ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

後山川御岳沢出合付近で幕営後、サオラ峠へ 3/4 ――― これは地形図に載っている山道だろうか?

2015年08月14日 | ハイキング/奥多摩

2015/7/28  携帯のアラームを5:30に鳴らしました。その前から目覚めていましたが、外は陽が昇っていることが信じられないほどまだ暗いようです。

それに、雨が降っています。タープに落ちる雨がパチパチと音を響かせています。音の数は多く、激しいのですが、これはタープの影響でしょう。冷静に考えてみると、タープ全面で受ける雨粒の数にしては少ないのです。さらには木の葉から落ちている雨粒もありますし。
少し小降りになったかなぁと感じた時に、外へ出ました。するとほとんど降っていません。雨のピークは過ぎたようでした。
でも、先ほどから雷が鳴っています。時にはすぐ近くに落ちたような鳴り方をします。ここが谷底だと言っても、あまり気持ちの良いものではありません。
その雷も次第に鳴る数を減らしていきました。


▲フラッシュを焚いて撮っていますから、外は黒く写っていますが、これほど極端ではないとは言え、イメージ的にはこんな感じです。外は暗い! 5:59ころ。


▲今日は急ぐ朝ではありません。9時に出発できればいいと思っています。目覚めてからは、熱い紅茶を何杯も飲んだりしました。朝食は雑炊です。一人前のアルファ米に玉子スープを加えたものです。それを二人で食べました。朝食は水気の多いものの方がよく喉を通ります。6:42ころ。


▲雨が止むにつれ、空も明るくなり、対岸の斜面も明るく浮かんできます。やっと異常な暗さから解放されてきました。前の晩にも見たのですが、再度、地形図に目を通し今日の行動を考えました。
写真はテントやタープを回収したところです。タープの下だけ雨で濡れていませんから、四角く乾いた地面が見えています。さらにその中でも一番乾いている場所がテントの場所。8:24ころ。


▲御岳沢の上流方面にも少し行ってみました。木の橋でもあれば利用できるからです。上流へは登山靴では歩きにくくなり無理です。木の橋もありませんでした。
今日はこの御岳沢左岸の長尾根を登ります。地形図には山道記号が付いています。山道がなくても長尾根を登る予定でした。ただ、昨日見たモノレール軌道が気になっています。モノレール軌道沿いに歩けますから、御岳沢右岸のモノレール軌道を最大限に利用して登って行くことも考えられます。結論としては、状況次第で柔軟にと言うことですね。8:44ころ。


▲いよいよスタートです。まずはこの斜面を昨日の小さなコルまで登り返します。8:45ころ。


▲ちょっと登った場所から振り返ると、御岳沢の流れ、タープを張った場所などが見えます。8:47ころ。

昨日の小さなコルへは斜面を左上すればいいのですが、上流の様子をもう少し見てみたいと思い、右上してみました。上流の様子はよく見えませんでした。それから左を意識しながら登って行ったのですが、昨日あった比較的しっかりした踏み跡に出くわしません。それに出たら、その踏み跡を左へ行けばいいと考えていたのです。
小さなコルよりは右の尾根に出るようです。そこにはモノレール軌道があることでしょう。


▲しっかりした踏み跡は右に来過ぎてないものと諦めていました。すると、もっとしっかりした山道に出ました! 9:30ころ。

あれっ? これが昨日のしっかりした踏み跡? 標高も調べていませんし、ここまで何分かかったのかも、この時点では気にしていませんでしたから、昨日と同じ「しっかりした踏み跡」なのか、そうではないのか、いい加減になっています。


▲山道を左へ行くと、当然のことながら小さなコルへは出ません。小さなコルはこの写真の左の下の方です。下を覗いてみましたが、そのコルは見えないほどずうっと下方でした。9:39ころ。


▲この山道は写真の左へも続いています。モノレール軌道沿いにも行けますが、この山道の誘惑にはかないません。もう一度、さっき来た方角、右へと歩き始めました。9:43ころ。

やがて分かるのですが、この時はこの山道が地形図に出ている山道、つまり、天平尾根末端付近から後山川沿いに延びている山道、だとは理解していません。まさかその高度まで登ってきたとは考えていなかったのです。
でも、S子の足で45分間登ったわけですから、標高差100mは余裕で稼いでいるはずです。100mというのは天場から地形図に出ている山道までの標高差。


