ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『セルフィッシュ・サマー』

2020-12-29 23:50:03 | 外国映画








 
自分以外の人が好きな映画も観てみようシリーズ第5弾。『POPEYE』誌でアートディレクターの大島依提亜さんが推されてた、2013年公開のデヴィッド・ゴードン・グリーン監督によるアメリカ映画。アイスランド映画のリメイクで、日本じゃ劇場未公開だった作品です。

舞台は1988年のテキサス。前年の大規模な森林火災で破損した道路に、延々とセンターラインを引いていく道路整備作業員2人の珍道中が描かれてます。

日本版DVDには『ホントの自分に向き合う旅』なんてサブタイトルが付いちゃってるけど、彼らは仕事をしてるんであって別に旅なんかしてません。「自分探し」系の映画にウンザリされてる方も、これはそんな話じゃないからどうかご安心を。

アルヴィン(ポール・ラッド)は生真面目で理屈っぽい男で、恋人はいるけど一人でいる時間を大切にしたいタイプ。一方のランス(エミール・ハーシュ)はイケメンでもないクセに女たらしで、年中どうすればチョメチョメ出来るかばかり考えてるようなタイプ。

実はこのランスがアルヴィンの恋人=マディソンの弟で、アルヴィンはマディソンへの気遣いからランスを助手に雇ったんだけど、そのランスを通じてマディソンから別れを告げられ、彼と大喧嘩の末になんだか妙な友情を育み、最後には二人して婚活パーティーへと出向いていく。

確かにアルヴィンは恋人にフラれたことで自分の生き方を見つめ直し、ちょっと自分を変えてみようって気になるワケだけど、それはあくまで結果論。異性にフラれた時は誰だってそうなりますよねw

そこはあくまで味つけの1つに過ぎず、作者が描きたかったのは大自然の中で気ままに仕事する男二人の、子供じみたやり取りの可笑しさと居心地好さ。それに尽きるんじゃないでしょうか?

画像をご覧下さい。これを見て何となく楽しそうって感じた方は、きっとこの映画を気に入られると思います。私もそうです。あんな仕事、してみたいですw

カタブツ野郎と女たらし野郎の奇妙な友情モノって、外国映画でよくありますよね? 私自身、カタブツってワケじゃないけど基本的には女性が苦手。なのに小学生時代からの親友が病的なまでの女好きw だからこういう設定だとすんなり感情移入できちゃう。

別にお互い足りない部分を補い合ってるとか、そんなワケでもないんですよね。女なしじゃ生きていけないヤツの心理なんて、私には死ぬまで理解出来ないと思うんだけど、なのに不思議とウマが合う。ほんと不思議としか言いようありません。

まぁ、そんな映画ですw 構える必要はまったく無いと思います。私にとっては癒しの映画ですね。
 
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『スプリング・ブレイカーズ』

2020-12-28 17:55:12 | 外国映画










 
自分以外の人が好きな映画も観てみようシリーズ第4弾。『POPEYE』誌でデザイナーの山本海人さんが推しておられた、ハーモニー・コリン監督による2013年公開のアメリカ映画です。

いや~凄い! 1ミリたりとも共感出来ませんでしたw こんな映画がこの世に存在し、ちゃんと日本でも公開されてたとは!(しかも、調べてみたらヴェネチア国際映画祭で金獅子賞まで獲ってる!) 私にとって2020年最大のサプライズかも知れませんw

郊外での平凡な暮らしに飽き飽きした女子大生4人が、春休み(スプリング・ブレイク)に憧れのフロリダで豪遊すべく、オモチャの銃で強盗をやらかして資金を手に入れ、望み通りに毎日朝から晩までパーティーに参加し、バカ騒ぎとドラッグとセックスに明け暮れ、警察に拘束されるも町のギャングに引き取られ、抗争に巻き込まれた挙げ句にマシンガンを撃ちまくり……とメチャクチャな話ですw

なんでこんな映画が生まれたのか?っていう素朴な疑問はさておき、まず私は宴会の類いが大嫌いで、集団で呑んで騒いでを楽しいと思ったことが一度も無いもんで、パーティー三昧の日々に憧れたり「このまま時が止まってくれたらいいのに」なんて言ったりする女子大生たちの気持ちが、ほんと1ミリたりとも理解できません。

