少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

重力のからくり

2024-03-29 21:19:22 | 読書ブログ
重力のからくり(山田克哉/BLUE BACKS)

この著者はブルーバックスで「からくり」シリーズをいくつか出している。

一冊くらいは読んでみようかなと思い、どうしても重力と量子力学の折り合いが気になる、ということもあり、本書を手にした。

ニュートン力学の丁寧な解説から始まり、質量の保存、エネルギーの保存、電荷の保存則へと進んでいく。そして、量子力学の黎明期に注目を浴びた黒体放射に関する考察から、真空のゼロ点エネルギーが導かれる。

真空エネルギーは、ダークエネルギーの有力候補と考えられているようだが、現時点では、まだ断言することはできない、とのこと。

最後に一般相対性理論の方程式の説明がある。アインシュタインがつけ足した後で後悔し、しかし実は正しかった宇宙項の正体は、ダークエネルギーであることが示される。しかし、観測されたダークエネルギーの密度は、真空のゼロ点エネルギーに比べると、圧倒的に小さい。

その謎の解明には、結局、重力量子理論の完成を待つしかない、ということのようだ。

全体として、これまでに得た知識をなぞる内容ではあったが、一番の収穫は、ニュートン力学の偉大さを確認できたことだろうか。その原理は、数学的には高校レベルでついていけるはずだが、物理的な意味をきちんと理解していたわけではなかったことを、思い知らされた。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