日本は、ダイヤモンド・プリンセス号由来の株は、その後出現しておらず、封じ込めできたと思われる。14時間毎に変異する新型コロナウィルスの欧州由来の株の封じ込めはこれからだ。これまで以上に油断せず、3密を避け、マスク、指を立てて洗浄液を受け手首まで洗い、外出を控えて自他ともに感染する機会を減ずる努力をしよう。
東北地方は感染抑制が上手くいっており、岩手県は0だ。今後も協調して抑止力を高めよう。
https://www.asahi.com/articles/ASN4X5V9PN4WULBJ00X.html
国立感染症研究所(感染研)は27日、3月以降に国内で広がっている新型コロナウイルスは、欧州などを経由してもたらされた可能性が高いとする研究結果を公表した。検査で陽性と判定された国内の約560人の検体から、ウイルスのゲノム(全遺伝情報)を解読した。
世界各国からデータベースに登録された患者約4500人のウイルスの情報も取得。そのうえで遺伝子の特徴を分析した。
その結果、国内で初期に発生した複数のクラスター(感染者集団)やクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の患者から検出されたウイルスは、1月初旬に中国・武漢市で検出されたウイルスと関係が深いと推定された。このウイルスは3月以降、国内で広がることはなく、終息したとみられるという。
一方、これに代わって国内で確認されるようになったウイルスは、武漢市で確認されたウイルスよりも、欧州各国で感染を広げたウイルスの遺伝子に特徴が近かった。3月以降、欧州など海外からの旅行者や帰国者を通じて全国各地に広がった可能性があるという。
感染研は、こうしたウイルスの広がりなどを示した遺伝情報の関係図をインターネット上(https://gph.niid.go.jp/covid19/haplotype_networks別ウインドウで開きます)で公開している。(野口憲太)
<新型コロナは14日ごとに変異 感染研が分析 武漢株より怖い欧州株を食い止められるか
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200428-00175783/
木村正人 | 在英国際ジャーナリスト2020年4月28日(火) 21:31>
[ロンドン発]国内外の患者5073人から収集された新型コロナウイルスのゲノム情報を解読した結果、1年間で25.9カ所に塩基変異が起きると推定されることが国立感染症研究所(感染研)の調査で分かりました。単純計算で平均14日に1度のペースで変異していることになります。
欧米の医学者らが運営する新型コロナウイルスのゲノムに関する専門サイト「ネクストストレイン」に登録されているのは3650人分なので、それよりもサンプルが多くなっています。ネクストストレインのデータでは、変異のスピードは平均15日に1度とみられていました。
新型コロナウイルスは一本鎖プラス鎖RNAウイルスで全長29.9 キロベース(kb)。塩基1個を1b(ベース)と表すので29.9kbとは29.9×1000(k)=2万9900個の塩基から構成されることを意味しています。
2020年4月16日までに登録された国外患者4511人の新型コロナウイルスのゲノム配列と国内患者562人のそれを解読。その結果、中国湖北省武漢市で2019年末に発生してから約4カ月間にゲノム全域に少なくとも9塩基ほどの変異がランダムに起きていることが示唆されたそうです。
感染研のHPに掲載された系統樹を見ると、日本国内での感染の広がりが「見える化」されています。 感染研のHPより
1月初旬に武漢市で発生したウイルス株(武漢株)を基点に日本各地に初期のクラスターが複数発生したものの、すでに消失へと転じていることが確認されました。
2月5日から本格的な検疫を開始したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で確認された陽性患者のうち70人の新型コロナウイルス・ゲノム情報を武漢株と比較したところ1塩基のみ変異していたそうです。