▲このころまではまだ霧雨のようなものが降ったり止んだりしていました。木の橋も濡れて滑りやすくなっていました。9:56ころ。


▲最近設置した新しい木橋が出て来ました。どうやら仕事道として最近も整備されているようです。山道を使わない時期には荒廃が進みますから、こんな風に手入れがなされていると安心感が増しますね。10:01ころ。


▲山のヒキガエル。10:03ころ。


▲御岳沢の支流にワサビ田跡がありました。10:14ころ。


▲御岳沢本流です。10:20ころ。

地形図では本流を渡ってすぐに山道が二つに分かれるのですが、そんな様子はありません。
橋を渡ってすぐに見える赤い看板、その前を左へ行っている山道がありましたけれど、すぐに消えてしまっていました。
ここまで来ると、この山道が地形図に載っている山道だと、認めざるを得ませんでした。
この山道が利用できたとは、幸運だと思います。

ここで暫しの休憩。


▲結局、橋を渡って右へと登って行きます。この山道も綺麗に整備されています。写真は階段のような木の橋。10:51ころ。


▲整備されていると言っても、こんな場所はどうしようもありませんね。もっと酷くなったら、どうにかするでしょうけれど。10:56ころ。


▲「高畑 親川」という標識が現われました。親川は天平尾根を下りきったところにある集落。僕たちが今日目指している場所です。高畑は親川のすぐ手前、天平尾根にあった集落名です。今は廃屋だけになっています。11:01ころ。


▲この標識があった場所で山道は二手に分かれます。僕たちは左上へ向かいます。11:02ころ。

左上に行かず、まっすぐ進むと御岳沢左岸尾根(長尾根)を回り込むのだと思います。この分岐の位置は地形図上には記されていないように思います。


▲立派な山道が続きます。11:05ころ。


▲右上の長尾根とは少しずつ離れていきます。ほとんどアップダウンのない気持ちの良い山道です。11:19ころ。

だんだん、御岳沢の流れが再び近づいて来ます。三条の湯とサオラ峠間の登山道ももうすぐです。
地形図に出ていた山道を利用することが出来て、幸運でした。その山道、とりわけ御岳沢左岸側では地形図での山道の位置とは若干異なっているようです。


後山川御岳沢出合付近で幕営後、サオラ峠へ 2/4 ――― 今年初めての焚火も出来ました

2015年08月11日 | ハイキング/奥多摩

2015/7/27  標高差30mくらい下降すると、沢床が近づいて来ます。目を皿にして探すまでもなく、平らな場所は一ヶ所にしかありません。そこを目指して進みました。
地形図からはもっと広々とした河原を想像していました。890mの等高線があるだけで880mの等高線はないのです。その890m等高線が沢を挟んで約50mあるのですから、山の斜面ではなく、河原自体が広いと予測していました。でも、それはまったくの予想外れ。河原は広くはなく、山の斜面がギリギリまで傾斜しています。
でも、ラッキーなことに一ヶ所だけ平らな場所がありました。到着して見てみると、とてもいい天場です。


▲14:15ころにこの場所に到着し、ザックを下ろし、上流と下流を偵察してきました。もっと良い場所があるかもしれませんから。でも、ここしかありません。テントを張る場所を決め、そこを少しだけ整地し、それからテントを覆うタープの張り場所を決めます。
ハイキングのときにもいつも7mm×20mのロープを持って行っていますから、それを使ってタープの中心線を決めます。写真中央の青いのがそのロープ。14:38ころ。


▲タープを張り終えました。14:51ころ。

写真左に岩が見えますが、その岩の右下で焚火をする予定です。


▲タープの下に張ったテントを置きます。14:58ころ。


▲荷物を整理し、水を汲んで来て、とりあえずのんびりと休憩することにしました。
お湯を作って、コーヒーを飲んだり、今日の行動食のパンを食べたり、贅沢な時間を過ごします。
写真はタープの沢側を見ているのですが、こちら側が出入り口となるので、枝を鳩目に立てて広く高くしています。15:40ころ。


