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岸本晃の住民プロデューサーNEWS

光る海と光る人、応援団の心得

 海士町の二日目。まだここに来て2回目5日間ぐらいだが、若い役場職員の二人を中心にじわりじわりと住民ディレクター仲間が増えてきている。今日は山岡、山下(研修生)二人の職員と住民ディレクターの新規開拓をした。若手職員が真剣に町の将来を思う素直な気持ちを聞いていると改めて我々応援団がすべきことを考えさせられる。応援団はやはり応援団だ。町の人々のことを考え有効な手立てを主体的に実践していくのは彼らだ。彼らが本当にやりやすい環境を作るお手伝いをすること以外に応援団の仕事はない。10数年前、熊本県がまだ98市町村もあった時、全市町村を2周半したがその時に発見したことは実質的な面で実践している人は少数派で孤立していた。そこで私が隣の町村に同じ人がいることを伝え、奮闘する起爆剤のようなことにつながっていた。孤立している理由はやはり現場が知られてないことが多かった。
 私自身がそうだった。17,8年前からこのような住民活動を考え、市町村が真に自律し、自立するのは地域の根本的な課題を地域住民自らが発見し、自らに解決能力をもたなければ成らないとの結論に到った。そこで考えたのが住民自身が企画し制作する番組作りだ。当時はまだまだ今のようなデジタルビデオカメラはなかったのでテレビ局のカメラと8ミリビデオで実行した。この番組をやっているうちに気付いたのは応援しようとする我々自身が地域住民から「仲間」と認められないと始まらないということだった。きちんとお付き合いができるかどうかだった。地域によっては長老とも時にはケンカすることもあったし、町の論客と朝まで語り合い、ねじ伏せるという荒っぽいこともやったが、いつも気持ちは同じ土俵にたって向かうということだった。だから制作費も市町村から出してもらう同じ額をテレビ局も負担する仕組みでやった。こちらも好きなことを言うが、地元の人たちも同じ額を出しているので「言いたいことは言ってもらおう」、という発想だ。逆に地域からお金をもらうがテレビ局も出すので「言いたいことは言うぞ」というこちらの意思表示でもあった。この番組作りがすべて今の住民ディレクター活動の元になっている。しかし、この経験でまたわかったことは孤立していた少数派住民と同じ立場に自分がなっていたということだった。いつも会社にいない。会社にいてもいつも誰かが訪ねてきてワイワイガヤガヤしゃべっている。やたら出張が多い。日本テレビにいったらしばらく帰ってこない。・・・などなど。勿論こちらとしては日テレのプロデューサーともとことん付き合ってるし、いろんな人が訪ねてくれることで地域のニュースも向こうから持ってきてくれるので大いに貢献しているのだが結果的には「好きなことばかりしている」になる。
 一方で局では「地域密着」を謳い、「地元のテレビです」を看板に上げようとする。ちょっと地域を回ったからといってすっかり地域密着をしている気になっている若手の局員を見ていると恥かしかった。しかも、地元を「ネタにしている」ひとたちがテレビ画面では真剣そうな表情で地域の過疎問題を語っている。終わったら終わりだ。(番組が終わったら、自分の中には過疎問題などは残っていない)テレビ局で孤立しつつもこの性格だから多くの局員の応援団はいたし、何より地域の応援団がゆっくりだが確実に増えた。
 私がテレビ局を辞めた時は近くの駐車場を借り、バーベキュー方式で祝賀会?!が開かれ、海からはブリやタコ、山からは赤牛、町からはしゃれたサラダなどが各地から持ち込まれ焼酎で新しいスタートを祝ってもらった。このときに集まってくれた人は熊本県各地から250人にものぼった。すでに私は決して孤立してなかった。各地の住民の皆さんもこの日から横のネットワークが始まった。山江村の松本さんもこの日あのニコニコ顔で参加してくれていた。海士の海がキラキラきれいに光っている。天橋立では虹が出た。地域の魅力はこのひとつひとつの自然の力とここに生まれ住み、この地を守ってきた住民の皆さんの笑顔だ。海士ではよそから来た多くの参入者もいる。しっかりと根を下ろしてがんばっている人は地元の人以上に海士を愛しているようだ。出会いが楽しい。そろそろ朝食の時間になった。

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