ダイヤモンド・プリンセスを基点とする株は今のところ乗員乗客以外から検出されていません。つまり日本は14人の死者を出したもののダイヤモンド・プリンセス集団感染の封じ込めに成功したことになります。
一方、世界では欧州や北米で感染爆発が起き、日本でも欧州株を基点とした新型コロナウイルス株が検出されるようになりました。
日本は「中国」「湖北省」「武漢市」をキーワードに絞り込みがしやすかった中国経由の第一波を封じ込めたものの3月中旬以降、欧米経由の第二波の輸入症例が国内で広がっている恐れが強いようです。
ニューヨークなどアメリカ東海岸やイタリア、スペイン、フランス、英国など欧州で流行している欧州株は武漢株より深刻な被害を出しています。さらに輸入症例からの広がりは感染経路がたどりにくいだけに一段の警戒が必要です。
日本は空港や港など水際作戦の徹底や国家緊急事態宣言による外出自粛で危険な欧米経由の第二波を食い止められるかどうかの正念場に立たされています。
(おわり)
新型コロナ死者 英で2万9000人超 伊を上回り欧州最多
NHKニュース 2020年5月6日 5時55分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200506/k10012418921000.html
新型コロナウイルスの感染が深刻な状況にあるイギリスでは、ウイルスに感染して亡くなった人が2万9000人を超え、ヨーロッパでは最も多くなりました。
イギリスの保健当局の発表によりますと、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人は、4日までの24時間に700人近く増えて2万9427人となりました。
その結果、亡くなった人の数はアメリカに次いで2番目に多く、ヨーロッパではイタリアを上回って最も多くなりました。
イギリスでは新型コロナウイルスの感染拡大のピークは過ぎたものの、介護施設で亡くなる人が増え続けていて、依然として深刻な状況です。
イギリス政府は、感染の有無を調べる検査が不十分だという批判を受けて、1日10万件を目標に検査件数を増やしていますが、政府でウイルス対策にあたるバランス首席科学顧問は5日、議会の委員会で、「検査をもっと早い段階で拡充できていたら、よかっただろう」と述べ、これまでの検査の不備を認めました。
ジョンソン首相は、1か月以上続く外出制限などの措置の緩和について今月10日に演説を行い、国民に説明する予定ですが、経済活動の再開を求めるビジネス界からの圧力も強まる中、厳しい判断を迫られています。
イギリスの死者、イタリアを抜いて欧州最多に 新型ウイルス
https://www.bbc.com/japanese/52554674
イギリスで5日、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の死者がイタリアを抜いて欧州で最多となった。この日までの死者数は2万9427人で、ドミニク・ラーブ外相は「大きな悲劇だ」と語った。
イタリアはこれまで欧州で最も死者数が多かったが、この日までの死者数は2万9315人だった。同国とイギリスはともに、新型ウイルスの検査で陽性反応とされた死者を集計している。
しかし専門家からは、世界全体で死者数などを比較するにはあと数カ月は必要だと指摘する声も出ている。
BBCのロバート・カッフェ統計部長は、死者数の増加スピードはイタリアよりもイギリスの方が速いと指摘。
一方で、イギリスの人口は約6700万人とイタリアよりも10%ほど多く、単純な比較には注意が必要だと述べた。
さらに、両国では検査方法も異なっており、イタリアの方が全体の検査数は多いという。
BBCのニック・トリグル保健担当編集委員は、死者の分布も異なると言及。イタリアでは死者の半数がロンバルディア地方に集中しているが、イギリスでは全国に分散していると述べた。