そんな目的で人様が汗水流して稼いだお金を強奪したり、ギャングに飼われてひたすら無意味にダベって日々を過ごしたり、いよいよ最後にゃ人殺しに興じたりと、あまりに別世界の人間すぎて嫌悪感すら抱けません。ほんと宇宙人か異次元人みたい。

彼女らはしょせん架空の人物ですから、別に無理してまで理解する必要はない。けど、この映画を創った人たちはこの世に実在するワケだから、なんでこんな話を映像化する気になったのか、それで我々に一体なにを伝えたいのか、立派な賞を与えた人たちは一体どこをどう評価したのか、そっちの方が気になって私はパーティーにも行けません。

女子大生4人のうち1人だけ強盗に参加せず、いち早くバカ騒ぎから脱落した子(セレーナ・ゴメス)だけは髪の色も違うし個性が感じられるんだけど、残りの3人はおしなべて言動が同じだしルックスも似てて、まったく見分けがつかない!

それは多分、作者が意図的にそうしてるんですよね。サザンオールスターズの『ミス・ブランニューデイ』みたいなもんで、周りに流されやすい若い子たちを皮肉ってるんでしょうか?

そんな子らが「自分らしく生きるのよ!」とか言って空虚な日々を過ごす姿は、確かに滑稽です。全ての行動、全ての台詞がほんと徹底的に空虚。その空虚さにこそ作者の意図がある。そう言えばWikipediaはこの映画を「アメリカのコメディー映画」とカテゴリー表記してました。

う~ん、そういう事なのかな? だけどPV風のスタイリッシュな映像からは、彼女たちへの深い愛しか感じられないんですよねw

これは将来きっとカルト映画になるだろうって評する批評家がおられたみたいだけど、確かにこの難解さはカルトに値するかも知れません。

若い女の子のオッパイがいっぱい写ってるんですけどね! これほど有難みが感じられないオッパイは生まれて初めてですw
 

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『映像研~』に創作者の真実をみた!

2020-12-27 17:50:03 | アニメーション





 
2020年で私が一番ハマったエンタメ作品は、NHKで放映された30分アニメ『映像研には手を出すな!』全12話でした。

クオリティーが高い、センスがいい、これと似た作品を他に知らない、恋愛要素がいっさい無い、商売っ気を感じさせない(視聴者に媚びてない)、伊藤沙莉さんの声が素晴らしい!等々、惹かれた理由は多々あるんだけど、なんと言ってもエンタメ作品を創りだすことの面白さと難しさと、創ってる人たちの心情をこれほどリアルに描いた作品を、私はこれまで観たことがない。それに尽きると思います。

私がそこに強く惹かれる理由はもちろん、かつて自分も映像作品を創ってたからだけど、自主制作の舞台裏を描いたような作品を私はこれまで、むしろ毛嫌いしてたんですよね。

なぜなら、ちっともリアルじゃなかったから。いや、ドキュメンタリーじゃないから嘘はあっても構わないんだけど、その嘘のつき方が気に食わなかったんですね。

監督を務める主人公は大抵ナイーブでストイックな青年で、クラスのマドンナ的な女の子を撮影しながら「この輝きを永遠にぼくのフィルムに焼きつけるんだ」みたいなことをほざくワケですよw

周りのスタッフ達もみんな真剣で、作品の方向性を巡って議論したり殴り合ったりなんかして、とにかくみんな内面が二枚目なワケです。

んなヤツらはおらんやろぉーっ!!って、私は思っちゃうワケですw

私はかつて自分のチームで監督を務めただけでなく、役者として数多くのチームに参加してました(やたら色んな作品に顔を出すから『自主映画界の大杉漣』と呼ばれたりした)から、アマチュアの制作現場がどんなものか人一倍よく知ってるワケです。

若い連中の創作活動なんて、そんなカッコいいもんじゃ絶対ない。もっと下らなくて自分勝手でドロドロで、とても映画やドラマのネタに出来るようなもんじゃない。

映画やドラマで映像制作の舞台裏を描くってことはつまり、創り手が自分自身を主人公にしてるようなもんですよね? そんなつもりは無くても観る側はそう感じてしまう。

嘘をつくなよ!ってことです。自分を美化して描くほど恥ずかしいことは無いやろ!ってことです。

ところが! 『映像研~』の登場人物たちには、そういうこっ恥ずかしさがいっさい無い! みんな自分の欲望に対してのみ忠実で、友情だの絆だのと嘘臭いことは言わない!(彼女たちは仲間というより同志です)