▲二人だけの場合は、こまめにお湯を作ります。500ccずつ作りますから。15:41ころ。


▲ひと時ゆっくりした後に、焚火の準備に入りました。細枝、小枝、中くらいの枝、太い枝、いろいろなサイズを集めます。この付近の落ちている枝は湿気っている枝が多いようです。夏の昼でも暗く、深い森の下にある場所です。そんな影響があるのでしょう。それでも、それなりの量を集めることができました。
岩の基部で焚火をします。まずは太い木を風向きに合わせて敷きます。16:13ころ。


▲新聞紙を2枚ぐしゃぐしゃにして置き、ところどころにメタを隠しておきます。さらに細い枝をたくさん重ねるように置きます。16:26ころ。


▲ライターで新聞紙に火を付け、小枝もさらに重ねます。16:48ころ。


▲細枝、小枝が燃え、少なくても熾きが溜まってくると、ひと安心。中くらいの枝も載せていきます。16:53ころ。


▲こんな感じで焚火をしています。S子の手前にマットを敷いて、僕は横たわることにしました。
真夏で、寒くはありませんから、焚火からは距離をとっています。山の暗黒の中で焚火は心の拠り所のようなものです。17:21ころ。


▲チーズなどをつまみに、焼酎のお湯割りは飲み始めています。そして、ぼちぼちと夕食の準備にかかりました。家にギイがあったので、それを冷蔵庫で固めて持って来ています。まずは豚肉を炒めます。17:58ころ。


▲さらにオクラを加えて炒めます。オクラは山に持って来ても傷みにくいのでいですね。18:00ころ。


▲最後に「豚オクラ炒めの素」を加えると出来上がり。白いご飯が欲しくなるおかずでしたが、僕たち二人にとっては酒の進むメニューでした。18:07ころ。


▲チビチビと食べながら、チビリチビリと焼酎を飲みます。焚火の火のお守りも時々しながら、心地の良い時間を過ごします。
このナポリタンはお湯を入れるだけですから、簡単ですね。18:54ころ。


▲焚火の場所の様子です。ビリー缶は焚火のそばにいつも置いておきます。中の水が熱いお湯になります。フラッシュを焚くと炎の色は消えてしまいますね。岩には煤煙の色が茶色く付いています。18:57ころ。


▲フラッシュを焚かずに、ヘッデンを消すと、こんな感じ。19:13ころ。


▲僕の足首に甲虫がとまっています。19:43ころ。


▲詳しい名前は分かりませんが、クワガタの雌のようですね。19:46ころ。

この後ものんびりと過ごしました。今宵は月も星も出ていなくて実に暗黒です。
そのうち、そろそろ寝ようということになり、焚火周辺の荷物をタープへと運びます。焚火も火がこれ以上風で大きくならないよう、太い燃え差し同士を離し、熾きの上には何個もの石を敷くように置きます。今夜は風が弱そうなので、大丈夫でしょう。

就寝は21時ころ。S子は少し寒いと言って、シュラフカバーの中に入ります。僕は全然寒くないので、半袖Tシャツのままシュラフカバーを腹の上に載せるだけで眠りにつきました。
山では(家でもですが)寝つきのいいS子はすぐに眠りに入ります。僕もその後を追いかけます。夜中にいっぺん目が覚めました。少し寒くなったからでしょう。シュラフカバーの中にもぐりこみます。それから再びぐっすりと眠りに入りました。


後山川御岳沢出合付近で幕営後、サオラ峠へ 1/4 ――― 幕営できるのか? 心配しながらのアプローチ

2015年08月04日 | ハイキング/奥多摩

2015/7/27  一週間ほど休みが続くので、本当は北アルプスをテント背負って歩くつもりでした。でも、S子の体調がいまいちで、なかなか楽で素敵な計画を立て辛く、ズルズルと時だけが経ってしまいました。結局は、奥多摩での1泊2日山行に落ち着いてしまいます。

小川谷林道奥の三又で幕営したいと前々から思ってはいるのですが、小川谷林道はここのところずうっと通行禁止なのです。登山者も禁止。行って行けないこともないのでしょうが、まああまり無道なことはしたくありませんし。

もちろん、幾つか知ってる、幕営したことのある場所もあるのですが、どうせなら新規の場所を開拓したい。と言うので、地形図とにらめっこしながら発見したのが今回の場所です。