<関連記事>
イギリスで新型ウイルス追跡アプリの試験開始 個人情報めぐり懸念も
ロンドンやNYの劇場は「来年まで再開できない」 「オペラ座の怪人」プロデューサー
イギリスでは貧困地域ほど死亡率高い=政府統計局 新型コロナウイルス
定例会見でラーブ外相は、2万9427人の命が失われたことは「大きな悲劇」であり、イギリスでは「こうした形、こうした規模での死は(中略)前例がない」と述べた。
しかし国同士の比較については、「パンデミック(世界的流行)が終わるまで、そして特に全死因に関する国際的かつ包括的なデータが出て来るまでは、各国がどれほど健闘したかの判決は出ないと思う」と述べた。
英ケンブリッジ大学のデイヴィッド・スピーゲルハルター教授は、報告されている新型ウイルスでの死者数が、本当の数を「大きく下回っている」ことは「確か」だと話した。
「欧州のどの国も成功しているとは言えないが、これはユーロビジョン(欧州各国による歌合戦番組)ではないし、ランク付けすることに意味はない」
「唯一意味のある比較は、国ごとに年齢構成による変動調整を行った上で、全死因に関する超過死亡を見比べることだが、それでも数字の違いの原因を突き止めることは非常に難しいだろう」
政府とは別に国家統計局(ONS)が発表している統計によると、4月24日までの新型ウイルスによる死者は2万7300人となった。4月24日以降にONSに報告された死者数を含めると、全体の死者は3万2000人以上になるという。
ONSでは死亡届に記載された死因を基に統計を出している。また検査を受けていなくても、医師がCOVID-19の疑いがあると判断した場合の数も含めている。
イギリスではこれまでに138万3842件の検査が行われた。5日の検査数は8万4806件と、政府が目標とする1日10万件を切っている。
マット・ハンコック保健相は4月初めにこの目標を設定。5月1日と2日は達成したものの、ここ3日間は下回っている。
一家の3人が亡くなるケースも
イングランド北部サウス・シールズでは、新型ウイルスによって一家の3人が亡くなるケースがあった。
30年以上にわたって看護師として働いていたキース・ダニントンさん(54)は、4月19日に自宅で亡くなった。その後5月に入り、母親のリリアンさん(81)と その夫のモーリスさん(85)が相次いで亡くなったという。
イギリスではこれまでに100人以上の医療従事者が新型ウイルスの犠牲になっている。
また、介護施設での死者も多数報告されており、北アイルランドでは同じ施設の14人が、COVID-19の関連する症状で死亡した。
イギリスのその他の状況は以下の通り。
現地紙デイリー・テレグラフはこの日、政府の非常時科学諮問委員会(SAGE)でロックダウン(都市封鎖)政策に関わっていたニール・ファーガソン教授の「結婚している恋人」が、ロックダウン中にファーガソン氏の自宅を訪れていたと報道。ファーガソン氏は「判断の誤り」と、政策を「損なった」ことを理由に、政府顧問を辞任した
イギリスとアメリカのサイバーセキュリティー当局は共同声明を発表し、新型ウイルス対策に関わっている医療従事者を標的としたサイバー犯罪に注意するよう呼びかけた
英航空大手ヴァージン・アトランティックがイギリス国内の従業員の3分の1を整理すると発表した
絶望のイタリア尻目に「自国ファースト」強める国 新型コロナ、EUを揺さぶる
https://globe.asahi.com/article/13341913 朝日新聞2020年5月4日
鎖国」前夜のパリを歩いた
新型コロナウイルスへの恐怖から、人の往来を遮断する動きは、中国に続いて感染の中心地となった欧州にも広がった。「国境なき欧州」という地域統合の理念をよそに、入国規制を始める国が相次ぐなか、3月中旬、外出禁止措置直前の緊迫するフランス・パリを訪れた。(太田航、文中敬称略)
