その後、アカメの捕食音もパーン!パーン!!!と聞こえてきた。
「こわっ!来たらどうするー???」
「揚げれるかなぁ……」
と二人でワクワクしてると
……?……??……???
「エッ!アッ!!!ハーッ!!!アッ!!!エーッ!!!」
???人の声???
隣の堤防の先に人がいるけど……???
そこの小さな港はカタカナのヨの字が2つ並んだような形をしていて隣の堤防までそんなに遠くない。
人がいるのは分かる。
そして、声???
静かな港だから響く。
「何???あの人が言ってるの???」
「そうみたいだな……」
「何で?????」
「分からん……気合いか???」
「じゃああたし達も言おうよっ!エッアッ……」
「ルアーの巻き方のカウント取ってるのか?」
「カウントなんてスティックで取るもんだっ!ってか、PAさんじゃない?そろそろワンツーって言い出すよ。」
そう。
フェスとかでアーティスト出て来る前の音合わせの
「エッエッ!ワンツーアッアッ!」
みたいな声。
でも不規則。
二人でヒソヒソ喋ってる間も
「ハッエッウッ!!!」
ずっと声は薄暗い港に響いてる。
「まさか、あたし達に気付いてない?」
「ライト着けてるのに気付いてないはずない。」
「じゃあ余計おかしいじゃん!!!」
遂には二人でそっち向いて座り込み、ガン見。
「おっさんか?」
「若い精神的に何かの人かなぁ……」
「そんなんが釣りに来るか???」
「在宅の人いっぱいいるよぉ。夜だから出てくるとか……」
「……」
そしたらその人にヒット!!!
「デカイ!!!」
こっちから見ても跳ねる音が凄い。
「アカメか?シーバスか???」
と見てた。
「あなた、タモ手伝ってあげればいいじゃん!」
「それでヘタしてバラしたら怖いだろ???」
「あなたボクシング部じゃん!!!」
ヒャーヒャーヒソヒソしてたら揚げた。
街灯の下でチラッと見えたのは70くらいのシーバスかなー?
「デカイー。ってか、揚げる間はアレ言わなかったねー。」
「あの時ファイトしてたんじゃないか?」
「ファイトであの声???気が抜けるわっ!」
「気合いの入れ方は人それぞれだ」
「そうかなー?」
そうじゃなかった。
また次投げながらエッアッってすぐ言い出したから。
そうこうしてると誰かと話しだした。
「一人じゃなかったんだな。」
「ってか、友達いてもあの声って……」
「友達も止めないんだな」
いいや、友達じゃなかった。
電話だった。
しかも、敬語で。
「普通に喋れるんだな。」
「焼肉屋さんの予約してます、だって。その焼肉屋さん、行ってみる?」
その後も声は響き続け、あたし達は魚釣りにきてる事も忘れ座り込み、軽く30分はガン見しながらその人のエッ!アー!!!を聞き続けた。
本当に何だったんだろう???
ボイルがかっこいいから、こうバクダン連れてって見せてやろうと思ってたけど、あのエッアーが来たら怖いよ。
ってか、ちょっと行かない間に来はじめたのか、今までたまたま会わなかったのか、本当に何なの???
昼間は普通に会社で働き、夜は……。
人って分からない……。
お心当たりのある方、
是非ご一報を!!!