前にUPしたベトナムで買ったコーヒーミルの思い出話をひとつ。
話がすごく長ーーく大作なので?、おヒマな時に。

雑誌で「観光客が行かない地元の人の市場はチープでカワイイ日用雑貨の宝庫」と載っていて、友人とふたり行ってみることに。遠めなので、ホテルでタクシーを頼むと英語が話せる運転手さんに。運転手さんは行き先をつげるなり「そんなところに行きたいの?何もないよ」。雑誌の切り抜きを見せて「可愛い雑貨がたくさんあるの!」と言うも「そんなもんあったっけ?」と言う。「とにかく行くの!」と押し切った。
窓の外はホーチミンの郊外に進むにつれて街並が変わり、ワクワク。到着して料金を払おうとすると「帰りも乗るだろうから待ってる」と言う。トータルでいくらと出した金額は普通だったけど、外には自転車タクシーや普通のタクシーもたくさん見えたので「帰りは自分でなんとかするから」と断った。友人は「私たちはメニーメニータイムショッッピングよ~」なんて言っていた。
「なんとなく感じの悪い人だったね」とふたりで顔を見合わせて、タクシーを降りた、途端にだ。
ベトナム語で何かをいいながらうわっと人が寄って来る。皆、目が真剣。友達はいつの間にか複数の人に囲まれていた。「こっちこっち」友達の手を引き寄ってくる人を目で脅し、仁王立ちして「親切はいりませんから!いる時はこちらから言います。わかった?」と“日本語で”言ったら、みんな「OK、OK」と少し離れてくれた。
市場の建物に入る。薄暗い。前日に観光客がたくさんいる市場に行ったのだけど、そことは全く違う空間。確かに日用雑貨はあるんだけど、電気もあまりなく、やる気のなさそうな人が床のところどころに座ったり、寝たり。
「あ・・・れ?」「なんか違うよーー」すっかり怯えている友人。
するとカタコトの英語で若い男の子が話しかけて来た。
市場の中を案内するという。いらないと言うと「ここは怖いところで外人は襲われるぞ」という。
確かにそんな雰囲気はある。しかし、その男の子、細くて私よりも弱そうなのだ。しかも、目がおかしい。挙動不審というか、いっちゃってる目をしていたのだ。お金も要求している。
キッパリと断り、友達の手を引いて、売り場を歩く。
そこには死んだ目をしたような人がたくさん。ヤバいムードだ。他の市場のように女の子の店員さんもあまりいないし、しんとしている。そして、さっきの彼が後ろからついてきて「襲われるぞ!」と脅す。
英語がわからない友人も、さすがにわかるらしく「どうしようどうしよう」とパニックに。
「でもあの男の子、薬でもやってそうじゃなかった?」「そうなの。目がヤバくて・・・」
とにかくこの暗い市場の室内からは出よう。正面玄関はタクシーの人がうるさかったから、中庭に。
出た中庭は明るくて、ベンチもあって平和な雰囲気だった。おばあちゃんが座ってたりして、ほっとひと息。しかし、だ。
「ねぇ、さっきの子、まだついてきてるよ」
見ると「襲われるぞー」の目のいっちゃった彼が数メートル先にいる。もうこうなったら対決するしかない。「ここに座っていて」友達をベンチに座らせて男の子の方に向かう。「あのさ、ついてきてもお金は払わない。わかった?」すると彼は急に怒った様子で「おそわれても知らないぞ」と腰につけたナイフを見せた。
襲うのはお前か?

そこで、私が言った言葉が「So what? (=それが何?)」
その後は「とにかくこれ以上ついてきたら殺す!ナイフなんか見せてもダメだから!日本人をなめんなよ!」と“日本語”でまくしたてて退散させた。今思えば、恐ろしいほどの強気っぷり。怖いもの知らずというか、多分、その時は必死だったんだな(←今はもうひとごと)。
そこが私の限界でその後、脱力ヘナヘナと友人の元に戻って「もうあいつは大丈夫。でも私はもう大丈夫じゃない。帰りたい」と言ったら「私もそう思ってたよー!」と。ふたり手を握り合った。
おばあちゃんもいるし、ここは大丈夫かもといちおう記念撮影だけそそくさと済ませ、市場を出た。
するとタクシー兄さんの乗れ乗れ攻撃。モテモテだ。イヤ、そんなもんじゃない。もみくちゃだ。カバンだけを守るのに必死でタクシーなんて選べない。みんないい人にも見えるし、みんな悪人にも見える。
タクシー勧誘地獄に飲み込まれそうになっていたその時だ。
「ヘイ、レイディース!」
行きに乗ってきたタクシーの運転手さんがやってきたのだ。
「あぁーーーーー運転手さ~~~ん」
手を振りながら走り寄る。まるで久しぶりに会う恋人かのように。
「こうなるんじゃないかと思ってね、待ってたよー。心配でね」
うぅぅぅ・・・泣きそうな私タチ。
「レディース、買い物は?」
「できなかった~ヘンな男がつきまとってくるし、ナイフ見せるし」
「もう帰りたいの!」
メニーメニータイムショッピングよ~とか言ったくせに、まだ30分もしないうちに帰ると言いきった私タチ。
運転手さんは「さっきの紙見せて」と、私の雑誌の切り抜きを手にスタスタと歩き出した。カルガモのヒナのように私と友人はちょこちょこついてゆく。彼は切り抜きを見せてこれはどこかと聞いてくれ「レディース、買い物に行こう。一緒に行ってあげるよ。せっかく来たんだからさ」とウインクした。もう言いなりだ。ハイハイと素直についてゆく。
そこで見つけたのがこのコーヒーミルだ。恐怖の市場記念に買おうと、友達と色違いを買った。
「そんなものでいいの?」と運転手さんが言ったので「あなたに会えただけでもういいの」なんて返した。