今回の幕営地の条件は次の2点です。
➀アプローチが楽。
②沢沿い。
行ってみなければ、アプローチが楽かどうかも、沢沿いに平坦地があるかどうかも分かりません。そこは長年奥多摩を這いずり回ってきた沢屋の勘に期待するしかありませんよね。


▲今日は天場までなので、朝はゆっくりの出発。バスは鴨沢西までしか行きませんから、鴨沢西から歩きます。10:28ころ。
バス停は日なたで暑いですから、少し移動して準備。S子の準備は長くかかりますよ! 踵に靴擦れ防止のテープなどを貼ったりします。
僕は他人と比べると、忍耐強い方だとは思います。それでも更なる忍耐力UPをS子には促されましたね。


▲車道歩きの途中で、綺麗なアゲハチョウに出会いました。輝くような青色が印象的です。調べると、カラスアゲハもしくはミヤマカラスアゲハのようです。羽をパタパタ動かし続けていて、鮮明に写真撮影できませんでしたから、厳密な特定はできませんでした。10:52ころ。


▲国道411号線(青梅街道)から後山林道へ入りました。11:09ころ。


▲前回もそうでしたけれど、今回も後山林道はダンプカーがしょっちゅう通ります。道路も乾燥していますから、砂埃が舞い散ります。S子は傘を日傘にして歩きます。11:41ころ。

ダンプカーが巻き上げる埃が左目に入ったようです。目がちかちかして気分は最悪。涙で流し出そうとしますが、流し出せるほど大量の涙は出ません。途中の支沢の水で目を洗ったりしても出て行きません。そんな僕の様子を見て、S子が「もう帰ろうか?」とまで言います。冗談じゃない・・・・

結局、その日はずうっと目の違和感が続きます。やっと収まったのは天場での作業をしている頃だったでしょうか。綺麗な空気の中にいると、何ともなくなりましたね。


▲片倉谷出合付近にゲートがあるのですが、今日はダンプの出入りが多いのでしょう。開けっ放しです。ゲートの横には作業員が一人椅子に座って文庫本を読んでいました。彼の前を通り抜けましたが、僕が通ったことには気付かないほど読書に熱中していましたね。11:46ころ。


▲ヘビがにょろにょろ。シマヘビか? アオダイショウのまだ小さいのか? それとも他の種類? 名前は分かりません。写真で撮ろうと近づき過ぎると、止まって、少しだけ鎌首を持ち上げ威嚇します。胆の小っちゃな僕はそれだけで近づけなくなりました。12:11ころ。
ヘビがいたことは、まだS子にはひと言も言っていません。


▲塩沢出合です。ここで林道に入って最初の休憩をしました。12:28ころ。
S子が「ぜんぜん休んでくれなかった」と文句を言います。でも、ダンプが行き交うような林道では休憩するのは嫌ですよね。
メインの工事は崩壊地の土留めです。他にも路側のり面に落石用の網をかけたりの工事もありました。
昭文社のmapでは林道入口からここまでのコースタイムは1時間45分になっています。それをS子は1時間19分で来ましたからまずまずですね。このコースタイムが少々遅過ぎるのではと思います。


▲このあたりの林道は道幅の拡張工事です。でも、今日はこの作業はお休み。13:29ころ。


▲塩沢橋からは地形図を確認しながら歩いて来ました。そろそろ御岳沢出合が近いと思っていたころ、本流に降る山道が出現。ここを下ることに。13:36ころ。


▲最初は階段、続いて山道、それがジグザグに続きます。13:39ころ。


▲後山川本流には橋が架かっていました。御岳沢遡行図にはこの橋のことが出ていましたが、古い記録なのでまだあるかどうか不安でした。13:40ころ。


▲橋の下の本流です。徒渉する可能性も考えて、二人とも5本指のサンダルを持って来ていましたが、使わずに済みました。ここをわずか上流に行くと、御岳沢出合です。13:40ころ。


