ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『あぶない刑事』#27

2019-01-31 12:30:32 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第27話『魔性』(1987.4.12.OA/脚本=田部俊行/監督=村川 透)

タカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)が、カオル(浅野温子)への借金返済の為に立ち寄った宝石店で、強盗事件発生!っていう出だしは、以前レビューした第2話『救出』によく似てます。

ここでタカが一般人のモトクロス用バイクを借りて犯人を追跡するんだけど、このバイクアクションがかなり凄くて、横浜の街中をビュンビュン飛ばし、ピョンピョン跳ぶわ跳ぶわ!w

ただ、凄いだけに随所でスタントマンが使われてるのが、ちょっと残念。舘さんの佇まいは唯一無二ですから、別人だと一目で判っちゃうんですよね。

激走の末に犯人を追い詰め、さらにユージとトオル(仲村トオル)も駆けつけて逮捕に至るまでの畳み掛けるテンポと、常に忘れないユーモアとのブレンド感覚が本当に心地良く、ブランクはあれど30年も続く人気シリーズになったのも頷けます。

この時期(第1シリーズ中盤)になると浅野温子さんの芝居もかなり弾けて来てるけど、あり得ないコスプレ等の「暴走」にはまだ至っておらず、ちょうどいい「あぶない」バランスを保ってくれてます。

近藤課長(中条静夫)やナカさん(ベンガル)のキャラクターも程良く活かされて、この辺りが私にとって最高に面白い『あぶない刑事』だったように思います。

さて、犯人が狙ったのは時価1億5千万円のエメラルド「クレオパトラの夢」で、見事に犯人を逮捕した腕前を買われたタカ&ユージは、エジプトに返還されるその宝石の警護を依頼されます。

で、輸送が始まって10秒も経たない内に、新たな襲撃犯が現れるテンポの良さw もちろん2人に逮捕されるんだけど、実はそいつは囮で、「クレオパトラの夢」はまんまと別の犯人に奪われてしまう。

満面の笑顔で2人を褒め称えてた近藤課長が鬼の形相になって、宝石店から2人に贈られた感謝状をビリビリに破いちゃう、大人げない場面がまた笑えますw

しかし、なぜ「クレオパトラの夢」ばかりが執拗に狙われるのか? そこでサブタイトル『魔性』の意味が分かって来ます。

襲撃犯は全員、名門女子大に通う美貌のお嬢様=サチ(森 恵)が冗談半分に言った「クレオパトラの夢を盗んでくれたら結婚してあげる」という言葉を真に受けた、あほボン達なのです。

『かぐや姫』をモチーフにした感じもしますが、そんなバカげた理由で犯罪に手を染めてしまう連中は、’80年代後半の刑事ドラマじゃ珍しくなかったように思います。当時の大人たちから見た「新人類」の若者たち(まさに私の世代だけどw)が、かように理解不能な生きものだったことの表れですよね。

港署の中で新人類って云われるトオルから見ても、理解不能な新人類。「今じゃ3年で世代交代ですから」なんて台詞もありました。

主犯の若者は「クレオパトラの夢」と一緒にウェディングドレスをサチの自宅に送りつけ、自分はタキシード姿で侵入して「さぁ結婚式を挙げましょう」とか言いだすイカれたストーカー。

演じたのは、これがドラマ初出演の勝俣州和さん。「CHA-CHA」で人気者になる前、「劇男一世風靡」に所属してた頃で、粘着質なサイコ演技がなかなか板についてます。

そして魔性の女=サチを演じた森 恵さんは当時18歳。『スクール☆ウォーズ』で女優デビュー後、『乳姉妹』『超獣戦隊ライブマン』『君の瞳に恋してる!』『勝手にしやがれヘイ!ブラザー』等のドラマでレギュラー出演を果たし、アイドル歌手としても活躍された方です。『あぶデカ』への出演はデビューから3年目で、さすがに安定感のある演技を見せてくれます。

