読売新聞2020年9月23日(水)東京飯夕刊に掲載された記事(web会員限定15:00配信)「見頃を迎えているリンドウの花びらが光合成をしていることを、公益財団法人・岩手生物工学研究センター(岩手県北上市)が発見した。一般的に花は光合成をしないとされているが、リンドウの花びらにある緑色の斑点=写真、同センター提供=が葉緑体を含んでいることが要因とみられるという。
[岩手の研究所 発見] リンドウは初夏から晩秋にかけて主に青色の花を咲かせ、岩手県は生産量が全国1位。これまで斑点が目立たない花を選抜し、育ててきたが、斑点の機能などは分かっていなかった。同センターが1年半かけて電子顕微鏡や測定器などを使って調べた。その結果、斑点は成熟した葉緑体を含む表皮細胞でつくられ、一般的な植物の葉と同レベルの光合成を行うことが判明したという。同センターの高橋重一研究員(40)は「従来の植物生理学の常識を覆す可能性もある花びらの光合成で得たエネルギーで花を長持ちさせているのではないかとし、今後、なぜ斑点が生成されたかなどを調べる。研究成果は8月26日付の米科学誌「プロスワン」に掲載された。
東大付属植物園の園長を務める塚谷裕一・同大教授(植物学)は、「イネのように花が緑の植物が光合成をすることは知られていたが、リンドウのように色鮮やかに咲き、昆虫を呼び寄せる花が光合成する例は初めて聞く。葉緑体が花びらにある理由などが解明されれば、興味深い」と話している。」というのが記事の内容だ。
岩手生物工学研究センターが発表したのは2020年8月24日(月)。同日20:35に共同通信社が配信した記事は「リンドウ生産の全国シェア約6割を占める岩手県にある岩手生物工学研究センター(北上市)などの研究グループは24日、リンドウの花びらに見られる緑色の斑点に葉緑体があり光合成が行われていることが明らかになったと発表した。一般的に花びらは光合成をしないとされ、新発見だとしている。論文は米科学誌に26日付で掲載される。
研究グループは花びらの斑点を電子顕微鏡などで観察したほか、植物が吸収しながら光合成に使わなかった光を計測する手法で、斑点が葉と同レベルの光合成をしていることを確認した。
今後は斑点を作る因子を究明し、新品種の育成につなげるなどしたいとしている。」。
8月24日(月)に紙面に掲載したのは、秋田魁新報、沖縄タイムス、東京新聞、産経新聞、西日本新聞、静岡新聞、47ニュースなどだ。8月25日(火)には、産経biz、岩手日報。8月26日(水)には、YaHooニュース。9月2日(水)には、NHKニュースが報じている。
多少日にちが過ぎているが、地元の強みを生かして多彩な取材と分析で異彩を放っているのが、岩手日日の記事だ。
新発見!リンドウは花でも光合成 緑色斑点に葉緑体・岩手生工研
岩手日日新聞(岩手県一関市に本社)2020年8月27(木) 10:20配信の記事
「岩手生物工学研究センター(生工研、北上市成田、小岩一幸理事長)などの研究グループは、リンドウの花びらに見られる緑色斑点にある葉緑体が光合成をしていると発表した。植物の花は光合成しないとされているが、今回一般的な植物の葉と同レベルの光合成を確認。光合成能を持つ葉緑体は表皮細胞に存在していることも分かり、極めてまれな事例という。これらの研究成果は、新発見として注目されそうだ。
研究は生工研園芸資源研究部の西原昌宏部長のグループで、同部研究員の高橋重一氏(40)が主体となり推進。県農業研究センター、早稲田大、農研機構の研究者が連携した。
日本光合成学会員の高橋氏は、18年間光合成研究に携わってきた専門家。2018年9月生工研に着任後、農研センターで栽培するリンドウの花びらに見られる緑色斑点に着目。光合成の可能性を探り始めた。
高橋氏らは電子、立体さまざまな顕微鏡を駆使してリンドウの花びらを観察。光合成測定装置で計測した結果、緑色斑点を構成する葉緑体は、一般的な植物の葉と同レベルの光合成をしていると判明した。
本来、光合成は表皮細胞より内側の細胞で行われ、表皮細胞は発達した機能的な葉緑体を持たないとされているが、今回は表皮細胞で光合成をしていることが確認された。