▲橋を渡り、その先に続く山道を進むと、立派な建物が目に入ってきました。近づくとそれはモノレール終着駅倉庫です。13:42ころ。


▲最初は倉庫の裏に回り、御岳沢に向かって下っている踏み跡を降りてみました。その踏み跡も途中で消え、御岳沢の上流方向を見ても、歩き易そうな山道は一切ありません。
倉庫の表側に戻り、レールにほぼ沿うような感じで山を登っている踏み跡を辿ることにしました。橋から標高差で50~60m上がると小さなコルに出ます。そこから沢へ下降すると、目的地に津着するという訳です。13:51ころ。


▲小さなコルに着きました。コルからは尾根を越して右下に降りていきます。最初は踏み跡がありましたが、すぐにその踏み跡からも離れ、さらに下を目指します。13:57ころ。


▲木の幹や根を掴みながらの下降です。14:12ころ。

もしこの場所が、幕営不適ならば、林道へ戻り、次の候補地を目指す予定でした。ただ、思いのほか時間が経っていましたから、そんな余裕はありません。もしこの場所がダメならば三条の湯のキャンプ場に泊まるつもりです。
テントが張れる平らな場所があってくれ! と、祈る気持ちです。


九竜山から御前山へ 2/2 ――― S子には少し酷な急下降の登山道でした

2015年08月01日 | ハイキング/奥多摩

2015/7/11  もう少し早く鞘口山1142mに到着すると思っていましたが、まあ、これくらいの時刻も想定内です。S子にとって一ヶ月ぶりの登山ですが、体調もまずまずのようでした。


▲12:38ころ、S子も山頂に到着しました。


▲しばらく山頂のベンチで休憩し、再びの出発です。12:59ころ。


▲またまた、ギンリョウソウです。花の中央に青みを帯びて丸っぽいのは雌しべの柱頭。その周りにはよく見ると雄しべらしきものもあります。地下茎から伸びたこの花茎ですが、鱗片状に付着しているのが葉っぱなのだとか。
分類学的にはツツジ科だと言うのですから驚きですよね! 13:08ころ。


▲トリアシショウマかヤマブキショウマかは分かりません。おそらくトリアシショウマだと思いますが、確信はありません。トリアシなら三回三出複葉で、ヤマブキは二回三出複葉なのだそうです。現場でそこまでの確認はしませんでした。13:10ころ。
参考までに
 http://www.ysn21.jp/~eipos/data/02_WB/h15/bunarin/3fukuyou2.htm
を見てください。


▲クロノ尾山1170余mです。檜原村神戸(かのと)の中尾根を登ると、ここに到着します。13:20ころ。


▲僅かなアップダウンがある穏やかな登山道を進みます。このあたりの多摩川南岸はシカが少ないせいなのでしょうか、下草もそれなりに生えています。写真の下草は背の低い小笹でした。13:46ころ。


▲理由は分かりませんが、この花を見ると「ホウキ」を連想してしまいました。昔調べたことのある花の名前に「ホウキ」という名が付く、似た花があったのでしょう。

大昔の一時期、20代の前半だったでしょうか、官ノ倉山という標高344mほどの低山に3年間ほど通ったことがあります。年中通って、野鳥や草花を見ました。今の時代と違って、フィルム一枚一枚に貴重なお金がかかりますし、現像代もかかります。撮ってきた写真をモノクロの『牧野日本植物図鑑』で調べたり、図書館の図鑑で調べるのは大変な労力でした。名前が判明するのは見ることのできた花の中のごく一部ですし、それも間違っている可能性は高いのです。
それほど熱心に勉強したわけでもありませんから、僕の植物に関する知識はやっぱりど素人の域でしかありません。ただ、この時代の官ノ倉山での経験がその後の基礎になっていることだけは確かです。

「ホウキギ」、「ホウキギク」、「ホウキモロコシ」を見てみましたが違います。
花の形状がキク科に似ていると思いました。キク科の花は小さな花の集合です。この花の写真の白黒で飛び出している部分などはアザミに似ていると思いました。アザミもキク科です。
キク科で『牧野日本植物図鑑』を当たると、大当たり! です。「ナガバノコウヤボウキ(長葉高野箒)」でした。