アニメの制作過程もリアルに描かれてるけど、それより私は登場人物たちのリアルさ、生々しさがとにかく可笑しくて、いとおしくて、もちろんかつての(人生で一番輝いてたであろう時期の)自分自身を投影したりもして、とにかく居心地がよくて何でもない場面で涙が出て来ちゃう。

私と一緒に映画を創ってくれた仲間には感謝してるし、好きだけど、もし自分1人だけで創れるもんならそうしたかった。『映像研~』の主人公=浅草氏もそういうキャラクターです。

そりゃあ自主映画作家も色々ですから、中にはみんなでワイワイ騒ぐのが好きでやってるヤツもいただろうけど、そんなヤツの創った作品は絶対つまんないと私は断言しますw

だってそんなの本気じゃないし、そもそも作品創りとは出産と同じで苦しいものなんです。皆で楽しくワイワイやってて優れた作品が生み出せるワケがない! 

さらに『映像研~』が凄いのは、作品を創るための資金をどうやって調達するか、出来上がった作品をどうやって売り込むかっていう、ビジネスの部分までしっかり(しかもめっぽう面白く)描いてるところ。

私自身にはそういう才覚がまったく無かったもんで、金森氏みたいに優秀なプロデューサーと出逢えたらどんなに良かっただろう? 人生変わってたかも?って、そんなことまで考えちゃう。

そして何より私の心を震わせてくれたのは、浅草氏や水崎氏の飽くなき創作意欲! 先に書いた「自分の欲望に対してのみ忠実」っていうのは、言い換えれば「ピュア」ってことです。

とにかく描きたいものがあって、それを形にしたい欲望に突き動かされ闇雲に突っ走る。私も最初はそうでした。それがいつしか創ること自体が目的になって、その為のネタとして描くものを絞り出すという本末転倒なことになり、やがて枯渇しちゃう。

才能って、普通の人とは違った発想が出来るとか、1つの要素に飛び抜けた力を発揮するとか、そういうイメージがあるけど、実はそれより何より、創作意欲をずっと持ち続けられる事こそが、クリエイターにとって最も必要な才能なんだと、それを失った私はつくづく思い知らされました。

だから、今はそれしか無い浅草氏や水崎氏がとても眩しく見えるし、それを的確に支援してくれる金森氏みたいな存在がいることがもう、羨ましくって羨ましくって仕方がない。

どうやら『映像研~』って、クリエイター筋にすごく支持されてるみたいです。創作者にとって究極の理想郷と、真実がそこにあるからでしょう。そう、決して美化してないことが大きなポイント。

そんなワケで、創作に興味がない人には、もしかすると何も響かない作品なのかも知れません。そういう方が無理して観る必要はないと思います。けど、私みたいにかつて創作に夢中になった方、今まさにやろうとしてる方は絶対観た方がいい。

ただし、実写版の連ドラと映画は観なくて良いと思います。映画の方は観てないけど、連ドラの作者は上記に書いた『映像研~』の魅力、その肝を完全に見誤っており、原作の良さをぶち壊しちゃいました。映画版も同じスタッフみたいだから同様でしょう。

そこはやっぱり、原作のどこが良かったのかを的確に読み取り、さらにバージョンアップさせたアニメ版の監督=湯浅政明さんの「才能」でしょう。本当に羨ましい!
 
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「ふりむけば2020」

2020-12-25 00:20:22 | 日記

☆もう1年を振り返る時期まで来ちゃったのか!と、いま唖然としてます。ほんと年々加速してる気がします。自分が歳を食ったせいもあるだろうけど、それだけとは思えません。季節感の変化(春と秋が無くなり夏と冬だけになってるような)も関係してるかも知れません。

とにかく新型ウイルスに振り回された1年だと、今年ばかりは満場一致で意義を唱える人はいない事でしょう。

ただ、元よりインドア派で休日はだいたい家に籠ってる私、そして飲み会の類いにはいっさい参加しない私は、マスクとアルコール消毒が習慣になったことを除けば、ほとんど影響を受けてない気がします。