フランス・パリの象徴、エッフェル塔で聞こえてきたのは野鳥のさえずりばかり。足元を流れるセーヌ川沿いや公園まで見渡しても、人影は数えるほどだ。入場口には「新型コロナウイルスのため当面の間閉鎖します」との表示。3月16日のパリで目にしたのは、世界一の外国人観光客数を誇る観光大国の変貌ぶりだった。
記者(太田)は別の取材でイタリアに出張する予定だったが、感染リスクの高まりで断念。フランスでの新型コロナ関連の取材に変更した。マスクや消毒綿を多めに持参してパリの街に入ったが、状況は想定外の速さで悪化していた。
ベンチに座って力なく塔を見上げていたのはコロンビアから来たダニエル・ロハス(26)。「休暇のはずが、悪夢になった」。欧州各国を巡る旅の途中、この日、憧れのパリに到着したばかり。だが、外出禁止になりそうだと、急きょ、夜の便でオランダに飛ぶと決めた。「せめてシャンゼリゼ通りは見たい」と、スーツケースを引いて歩き去った。
サンジェルマン・デ・プレでは、老舗カフェの「レ・ドゥ・マゴ」が閉まっていた。政府が前日の15日から生活必需品を扱わない商店や飲食店の営業を禁止していた。フランスの哲学者サルトルや米国出身の作家ヘミングウェーら世界中から集まった思想家や芸術家らがパリのカフェで語り合ってきた。通訳のセザール・カステルビが嘆いた。「カフェが閉じたパリなんて信じられない」
そんな中、スーパーは買い物客で混雑していた。夕食を買いに行くと、最初の店は入店規制で20人ほどの列。別のスーパーでは列に並ぶと、店員が「一緒ですか?」。前の人と別会計なら1メートル以上離れてほしいという。前日には言われなかった。急速な警戒感の高まりを実感した。
ホテルに戻ると、マクロン大統領が17日正午からの外出禁止措置を発表した。もはや取材は難しい。日本に戻れなくなる心配もあった。急いで帰国便を探し、翌朝、慌ただしくパリを飛び立った。
揺れる欧州の理念
2度の世界大戦の舞台となった欧州。パリは、その反省から生まれたEU(欧州連合)の出発点でもある。何度も敵対したフランスとドイツが手を握り、1951年のパリ条約で欧州石炭鉄鋼共同体が発足。戦略物資の「主権」を譲る画期的なアイデアだった。それを受け継いだEUは、大半の加盟国と周辺国の一部で往来を自由化して「国境なき欧州」を実現。通貨統合も含め、かつてないレベルで民主的な地域統合を成し遂げた。パリの国際経済予測研究センターのセバスチャン・ジャンは「移動の自由はEU一体性の要。今回の危機にも協調して対応する必要がある」と話す。
だが、ウイルスへの恐怖がEUの理念を揺さぶっている。一部の国が入国制限を始め、主要国ドイツにも広がった。ユーロ危機、難民危機に続き、EUは再び加盟国の結束を問われている。
欧州政治に詳しい北海道大公共政策大学院長の遠藤乾は「イタリアにはルサンチマン(恨み)が蓄積している」と指摘する。
新型コロナの被害が集中し、街に遺体があふれるような絶望的な状況になった イタリアを尻目に、EU主要国のドイツまでもがマスクの輸出制限に踏み切るなど、「自国ファースト」の姿勢を強めた。その後、ドイツによる医療支援も始まり、ユーロ圏で5400億ユーロ(約63兆円)の緊急財政支援策に合意を見たことでEUは面目を保った形だが、苦境の加盟国を支援するEUの「コロナ債」発行では、被害が大きいイタリアやスペイン、フランスと、ドイツやオランダなどが対立し、EUの南北問題が再燃している。
EU市場や通貨統合の恩恵を受けて富を増してきたドイツなど北部の国々に対し、これまでもイタリアなど南欧の国々には、ユーロ危機や難民危機でも支援が少ないとの不満があった。19年の欧州委員会の世論調査では、EU全体で68%が加盟を「利益になる」と回答したが、イタリアでは41%と、加盟国で唯一、「利益にならない」(49%)を下回った。こうした世論を背景に、イタリアではEUに懐疑的な右派勢力も台頭している。
遠藤は「危機の時は、例外的に国家主権が前面にせり出してくる。それを最小限に抑える枠組みとしてEUは機能してきた」と評価する。ただ、「今後、金融などで危機が深まる可能性は高い。うまく対応できなければ、EU内の分断が広がりかねない」と懸念する。