森恵さんと勝俣さん。若手ゲスト2人の力量が、このエピソードの面白さを倍増させてくれました。
 
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『あぶない刑事』#04

2019-01-31 04:27:10 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第4話『逆転』(1986.10.26.OA/脚本=大川俊道/監督=手銭弘喜)

『あぶない刑事』のTV第1シリーズは本当に面白い!って書きましたけど、なにせ長い番組ですから、エピソード毎に当たり外れは当然あります。

第4話は犯罪現場を目撃した家出少女(河合美智子)が生命を狙われ、たまたま知り合ったユージ(柴田恭兵)に助けを求め、頼り甲斐がやがて恋心に……っていう、ユル~イお話でした。

好き嫌いはあるでしょうが、刑事ドラマには(例えコメディであっても)ある程度の緊張感が不可欠だと私は思いますんで、これはハズレと言わざるを得ません。

あぶデカ(しかも大川俊道さんの脚本)にしてはアクション描写もえらく淡白で、ゲストの河合美智子さん(当時18歳)以外に見所はありません。そう、今回は河合さんの画像を載せる為だけのレビューです。

’83年の映画『ションベンライダー』で主役に抜擢され、同時に歌手としてもデビュー。’96年の朝ドラ『ふたりっ子』で演じた「オーロラ輝子」の名前でリリースした演歌『夫婦みち』の大ヒットを憶えてる方は多いかと思います。

ボーイッシュで天真爛漫なキャラクターは私好みなんだけど、オーロラ輝子を凌ぐ当たり役に恵まれなかったのは残念に思います。

’80年代のドラマを観ると、若い女優さんがみんな松田聖子さんばりのブリッコ演技(でなければ中森明菜さんばりのツッパリ演技)をしてて、ちょっと背中がむず痒くなるんだけど、河合美智子さんはサマになってましたね。ルックス的に無理がないし、しっかりとした演技力があるからでしょう。

あぶデカの後番組『あきれた刑事』では網浜直子さんとコンビでレギュラー出演。寒いギャグ連発でスベりっ放しだった作品世界の中で唯一、河合さんの場面だけは安心して観られたような記憶があります。
 
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『あぶない刑事』#02

2019-01-30 12:00:11 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第2話『救出』(1986.10.12.OA/脚本=那須真知子/監督=手銭弘喜)

丸山昇一さんの脚本による第1話は、意外と地味なエピソードでした。もうすぐ20歳になる犯人を、未成年の内に逮捕してやろうっていう、ちょっと人情寄りの話でアクション描写も控え目で、後の『踊る大捜査線』を彷彿させるような内容でした。

見切りの早い私は早速「期待外れ」の烙印を押しw、第2話以降は観なくなったんだけど、やがて身の周りで「あぶデカおもろいで!」っていう評判が聞こえるようになり、再び観始めたら「ホンマや、おもろいやん!」って事になり、すぐにハマっちゃいました。

初回だけで判断せず、この第2話まで観てたら、もっとすんなりハマってた筈です。冒頭からノンストップで突き進むアクション活劇で、中途半端な人情話も無く、まさに刑事ドラマ新時代の幕開けを告げるクオリティー。

タカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)が、後輩のトオル(仲村トオル)に借金を返す為に立ち寄った銀行に武装強盗グループが乱入、銃撃戦になるもトオルが人質に取られ、まんまと逃げられちゃう。

犯人グループはトオルの身代金として五千万円を要求。近藤課長(中条静夫)が部下全員の退職金を前借りして工面した現金を携えて、タカ&ユージは取引現場に向かう……てなストーリー。

後に暴走が止まらなくなっちゃうカオル(浅野温子)やナカさん(ベンガル)がまだ大人しい、といった微妙な違いはあれど、第2話にして『あぶデカ』の世界観はほとんど出来上がってます。

初回は渋めに、2回目は明るく派手にやってみて、視聴者の反応を探ったのかも知れませんね。何にせよ、やっぱり第1シリーズは面白い!

