江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

大丈夫なのか?共同親権

2024-04-27 | 随想
岸田政権は、自分たちの悪事はそっちのけで今の国会で次々と悪法を成立させようとしている。
その一つが「共同親権導入を柱とする民法改正案」だ。

現在は、離婚に際して父母のどちらかが親権を持つことになっている。
そこに、離婚した後でも、父母共に親権が持てるようにするという改正だ。

与党は急いで成立をさせたいようだし、衆議院では立憲民主党も賛成に回っている。
だからと言って、拙速に「共同親権」を導入していいのだろうか?
いくつか問題点を挙げてみたい。


一つ目は、父母の意見が異なった場合(例えば母親は単独親権を求めるが、父親が共同親権を主張した場合)にどうするのかということだ。
改正案では離婚の審理を担当する家庭裁判所が判断をすることになるらしい。

先日のサンデーモーニングでもコメンテーターが指摘していたが、果たして家庭裁判所が双方に納得できるような判断をできるのか?
納得のためには十分な父母双方の意見聴取や調査が必要になると予測できるが、家裁の人的資源はそれに対応できるか?
家裁スタッフのオーバーワークにつながらないか?ということだ。

二つ目は、DVなどが原因の場合共同親権が、当事者に不利益をもたらすことにならないかだ。
数は多くないが自分が学校勤務の時代、転校生について配慮が必要というケースがあった。
つまり、管理職から「〇〇さんについて、そちらの学校に在籍していますか?という問い合わせがあっても回答しない」という指示があったのだ。
理由はわかると思う。
在籍校が分かることによって親子の住所がわかってしまい、その結果ストーカー行為や連れ戻しなどのリスクが高まってしまうので、それを防止しなくてはならないということだ。

共同親権を盾に情報を引き出そうとする親がいたらどうするのかとても心配になる。

そもそも、日本では離婚によって母子家庭になる率は高い。
そして母子家庭が困窮しているケースも多い。
「共同親権導入」の前に「養育費の未払い」を防止することが大切ではないのか。
「共同親権導入」の前に国がやることはほかにもあるだろう。

さらに与党議員の言い分を聞いていて気になるのは「子どもは両親がいてこそ幸せだ」という固定観念にとらわれていないかと思う。
幸せは人それぞれで、国家が「こうあるべきだ」「これが子どもの幸せというものだ」と決めつけるものではないはずだ。

あと一つ、「子どもの権利条約」には、子どもの「意見表明権」が定められているが、それとの関連はどうなっているか?
もし議論さえされていないのであれば、大きな間違いだと思う。




-K.H-

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