仕事は運送業ですから普通に毎日働いてるし、世間じゃ時短とか言ってるけど私の勤務時間はいっさい変わりません。あっ、時短と言えばガソリンスタンドが早く閉まるようになって、唯一それだけ、深夜まで車で仕事してる身としてはかなり困ってます。でもホント、被害を被ったのはそれくらい。

仮に東京オリンピックが中止になっても私はそれほど残念じゃないし、身近に感染者が出ない限りはほんと何も変わらない。

だから個人的にはコロナよりも、前回書いたように親の介護がぐっとヘビーになって来たことの方がすごく大きい。去年までは「大変ですね」と言われても「いや、実はそれほどでも」って返せたけど、今年からは「はい、なかなかです」って言わなきゃならない。

配達先のシェパードに噛まれて大怪我もしたし(今も歯形がくっきり残ってます)、ついこないだも愛車が唐突にお亡くなりになって買い換える羽目になったし(格安中古だけど)、なかなか悲惨な1年だったと言えそうです。

なにか良かったこと、あったかなぁ? ちょっと思いつかないですねぇ……




☆エンタメ関係でも、パッと頭に浮かぶのは訃報ばかり……特に志村けんさん、渡哲也さん、そして宮内淳さんの訃報はショックでした。ほか、訃報以外に何かありましたっけ?

いま気づいたけど、恐ろしいことに今年映画館で観た映画が『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』と『ランボー/ラスト・ブラッド』と『空に住む』のたった3本だけ! マジかっ?!

本当に観たい映画ならコロナだろうが何だろうが足を運びますから、そういう映画が今年は3本しか無かったワケです。公開された本数がコロナで激減したにせよ、たった3本ってのは……我ながらショックです。

今年ハマったTVドラマも『MIU404』の1本だけ! マジかっ?! 多部未華子さんのドラマも『私の家政夫ナギサさん』だけでしたからね。

全てのエンタメの中で今年一番ハマったのは、NHKで放映されたアニメ番組『映像研には手を出すな!』ですね。これは本当に素晴らしかった! まだ観られてない方にはもう一度オススメしておきます。これはホント観た方がいい。(実写版は観なくて大丈夫です)

☆さて、このブログに関しては今年、私自身が以前よりも多少メジャー化を意識するようになった、という変化がありました。

以前はセクシー画像を目玉の1つにしてたもんで、ブログ事務局に通報されたりすると面倒だからメジャー化は考えてませんでした。

が、残念ながらヒマを持て余した事務局員か、あるいはヒマを持て余した通報マニアに眼をつけられてしまい、いくつもの素晴らしい画像や記事の削除を余儀なくされちゃいました。

それでも、どこまでがセーフでどこからがアウトなのか見極めたくて、しばらくは際どい画像をわざと載せてスリルを楽しんでました。

けど、それにも飽きて来たし、セクシー画像のせいでドラマのレビューを読んで頂く機会が減っちゃうのは本末転倒ですから、無難に今回ぐらいの爽やかセミヌード(モデルは実写版『くりぃむレモン』の村石千春さん)で留めておくことにしました。

となると、メジャー化を諦める理由が無くなりますから、どうせならもっとアピールしたい。そんな気持ちになった時にタイミング良くgooブログに新設されたのが(前からあるのに私がスルーしてただけかも知れないけど)「アピール機能」ってヤツで、試しに使ってみました。

これは誰でも常に使えるワケじゃなくて、gooブログの会員にルーレット的に回ってくるチャンス機能で、登録すると全てのgooブログの編集画面で記事を紹介してもらえる。見るのは会員のみだけど、それでもアクセス数が跳ね上がり、「いいね」や「応援」などのリアクションがばんばん入って来る。これはなかなかの快感です。

初めて使ったのは『太陽にほえろ!』の小林千登勢さんゲスト回のレビュー記事だったと思いますが、そこからリアクションの数がぐんと増え、フォロワーさんの数も少しずつながら増えて来ました。gooブログ会員さんでまだ使ってない方がおられるなら、これとハッシュタグ機能を活用すると劇的にアクセス&閲覧数が増えますから超オススメです。

