建て直そう日本・女性塾

「女性塾」は良識的な女性を議員に送り出す学び舎です。このブログは「女性塾」情報を発信いたします。

女性塾第6回研修会報告

2006年08月25日 14時38分19秒 | 研修会報告
               建て直そう日本・女性塾
            第6回研修会:平成18年7月1日 開催
                 於:靖国会館
 テーマ「男女共同参画(ジェンダーイクォーリティー=性別否定)の実態と背景について」
            桜井 裕子氏(ジャーナリスト)
《略歴》
昭和32年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部英文科卒。PHP研究所、PHPエディターズグループ勤務を経て、フリーに。書籍のプロデュースや執筆・制作を手がける。
平成17年より論文を発表、講演活動も行う。主な作品に「猪口さん、ジェンダーフリーの旗を降ろして」(月刊『正論』平成17年12月号)、「フェミニズムの国家侵食を決定的にした朝日報道」(月刊『正論』平成18年5月号)などがある。

[はじめに]
平成11年に施行された「男女共同参画社会基本法」(以下、基本法)という聞きなれない言葉も、7年も経つと違和感を覚える人も少なくなったのでしょうか。この言葉は、国連で使われている「ジェンダー・イクォリティー」の訳語です。まずこの言葉の問題点について整理してまいりましょう。
 男女の生まれながらの身体的な違いは、性別(Sex)です。
 一方、女性学では、「社会的に形成された男女の違い」があるとして、それをジェンダー(Gender)といいます。フェミニストはジェンダー(男女の違い)の解消をめざしています。
 このジェンダーの根本には、男性=支配、女性=被支配の対立構造でとらえるマルクス主義思想があるのです。すなわちジェンダー自体が〝目的つき概念〟なのです。
 その意味に忠実であるならば、ジェンダー・イクォリティーは、本来、「性別否定」と訳すべきでした。それを「男女共同参画」と訳したのは、体制内フェミニストの大沢真理・東大教授です。いわば「性別否定」という過激なイデオロギーが、「男女共同参画」という美名できれいに着飾って基本法として法制化された、という流れを把握していただきたいと思います。
 男女共同参画は、性別否定という言葉に置き換えてみれば、その本質がよくわかります。

[マルクス主義的フェミニズムの侵略]
 アメリカで1960~70年代に吹き荒れたウーマンリブ運動は、その後、同国内で支持を失い、運動家は国連にその活動の場を移しました。1979年12月には、彼女たちの仕掛けた「女子差別撤廃条約」が国連総会で採択されます。
 その第一条には、〈「女子に対する差別」とは性に基づく区別、排除又は制限であって〉と書かれています。つまり「男女の区別も差別」だといっているのです。
 わが国は、中東や旧共産圏に比べて、女性の権利と待遇は非常に高い水準にあり、ことさらにそうした国際条約に署名・批准する必要はありません。外務省は、当時、国内法との整合性がとれないために、批准する目途のない条約には署名しない、との理由で、女子差別撤廃条約の署名も延期する予定でした。
 ところが朝日新聞論説委員・松井やより氏が、朝日新聞一面トップに「政府は、女子差別撤廃条約の署名延期の方針」の記事を書きます。その記事を受けて、国会議員や女性団体が政府や政治家のもとに押しかけて、署名に向けて圧力をかけます。
 その結果、同条約の署名する方向に政府の姿勢が転換します。フェミニストたちにとっては、予想外の大勝利でした。政府が革命思想を受け入れていいの?という意味を込めて、上野千鶴子・東大大学院教授などは、〈おいおい、本気かよ。字が読めなくて署名したんじゃないのかい〉(『ラディカルに語れば…』平凡社)と言っているのです。
 こうしてマルクス主義的フェミニズムは、わが国で市民権を得たのです。94年6月に、男女共同参画室と男女共同参画審議会が設置され、翌年5月から大沢真理氏が加わり、猪口邦子氏も橋本総理に大いにモーションをかけます。
 この経緯は、昨年の月刊『正論』12月号に詳細に述べていますが、橋本総理、野中広務官房長官という支援を受けて、99年に男女共同参画社会基本法が成立し、2001年、省庁削減の行政改革に逆行する形で、男女共同参画室だけが内閣府男女共同参画局に格上げされます。
 男女共同参画局の平成18年度予算は、17年度(10兆6763億円)から半減されましたが、それでも防衛関係費(4兆8千億円)に並ぶ4兆3570億円です。
 
[彼らは何を主張しているか]
①権利の濫用
 彼らは「セックスをする・しない、子供を産む・産まない、中絶する・しない」は女性の権利で、性の自己決定権を高く評価しています。
学校現場では、小学校に入学したときから過激な性教育を行っています。
厚生労働省は、外郭団体を通じて、『思春期のためのラブ&ボディBOOK』を全国の中学生を対象に制作しました。その中では、男女の性交や避妊の方法はリアルに説明していますが、人間としての道徳や守るべき規範、中絶の罪や痛みなどは全く触れていません。
権利の濫用を促す司令塔が、男女共同参画局であり男女共同参画社会基本法なのです。

