年が明けた。
愛友丸の新年初めての航海は、また北へ行くようだ。
正月七草が過ぎると愛友丸は出航の準備を始めた。
しかし機関長松さんの表情は冴えない。
去年の暮れ、横浜港で闇物資を運ぶ貨物船が摘発されたのだ。
港の検査が最近厳しくなってきている。
そんなこともあり、今回は三浦半島の追浜(おっぱま)沖で闇物資を積み込んだ。
追浜は地元の顔役のニラミが利いており、官憲の動きはほぼ事前にキャッチできる。
ここなら挙げられることはないと思うが、しかし万が一ということもある。
十分注意しなくてはならない。
暗闇の中で、機関長はそんな思いで積荷を終えた愛友丸を見つめていた。
日の出と共に愛友丸は追浜沖を離れた。
一月の海は荒れていた。
外洋に出ると、波のうねりが大きくなった。
「この分では函館に着くのは一週間後だな・・・・」
操舵室で、船長が舵を握りながら呟いた。
「そうですね。今回もそのくらいは覚悟しておいた方がいいでしょうね。ところで船長、今度函館で積む船荷はどこで降ろします?」
船長の横にいた機関長が尋ねた。
「生麦の予定だったんだが、あそこは最近チェックがやけに厳しくなってきているようだな・・・・。追浜はまだ大丈夫なようだから、今回はあそこにしようか」
「そうですね。函館へ着いたら、追浜の顔役に連絡を入れておきましょう」
愛友丸は、犬吠埼沖を北へ進んでいた。
曇天の冬空の下、波は次第にうねりを高めている。
右に左に船体を揺らしながら、ノロノロと闇船は北へ進んでいた。
続く・・・・・・
里山の雰囲気のあるものを選んでみました。
昨夜、クリスマスに関係しそうなブログ(2013年)をチェックしてみたのですが、それらしきものは見つかりませんでした。今日はそれ以前のもので探してみたいと思います。
なんだか、宝探しのようで楽しいですね。
いつも、ありがとうございます。
ブログの背景が秋ですね~。
とても良い感じです。
彼岸花、そろそろかなぁ・・・。
耕一さんたち、ホッとする間もないですね。
あの頃は、現地の様子を知るにも大変だったでしょうね。
今見たいに、携帯電話もなかったわけですし・・・
そう考えると、今って本当に便利ですね。
便利さで失ったものもあるようですが・・・。
新たな航海、楽しみです。