あけぼの丸の乗組員10人は、真っ暗な荒海に投げ出された。
9月中旬の北の海の水は、既に冬の冷さだった。
その冷たい海の荒波に飲み込まれまいと、仲間達は転覆した船に必死でしがみついた。
だが、しがみついている手がかじかんできて、次第に指の感覚がなくなってくる。
陸の方を見ると、波のうねりのかなたに、灯台の明かりが小さく見えた。
「おい、俺はあの灯台まで泳いで行くぞ」
仲間の一人は、そう云うと、船から手を離して荒海の中に身を入れた。
それにつられて、他の男がもう一人、
「俺も行くぞ!」
と叫んで、後を追った。
《いくら泳ぎに自信があっても、この荒波の中を泳ぐのは無謀だ》
二人が暗い海に消えた時、耕一はそう思った。そして、
《死んでもこの船から身体を離さないぞ!》
と、船のロープを、しびれる手で必死に自分の身体に巻きつけた。
耕一が幸運だったのは、船から脱出する時に、係留用ロープが手に引っかかったことであった。
無我夢中でそのロープにしがみついたことにより、耕一は波に飲まれずにすんだのだった。
耕一の近くで、ロープにしがみついている男がもう一人いた。
「台風が来た!」
と、真っ青な顔で機関室に駆け込んできた正一だった。
真面目で良く働く若い正一を、耕一は弟のように可愛がっていた。
「正一! そのロープを絶対に離すなよ! ロープを身体に巻きつけろ!」
ロープを離しそうになる正一を、耕一は懸命に励ました。
だが、しばらくすると、ロープを巻きつけた正一の身体が動かなくなった。
意識を失いかけているのかもしれない。
耕一は、正一の近くに身体を動かして、その顔を平手打ちした。
「正一! しっかりしろ! 眠るんじゃないぞ。眠ったらおまえは死ぬぞ!」
耕一の平手打ちで、意識を取り戻した正一は、また、必死にロープにしがみついた。
次の瞬間、強風と共に、また大波が船を襲った。
その大波の中で、耕一も意識を失いかけた。
そしてその大波と共に、正一の姿が消えていた。
続く・・・・・・。
えっ?この先どうなるの?二人は陸にたどり着いたの?正一は?
まさか主人公は殺せないよねえ。
黙って次を待てですって。ハイ1そうしましょう。
想像しているだけでも、
寒さと冷たさと、恐怖を感じます。
そして、
タイタニックの映画を思い出してしまいました。
あれは、すごい映画でした。
メロディーも美しく・・・
でも、耕一さんたちの場面にあのメロディーは、
ちょっと合わないですね^^;
もっと緊迫したものじゃないと・・・。
いったいどうなるのでしょうね。
大変なことになりましたね・・・・。
耕一の運命も、風前の灯です。
「事実は小説より奇なり」という言葉もありますが、人の運命は、その人の持つ運(不思議な力)によって、全く違う方向へ向かってしまいます。
さあ、これからいったいどうなるんでしょうか・・・・・。
ハラハラドキドキですね。