今後、高橋氏らは緑色斑点を形成する因子を突き止め、新たな技術開発をしてリンドウの新品種育成の労力軽減、開発促進を目指す。リンドウの花びらがなぜ緑色斑点を持っているかはまだ不明で、その理由を追求していくという。
本県リンドウ生産量は全国トップだが、市場では育種の過程で斑点が目立たない系統が選抜される傾向にある。これまで斑点に関する知見が乏しかったが、今回の研究で大きな成果が得られた。高橋氏は「他の研究者と協力し合い、新たな発見ができた。将来はリンドウの育種現場でも活用し、最終的に生産者のために貢献できれば」と話している。
研究成果は国際学術雑誌「PLOS ONE」に掲載される。」と長文だが問題点が的確に明示され、最も分かりやすい解説だ。
読売新聞の9月24日(木)編集手帳に「花びら自体が光合成でエネルギーを得ることで、自身を長持ちさせているのでは」という研究員の談話を掲載している。編集氏は、「リンドウは枕草子や源氏物語でも霜枯れの野に鮮やかに咲くとたたえられている。稲の黄金や紅葉ばかりではない。日本の秋には深まる青もある。」と結んでいる。
イネの花の光合成は、受粉の条件が乾燥した好天の1〜2時間で葯に包まれていた花粉が葯が避けて雄しべの花粉が風に乗り雌しべが受粉すると葯が閉じられるという時間限定の作用なのだという。
漢方薬として中国から伝来したといわれているが、その時期は定かでない。
万葉集には詠われていないので、平安後期の頃かと思われる。
確かに、緑の斑点が花びらにある花は見かけないが、咲ききった状態の花を見ることも稀なので、気付かなかったのかもしれない。花びらが開ききらないうちに花の終わりが来ることが多く、花の中まで見ずに廃棄していることも確かなので、光合成で花もちを良くするなら、斑点のある花がもてはやされるようになるのかもしれない。
リンドウ(竜胆)は、リンドウ科リンドウ属の多年生植物で、近縁の多品種や他種を含む総称名であることが多い。花期は秋だが、草刈りなどで見かけなくなった。一般的に見られるのは、墓前の供花などに用いられる園芸種の花だ。
根の配糖体のゲンチオピリン、アルカロイドの一種ゲアチアニン、三糖体のゲンチアノースなどを含んでおり、様々な薬効がある。
[岩手の研究所 発見] リンドウは初夏から晩秋にかけて主に青色の花を咲かせ、岩手県は生産量が全国1位。これまで斑点が目立たない花を選抜し、育ててきたが、斑点の機能などは分かっていなかった。同センターが1年半かけて電子顕微鏡や測定器などを使って調べた。その結果、斑点は成熟した葉緑体を含む表皮細胞でつくられ、一般的な植物の葉と同レベルの光合成を行うことが判明したという。同センターの高橋重一研究員(40)は「従来の植物生理学の常識を覆す可能性もある花びらの光合成で得たエネルギーで花を長持ちさせているのではないかとし、今後、なぜ斑点が生成されたかなどを調べる。研究成果は8月26日付の米科学誌「プロスワン」に掲載された。
東大付属植物園の園長を務める塚谷裕一・同大教授(植物学)は、「イネのように花が緑の植物が光合成をすることは知られていたが、リンドウのように色鮮やかに咲き、昆虫を呼び寄せる花が光合成する例は初めて聞く。葉緑体が花びらにある理由などが解明されれば、興味深い」と話している。」というのが記事の内容だ。
岩手生物工学研究センターが発表したのは2020年8月24日(月)。同日20:35に共同通信社が配信した記事は「リンドウ生産の全国シェア約6割を占める岩手県にある岩手生物工学研究センター(北上市)などの研究グループは24日、リンドウの花びらに見られる緑色の斑点に葉緑体があり光合成が行われていることが明らかになったと発表した。一般的に花びらは光合成をしないとされ、新発見だとしている。論文は米科学誌に26日付で掲載される。
研究グループは花びらの斑点を電子顕微鏡などで観察したほか、植物が吸収しながら光合成に使わなかった光を計測する手法で、斑点が葉と同レベルの光合成をしていることを確認した。
今後は斑点を作る因子を究明し、新品種の育成につなげるなどしたいとしている。」。