浅野温子さんもまだ若くて、有り得ないコスプレやキチガイじみた暴走も、可愛いから許せます。それが今じゃ……(トシのことは言いたくないんだけどw)

初期は少年課の松村課長(木の実ナナ)の方がよっぽど派手(どう見てもスナックのママ)なんだけど、木の実さんの場合、お顔立ちが服装以上に派手だから違和感ないんですよねw

ほか、捜査課の事務員=瞳ちゃん役に長谷部香苗、交通課婦警&無線係の良美ちゃん役に藍物房子、といった女優さん達がレギュラー出演されてました。
 
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『あぶない刑事』1986~1987

2019-01-30 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
1986年10月、日本テレビ系列の日曜夜9時枠で放映されてた『誇りの報酬』の後を受け、セントラルアーツ&東映の制作でスタートしたのが『あぶない刑事 (通称あぶデカ)』でした。

神奈川県警・港警察署を舞台にオシャレな刑事たちが華麗に活躍するアクションドラマで、『誇りの報酬』の軽いノリを継承し、それを更に洗練させた「イケてる」世界観で若い世代のハートをがっちり掴み、想定外のスマッシュヒット。

当初は2クールの予定だったのがプラス2クール、1年間に渡って全51話が放映され、更に続編『もっとあぶない刑事』(’88)が放映されたほか、TVスペシャル1本、劇場映画7本が製作される大人気シリーズとなりました。

港署・捜査課の中堅刑事「ダンディー鷹山」こと鷹山敏樹=タカに舘ひろし、「セクシー大下」こと大下勇次=ユージに柴田恭兵、二人の上司・近藤課長に中条静夫、若手刑事・町田 透に仲村トオル、少年課刑事・真山 薫に浅野温子、その上司・松村課長に木の実ナナが扮するほか、ベンガル、山西道広、御木 裕、秋山武史、衣笠健二、長谷部香苗、藍物房子etc…といったレギュラーキャスト陣。

’86年と言えば『太陽にほえろ!』が最終回を迎えた年であり(『あぶない刑事』スタートの翌月でした)、まさに刑事ドラマの歴史が……と言うよりTVドラマの内容が、大きく転換していく過渡期でした。

’72年に『太陽にほえろ!』がTVドラマ全体の流れを変えたのと同じように、この『あぶない刑事』は刑事ドラマの在り方を変えたばかりか、トレンディードラマという新たなジャンル出現にも繋がる、TVドラマ界にとって画期的な作品だったと思います。

ただし刑事ドラマのジャンルに限って言えば『太陽にほえろ!』の流れから『Gメン’75』『特捜最前線』『西部警察』等のBIGタイトルが何本も生まれたのに対して、『あぶない刑事』の亜流作品はことごとくコケちゃった印象があります。いや、確かにコケてました。

ブランド物の高級スーツに身を包み、キザな台詞を連発し、英語の歌詞によるスタイリッシュな音楽をバックに、遊んでるようなノリで捜査し、ジョークを飛ばしながら拳銃を撃ちまくる。(アメリカ産刑事ドラマ『マイアミ・バイス』の影響もあったようです)

そんなスタイルを真似た番組は、どれも視聴率を取れないばかりか「失敗作」の烙印を押さざるを得ないものばかりでした。

私個人の尺度で判断すれば、かろうじて成功したのが『ベイシティ刑事』と『あいつがトラブル』、失敗に終わったのが『あきれた刑事』『俺たちルーキーコップ』『ゴリラ/警視庁捜査第8班』等で、いずれにせよ視聴率はどれもパッとしませんでした。

あの当時はシリアス路線にもこれと言ったヒット作は無く、刑事ドラマのジャンルそのものが衰弱してたように思います。そんな中で『あぶない刑事』だけが奇跡のヒットを飛ばしたワケです。

