初出勤！

ゆうバクダン。

高校生になった4月。


ある日帰ってきて急に


「ママ？あたし、来週からバイトするから。」

「はぁっ？？？何で？？？どこで？？？」

「コンビニ。ライブ行きたいけどお金ないし。」



「はぁ？？？勉強もあるのにバイトなんかしてて大丈夫なのか？？？」

「大丈夫でしょ。」

「うーん……。ってかアンタ、学校バイトいいの？何かに書いてたよ？」

「え？大丈夫よ？」

「いや、入学の時の説明会で何か言ってたよ？！」


二人で資料を覗きこむ。


一年生はバイトは夏休みから可、とな。


「ほらーっ！！！」

「ホントだ……。」


来週からは行けませんと謝りに行き、では夏休みから、と言われた日が今日。


ってか遊びに行くのかと思って

「どこ行くのー？」

と聞いたら

「バイト。」

「えっ？？？今日から？？？」

その時に初めて知るって……。


ハハの方が緊張！


「あんた、大丈夫？？？ちゃんと挨拶はハキハキすんだよ？？？」

「分かった。」

「ミスしたらいけないよ？会社のお金だからね？？？」

「分かった……。」

娘の緊張を更にあおるハハの緊張。

タチが悪い。


火打ち石でもかましたい位の思いで娘を送り出し、職業訓練の時のように見に行きたい、でもまだ行っちゃあいけない、店長さんにご挨拶に行かなくちゃ、いや、まだ今日じゃない……などと思いを巡らせてたら帰ってきた！