8月24日(月)に紙面に掲載したのは、秋田魁新報、沖縄タイムス、東京新聞、産経新聞、西日本新聞、静岡新聞、47ニュースなどだ。8月25日(火)には、産経biz、岩手日報。8月26日(水)には、YaHooニュース。9月2日(水)には、NHKニュースが報じている。
多少日にちが過ぎているが、地元の強みを生かして多彩な取材と分析で異彩を放っているのが、岩手日日の記事だ。
新発見!リンドウは花でも光合成 緑色斑点に葉緑体・岩手生工研
岩手日日新聞(岩手県一関市に本社)2020年8月27(木) 10:20配信の記事
「岩手生物工学研究センター(生工研、北上市成田、小岩一幸理事長)などの研究グループは、リンドウの花びらに見られる緑色斑点にある葉緑体が光合成をしていると発表した。植物の花は光合成しないとされているが、今回一般的な植物の葉と同レベルの光合成を確認。光合成能を持つ葉緑体は表皮細胞に存在していることも分かり、極めてまれな事例という。これらの研究成果は、新発見として注目されそうだ。
研究は生工研園芸資源研究部の西原昌宏部長のグループで、同部研究員の高橋重一氏(40)が主体となり推進。県農業研究センター、早稲田大、農研機構の研究者が連携した。
日本光合成学会員の高橋氏は、18年間光合成研究に携わってきた専門家。2018年9月生工研に着任後、農研センターで栽培するリンドウの花びらに見られる緑色斑点に着目。光合成の可能性を探り始めた。
高橋氏らは電子、立体さまざまな顕微鏡を駆使してリンドウの花びらを観察。光合成測定装置で計測した結果、緑色斑点を構成する葉緑体は、一般的な植物の葉と同レベルの光合成をしていると判明した。
本来、光合成は表皮細胞より内側の細胞で行われ、表皮細胞は発達した機能的な葉緑体を持たないとされているが、今回は表皮細胞で光合成をしていることが確認された。
今後、高橋氏らは緑色斑点を形成する因子を突き止め、新たな技術開発をしてリンドウの新品種育成の労力軽減、開発促進を目指す。リンドウの花びらがなぜ緑色斑点を持っているかはまだ不明で、その理由を追求していくという。
本県リンドウ生産量は全国トップだが、市場では育種の過程で斑点が目立たない系統が選抜される傾向にある。これまで斑点に関する知見が乏しかったが、今回の研究で大きな成果が得られた。高橋氏は「他の研究者と協力し合い、新たな発見ができた。将来はリンドウの育種現場でも活用し、最終的に生産者のために貢献できれば」と話している。
研究成果は国際学術雑誌「PLOS ONE」に掲載される。」と長文だが問題点が的確に明示され、最も分かりやすい解説だ。
読売新聞の9月24日(木)編集手帳に「花びら自体が光合成でエネルギーを得ることで、自身を長持ちさせているのでは」という研究員の談話を掲載している。編集氏は、「リンドウは枕草子や源氏物語でも霜枯れの野に鮮やかに咲くとたたえられている。稲の黄金や紅葉ばかりではない。日本の秋には深まる青もある。」と結んでいる。
イネの花の光合成は、受粉の条件が乾燥した好天の1〜2時間で葯に包まれていた花粉が葯が避けて雄しべの花粉が風に乗り雌しべが受粉すると葯が閉じられるという時間限定の作用なのだという。
漢方薬として中国から伝来したといわれているが、その時期は定かでない。
万葉集には詠われていないので、平安後期の頃かと思われる。
確かに、緑の斑点が花びらにある花は見かけないが、咲ききった状態の花を見ることも稀なので、気付かなかったのかもしれない。花びらが開ききらないうちに花の終わりが来ることが多く、花の中まで見ずに廃棄していることも確かなので、光合成で花もちを良くするなら、斑点のある花がもてはやされるようになるのかもしれない。
リンドウ(竜胆)は、リンドウ科リンドウ属の多年生植物で、近縁の多品種や他種を含む総称名であることが多い。花期は秋だが、草刈りなどで見かけなくなった。一般的に見られるのは、墓前の供花などに用いられる園芸種の花だ。
根の配糖体のゲンチオピリン、アルカロイドの一種ゲアチアニン、三糖体のゲンチアノースなどを含んでおり、様々な薬効がある。