そう、これはもう、奇跡としか言いようがない。確かに斬新な内容ではあったけど、あのヒットはドラマの内容そのものよりも、やっぱり舘ひろし&柴田恭兵を主役に選んだキャスティングの勝利。それに尽きると私は思います。

私自身、このお2人がコンビを組むと知った時点で「そりゃ観なければ」って思ったし、高級ファッションやキザな台詞や英語の歌詞といった作風は、このコンビでなければサマにならないんですよね。

それも、舘ひろしと柴田恭兵の両方が揃わなきゃダメなんです。その証拠に、舘さんと仲村さんが『あぶデカ』そのまんまのキャラで共演した『ゴリラ』も、恭兵さんと仲村さんがコンビを組んだ探偵コメディ『勝手にしやがれヘイ!ブラザー』も『あぶデカ』のようには楽しめませんでした。

舘さんと恭兵さんが揃わなきゃダメなんです。もしかしたら、浅野温子さんの存在も大きかったかも知れません。理屈じゃ説明がつかない、組み合わせの妙による化学反応がもたらした奇跡。

無理やり理屈をつけるとすれば、柴田恭兵さんの存在が核になってたのは間違いないと思います。『大追跡』や『プロハンター』『俺たちは天使だ!』等、軽いノリの作風で成功したアクションドラマには、必ず恭兵さんが出演されてるんですよね。

あの時代、あの世代で「軽いノリ」が本当にサマになる俳優さんは、恭兵さんしか存在しなかったんじゃないでしょうか? 身も心も、本当に軽い人なんだと思いますw それと天才的なユーモアのセンス。

で、共演する俳優さん達も恭兵さんに引っ張られて、普段は出せない軽さを表現出来るようになる。その最たるお人が舘さんなのかも知れません。

自他共に認めるナルシストの舘さんですから、『西部警察』の頃は「あんた、カッコつけ過ぎやろ」みたいな反感も買ってたように思うけど、『あぶデカ』ではその「決まり過ぎ」な感じが1つのネタに昇華され、どんだけ格好つけても「舘ひろしなら許せる」みたいな空気が確立しましたよね。それって、恭兵さんがアドリブでさんざんネタにしてくれたお陰じゃないでしょうか?

共演者をそうやってイジるのが大好きな恭兵さんは、『大追跡』で藤竜也さんを年寄り呼ばわりして叱られるわw、『俺たちは天使だ!』じゃ忍者のコスプレをした長谷直美さんに「まるで太ったゴキブリだな」と言い放つわw、相手が先輩だろうが女性だろうが容赦なし。

舘ひろしをそんな風にイジれるのは、芸能界広しと言えど柴田恭兵しかいないかも知れません。だから『あぶデカ』で舘さんは初めて、ご自身のキャラを笑いに転ずる術を会得されたんだと思います。

どう見ても器用な役者じゃない仲村トオルさんにせよ、本来なら地味な存在の中条静夫さんにせよ、恭兵さんにイジられる事によって面白味を発揮し、存在感を増して行きました。

浅野温子さんがあれだけ弾けまくる事が出来たのも、恭兵さんのアドリブ芝居が作品の枠をどんどん広げてくれたお陰じゃないかと私は思います。

ただし、浅野さんはやり過ぎましたねw 続編『もっとあぶない刑事』以降は越えちゃいけない一線を越えて、絶妙だった作品のバランスを破壊しちゃいました。

それだけのパワーを持った女優さんもなかなかいないでしょうから、このキャスティングは本当に凄いと思います。形だけ真似してもダメで、このキャストが揃ってなきゃ成立しない世界です。

パワフルな女優さんと言えば、木の実ナナさんもそうですよね。だけどこの人、最初の数話しか出てないのにレギュラー扱いで、毎回オープニングのタイトルバックで木の実さんだけテロップが出なくて、なのに映像はポーズを決めてストップモーションってのが、何ともマヌケな感じでした。