これがコーヒーミルを手に入れるまでの顛末。なんともドイヒーな話です。
ひとごみの中で運転手さんの知った顔を見つけた時は
ito「後光が差して見えたよぅ。救世主ってやつかしらん
」
友人「きゃ~なんて黄色い声出して、大好きな彼のように寄ってっちゃったワ
」
運転手さんったら、ステキだったわ~
と思い返す私タチなのだが
しかしながら、運転手さんは口ひげをはやしたでっぷりオジサン。
しかも楊枝なんてくわえてました。
帰国後、市場の中庭で撮影した写真を見てビックリ。
ひきつりながら記念撮影している私たちの後ろに遠くに写っていたのは
あの目のいっちゃっていた男の子。まだいたのダ!
あと、ベトナム戦争の被害者であろう、足のない人も写っていた。
ひなたぼっこをしているんだと思ったおばあさんも睨んでいた。
あまりの恐怖で気がつかず、失礼にもみんな写真におさめてしまった。
バカ観光客・・・。すごーーーく反省。ごめんなさい、ごめんなさい。
それにしても、私タチもダメダメでしたが
その市場オススメした雑誌もヒドかったと思ったり。
運転手さんが市場の人の言葉を訳してくれたのですが
「日本人は初めて見たよ」とか「外国人の来るところじゃない」と言われまちた。
「ナイフを見せたらお金出さないとまじめに危ないよ」とも。
今も思う。なぜあんなに強気だったのかと。
話がすごく長ーーく大作なので?、おヒマな時に。


雑誌で「観光客が行かない地元の人の市場はチープでカワイイ日用雑貨の宝庫」と載っていて、友人とふたり行ってみることに。遠めなので、ホテルでタクシーを頼むと英語が話せる運転手さんに。運転手さんは行き先をつげるなり「そんなところに行きたいの?何もないよ」。雑誌の切り抜きを見せて「可愛い雑貨がたくさんあるの!」と言うも「そんなもんあったっけ?」と言う。「とにかく行くの!」と押し切った。
窓の外はホーチミンの郊外に進むにつれて街並が変わり、ワクワク。到着して料金を払おうとすると「帰りも乗るだろうから待ってる」と言う。トータルでいくらと出した金額は普通だったけど、外には自転車タクシーや普通のタクシーもたくさん見えたので「帰りは自分でなんとかするから」と断った。友人は「私たちはメニーメニータイムショッッピングよ~」なんて言っていた。
「なんとなく感じの悪い人だったね」とふたりで顔を見合わせて、タクシーを降りた、途端にだ。
ベトナム語で何かをいいながらうわっと人が寄って来る。皆、目が真剣。友達はいつの間にか複数の人に囲まれていた。「こっちこっち」友達の手を引き寄ってくる人を目で脅し、仁王立ちして「親切はいりませんから!いる時はこちらから言います。わかった?」と“日本語で”言ったら、みんな「OK、OK」と少し離れてくれた。
市場の建物に入る。薄暗い。前日に観光客がたくさんいる市場に行ったのだけど、そことは全く違う空間。確かに日用雑貨はあるんだけど、電気もあまりなく、やる気のなさそうな人が床のところどころに座ったり、寝たり。
「あ・・・れ?」「なんか違うよーー」すっかり怯えている友人。
するとカタコトの英語で若い男の子が話しかけて来た。
市場の中を案内するという。いらないと言うと「ここは怖いところで外人は襲われるぞ」という。
確かにそんな雰囲気はある。しかし、その男の子、細くて私よりも弱そうなのだ。しかも、目がおかしい。挙動不審というか、いっちゃってる目をしていたのだ。お金も要求している。
キッパリと断り、友達の手を引いて、売り場を歩く。
そこには死んだ目をしたような人がたくさん。ヤバいムードだ。他の市場のように女の子の店員さんもあまりいないし、しんとしている。そして、さっきの彼が後ろからついてきて「襲われるぞ!」と脅す。
英語がわからない友人も、さすがにわかるらしく「どうしようどうしよう」とパニックに。
「でもあの男の子、薬でもやってそうじゃなかった?」「そうなの。目がヤバくて・・・」
とにかくこの暗い市場の室内からは出よう。正面玄関はタクシーの人がうるさかったから、中庭に。
出た中庭は明るくて、ベンチもあって平和な雰囲気だった。おばあちゃんが座ってたりして、ほっとひと息。しかし、だ。
「ねぇ、さっきの子、まだついてきてるよ」
見ると「襲われるぞー」の目のいっちゃった彼が数メートル先にいる。もうこうなったら対決するしかない。「ここに座っていて」友達をベンチに座らせて男の子の方に向かう。「あのさ、ついてきてもお金は払わない。わかった?」すると彼は急に怒った様子で「おそわれても知らないぞ」と腰につけたナイフを見せた。
襲うのはお前か?

