江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

理科教育の問題その2~子どもたちに聞いてみた~

2020-10-22 | 随想
ちょっとした事情で書棚を整理していたら、昔6年生を担任していた時に子どもにやってもらったアンケートのデータが出てきた。

それは、2002年に新聞報道された「大人は科学に弱い」という見出しが大きく付けられた記事をもとにしている。

アンケートの質問は10問で、科学技術に関する記述について「正しい」「誤り」「わからない」から選んで回答するものだ。
取り敢えず考えてみてもらいたい。

① 大陸は何万年もかけて移動し続けている。   
□正しい   □誤り   □わからない
② 現在の人類は原始的動物種から進化した。
□正しい   □誤り   □わからない
③ 地球の中心部は非常に高温だ。
□正しい   □誤り   □わからない
④ 我々が呼吸に使う酸素は植物がつくる
□正しい   □誤り   □わからない
⑤ すべての放射能はじんこうてきにつくられた
□正しい   □誤り   □わからない
⑥ ごく初期の人類は恐竜と同時代に生きていた
□正しい   □誤り   □わからない
⑦ 男か女になるかを決めるのは父親の遺伝子である
□正しい   □誤り   □わからない
⑧ 抗生物質はバクテリア同様、ウイルスも殺すことができる
□正しい   □誤り   □わからない
⑨ 電子の大きさは原子より小さい
□正しい   □誤り   □わからない
⑩ レーザーは音波を集中させることで得られる
□正しい   □誤り   □わからない

さて、いかがだろうか。
設問が正しいか誤りかは、ご自分で調べてみて欲しい。
もちろん「これくらい常識だ」という方もいるに違いない。


全国3000人を対象にした調査で有効回答は2460人。
正答率は次のとおりである。

①83% ②78% ③77% ④67% ⑤56% 
⑥40% ⑦25% ⑧25% ⑨30% ⑩28%

ちなみに、当時の子どもたちの成績は、というと
①100%  ②85% ③85% ④76% ⑤81%
⑥81% ⑦33% ⑧48% ⑨36% ⑩66% という結果だった。

性別の決定と遺伝子の関係や、抗生物質、原子の構造、レーザーについては小学校では未修なので⑦~⑩の正答率が低いのは当然なのだが、それでも大人の正答率よりは高くなっている。

高等教育にアクセスする段階で、理系・文系と分けてしまい、現代社会の基礎となる「科学的な知識」を学ぶ機会をもたないことは、日本の大学受験制度の弊害だろう。
また、こうした大人の「知識の剥落」こそ受験勉強の弊害だと言われている。

「主体的な学び」への道は、少しは進歩したのだろうか? 

-K.H- 
 

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