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『特捜最前線』1977~1987

2018-10-08 08:50:11 | 刑事ドラマ HISTORY









 
刑事ドラマ史において、渋いポジションですが非常に重要な作品の1つだと思います。1977年4月から1987年3月まで、テレビ朝日系列の水曜夜10時('85年10月以降は木曜夜9時)枠で全509話が放映されました。

地味ながら10年も続いた人気番組なんですよね。『太陽にほえろ!』以降、それ以外の刑事ドラマで10年のロングランに達したのは、唯一『特捜最前線』だけじゃないでしょうか?(『踊る大捜査線』や『相棒』も長いけど、何度も合間にブランクを挟んでますから、10年以上続いたとは言えません)

遡れば『特別機動捜査隊』という長寿番組があって、その後を受けて『特捜~』がスタート、『太陽~』や『Gメン’75』等と共に刑事ドラマの黄金時代を築き上げ、やがてトレンディードラマの時代が来ても『はぐれ刑事純情派』そして『相棒』へと、地味だけど質の高い刑事ドラマの伝統が継承されてます。

しかし私は放映当時『特捜~』を敬遠してました。正直言えば、ちょっと馬鹿にしてさえいたんです。理由はまず、何度も言うけど地味であったこと。そして刑事役キャストの皆さんのお芝居が硬くて暑苦しかったw まだ子供だった私には、その良さが理解出来なかったんですね。

『太陽にほえろ!』がオールラウンドなポップスなら、『Gメン’75』や『大都会』はとんがったロック、そして『特捜最前線』はコッテコテのド演歌というイメージ。

キャスト達の芝居も、『太陽』チームは石原裕次郎さんが中心なだけあって皆さん自然体でした。対して『特捜』チームのやたら気張った台詞回しや必死の形相は、当時の私の眼には下手っぴぃにしか見えなかったんです。

だけど最近になってCATV等であらためて観てみたら、ものすごく面白いドラマだった事に気づいたんですね。地味に感じたのはリアリズムを追求してたからだし、暑苦しく見えた芝居は、主役の刑事達が常に極限の状況に追い込まれてたから。つまりドラマの内容そのものが、他の刑事物よりハードだったんです。

数年前、家庭教師を斡旋する会社のCMで、二谷英明さんが必死の形相で街を走ったり、男をぶん殴ったりする映像が使われてましたが、それが『特捜最前線』ですw

おそらくあの映像は、プルトニウムを盗んだ男が自作の核爆弾を街のどこかに仕掛けちゃったという『特捜』初期のエピソード(映画『太陽を盗んだ男』より早かった筈です)から引用されたものです。早く犯人を逮捕して爆弾の在処を聞き出さないと、東京が壊滅してしまう。だからあんな形相になってるワケです。

リアリズムを追求してると先に書きましたが、その反面、こういう思い切った内容のストーリーを大真面目に描き切っちゃうのも『特捜』の凄さなんですよね。

かと思えば、大滝秀治さんはテレホンセックス魔と刑事生命を賭けて対決するしw、藤岡弘さんは容疑者を吐かせるためにシャブ漬けにしてしまう! 刑事がシャブ漬けにされちゃう話は他の番組でもやってるけど、その逆は空前絶後ですよね多分w

ちなみにプルトニウム爆弾魔もテレホンセックス魔も、共に西田健さんが演じておられますw

特にテレホンセックス魔の話が絶品で、刑事生命を賭けてまでイタズラ電話を阻止しようとする大滝さんも凄いけど、犯人側も人生を賭けて刑事と対決しますからね! たかがイタズラ電話ですよ?w

犯人の正体を確信した大滝さんは「貴様!『奥さん、テレホンセックスしましょ』って、電話しただろ!?」って詰問するんだけど、証拠が無いから逮捕は出来ない。

するとその夜、被害者の家に電話がかかって来て、大滝さんの声で「奥さん、テレホンセックスしましょ!」ってw 犯人が密かに録音してたワケですね。これで奥さんは発狂しちゃうw というような事をこの人達は毎週、必死の形相で真剣にやってたんです。

また、刑事どうしが激しくぶつかり合うのも『特捜』の特徴でした。『太陽』や『西部』みたいな体育会系の上下関係と違って、上司や先輩のやり方が間違ってると感じれば若手が食ってかかったりもする。実際、課長の二谷さんからして怒りに任せて暴走しちゃう人でしたから、部下も苦労するってもんですw

とにかく熱い! 暑苦しい! でも、それは彼らが常に真剣で、どんな事にでも全身全霊で取り組むからなんです。だから、我々も観る時には姿勢を正さなければなりません。

こういう熱いドラマは、時に笑えるけど、同時に泣けるんですよね。『特捜』は号泣率がハンパじゃない。『太陽』にも泣けるエピソードは少なくないけど、号泣までさせられるのは『特捜』ならではだと思います。

どうですか、観たくなって来ませんか? たぶん私と同じように、ド演歌チックなイメージで食わず嫌いしてた方も多いんじゃないかと思いますが、もし機会があれば騙されたと思って、一度ご覧あれ。

初期には西田敏行さんもレギュラー出演されてますし、藤岡さんはじめ荒木しげる、誠直也、夏夕介といった特撮ヒーロー出身の熱い役者さん達が刑事を演じてられるのも見所です。

だけど一番のオススメはやっぱり、大滝秀治さんです。どんな台詞を喋っても味がある上に、「あんたがオシメを着けてた時から私は刑事をやってんだ!」とか「こちとら伊達や酔狂でアタマ禿げ散らかしてんじゃないんだよ!」とか「昨日のビールも今日のションベン! 変わっちまうもんさっ!」等、数々の名言を残しておられます。関根勤さんのモノマネより面白いですよw

なお、本作は夜10時台の番組だっただけに、セックスが絡む事件もよく描かれ、ヌード描写に関する規制も緩かった印象があります。

加えてストーリーに関係ないお色気サービスもあり、婦警役レギュラーの関谷ますみさんが着替えシーンでロケット・ブラジャー姿を披露されたり、ミニスカートをはけば必ずローアングルで撮影されたり等、スタッフの趣味としか思えない無意味なエロ目線も(私にとっては)大きな見所となってます。
 

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