実際尋ねてくる青年の多くのうちの一人に東京出身の石谷啓太さんがいる。彼は5年ほど前、行く先は決まってないが住民ディレクター活動を派遣される海外の発展途上国(ここでは一応この用語を使う)で普及したいと考え、熊本にやってきた。1泊2日の強行軍だったが、日本を離れる前に2回やってきた。
確か一回目はとことん住民ディレクターの発想、行き着くところ、総合プロデューサーを目指しているのでコンセプトが間違いないことを伝えた。2回目はまさに実戦講座だ。当時、今HPで紹介している衛星放送「南の國から」を人吉球磨地域で収録していたのでその現場にいきなり放り込んだ。初めてだったようだが、いきなり大きなマイクをもち、ヘッドフォンをして15分番組の音声係りを果たした石谷君はますます確信したようだった。
数ヵ月後、彼は中米のエルサルバドルに派遣され、2年間住民ディレクター指導?をやり、帰国後も再々東京や熊本で会いながら、現座に到っている。石谷君の後任も派遣されたり、鹿児島や東京など各地の若者がいわゆる発展途上国に向かった。詳述は別の機会にするが、何か社会に貢献する仕事をしたいと願う青年は急激に増えている感じがしている。
そこで、再度言いたいのは青年たちよ、活躍の場は海外だけでなく日本にもいっぱいあるぞ!ということである。行政関係者にもしっかりと聞いてもらいたい。最近は予算減少と青年の希望者増加で(多分そうだろうと思う。推察です。)希望通り海外に出れない青年が増えている。その青年たちがたとえば山江村、たとえば兵庫の但馬、福岡の東峰村・・・、たまたま山の中が多いが、全国にあまたある過疎地域に数年間在住することが青年の将来にも、地域で活性化を目指し、四苦八苦している中年や高齢者の皆さんにも大変喜ばれるはずだ。高齢化率50パーセント以上と定義される限界集落はなんと、日本に3000以上ある。若い人がいなくなっているので、歓迎もされるはずだ。しかし、勿論それほど甘くはない。甘くはない現実を体感し、地域の人々と共感できるまで住むと日本だけでなく世界中のどこへ行っても十分役立つ人間になっているはずだ。
最近、このような話をする機会が多いが、ここでもやはり、お金の問題は中心だ。協力隊は少なくとも赴任の間は給料(名称は違う?)がある。しかし、山江村に雇うゆとりはない・・・?!本当なのかどうかはかなり疑わしいが、一応そういうことになっている。ここで、行政関係の皆さんに知恵を出してもらいたいのだ。何かうまくやれば予算はひねり出せるでしょう?山江村なら月に12万円あれば当面の生活はできるし、来る青年は山ほどいると思う。私が連れてきてもいい。
そして、山、川、田んぼ、畑の仕事をしながら、住民ディレクターとして活躍してもらう。指導は総務省でやる、農林省でやる、林業で問題になった金の何百分の一の予算をまわしてもらうだけでいい。
この話は具体的にできるまで構想はあるので、ぜひ一度国の機関で、都道府県の機関で実施を前提にやりたい。
青年は荒野を目指すし、かつての青年のごく一部はまだ荒野を目指している、団塊の先輩たちはどうですか?楽しみの農業?!なんて皆さんの世代ではなかったでしょう?いつも紹介する山江村の松本佳久さんは30年近く、完全無農薬の米作りをしてきました。去年は何とか全部売れたそうですが、今年は雑草が覆い繁っているそうです。理由はいろいろあると思いますが、少なくとも松本さんの農業は、まず知り合いの高齢者の田んぼを次々と手伝い、または自分が請け負い、終わってから自分のたんぼをやります。だからあえて村内のほかの農家とは違う品種を植えます。刈り取りが最後になること、他者(ひと)より必ず1週間ほど遅れるからその頃にいい品種を育てるそうです。
「青年は荒野を目指す。」今も昔も変わらないこの方向は今も昔も変わらぬ少人数で引き継がれている大事な志です。 私も、明日で54歳を迎えますが、その中年の一人であり、じいいさんになってもそうありたいと共感するお仲間が山ほどいます。
*写真は石谷さんと山江村の松本さん(元青年海外協力隊)
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