そのオープニング映像も斬新で、署に出勤する舘さんの目線でカメラが動いて、レギュラーキャスト達がこちらに向かって順番に挨拶していく形でした。

エンディングのフィルムカタカタ……もお洒落で格好良かったです。曲を作った舘さんは当初、これはハードボイルドなドラマになるんだと思い込み、フランス映画の渋いイメージで作曲されたんだそうですw

泥臭かったり悲壮感があったりしがちな刑事ドラマに、そういう乾いたスタイリッシュさを持ち込んだのは、舘さんの功績。これがまた、若い世代の圧倒的な支持を得た大きな要因でしょうから、やっぱり舘ひろし&柴田恭兵の組み合わせありきのスマッシュヒットなんです。

もう1つ、それまでの刑事ドラマに無かった新しい魅力として、GUNアクションにおけるマニアックな描写も挙げられます。これは納富貴久男さん率いるGUNエフェクト専門業者「BIG SHOT」の参加によるもの。

具体的な違いを説明するのは面倒なので省略しますがw、とにかくGUNアクションの見せ方、そのリアルさが『あぶデカ』以前と以後とでは格段に違うんですね。

お洒落なだけなら女性ファンしか注目しなかったかも知れない『あぶデカ』が、マニア層や子供たちをも引きつけたのは、格好良くてリアルなGUNアクションが見られた事も大きかったんじゃないでしょうか?

他にも、刑事の私生活を一切描かない割り切り方や、決してお涙頂戴に走らない作劇、これといった動機がない愉快犯や通り魔が大半を占める犯人像など、新しい刑事ドラマを目指した創り手たちの目論見が、’80年代後半の空気にぴったりハマったんだろうと思います。

そんなワケで『あぶない刑事』は、刑事ドラマに革命をもたらした作品として、『太陽にほえろ!』や、後の『踊る大捜査線』とも並ぶBIGタイトルであり、同路線の番組としては唯一の成功作でもありました。

そう、素晴らしいのは『あぶない刑事』だけなんです。続編の『もっとあぶない刑事』や、それに続く劇場版のシリーズは、残念ながら「素晴らしくない」ものになってしまいました。そのへんは私ならではの感じ方かも知れないけど、シリーズの人気が衰えて行った原因は決して「時代が変わったから」だけじゃないだろうと思います。

その辺りについては『もっとあぶない刑事』の記事にて詳しく書こうと思ってます。
 
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「2019年冬の連ドラ」

2019-01-29 00:00:17 | 日記
 
今シーズンの連ドラも全体的にパッとしません。私がハマりそうなのはドラマ10『トクサツガガガ』ぐらいです。

先にレビューした刑事ドラマの新作3本『トレース/科捜研の男』『刑事ゼロ』『メゾン・ド・ポリス』はいずれも第2話の途中で視聴打ち切りとなりました。

結局やってることはどれも似たような謎解きゲームで、それを飽きずに見続けるにはキャラクターの魅力が絶対必要不可欠なんだけど、3作共それが全く足りてなくて、役者さんの力量に依存し過ぎてます。

今シーズンは弁護士ドラマも3本あって、竹内結子さんの『スキャンダル専門弁護士/QUEEN』は最初リーガル版『ミッション:インポッシブル』みたいで面白そうと思ったのに、やっぱりキャラに魅力がなく第2話の途中で脱落。

常盤貴子さんの『グッドワイフ』は手堅い作りで悪くないけど「日曜劇場」ゆえに先が見えて、興味が持続せず初回しか観てません。坂口健太郎くんの『イノセンス/冤罪弁護士』もタイトルとキャスティングだけで中身が想像できてしまい、録画した初回も観ずじまい。

弁護士ドラマも結局は謎解きゲームのバリエーションですから、よっぽど工夫してくれないと観る気になりません。謎解き、謎解き、猫も杓子もひたすら謎解き。本当にもうウンザリです。

その他も軒並みパッとしない中、杉咲花ちゃんの『ハケン占い師アタル』と菅田将暉くんの『3年A組/今から、皆さんは人質です』の2本だけは「どんなんかな?」っていう興味を引かれました。で、それぞれの初回を観て、面白い共通点があることに気づいたんですよね。

