少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

小さいコトが気になります

2021-02-27 08:00:00 | 読書ブログ
小さいコトが気になります(益田ミリ/筑摩書房)

この人を最初に認知したのは、朝日新聞のエッセーの連載。その後、本屋で作品を見かけるようになった。

最初に買ったのは、『47都道府県女ひとりで行ってみよう』の文庫版。まだ現役のころ、東京出張の帰りの航空便で、時間つぶしの軽い読み物として手に入れた。

その中の香川県の章を読んでいると、飛行機から富士山頂が思わぬ角度で見えた、と書いてあって、ふと窓の外を見ると、その思わぬ角度の富士山が、見えた。

そんな縁もあって(?)、その後、長い間に、図書館で漫画やらエッセーを借りて、少しずつ読んできた。漫画家の方がエッセーを書いていると思っていたが、本来はイラストレーターで、その後、エッセーを書き、漫画も描くようになった、とのこと。

紹介する本は、日常の中で少し気になることを題材に、あれこれと考察する内容で、すべての章のタイトルは、「〇〇の確認」となっている。この人の代表作、とはいえないのかもしれないが、いかにもこの人らしいエッセーではある。多分、女性ファンが多いのだろうが、男性ながら私も一応、その一員だと思っている。

一人称単数

2021-02-20 09:00:00 | 読書ブログ
一人称単数(村上春樹/文芸春秋)

タイトルのとおり、一人称単数で書かれた短編集。

個人的な印象に過ぎないが、村上氏が数々の中長編を構想する中で、物語にぴたりと嵌まらなかったパーツを、短編に仕立て上げたような作品が並んでいる。だから、初期三部作や、『ウイーンの森』のような香りをまとった作品があるし、『東京奇譚』に収めたいような作品もある。(そのものずばりの『品川猿』もある。)

私はハルキストではないし、何冊読んでも、『風の歌を聴け』が一番好きだと思っているから、彼の作品を論じる資格はないと思っている。改めて古い文庫を読んでみると、独特の文体も、物語の深みも、最近の作品のほうが優れているとは思うが、そもそも『騎士団長殺し』を再読することはない。

田舎町の図書館でも、彼の作品はすぐに仕入れるし、田舎のことだから、結構早く借りられる。というわけで、実は彼の作品をほとんど読んでいる。『村上T』だって読んだ。愛読者というよりは、優れた文学者としてリスペクトし、読書人としての義務で読んでいる、という感じ。

もちろん、そのたびに十分楽しませてもらっている。

硝子の魔術師/真実の魔術師

2021-02-13 08:00:00 | 読書ブログ
硝子の魔術師/真実の魔術師(チャーリー・N・ホームバーグ/ハヤカワ文庫)

先々週に紹介した『紙の魔術師』の続編。三部作のうち、残りの第二部、第三部をまとめて紹介します。
まとめて紹介するのは、それなりの理由があるのですが、それを説明するのは、何かと支障があるので省略します。

まず、硝子の魔術師の得意技は、鏡から鏡へと通り抜けて、「どこでもドア」を利用できること。第二部では、敵も味方も、この技を駆使します。

第三部の『真実の魔術師』ですが、原題は『The master magician』。その意味合いを説明するのも省略します。

いずれにしても、第一部で描かれたロマンスの要素は、それなりの進展があります。もちろん、R規制がかからない範囲で。

危険を顧みず、自分の判断だけで勝手に行動する、という主人公の特性は、ますますエスカレートします。ハリーポッターにおけるスナイプ先生のような人物も登場します。

そして、読み終えての総合評価をいえば、読むに値する、といわざるを得ません。

続編の三部作も出ているようですが、翻訳物は邦訳で出版されるかどうかという不確定要素があります。(これまでも何度か期待を裏切られた。)

まあ、気長に待つしかないですね。



知りたい!ネコごころ

2021-02-06 15:20:34 | 読書ブログ
知りたい!ネコごころ(高木佐保/岩波書店)

猫に関する書物ですが、単にネコを擬人化してその魅力を訴えるのではなく、動物心理学の解説書という、本格的な科学解説書です。

取り上げているテーマは、

ネコはエピソード記憶を持つのか
ネコに推理能力はあるのか
ネコは飼い主を認知しているのか

など。これらの疑問に対して、サイエンスの技法を用いて検証しています。

かといって、決して読みにくくはなく、実験といっても、ネコカフェや家ネコを訪問して、所定の動作を繰り返すだけの、ほほえましい内容です。

すべてのネコ好きと、サイエンスに興味のある人にお勧めの一冊です。ボリュームも少なく、あっという間に読むことができます。



ちなみに、うちのネコは18歳のおじいさん。アゼルという、RPGの主人公のような名前です。