(太田航 東京都出身。2001年に朝日新聞入社。名古屋、東京、大阪の社会部などを経て、GLOBE編集部
東北地方は感染抑制が上手くいっており、岩手県は0だ。今後も協調して抑止力を高めよう。
https://www.asahi.com/articles/ASN4X5V9PN4WULBJ00X.html
国立感染症研究所(感染研)は27日、3月以降に国内で広がっている新型コロナウイルスは、欧州などを経由してもたらされた可能性が高いとする研究結果を公表した。検査で陽性と判定された国内の約560人の検体から、ウイルスのゲノム(全遺伝情報)を解読した。
世界各国からデータベースに登録された患者約4500人のウイルスの情報も取得。そのうえで遺伝子の特徴を分析した。
その結果、国内で初期に発生した複数のクラスター(感染者集団)やクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の患者から検出されたウイルスは、1月初旬に中国・武漢市で検出されたウイルスと関係が深いと推定された。このウイルスは3月以降、国内で広がることはなく、終息したとみられるという。
一方、これに代わって国内で確認されるようになったウイルスは、武漢市で確認されたウイルスよりも、欧州各国で感染を広げたウイルスの遺伝子に特徴が近かった。3月以降、欧州など海外からの旅行者や帰国者を通じて全国各地に広がった可能性があるという。
感染研は、こうしたウイルスの広がりなどを示した遺伝情報の関係図をインターネット上(https://gph.niid.go.jp/covid19/haplotype_networks別ウインドウで開きます)で公開している。(野口憲太)
<新型コロナは14日ごとに変異 感染研が分析 武漢株より怖い欧州株を食い止められるか
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200428-00175783/
木村正人 | 在英国際ジャーナリスト2020年4月28日(火) 21:31>
[ロンドン発]国内外の患者5073人から収集された新型コロナウイルスのゲノム情報を解読した結果、1年間で25.9カ所に塩基変異が起きると推定されることが国立感染症研究所(感染研)の調査で分かりました。単純計算で平均14日に1度のペースで変異していることになります。
欧米の医学者らが運営する新型コロナウイルスのゲノムに関する専門サイト「ネクストストレイン」に登録されているのは3650人分なので、それよりもサンプルが多くなっています。ネクストストレインのデータでは、変異のスピードは平均15日に1度とみられていました。
新型コロナウイルスは一本鎖プラス鎖RNAウイルスで全長29.9 キロベース(kb)。塩基1個を1b(ベース)と表すので29.9kbとは29.9×1000(k)=2万9900個の塩基から構成されることを意味しています。
2020年4月16日までに登録された国外患者4511人の新型コロナウイルスのゲノム配列と国内患者562人のそれを解読。その結果、中国湖北省武漢市で2019年末に発生してから約4カ月間にゲノム全域に少なくとも9塩基ほどの変異がランダムに起きていることが示唆されたそうです。
感染研のHPに掲載された系統樹を見ると、日本国内での感染の広がりが「見える化」されています。 感染研のHPより
1月初旬に武漢市で発生したウイルス株(武漢株)を基点に日本各地に初期のクラスターが複数発生したものの、すでに消失へと転じていることが確認されました。
2月5日から本格的な検疫を開始したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で確認された陽性患者のうち70人の新型コロナウイルス・ゲノム情報を武漢株と比較したところ1塩基のみ変異していたそうです。