前者『ハケン占い師アタル』は問題山積のイベント運営会社に派遣されたバイト社員のアタルが、実は人の心が読めちゃうスーパー占い師で、社員1人1人が抱える心の問題を解決していき……っていう、まるで『家政婦のミタ』と『純と愛』をミックスさせたような内容。それもその筈、これは遊川和彦さんが脚本のみならず、遂に演出まで手掛けられた入魂の一作なんですね。

だから演出家のフィルターが入らないぶん遊川さんのメッセージがストレートに伝わってくるんだけど、それが「自分自身を愛しなさい」だったり「自分にしか出来ないことを見つけなさい」だったりと、ひねくれた創り方をする人に限って言ってることは至極マトモなんですよねw このテの人たちはそれを自覚してるから、照れ隠しにひねくれちゃうんだろうと思います。

アタルがやってる事はセラピーそのもので、彼女はハケン占い師というより派遣カウンセラー。ただ、そのカウンセリングの仕方がやたら荒っぽく、口汚いのが現代風なのかも知れません。

今の日本において、もはや正攻法は通用しない。圧倒的なカリスマが力でねじ伏さないと、誰も聞く耳を持たない。そんな現実を、もっと過激な方法で示したのが後者『3年A組/今から、皆さんは人質です』。

こちらは学級崩壊寸前の高校のクラスの、菅田将暉くん扮する担任教師が爆弾と拳銃で武装し、生徒全員を人質にとって立て籠るというぶっ飛んだお話。

ストーリーの縦軸は女子生徒(上白石萌歌)を自殺に追い込んだ犯人を探るミステリーなんだけど、その過程で菅田先生が生徒たちに(毎回1人ずつ)人間としての在り方を説教していくんですよねw 言ってる内容はスーパー占い師と同じで、至極マトモな道徳教育だったりする。

つまり、やってることは過激でも本質は『金八先生』であり『飛び出せ青春!』であり『スクール☆ウォーズ』なんです。

だけど世の中を舐めきった今のガキンチョどもに正攻法で説教しても聞きゃあしないし、暴力も絶対タブーとなれば、もう我が身を犠牲にしてテロでも犯すしかないっていう、めちゃくちゃ差し迫った話ですよ。

上司や教師の言うことなんか何も聞かないヤツらも、占い師やテロリストの言うことなら辛うじて聞いてくれる。つまり、もはや会社や学校というシステムは機能を失い、とっくに崩壊してますよっていう破滅と絶望のメッセージ。大いに共感しますw

私が作者なら、菅田先生には3年A組の生徒全員を道連れに自爆してもらいますけど、現在のテレビ業界(のクリエイティビティーも)崩壊しちゃってますから、どうせ最後は無難なハートウォーミングに収まるんだろうと思います。実際、殺した筈の生徒数人が実は生きてましたっていう、腑抜けたオチが早くもついちゃってますからね。それをもっと先まで伏せておく勇気すら無いワケです。

だからどちらもハマりはしないけど、単なるゲームではなく創り手のメッセージが感じられる点で見所ありますから、この2作は『トクサツガガガ』と併せて今後も観ていこうと思ってます。

あとは朝ドラ『まんぷく』を変わらず毎日観てるぐらいです。いよいよ即席ラーメン開発の章に入ってワクワクしてます。私がこの世で一番愛してる食べ物がインスタントラーメンなのですw

大河ドラマ『いだてん』は、相変わらずのクドカン節にのっけからゲップが出そうで、終始「ながら見」になりそうです。大河でもスタンスを変えないクドカンさんは立派だと思うけど、好き嫌いだけはどうしょうもありません。そもそも、あんな滑舌の悪い人(落語家役の大御所)が語り部になってる時点で「はあ?」って思っちゃう。

今季はまぁ、そんなところです。(乳首)
 
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