江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

教育講座 「授業に新聞を(3)」

2014-03-16 | 随想
《魅力ある教師に》

 勉強と塾や習い事ばかりの子ども達は、塾のつめこみ学習に追い込まれると、今しか獲得できない豊かな感性を失うことがある。
友達との付き合いから学びとっていく優しさや思いやり、人との距離の取り方や気遣いなど、子供らしい可愛さが余りない、自分勝手にふるまう様子を目にすることがある。
それと同じように、今、自分が生きている社会に目が向かない教師は、社会に目が向く子どもを作ることは難しい。

 教師の持つ人間性や知識・関心事に、子どもたちは知らず知らずのうちに影響され感化されることが多いので、教師が知識や社会性を豊かにすることは当然のことである。
無限の可能性を持った子ども達が労働対象だからこそ、教師個々人の持つ資質の違いが問われる。
子ども達にあこがれの対象となるような、魅力ある人間味のある教師に出会うと、子ども達や学級は劇的に成長し大きく変わっていく。
知識や文化を教えるだけでなく、時代を認識し社会を変えていく人を育てる使命も多少はある。
その役割にかかわっているのが教師の仕事ともいえる。
そのガイドになる一つに新聞がある。


《教育に新聞を NIEとは》

 NIE(Newspaper in Education)の事業が、1930年代にアメリカで始まった。
これは、学校などで新聞を教材として活用することです。
日本では、1989年に最初の試行として東京都内の小学校1校、中学校2校でスタートし、1997年には、47都道府県すべての地域で実践された。
2004年には、全国500校を目標にし、2009年から「NIE実践指定校」制度として活動を進めている。
NIEは、世界74か国で実施され、新聞教育は多くの国で「民主主義を支え、より良い市民を作る。」と考えられている。
 
 それゆえ、新聞を授業に使うことは、今や世界の大きな潮流であり、当たり前の事と言えます。
そのように認識しなければならない時代にきているが、「教育に新聞を!」といっても、新聞を購読していない教師は、新聞を使った授業にはためらいを感じると思う。
しかし新聞を読まなくても、新聞を使った便利な教師向けの講座もある。
読売新聞社の「よみうり博士のアイディアノート」とか朝日新聞社の「新聞を使って授業」などインターネットで探せる。
しかし、これでは、教師が新聞で授業したとは言い難い。

 今はコピー・貼り付けばかりで、試行錯誤もなく何も考えずに出来てしまう、盗用論文と大差ありません。
しかし、全面的に否定するわけではありません。
私も資料として利用します。
四年の社会で渋沢栄一とか青山士の功績について、インターネットで検索もしました。
でも、それは、何の苦労も無く、楽に誰にでも出来るので果たして、これで良いのかなとも思う。


《教師だからこそ新聞を!》

 大切なことは教師が、自分で新聞を読んで、どんなことが教材に使えるか、どの記事をどのように使うか、何の教科でどの単元で使うのか、自分の手足や頭を使って考え実行に移して、子ども達の前に示して一緒に意見を交わすことだと思う。
新聞記事を読んで切り抜くとき、その人の物の見方・考え方や生き方によって、一人一人の違いや個性が出てきます。
それがとても大事だと思う。

 新聞を授業に使うと子ども達は、社会に関心を持ち授業を面白いと思うようになる。
世の中の動向がわかると、もっと知りたいという欲求も生まれる。
教師に次はどんな面白い記事を話してくれるのかなという期待を持つようになる。
子ども達はそんな教師を好きになり、授業を心待ちにするようになる。
私は、高学年の担任が多かったので、その時々のニュースを紹介し、資料として使える記事を切り抜いて保存していた。
社会や理科・総合など大まかに分けておけば、いつでも取り出せ使える。 

(続く)


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