②個の解放
経済同友会は、平成17年3月に『個人の生活視点から少子化問題を考える』を、そして日本・東京商工会議所は平成18年5月に『少子化問題に関する提言』を発表しました。これらは同工異曲で、伝統的家庭を否定し、事実婚・婚外子・夫婦別姓を容認、促進することが少子化対策の切り札になると主張しています。
フェミニストは、社会の構成単位を家庭から個人にしようと画策しています。しかし家庭は、国家や社会の秩序を保つ上で、もっとも大切なものです。子供にとっては、家庭という愛情溢れる安定した環境が必要不可欠といえましょう。
また、個の解放は、性の解放につながり、過激な性教育と相俟って青少年の淪落を招いています。
今井博久助教授(旭川医大)が高校生3,200人を調査したところ(2004年12月5日付、産経新聞)性体験があると答えたのは、男子35.8%、女子47.3%で、クラミジアに感染した女子(16歳)は23.5%でこれは欧米先進国の10倍に上ります。
日本青少年研究所の調査(2003年9~10月)では、「結婚前は純潔を守るべき」と答えた高校生は、米国(男47.5%、女55.9%)、中国(男72.9%、女76.5%)に比べて、日本は男40.9%、女29.2%ですから、女子高生の7割は婚前交渉を認めています。これでは、妊娠しても、父親が分からない危険も出てきます。
わが国の若者は性道徳の頽廃とともに、帰属意識も低下しています。国旗・国歌を誇らしいと感じる若者は1割程度です。個の開放は、急速に若者に道徳的頽廃を招いています。

③男女の「違い」を「差別」とする(「らしさ」の否定・性別役割分担の否定)
フェミニストは、男女は支配・被支配の関係にあるとしているので、その解消のためには「性別による違いをなくすこと」が必要だとしています。男らしさ・女らしさを否定し、父性・母性も育児性として、性別役割分担を敵視しています。
すでに、配偶者控除などを撤廃する税制面での見直しも進められています。
自治体の広報誌でも、男女の役割分担を暗示するようなスナップ等は排除されています。
また教育現場では、日教組は性別否定のシンボルとして男女混合名簿を導入しています。これは身体検査や体育・水泳などの同室着替え、合宿での同室宿泊にもつながっています。
小さい頃から、「男らしさ・女らしさはよくない」として育てられたために、「女らしくすべきだ」と思う女子高生は22.5%、「男らしくすべきだ」と思う男子高校生は49.2%で、米・中と比較しても大きく下回っています。はたして、「ふしだらな女性と腑抜けた男性が増えることで、果たして結婚したいと思うでしょうか?」と、フェミニストの猪口大臣にお伺いしたいところです。

[日本再生への処方箋]
戦後、〝修身〟は「軍国主義」のレッテルを貼られて徹底して排除されてきました。しかし、これほど美しい言葉があるでしょうか。人間としてどう生きるべきか、を教えることは教育の根幹をなすものです。
わが国が近代国家として歩みだしたとき、明治天皇は学校をご巡幸されて、子供たちの教育に関して「偉人伝」を教えるようにご提案なさいます。実在の人物を通して、修身を教えることの大切さを示されたのでした。
皆様の中で、「浜口梧陵」という名前をご存じの方はいらっしゃいますか? 浜口氏は、江戸末期の安政大地震の折、現在の和歌山県広川村で大津波を体験します。
村人を津波から救出する作業の陣頭指揮に立つと同時に、資財を投じて立派な防波堤を築きます。それが、約100年後、昭和21年の大津波の時に、村を救います。
この浜口氏は、昭和22年まで国語教科書に載った『稲むらの火』のモデルになります。
これには後日談があります。明治になって、日本人青年がイギリスのJapan Societyで流暢な英語で「明治期の傑出した日本女性」について講演します。
講演後、参加していたイギリス人女性が質問に立ちます。「私は、ラフカディオ・ハーンの『生ける神』という物語を読んだ。そこには、津波から村人を救った知恵と勇気に溢れる日本人・浜口梧陵が描かれていた。貴方は同じ苗字だが、何か関係があるのですか」というものでした。
その質問に、急に、講演した青年は、感極まって言葉が発せなくなりました。彼は、浜口梧陵の息子・担氏だったのです。地球の裏側で父の名前を聞いて、感激したのでした。
その『稲むらの火』は、英語、タイ語、シンハラ語などに翻訳されて、世界各国で出版され、紙芝居になって親しまれています。しかし、日本の子供たちは、この物語を知りません。
また90年ほど前、西条八十、芥川龍之介などの文人が集って、『赤い鳥』運動がおきました。これは子供たちが学ぶ唱歌や物語はもっと美しく、情緒的であるべきだという運動で、多くの名曲や作品がつくられました。「赤とんぼ」「早春賦」「浜辺の歌」「待ちぼうけ」すべてこの運動から生まれたものです。
これらの作品は、わが国の子供たちの情操・情緒の育成に貢献してきました。最高の文学的レベルにあるこうした作品を、今後も守り伝えていかなければなりません。

[男女共同参画社会条例は、いりません]
日本全国、津々浦々で、男女共同参画社会条例がつくられています。その中で、ほとんどすべての条例が謳っているのが、「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」です。
これは、言い換えれば、自分たちのマルクス主義をルーツに根ざした思想で、わが国の伝統と文化、家庭に革命を起こそうということです。人々の意識から日本を破壊しようとする男女参画社会基本法の本質がここに現れています。
具体的には、性別役割分担を否定し、夫婦別姓の推進を主張しています。しかし、内閣府の調査でも、夫婦別姓を希望している人は全体の6~7%に過ぎません。
また、家事をアンペイド・ワーク(無償労働)として、社会で働く有償労働の下に位置づけて、それに経済的評価を与えるように促しています。しかし、家事・炊事は、お金に換算しないから価値があるのではないでしょうか。何でも貨幣価値で計らないと気がすまない、という卑しい条例です。
また「仕事と家庭の両立支援」という目標は、子育てのアウトソーシング(外注・人任せ)と保育時間の安易な延長につながっています。

「男女共同参画」は、「性別否定」と置き換えれば、その本質がとてもよくわかります。私たちは、この革命思想によって日本の伝統・文化・社会・家庭が破壊され、人倫・道徳が頽廃していくことを食い止めなければなりません。
男女共同参画社会基本法の本質を見抜いて、その廃棄が私たちの願いであるという意思表示をしてまいりましょう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。