「どうだった？？？何した？？？忙しかった？？？できた？？？」


矢継ぎ早に質問攻めのハハに初出勤でグッタリの娘は、

「研修でレジしたー、できたー、お客さん結構きたー」


分からないこと過ぎて、まだまだ聞きたいことあるけど我慢。

娘が学校ではない、誰にも守られることない社会に飛び出していきました。


この前、小児科に行って、ちっちゃかった頃を思い出してたばかりなのに、本当に大きくなったな。



……やっぱり心配だから、近々、変装して見に行こう。

カマイタチ

バクダン達も早く帰ってきたから、じいちゃんちに行こう！ってことになった。

ワイワイ押し掛けて、

「どう？痒みは？尿もれはー？」

と矢継ぎ早に質問をぶつけ、



「さぁ！ご飯食べに行こう！」


ってなったら、じぃちゃん


「おれは行かんぞー。お前ら行ってこいー！」


「じぃちゃんも一緒に行こうやー！」


口々に言うけど、あんまり外食好きじゃないじぃちゃん、


「おれはゆっくり食うからお前ら行ってこいー！いっぱい食うんだぞー。」



……。……。……。


？？？


滞在時間15分くらいでまぁちゃんと四人で焼き肉食べに行きました……。


かまいたち。


台風一過……いや、
台風一家……。


みんなで行けばよかったのにー。


次はじぃちゃんも行こうねー。

おいーっ！！！

世の中 夏休みですね。

うちは、ゆうバクダン補習、いや、バカだから、ではなく、全員が登校。

じゃあ夏休みって言うなよ、と思うが、ゆとり教育の歪みなのか、今は県下の進学校、と言われる所は、土曜日も含め、あるらしい。


こうバクダン。


いろいろな事件があり、静かにキレて、うっとおしい女子を口でシメて体育祭の応援団になった。

また機会があれば。


その練習のために、二人ともお昼までではあるが、登校。


今日。

先に帰ってきたこう、


「ママ！なんか自転車にぶら下げられてるよっ！」


「？？？ラブレター……？……何？」


「何か、警察みたいなの！ここに置いたらいけないみたいの！」


「……はぁ？？？今さら？？？毎日置いてるわ。」



夕方になってどうしてもビールが飲みたくなくて散歩がてらゆうバクダンとコンビニに酎ハイを買いに行くついでにやっと見た。




へぇー……。


分かったぁ……。



あたしとゆうの自転車のをピッとちぎって散歩に行きました。


……。


ってかぁ！


あたしのチャリ、ライト盗まれた！！！


ちょっと前に鍵が壊れてて買おうと思ってたら二日後に盗まれて……そして次の日に却ってきた！！！


レンタサイクルか？？？！！！

って怒りは……書いてなかったな。


放置自転車では決してない！！！


そこは……見てはくれないか。

娘へのお願い。

夜19時になって。

ゆうバクダンがKEYTALKのライブのチケットが当選したとかで

「今日の9時までに振り込まなくちゃいけないから今からファミマに行ってくるー。」

と言い出した。


「何でもっと早く明るいうちに行かないんだ。」

「雨すごかったもんー。」

「じゃあついでに酎ハイ買ってきて。」

「はぁっ？！」

「今日はビールがすすまない。」

「無理って。」

「？ライムがいい。」

「無理よぉ。」

「？レモンでもいい。」

「買えない」

「？酎ハイよ？500の。」

「買えないって。」

「知らない？？？見たことあるだろ？」

「分かるけど買えないって！」

「……？……何で？……あーねー！……大丈夫よー！制服でもないのに。」

「買えないって！！！」

「……ライム……」




昔は普通にスーパーでビールも酎ハイもタバコも買ってたよ？

まぁ、制服ではないけど。


酎ハイ買うのに免許証見せるとか、ハワイでもないのにしないだろ？

聞かれたら「24歳です。若く見えるでしょ？てヘ。」くらいに言えば済む話だと思うが？

しかもアンタ、演劇部だろ？


もし捕まったら

「意地悪な継母が……」

くらいに言って泣いてみろ。



身柄は引き取りに行ってやる。

意地悪なママハハの演技賞とれる自信はあるのにな。


小難しい世の中だ。

かんでやろうか？

あたしからバクダン達に移った風邪はひどく、とうとうゆうバクダンが学校を休みました。


昔から行ってる小児科へ。

そう、小児科。


だって何年か前に行った時、先生に

「この人、いつまでここに来てもいいんですかねぇ？」

って聞いたら

「いつまででもいいよぉ。」

と言ってもらっていたから。


先生も当番制で、いつもの先生じゃないと思って行ったら、変更があったようで、小さい頃からお世話になってた大好きなその先生だった。



普通に待合室で待ってると、周りは予防接種のためなのか、生後半年くらいの赤ちゃんばかり。

「あんたもあんなにちっちゃかったんだよぉ……。かわいかったなぁ……。」

と思い出話をしていてふと気付く。


前回はせめて中学生だから構わなかっただけで、今コイツは高校生だ……。

いくらなんでも小児科は……と考えていたら呼ばれたので


「先生ー、小児科でよかったんですかねぇ……？」

と言いながら入って行ったら

「いいよぉ。」

と迎え入れてくれた。


鼻詰まりのゆうを見てティッシュの箱を出しながら

「鼻かみなさい……」

「はーい」

とチーンと鼻をかむゆうを見ながら


「ちっちゃい時は俺の膝の上で鼻かんでやってたのになぁ……」

と先生。


そう。

その昔、まだ２歳くらいだっただろうか。

先生が大好きで、呼ばれたら飛んでいって、あたしが入って行くと先生の膝にチョンと座り鼻をかんでもらったり、診察が終わったら貰えるシールを選んだりしてた。

それが今では先生の膝に座ると重くて先生、膝痛いくらいに大きくなった。

「もう高校生かぁ……。おっきくなったなぁ……。もっとかみなさい。チーンてしてやろうか？」

「いいっ！！！」


もう15年前かぁ。

白髪混じりになった先生とすっかりフォルムの変わった自分にも感慨深い。


「こう君も中３かぁ。デカくなったんだろうなぁ。」

「あたし、背追い越されましたよー。」

「そうかぁ。あの子はちっさかったのになぁ……」


ゲラゲラ笑いながら、お久しぶりの楽しい受診でした。



家に帰ってこうバクダンに先生に会ったことを言うと


「オレも病院連れてってくれやぁっ！先生に会いたい！！！」

と鼻をビャービャーかみながら。


治らなかったら連れてってやろうっと。

先生、驚くだろうな。