その勢いで「人気ブログランキング」と「にほんブログ村」にもこないだから参加してますが、こっちは効果があるのかどうかイマイチよく分かりません。

とにかく、せっかく手間隙かけてアップするブログですから、もっと沢山の人に読んでもらえるよう今後も工夫していきたいと思ってます。

そんなワケで結局、今の私が心底から楽しめるのはこのブログだけですね。でも、それがあるだけラッキーなのかも知れません。

 

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「2020年最大の愚痴です」

2020-12-23 12:23:27 | 日記

 
関東で独り暮らしをしてる兄と、年末年始の帰省についてメールのやり取りをしました。

「親の介護」の現実について、当事者と外野とじゃこれほど温度差があるのか!と、ちょっと驚愕し、また腹も立ったので、載せてやることにしました。(具体的な地名などは伏せ字にしてあります)

まずは、兄からのメール。


「寒くなりましたね。そちらはコロナ大丈夫ですか?

お母さんの健康状態もあれから変わりないですか?

こちらはなんとか健康を保ってます。

春に緊急事態宣言が出た頃は、しばらくはテレワークしてましたが、夏頃からは自社の○○オフィスに毎日通常出勤しています。

東京の電車はコロナ前と比べればすいてるけど、それでもそこそこ混雑していて、「もう経済活動は止められない」という雰囲気です。

ところで今年の帰省についてですが、今の状況を鑑みると、やはり今回は自粛すべきかなと思ってます。両親も「超」が付く高齢者ですしね。

(ただ、「どうしても顔が見たい」とかの要望があれば帰ることも検討しますが。)

今年の帰省について、そちらはどんな雰囲気ですか?」


で、それに対する私からの返信。


「ご無沙汰してます。お元気そうで何より。僕は今ちょっと咳が出てますが、それは毎年の事なんでコロナではないと信じてます。

帰省に関してですが、現実をそのまま伝えますが、両親にはもはや、正月とか帰省とかいう意識はありません。

特に父さんの幼児化は昨年より更に激しくなっており、残酷なことを言えば兄ちゃんの存在を憶えてるかどうかも怪しいです。

母さんは忘れてるワケじゃないとは思うけど、元より僕ら息子のことには興味が無い人だから、帰省するにせよしないにせよ「あ、そうなん」で済むだろうと思います。哀しいけど、それが現実。

「どうしても顔が見たい」とか、そんなことをあの両親が言うワケないやんって、正直思っちゃいましたm(__)m

かなり長くて重いメールになってしまいますが、どうか最後まで読んでください。

プレッシャーをかけるようで申し訳ないけど、僕はいま地獄を味わってます。

父さんはもう自分で着替えも出来ず、トイレに行くたびに下半身ハダカのままボーッとしてる(自分で脱ぐことは出来るけど穿くことが出来ない)ので、僕がパンツとズボンを穿かせてやらなきゃならず、夜中もそれで何度も起きなきゃいけません。

とにかくおしっこを撒き散らすのでトイレも毎回掃除しないといけないし、廊下のあちこちに便が落ちてたこともありました。

下着も常に尿まみれなので洗濯は毎日、大量にしなくちゃいけません。母さんは全自動洗濯機すら使いこなせず、そもそも自分で動く気力が無くて、今年は病院に行った以外は一歩も外に出てません。当然ながら髪の毛も伸ばしっぱなしで外見がえらいことになってます。

そんなワケで、買い出しも食事の用意も全部僕ひとりの仕事。でも、人には順応する力というものがあり、毎日やってるとそういう事にも慣れてしまうんですよね。しんどいのはしんどいけど、実はそんなに言うほど地獄じゃない。

本当に地獄だと思うのは、ストレスがどんどん溜まって親に対してきつく当たってしまうことです。

以前にも話したけど、介護の基本として「認知症の人に怒ってはいけない」というのがあります。いくら怒ったところで当人には自分が怒られてる理由が理解できず、怖いとか哀しいとか憎いとかいう感情が残ってしまうだけだから、マイナスにしかならない。

それが分かってるにも関わらず、掃除しても洗濯してもすぐに汚されてしまい、例えば僕が四苦八苦しながら父さんにパンツを穿かせてる横で、母さんが知らん顔でミカンを食べてたりすると、どうしてもイライラしてしまう。心底イライラしたら感情のコントロールなど出来やしません。