近縁種にコウヤボウキがあるのですが、この名前には面白い由来がありました。高野山を開山したのは弘法大師ですが、彼は弟子たちに「人の心を惑わすような木を植えてはならない」と言い残したのだそうです。それもどういう意味だか、俗人の僕には理解出来かねますが、お弟子さんたちはその言葉に従って高野山には竹を植えなかったのだそうです。竹はいろいろと重宝されますから、お金になるという理由のようですね。そこで困ったのが庭掃除等で使う箒。高野山では竹の代用品としてコウヤボウキ(当時は別の名前だったでしょうが)を使ったのだそうです。

ひとつの花の名前を調べる、そんな他愛もないことを通じてさえ、たくさんの興味深いことが分かります。13:48ころ。


▲ヤマボウシですね。街路樹になっているハナミズキとはごく近縁種なのですが、ヤマボウシは果実が甘くて美味しいです。僕も食べたことがありますが、仄かな上品な甘さでした。13:50ころ。


▲コアジサイも僕の好きな花のひとつです。森の下層でコアジサイが群生していて一斉に花開いていたりするとそれは見事です。薄っすらと水色の小さな花ですから、いくら頑張っても派手になりようがありません。徹底的に清楚な花です。13:56ころ。
この時まで、帰宅してからの何日間もずう~っと、僕はこの御前山の手前ではコアジサイが咲いているのに、そこより標高が低い場所ではまだ蕾だったと、不思議に感じていました。標高差=気温差 以外の影響を受けているのだろうと考えていました。でも、何日か経過して、蕾だと思っていた写真を拡大してよく見てみると、すでに開花した後の姿でした。
コアジサイは標高1000m前後よりは低いところで見ることが多いですから、S子が山に行かなかった間にもう咲いて、散ってしまっていたのですね。


▲前方から中高年の男女の登山者が山を下りて来ました。すれ違う時に「小さくてとっても綺麗なアジサイが咲いていたわよ」と言います。相方の男性にも「そうよね、〇〇ちゃん。今日はあの花と出会えただけで来た甲斐があったわよね」と嬉しそうに話していました。
そのアジサイがこれです。ガクアジサイはいろいろと種類が多くて正確な名前はよく分かりませんが、おそらくホソバコガクではないでしょうか? 14:09ころ。


▲御前山へ登る最後の急登です。急登と言っても、こんな階段つきの楽な登りです。14:16ころ。


▲御前山1405.0m山頂には人がたくさんいました。14:18ころ。


▲休憩している間に誰もいなくなりました。僕たちも出発。14:38ころ。


▲この御前山付近は春にはカタクリがよく咲く尾根です。有名になりすぎた影響なのでしょうか、年々カタクリの数が減っているように感じられます。そのカタクリを保護する意味で登山道の両側には柵が張り巡らされています。14:45ころ。


▲惣岳山1340mです。14:57ころ。

ここでS子の足の調子が少しだけ悪いことが判明。たいして酷くはなさそうなので、心にとめる程度ですが・・・・


▲大ブナ尾根の急降下をゆっくりと丁寧に下って行きます。途中、尾根の右側を見ると、コバイケイソウの枯れた群生があります。15:19ころ。


▲まだ枯れていないのもあります。15:20ころ。


▲枯れていないのをよく見ると、緑色で綺麗ですね。15:23ころ。

その後、何日間の間ずうっと、これはコバイケイソウの白い花びらが落ちた姿だとばかり思っていました。この緑色のはガクなんだろう、なと。
でも、写真を何度も見るにつけ、あまりに美しすぎて、これが花弁の落ちた枯れる寸前の姿だとは思えなくなりました。よく見ると、先端には蕾もありますから、どう考えても変です。
そこで調べ直しました。すると、バイケイソウなんですね! バイケイソウの花は白から緑まで色幅があるそうです。


▲山を下るS子とバイケイソウ。15:23ころ。


▲大ブナ尾根の急な部分が終了しました。美しい森が続きます。15:37ころ。


▲時折、岩場も出て来ます。石灰岩でした。15:45ころ。


▲大ブナ尾根は下の方でも急下降が続きます。疲れた足には酷な下降。16:33ころ。


▲ロープもたくさん張ってあります。16:48ころ。

S子も足がだんだん辛そうになってきました。バスの時間には十分間に合うだけのゆとりがあるので、急ぐ必要はないのですが、大休止をとるほどのゆとりはありません。ゆっくりでもいいので、歩き続けさせなければなりません。S子のブツブツとしゃべる文句の言葉を聞き流すように歩き続けさせます。


▲急降下は終了し、奥多摩湖が近づいてきます。17:02

今日は急に行先を変えましたから、奥多摩湖バス停のバス時間は把握していません。その代わり、その少し奥の倉戸口バス停の時刻が分かっています。それが17:19ですから、余裕をもって17:20を目標にして歩いて来ました。
最初は余裕だと考えて来ましたが、途中から「ギリギリかもしれない」と感じ始めていました。今ここまで来て、本当にギリギリです!