そこで、私が言った言葉が「So what? (=それが何?)」
その後は「とにかくこれ以上ついてきたら殺す!ナイフなんか見せてもダメだから!日本人をなめんなよ!」と“日本語”でまくしたてて退散させた。今思えば、恐ろしいほどの強気っぷり。怖いもの知らずというか、多分、その時は必死だったんだな(←今はもうひとごと)。
そこが私の限界でその後、脱力ヘナヘナと友人の元に戻って「もうあいつは大丈夫。でも私はもう大丈夫じゃない。帰りたい」と言ったら「私もそう思ってたよー!」と。ふたり手を握り合った。
おばあちゃんもいるし、ここは大丈夫かもといちおう記念撮影だけそそくさと済ませ、市場を出た。
するとタクシー兄さんの乗れ乗れ攻撃。モテモテだ。イヤ、そんなもんじゃない。もみくちゃだ。カバンだけを守るのに必死でタクシーなんて選べない。みんないい人にも見えるし、みんな悪人にも見える。
タクシー勧誘地獄に飲み込まれそうになっていたその時だ。
「ヘイ、レイディース!」
行きに乗ってきたタクシーの運転手さんがやってきたのだ。
「あぁーーーーー運転手さ~~~ん」
手を振りながら走り寄る。まるで久しぶりに会う恋人かのように。
「こうなるんじゃないかと思ってね、待ってたよー。心配でね」
うぅぅぅ・・・泣きそうな私タチ。
「レディース、買い物は?」
「できなかった~ヘンな男がつきまとってくるし、ナイフ見せるし」
「もう帰りたいの!」
メニーメニータイムショッピングよ~とか言ったくせに、まだ30分もしないうちに帰ると言いきった私タチ。
運転手さんは「さっきの紙見せて」と、私の雑誌の切り抜きを手にスタスタと歩き出した。カルガモのヒナのように私と友人はちょこちょこついてゆく。彼は切り抜きを見せてこれはどこかと聞いてくれ「レディース、買い物に行こう。一緒に行ってあげるよ。せっかく来たんだからさ」とウインクした。もう言いなりだ。ハイハイと素直についてゆく。
そこで見つけたのがこのコーヒーミルだ。恐怖の市場記念に買おうと、友達と色違いを買った。
「そんなものでいいの?」と運転手さんが言ったので「あなたに会えただけでもういいの」なんて返した。

これがコーヒーミルを手に入れるまでの顛末。なんともドイヒーな話です。
ひとごみの中で運転手さんの知った顔を見つけた時は
ito「後光が差して見えたよぅ。救世主ってやつかしらん

友人「きゃ~なんて黄色い声出して、大好きな彼のように寄ってっちゃったワ

運転手さんったら、ステキだったわ~

しかしながら、運転手さんは口ひげをはやしたでっぷりオジサン。
しかも楊枝なんてくわえてました。
帰国後、市場の中庭で撮影した写真を見てビックリ。
ひきつりながら記念撮影している私たちの後ろに遠くに写っていたのは
あの目のいっちゃっていた男の子。まだいたのダ!
あと、ベトナム戦争の被害者であろう、足のない人も写っていた。
ひなたぼっこをしているんだと思ったおばあさんも睨んでいた。
あまりの恐怖で気がつかず、失礼にもみんな写真におさめてしまった。
バカ観光客・・・。すごーーーく反省。ごめんなさい、ごめんなさい。
それにしても、私タチもダメダメでしたが
その市場オススメした雑誌もヒドかったと思ったり。
運転手さんが市場の人の言葉を訳してくれたのですが
「日本人は初めて見たよ」とか「外国人の来るところじゃない」と言われまちた。
「ナイフを見せたらお金出さないとまじめに危ないよ」とも。
今も思う。なぜあんなに強気だったのかと。