ダイヤモンド・プリンセスを基点とする株は今のところ乗員乗客以外から検出されていません。つまり日本は14人の死者を出したもののダイヤモンド・プリンセス集団感染の封じ込めに成功したことになります。
一方、世界では欧州や北米で感染爆発が起き、日本でも欧州株を基点とした新型コロナウイルス株が検出されるようになりました。
日本は「中国」「湖北省」「武漢市」をキーワードに絞り込みがしやすかった中国経由の第一波を封じ込めたものの3月中旬以降、欧米経由の第二波の輸入症例が国内で広がっている恐れが強いようです。
ニューヨークなどアメリカ東海岸やイタリア、スペイン、フランス、英国など欧州で流行している欧州株は武漢株より深刻な被害を出しています。さらに輸入症例からの広がりは感染経路がたどりにくいだけに一段の警戒が必要です。
日本は空港や港など水際作戦の徹底や国家緊急事態宣言による外出自粛で危険な欧米経由の第二波を食い止められるかどうかの正念場に立たされています。
(おわり)
新型コロナ死者 英で2万9000人超 伊を上回り欧州最多
NHKニュース 2020年5月6日 5時55分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200506/k10012418921000.html
新型コロナウイルスの感染が深刻な状況にあるイギリスでは、ウイルスに感染して亡くなった人が2万9000人を超え、ヨーロッパでは最も多くなりました。
イギリスの保健当局の発表によりますと、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人は、4日までの24時間に700人近く増えて2万9427人となりました。
その結果、亡くなった人の数はアメリカに次いで2番目に多く、ヨーロッパではイタリアを上回って最も多くなりました。
イギリスでは新型コロナウイルスの感染拡大のピークは過ぎたものの、介護施設で亡くなる人が増え続けていて、依然として深刻な状況です。
イギリス政府は、感染の有無を調べる検査が不十分だという批判を受けて、1日10万件を目標に検査件数を増やしていますが、政府でウイルス対策にあたるバランス首席科学顧問は5日、議会の委員会で、「検査をもっと早い段階で拡充できていたら、よかっただろう」と述べ、これまでの検査の不備を認めました。
ジョンソン首相は、1か月以上続く外出制限などの措置の緩和について今月10日に演説を行い、国民に説明する予定ですが、経済活動の再開を求めるビジネス界からの圧力も強まる中、厳しい判断を迫られています。
イギリスの死者、イタリアを抜いて欧州最多に 新型ウイルス
https://www.bbc.com/japanese/52554674
イギリスで5日、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の死者がイタリアを抜いて欧州で最多となった。この日までの死者数は2万9427人で、ドミニク・ラーブ外相は「大きな悲劇だ」と語った。
イタリアはこれまで欧州で最も死者数が多かったが、この日までの死者数は2万9315人だった。同国とイギリスはともに、新型ウイルスの検査で陽性反応とされた死者を集計している。
しかし専門家からは、世界全体で死者数などを比較するにはあと数カ月は必要だと指摘する声も出ている。
BBCのロバート・カッフェ統計部長は、死者数の増加スピードはイタリアよりもイギリスの方が速いと指摘。
一方で、イギリスの人口は約6700万人とイタリアよりも10%ほど多く、単純な比較には注意が必要だと述べた。
さらに、両国では検査方法も異なっており、イタリアの方が全体の検査数は多いという。
BBCのニック・トリグル保健担当編集委員は、死者の分布も異なると言及。イタリアでは死者の半数がロンバルディア地方に集中しているが、イギリスでは全国に分散していると述べた。
<関連記事>
イギリスで新型ウイルス追跡アプリの試験開始 個人情報めぐり懸念も
ロンドンやNYの劇場は「来年まで再開できない」 「オペラ座の怪人」プロデューサー
