豆トラで荒野を耕すこと数回。そのたびに瓦礫やら雑草の根っこやらが後から後からゾクゾクと出てくる。ご主人様は這いつくばってそれを拾い集め、空き地の端に積んでいった。その日の掘り起こし作業は日暮れまで続いた。
だがしかし、作業した面積は空き地のほんの一部である。空き地全体の5分の1程度(25平米)にすぎない。前途は多難である。
ご主人様は疲労困憊の様子であったが、拙者がシッポを一生懸命振ってあげると、少し元気が出てきたらしく、夕方の散歩に連れて行ってくれた。散歩の途中でご主人様は自分に言い聞かせるように言った。
「ロシアのことわざに『遠くまで行きたければ、ゆっくりと行きなさい。ゆっくりと一歩一歩歩いて行けば、やがて目的地に着くことができる』というのがあるぞ。あの広大で極寒の大地を旅した民族の戒めだ。なかなか味わいのある言葉だな・・・・、なあクロちゃん」
「ワン!」
ご主人様はロシアにもいたことがあるらしい。中東アラブとアメリカとロシアか・・・・、少しばかりタダモノでない気配が漂い始めたぞ。気を付けなければならぬ・・・・
芝庭プロジェクト作業二日目、ご主人様は車で15分の所にあるコメリへ芝を買いに行った。コメリは農村部を中心に農業用資材や日曜雑貨などを売っている大型スーパーで、ご主人様などにとっては誠に便利で有難いお店だ。本社は新潟にあるらしく、同郷のご主人様は陰ながら応援しているらしい。
店内に入って芝はどこにあるかと探しているご主人様の目に、「在庫処分、半額セール」という看板文字が飛び込んできた。その看板は芝がうず高く積まれているその前にぶら下がっているのだ。
ご主人様は欣喜雀躍し、大急ぎで台車を取りに行き、その有難い芝を買い占める勢いで、大型台車に積んでいったのであった。
続く・・・・・・
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