▲奥多摩湖。小河内ダムを渡り、向う側にバス停はあります。17:13ころ。

山の中では急がせるような言葉はS子には言いませんでした。とにかく歩みを止めさせないだけ。ゆっくりと注意深く歩かせました。
でも、小河内ダムに着くと、少し早足で歩かせました。速足というよりは、普通のスピードなのですが、足の調子がいまいちなS子にとってはちょっときつかったかもしれません。


▲中央の山は月夜見山1147.0mでしょうか。17:15ころ。


▲奥多摩湖バス停です。目標時間の1分前、17:19に到着しました。
バスは17:24で、ちょうどいい到着ですね。

一ヶ月ぶりの山歩きだったS子にはほんの少しきつい今日の山歩きでした。まあ、ほんの少しですから、これくらいでちょうど良かったのではないでしょうか。


九竜山から御前山へ 1/2 ――― お墓参りをしてから登山スタート

2015年07月29日 | ハイキング/奥多摩

2015/7/11  今年は東京も梅雨らしい梅雨です。山へ行こうにも雨の日が多く、たまたま晴れた日には仕事が入っていたりして、前回のS子の歩いた日からは一ヶ月近く経ってしまいました。いきなり沢登りでは無茶ですから、今回はS子には少し長めの山歩きです。
当初の計画では、平日の7:45発の峰谷行きがありましたから、峰谷から浅間尾根を登り、鷹ノ巣山へ至り、榧ノ木尾根を下って奥多摩湖畔の倉戸口まで歩くつもりでした。
そのつもりで家を出て、駅へ向かう途中です。「お墓参りに行かなくちゃ!」と、突然思い出したのです。
急遽行先を変更。同じバスで大丈夫ですし、最初の計画よりも少し楽だと思いますから、問題はないでしょう。


▲奥多摩病院前のバス停で下車。病院裏のお寺にお墓があります。カップ酒を供えてお参りし、登山開始。そうです。お墓の裏山を登るのです。
最初はこの写真のずうっと右の沢沿いにあるはずの山道から行ってみようと考えていました。その道を探したのですが見つかりません。墓所で作業していたおじさんに聞くと、その道は今では荒れてしまっているようです。と言うわけで、勝手知ったるお墓の裏の道に来ました。8:14ころ。


▲道はすぐに夏草に覆われます。昔の奥多摩は一般登山道でもあまり登山者が歩かないルートではこんな感じでした。8:21ころ。


▲途中で道が分かりにくくなり、かすかな踏み跡を辿って登ってきました。すると、本来の山道に復帰です。僕に続いてS子もちゃんとした山道に復帰! 8:30ころ。


▲前の写真の山道もすぐに有耶無耶な道になってしまい、獣道のような状況に。とにかく上へと登っていくと、林道へ飛び出しました。昔はこんな林道はなく、このあたりの山道も分かりやすかったのですが、今はこんな具合です。S子も草むらから出現! 8:43ころ。


▲タマアジサイの蕾。名前の由来ですね。8:43ころ。


▲林道脇に標識がありました。この後にも、このタイプの標識が幾つか設置されていました。8:44ころ。


▲オカトラノオが咲いていました。8:44ころ。


▲むかしの山道が林道で分断されたので、鉄の階段で登ります。8:45ころ。


▲10号鉄塔です。向う側には石尾根の最下部あたりが見えています。8:56ころ。


▲たいして急でもないところですが、トラロープが張られていました。9:04ころ。


▲大きな木の切り株がありました。根元で裂けたのでしょうか? おそらく雷がこの木に落ちて、切り裂かれたのでしょう。その傷口は雷の火で焼かれていました。こんな所にも落ちるんですね。くわばら、くわばら。9:10ころ。