イギリスでは貧困地域ほど死亡率高い=政府統計局 新型コロナウイルス
定例会見でラーブ外相は、2万9427人の命が失われたことは「大きな悲劇」であり、イギリスでは「こうした形、こうした規模での死は(中略)前例がない」と述べた。
しかし国同士の比較については、「パンデミック(世界的流行)が終わるまで、そして特に全死因に関する国際的かつ包括的なデータが出て来るまでは、各国がどれほど健闘したかの判決は出ないと思う」と述べた。
英ケンブリッジ大学のデイヴィッド・スピーゲルハルター教授は、報告されている新型ウイルスでの死者数が、本当の数を「大きく下回っている」ことは「確か」だと話した。
「欧州のどの国も成功しているとは言えないが、これはユーロビジョン(欧州各国による歌合戦番組)ではないし、ランク付けすることに意味はない」
「唯一意味のある比較は、国ごとに年齢構成による変動調整を行った上で、全死因に関する超過死亡を見比べることだが、それでも数字の違いの原因を突き止めることは非常に難しいだろう」
政府とは別に国家統計局(ONS)が発表している統計によると、4月24日までの新型ウイルスによる死者は2万7300人となった。4月24日以降にONSに報告された死者数を含めると、全体の死者は3万2000人以上になるという。
ONSでは死亡届に記載された死因を基に統計を出している。また検査を受けていなくても、医師がCOVID-19の疑いがあると判断した場合の数も含めている。
イギリスではこれまでに138万3842件の検査が行われた。5日の検査数は8万4806件と、政府が目標とする1日10万件を切っている。
マット・ハンコック保健相は4月初めにこの目標を設定。5月1日と2日は達成したものの、ここ3日間は下回っている。
一家の3人が亡くなるケースも
イングランド北部サウス・シールズでは、新型ウイルスによって一家の3人が亡くなるケースがあった。
30年以上にわたって看護師として働いていたキース・ダニントンさん(54)は、4月19日に自宅で亡くなった。その後5月に入り、母親のリリアンさん(81)と その夫のモーリスさん(85)が相次いで亡くなったという。
イギリスではこれまでに100人以上の医療従事者が新型ウイルスの犠牲になっている。
また、介護施設での死者も多数報告されており、北アイルランドでは同じ施設の14人が、COVID-19の関連する症状で死亡した。
イギリスのその他の状況は以下の通り。
現地紙デイリー・テレグラフはこの日、政府の非常時科学諮問委員会(SAGE)でロックダウン(都市封鎖)政策に関わっていたニール・ファーガソン教授の「結婚している恋人」が、ロックダウン中にファーガソン氏の自宅を訪れていたと報道。ファーガソン氏は「判断の誤り」と、政策を「損なった」ことを理由に、政府顧問を辞任した
イギリスとアメリカのサイバーセキュリティー当局は共同声明を発表し、新型ウイルス対策に関わっている医療従事者を標的としたサイバー犯罪に注意するよう呼びかけた
英航空大手ヴァージン・アトランティックがイギリス国内の従業員の3分の1を整理すると発表した
絶望のイタリア尻目に「自国ファースト」強める国 新型コロナ、EUを揺さぶる
https://globe.asahi.com/article/13341913 朝日新聞2020年5月4日
鎖国」前夜のパリを歩いた
新型コロナウイルスへの恐怖から、人の往来を遮断する動きは、中国に続いて感染の中心地となった欧州にも広がった。「国境なき欧州」という地域統合の理念をよそに、入国規制を始める国が相次ぐなか、3月中旬、外出禁止措置直前の緊迫するフランス・パリを訪れた。(太田航、文中敬称略)
フランス・パリの象徴、エッフェル塔で聞こえてきたのは野鳥のさえずりばかり。足元を流れるセーヌ川沿いや公園まで見渡しても、人影は数えるほどだ。入場口には「新型コロナウイルスのため当面の間閉鎖します」との表示。3月16日のパリで目にしたのは、世界一の外国人観光客数を誇る観光大国の変貌ぶりだった。
