11月4日付、東京新聞社会面の記事に触発されたことがあります。
記事では9歳になる「自閉スペクトラム症※」の孫の首を絞めて殺人未遂罪に問われた、
78歳祖母の裁判員裁判の経過について述べられていました。
(寝ている孫の首をロープで強く締めたが、孫はとっさに起き上がり逃げた。祖母は自ら犯行を110番通報した。)
80代の夫、50代の長男(孫の父)、孫の4人家族。
孫が3歳の時に息子夫婦が離婚して以降、ずっと祖母(被告)が親代わりになって子育てをしていたそうです。
孫は小学生になっても排泄がうまくいかず、おむつをはいている状態、失禁するたびに祖母が取り換えていたそうです。
昼夜逆転の生活をする孫は未明までゲームに熱中し、それを注意する祖母は「出て行け」「死んで帰ってこい」
などと罵声を浴びたり叩かれたりしていたとのことです。
孫のことで病院や市役所、スクールカウンセラーなどに相談に回っていたとも書かれています。
おそらく、孫のことで気の休まる時もない日々だったことでしょう・・・。
事件を起こしたのは小学校3年の頃です。
学校や放課後デイサービス施設でトラブルを起こすようになり、不登校にもなっていて自宅で過ごすようになっていたようです。
祖父にもほほを平手打ちする程の暴力を振るい、孫から目を離せないような状況だったと言います。
「不安でした。駅で通行人を突然刺したとかニュースを見ました。エスカレートして人をやっちゃうんじゃないかと…」
と被告の祖母は語ります。
公判中、家族は誰も被告の処罰を望まなかったそうです。
さらに孫は「こうなってしまったのはおれの責任。ここまで育ててくれて感謝している。釈放されたら早く会いたい」と言っているそうです。
判決は懲役3年、執行猶予4年。
被告、検察側双方が控訴せず確定したのです。
祖母は家を出て娘の家族らと生活するとのことですが、「無事で本当によかった。許されるならせめて孫がいないときに家に帰って料理を作ってあげたい」
と言っています。
ここまでが事件の流れです。
もちろん、被告である祖母の心境を想うと心が張り裂けんばかりですが、一瞬思ったことは、孫の離婚した実の親たちのことです。
とりわけ同居していた父親の存在があまりに軽いのです。
記事によると「仕事の勤務時間が不規則で、子の面倒を見られなかった」とありますが、だからといってその代わりを祖母がやるべきとは義務付けられていません。
親は子を育てる義務があるのです。
どんな経緯でこの親たちは離婚したのかは分かりませんが、祖母は息子(孫の父)のことも不憫に思って第二の子育てに着手したのかもしれません。
勤務時間も不規則で我が子の面倒を見る余裕がなかったに違いありません。
※重い知的障害を伴う自閉症や、知的障害はないものの特定の物事へのこだわりが強いアスペルガー症候群など、
さまざまな発達障害の総称。他人の気持ちが読み取れず対人コミュニケーションが難しいといった共通の特徴を持つ人たちを広く捉えようと、
精神医療の分野で使われるようになった。スペクトラムは「連続体」という意味。発達障害の一つ。
(つづく)
<すばる>
記事では9歳になる「自閉スペクトラム症※」の孫の首を絞めて殺人未遂罪に問われた、
78歳祖母の裁判員裁判の経過について述べられていました。
(寝ている孫の首をロープで強く締めたが、孫はとっさに起き上がり逃げた。祖母は自ら犯行を110番通報した。)
80代の夫、50代の長男(孫の父)、孫の4人家族。
孫が3歳の時に息子夫婦が離婚して以降、ずっと祖母(被告)が親代わりになって子育てをしていたそうです。
孫は小学生になっても排泄がうまくいかず、おむつをはいている状態、失禁するたびに祖母が取り換えていたそうです。
昼夜逆転の生活をする孫は未明までゲームに熱中し、それを注意する祖母は「出て行け」「死んで帰ってこい」
などと罵声を浴びたり叩かれたりしていたとのことです。
孫のことで病院や市役所、スクールカウンセラーなどに相談に回っていたとも書かれています。
おそらく、孫のことで気の休まる時もない日々だったことでしょう・・・。
事件を起こしたのは小学校3年の頃です。
学校や放課後デイサービス施設でトラブルを起こすようになり、不登校にもなっていて自宅で過ごすようになっていたようです。
祖父にもほほを平手打ちする程の暴力を振るい、孫から目を離せないような状況だったと言います。
「不安でした。駅で通行人を突然刺したとかニュースを見ました。エスカレートして人をやっちゃうんじゃないかと…」
と被告の祖母は語ります。
公判中、家族は誰も被告の処罰を望まなかったそうです。
さらに孫は「こうなってしまったのはおれの責任。ここまで育ててくれて感謝している。釈放されたら早く会いたい」と言っているそうです。
判決は懲役3年、執行猶予4年。
被告、検察側双方が控訴せず確定したのです。
祖母は家を出て娘の家族らと生活するとのことですが、「無事で本当によかった。許されるならせめて孫がいないときに家に帰って料理を作ってあげたい」
と言っています。
ここまでが事件の流れです。
もちろん、被告である祖母の心境を想うと心が張り裂けんばかりですが、一瞬思ったことは、孫の離婚した実の親たちのことです。
とりわけ同居していた父親の存在があまりに軽いのです。
記事によると「仕事の勤務時間が不規則で、子の面倒を見られなかった」とありますが、だからといってその代わりを祖母がやるべきとは義務付けられていません。
親は子を育てる義務があるのです。
どんな経緯でこの親たちは離婚したのかは分かりませんが、祖母は息子(孫の父)のことも不憫に思って第二の子育てに着手したのかもしれません。
勤務時間も不規則で我が子の面倒を見る余裕がなかったに違いありません。
※重い知的障害を伴う自閉症や、知的障害はないものの特定の物事へのこだわりが強いアスペルガー症候群など、
さまざまな発達障害の総称。他人の気持ちが読み取れず対人コミュニケーションが難しいといった共通の特徴を持つ人たちを広く捉えようと、
精神医療の分野で使われるようになった。スペクトラムは「連続体」という意味。発達障害の一つ。
(つづく)
<すばる>