で、父さんにつらく当たってしまう。いつも僕を信じてくれた父さんにはとても感謝してるし愛情もあるのに、母さんじゃなく父さんに怒鳴ってしまう。手間をかけさせてるのは父さんだから。

で、あとでメチャメチャ後悔するワケです。ああ、また父さんにつらく当たってしまった、本当は父さんが好きなのに、長生きして欲しいのにって。そしてその次に来るのが、俺はなんて冷たい人間なんだ!っていう自己嫌悪。

これこそが親の介護の、本当の地獄なんだって事をいま思い知らされてます。

たぶん、もう介護施設に入ってもらわなきゃいけないレベル(要介護認定は父が2、母が1と出ました)なんだけど、なんとか生活出来てるもんだから踏ん切りがつきません。環境が変わると認知症が余計に悪化するというし、今はコロナの問題もあるし……

でも、来年には決断せざるを得ない時が来ると思います。もう、そこまで来てしまってます。

そういう現実を兄ちゃんにも直に見てもらいたいし、愚痴も聞いて欲しいし、出来れば1日だけ交代して欲しい気持ちもあるんだけど、なにせ今は危険を伴うし、お互い気が重くなるだけだから帰省はやめた方がいいと、僕も思います。

ただ、脅かすつもりは無いけど、いつ、もう二度と会えなくなってもおかしくない年齢と状態なのは確かです。と言いながら10年以上生きるのかも知れないし、こればっかりは分かりません。迷わせたいワケじゃなく、その覚悟だけはしといて下さいってことで。

本当に長くて重いメールになりましたm(__)m とりあえず、施設に入ってもらうと物凄くお金がかかるので、お互いその準備だけはしておきましょう。よろしくお願いします。」


そして、それに対する兄からの返信。


「そっちはそういう現実なんですね。

たいへんそうですが、いずれにしても今年の帰省はやめておきますね。

この前も言ったとおり、今年の春にもらった退職金(まだ使い込んではいないのでw)があるので、いよいよ介護施設に、となった時は経済援助できると思うので、そっちはアテにしておいてください。

今後もお互い、コロナには気を付けましょう。」


以上。注釈すると「退職金」を先に貰える制度があるそうで、兄はまだ働いてます。仕事を辞めてまで手伝って欲しいとは思っておらず(そうすると逆にこっちのストレスが増える気もするし)、ちゃんと経済援助してくれるなら文句はありません。

ただ、このメールには「それだけかよっ?!」「冗談まで書けるその軽さは何?」と思ってしまいました。

とにかくこちらとの温度差が凄まじい。「いつ、もう二度と会えなくなるか分からない」っていう脅しもまったく効いてない。けど、私が逆の立場だったらそんなもんかも?って、同時に思ったりもしました。

兄は例年、年末年始にしか帰って来ず、帰って来ても自室に籠って食事の時ぐらいしかコミュニケーションしないので、介護の実態はまるで知らないし、年1回だけ会ってもろくに会話しない親には、そもそも思い入れが無いんでしょう。

私も実家に戻ってくる前はそんな感じでした。でも自分がやりたいことはやり尽くし、残りの人生をどうしようかと考えた時に、とにかく育ててもらった恩だけは返しておこうと思い立ち、実家に戻ってかれこれ10年以上経ちました。

だから介護はあくまで義務感、使命感でやってるワケだけど、ずっと一緒に住んでたら良くも悪くもいろんな感情が沸いて来ます。もし年に1回しか会わず、会ってもろくに会話しなければ、お金は払うから後は適当にやっといてって気持ちに、たぶん私もなってると思います。

ある意味、とっくに壊れてる家族なんですよね。それを修復しようなんて情熱は無いんだけど、すべて放り出して罪悪感を背負ったまま死にたくはない。

ちょっとカッコつけて言えば、どんなに苦労が伴おうと、親の終末期に寄り添えること、育ててもらった恩を返せることは、何もしないまま訃報を受けるよりよっぽど幸せじゃないかと思います。

その割りにちゃんと寄り添ってないし恩返しも出来てないけど、何もしないよりは絶対マシ。そう考えれば別に腹も立ちません。

ぶっちゃけ、私の介護はかなりの手抜きで、プロの人から見れば何もしてないも同然かも知れません。それでも、何も見ないで終わるよりは絶対マシ。そう思ってます。


 

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