記者(太田)は別の取材でイタリアに出張する予定だったが、感染リスクの高まりで断念。フランスでの新型コロナ関連の取材に変更した。マスクや消毒綿を多めに持参してパリの街に入ったが、状況は想定外の速さで悪化していた。
ベンチに座って力なく塔を見上げていたのはコロンビアから来たダニエル・ロハス(26)。「休暇のはずが、悪夢になった」。欧州各国を巡る旅の途中、この日、憧れのパリに到着したばかり。だが、外出禁止になりそうだと、急きょ、夜の便でオランダに飛ぶと決めた。「せめてシャンゼリゼ通りは見たい」と、スーツケースを引いて歩き去った。
サンジェルマン・デ・プレでは、老舗カフェの「レ・ドゥ・マゴ」が閉まっていた。政府が前日の15日から生活必需品を扱わない商店や飲食店の営業を禁止していた。フランスの哲学者サルトルや米国出身の作家ヘミングウェーら世界中から集まった思想家や芸術家らがパリのカフェで語り合ってきた。通訳のセザール・カステルビが嘆いた。「カフェが閉じたパリなんて信じられない」
そんな中、スーパーは買い物客で混雑していた。夕食を買いに行くと、最初の店は入店規制で20人ほどの列。別のスーパーでは列に並ぶと、店員が「一緒ですか?」。前の人と別会計なら1メートル以上離れてほしいという。前日には言われなかった。急速な警戒感の高まりを実感した。
ホテルに戻ると、マクロン大統領が17日正午からの外出禁止措置を発表した。もはや取材は難しい。日本に戻れなくなる心配もあった。急いで帰国便を探し、翌朝、慌ただしくパリを飛び立った。
揺れる欧州の理念
2度の世界大戦の舞台となった欧州。パリは、その反省から生まれたEU(欧州連合)の出発点でもある。何度も敵対したフランスとドイツが手を握り、1951年のパリ条約で欧州石炭鉄鋼共同体が発足。戦略物資の「主権」を譲る画期的なアイデアだった。それを受け継いだEUは、大半の加盟国と周辺国の一部で往来を自由化して「国境なき欧州」を実現。通貨統合も含め、かつてないレベルで民主的な地域統合を成し遂げた。パリの国際経済予測研究センターのセバスチャン・ジャンは「移動の自由はEU一体性の要。今回の危機にも協調して対応する必要がある」と話す。
だが、ウイルスへの恐怖がEUの理念を揺さぶっている。一部の国が入国制限を始め、主要国ドイツにも広がった。ユーロ危機、難民危機に続き、EUは再び加盟国の結束を問われている。
欧州政治に詳しい北海道大公共政策大学院長の遠藤乾は「イタリアにはルサンチマン(恨み)が蓄積している」と指摘する。
新型コロナの被害が集中し、街に遺体があふれるような絶望的な状況になった イタリアを尻目に、EU主要国のドイツまでもがマスクの輸出制限に踏み切るなど、「自国ファースト」の姿勢を強めた。その後、ドイツによる医療支援も始まり、ユーロ圏で5400億ユーロ(約63兆円)の緊急財政支援策に合意を見たことでEUは面目を保った形だが、苦境の加盟国を支援するEUの「コロナ債」発行では、被害が大きいイタリアやスペイン、フランスと、ドイツやオランダなどが対立し、EUの南北問題が再燃している。
EU市場や通貨統合の恩恵を受けて富を増してきたドイツなど北部の国々に対し、これまでもイタリアなど南欧の国々には、ユーロ危機や難民危機でも支援が少ないとの不満があった。19年の欧州委員会の世論調査では、EU全体で68%が加盟を「利益になる」と回答したが、イタリアでは41%と、加盟国で唯一、「利益にならない」(49%)を下回った。こうした世論を背景に、イタリアではEUに懐疑的な右派勢力も台頭している。
遠藤は「危機の時は、例外的に国家主権が前面にせり出してくる。それを最小限に抑える枠組みとしてEUは機能してきた」と評価する。ただ、「今後、金融などで危機が深まる可能性は高い。うまく対応できなければ、EU内の分断が広がりかねない」と懸念する。
(太田航 東京都出身。2001年に朝日新聞入社。名古屋、東京、大阪の社会部などを経て、GLOBE編集部