に夏八木勲、というレギュラーキャスト陣でした。


☆第1話『女子中学生投身自殺』

(1975.10.10.OA/脚本=池田一朗&等々力 亘/監督=竹本弘一)

しかしこの第1話は、親友を殺された大神警部(千葉さん)がやや暴走気味に単独捜査を進めちゃう話で、のっけからスパイ活劇とは程遠いムード。白鳥刑事(志穂美さん)が「いつもの大神さんと違うわ」って言うんだけど、我々視聴者はいつもの大神さんをまだ知らないのでピンと来ませんw

大神警部の親友は雑誌記者で、飛び降り自殺した女子中学生の背後に売春組織が絡んでる事実をスクープしようとして殺された。彼は身の危険を感じて大神に相談しようとしてたのに、忙しくて応じてやれなかったワケです。

一応、白鳥刑事が身分を隠して死んだ女子中学生の姉(関根世津子)や父親(仲谷 昇)に近づいたり、佐久刑事(谷さん)が売春組織に潜入したりするスパイ活動は描かれるんだけど、結局は大神警部が組織のアジトに突入し、空手で手下どもを蹴散らしたあと44マグナムで幹部(蟹江敬三)をぶっ殺しますから、部下たちが潜入した意味はほとんどありませんw

千葉さんが今回見せたかったのは、アクションやサスペンスよりも、親友を死なせて苦悩する主人公の姿。つまり「俺だってちゃんと芝居できるんだぞ」って言いたかったんじゃないでしょうかw(ちなみに主題歌も千葉さん。歌だって唄えちゃう♪)

そんなワケで、これはスパイ活劇よりも正当派の刑事ドラマに近い内容で、かえって私好みかも知れません。初回は千葉さんのワンマンショーだったけど、志穂美さんのアクションやチームプレーがもっと観られたら、私はハマるかも知れません。
 

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『DIVER/特殊潜入班』2020

2020-09-24 00:00:15 | 刑事ドラマ HISTORY










 
2020年の秋シーズン、フジテレビ系列の火曜夜9時枠でスタートした、関西テレビ放送制作による全5話のサスペンスドラマ。大沢俊太郎さんの人気コミック『DIVER/組対潜入班』を実写化した作品です。

☆☆☆☆☆☆☆

急増する犯罪組織に対抗するため兵庫県警に秘密裏に設けられた「潜入捜査」チームがあった。通称「D班」と呼ばれ、悪の組織に潜入する“DIVER(ダイバー)”たち。命を落とす危険と隣り合わせの仕事。

「最強の潜入官」と呼ばれる捜査官・黒沢兵悟は、犯罪者逮捕のためには仲間をも騙し、多少の犠牲もいとわない冷酷非道な「最凶の男」。時には誰よりも善人な顔をし、時には誰よりも情けない姿をさらしているが、それらはすべて“ウソ”。悪に近づき、悪に手を染めながらも、自身の正義で悪を駆逐する。

何が正義で何が悪かー
予想を裏切るノンストップサスペンスが幕を開ける!(公式ホームページより抜粋)

☆☆☆☆☆☆☆

兵庫県警・潜入捜査課D班の若きエース=黒沢に福士蒼汰、自衛隊上がりの新メンバー=佐根村に野村周平、D班の班長を務める組織犯罪対策課の刑事=伊達に安藤政信、プロのハッカー=永宮に浜野賢太、元町の闇医者=皆本に片瀬那奈、組織犯罪対策課の課長に正名僕蔵、そしてD班を影で操る兵庫県警本部長=阿久津にりょう、といったレギュラーキャスト陣。

その顔ぶれを見ただけで若い女子ウケを狙った番組であるのは一目瞭然だし、漫画原作であることも踏まえて、だいたい内容は想像できました。もちろん想定外の面白さにギャフンと言わされることも少しは期待したけど、残念ながら想像の域を1ミリもはみ出ない凡庸なドラマでした。

とにかく全てのキャラクターが一面的で薄っぺらく、魅力が感じられません。特に主人公の黒沢がただのサイコパスにしか見えないのが致命的。

幼少時に詐欺グループによって両親をなぶり殺しにされた恨みから、人を騙す犯罪者は容赦なく騙して破滅に追い込む非情な男って設定なんだけど、その奥底にある哀しみとか怒りが滲み出て来ないもんだから、単にゲームを楽しんでるガイキチにしか見えないワケです。たぶん福士蒼汰くんは哀しみも怒りも表現してるつもりなんだろうけど、残念ながら表情筋が追いついてない。福士くんの演技、はっきり言ってクサイです。

深みが感じられないのは他のメンバーも同じで、それはたぶん創り手が表面的な格好良さしか意識せずに創ってるから。漫画やアニメならそれで成立するのかも知れないけど、生身の人間が演じると実在感ゼロでとにかく嘘っぽい。薄い。軽い。乳首。

少しはアクションも見られるみたいだけど、なにせ女子向けドラマだからアッサリしたもの。今どきのイケメンには拳銃が全く似合わないし、我々オッサンがワクワク出来る要素は1つも見当らない。唯一、神戸を舞台にしてる点のみ連ドラとしてはユニークだけど、初回を観る限りだと横浜でも東京でも代わり映えしません。

『MIU404』の記事に「このジャンルはまだ死んでない」って書きましたけど、8割はもう死んでます。優れた脚本家をゲットした作品とそうでない作品との格差が凄まじいことになってます。

やっぱりお先真っ暗で、破滅です。
 

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