▲割と大きめの花が地面にたくさん落ちていました。見上げても、どの木に咲いている花か分かりません。9:19ころ。

この後も、この花はたくさん落ちていました。で、だんだんとどの木の花か、推測できるようになりました。この花のそばに必ずある木があったからです。そう、リョウブの木です。あの特徴ある戦闘服のような迷彩模様の木肌です。でも、ネットで調べると、花が全然違いました。
あれれれ? また振り出しです。次なるヒントは花の形。これは明らかにツバキやサザンカと同類です。その線で調べると、ありました! ナツツバキです。しかも、その木肌はリョウブ同様、迷彩模様なんですね。やっぱりあの木の花だったのです。


▲急登が多くなり、S子はちょうどいい木の杖を拾いました。9:54ころ。


▲カメムシが交接しています。ネットで調べました。セアカツノカメムシです。左が♀、右が♂なのだとか。10:06ころ。


▲それなりの急登ですが、木陰が続くので、心地のよい登りです。10:24ころ。


▲今年になってまだこのコアジサイの花を見ていませんでしたから、当然のごとく、これはまだ蕾だと思い込んでいました。ここまでも、たくさんコアジサイが群生していました。10:31ころ。


▲突然、尾根の西側の景色が開けました。植林が伐採されているからです。
写真左側に小河内ダムが見えています。写真右端のいちばん高いピークは六ッ石山1478.8mでしょう。中央遠くのピークはおそらく榧ノ木山1485m、その左の同じ尾根沿いのピークは倉戸山1169.3mだと思います。10:36ころ。


▲小河内ダムの左側の山並みです。中央のピークは惣岳山、その左は御前山1405.0mだと思います。10:37ころ。


▲九竜山954m山頂。ここで二度目の大休止。10:42ころ。


▲休憩を終えて、九竜山山頂を出発します。山頂と言ってもこんな感じで全然山頂らしくはありません。11:17ころ。


▲九竜山山頂は山頂らしくないと前の写真のキャプションで書きましたけれど、いやいやそんなことはありません! どんどん下って行きます。標高差70mほど下降しました。岩っぽいところが多かったです。11:25ころ。


▲ギンリョウソウです。11:37ころ。


▲江戸小屋山山頂です。ずいぶん登りずいぶん歩きましたが、さっきの九竜山の標高からは僅か16mしか高くなっていません。970mなんです。S子の左にある黄色の板が山名標識なんですが、これがないとどこが山頂か分からない、そんな平らな山頂です。11:49ころ。


▲さっきとは反対側、東から南東側が開けました。中央のピークは鋸山1109mですが、写真右の頭だけを出している遠くのピークはたぶん大岳山1266.5mではないでしょうか? 11:54ころ。


▲足もとに小さな花が咲いていました。背丈は5~6cmでしょうか。まったく目立たない花です。12:05ころ。


▲植林も多いですが、こんな広葉樹の林も多くなりました。気持ちのよい林です。12:10ころ。


▲先ほどの小さな花には葉っぱが付いていませんでした。でも、今度は葉もちゃんと付いている花です。12:17ころ。


▲家でこの花の名前を調べ始めましたが、何のとっかかりもありません。ネットで「白花 山」とかで検索してもいいのでしょうけれど、大変そうです。こんな時は取り敢えず『牧野日本植物図鑑』を1ページ目からざぁ~っと目を通してみます。すると、全体の4分の1もめくらないうちに見つかりました! イチヤクソウです。念のためにネットで確認すると、やはりそうです。
イチヤクソウ(一薬草)の名前は聞いたことがありましたけれど、実際に見たのは初めてだと思います。12:18ころ。


▲この花も小さな小さな花です。足もとに隠れるように咲いていました。ひざまずいて見つめると、明らかにツツジの花です。こんなに小さなツツジの花があるとは! 1.5cmくらいでしょうか。ツツジ科の中にはもっと小さな花もありますが、それはアセビやドウダンのように釣鐘型の花です。ミニチュアみたいでなんて可愛らしい花なんでしょう! 12:35ころ。


▲やっと鞘口山1142m到着です。休憩込みで4時間半くらいかかりました。12:38ころ。

S子の体調は大丈夫そう。予定通りのコースを歩けそうですね。