江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

体験入学した孫娘ー7

2019-08-24 | 随想
登校初日に担任から「自由な子ですね」と言われたのは、その後も彼女を語る上でのキーワードでありエピソードである。
「ものには言いようがあって、要するにワガママっていうことよ」というのは彼女の祖母だが、日常生活の中ではまさにそういう感じだ。

自分の好きなことだけやる、したくないことや嫌いなことは頑としてやらない。
「今日のお勉強は終わったの?」
「今、わたし遊んでるからやらないの!」
「何時にやるの?」
「終わってから! 遊びが!」
こんな会話は日常茶飯事のこと、首尾よく遊びが終わって勉強に移れば良いのだが、遊びが延々と続き、母親の雷が落ちることもしばしばである。




しかし、好きなことやしたいことは、既定のものばかりではない。
次々に新しい物や事に関心を寄せる。
好奇心旺盛というか、積極的に何にでも目を向け手を出す。
それは人間に対しても同様だ。

近所の人々には大人子どもを問わず、顔を合わせれば必ず「こんにちは!」と声をかけるし、来客にはもちろんんこと宅配の方にもしっかり「こんにちは!」と挨拶する。
ごく自然に声が出ている感じだから、言われた方はどぎまぎしつつも応えている。

日本の学校では「あいさつ運動」とか言って意図的に挨拶励行に取り組んでいるが、彼女にとっては、息をするような感覚で無意識に出てくる言葉なんだと思う。

思えば彼女のホームグラウンドとする国では、お店で買い物をする時にも必ず店の人やレジ担当者には「ボンジュール!」と挨拶し、会計が終わって品物を受け取ると「メルシー!オーヴアー!」と言って立ち去るのが当たり前になっている。

体験入学の期間は3週間と短かかったものの、彼女は自分のクラス以外にも知り合いが出来たらしく、公園やスーパーに行った時に「こんにちは!」の声がけすることが何度もあった。
一緒に遊んだことはなくても、学校で何度か会って顔見知りになった子はみんな「友だち」として認知しているのかもしれない。

「自由な子」の話から広まってしまったが、勉強だけでなく食べ物も好みがはっきりしている。
食習慣の違いもあるが、比較的好きな和食でも「これ、美味しくない!」と言って絶対食べないものもある。
食べ慣れれば決して食べられないとは思えないものでも、頑なに拒む姿は単に好き嫌いが激しいとしか映らない。

それにしても、あまりお勉強を強要すると彼女の口から出る言葉がある。
「わたし、お勉強は好きじゃないの‼︎」

そんな時、彼女の母親はキレそうになる。
「あなたね、好きじゃなくてもやらなければならないものがあるの! お勉強しないと、好きな仕事にもつけないからね。」

仕事といえば、フランスの労働者は労働時間をきっちり守る。
飲食業界では残業も珍しくないようだが、週35時間労働の原則と夏の長期バカンス取得は当たり前になっている。

自己中心主義とも言える彼女の頑固さは、如何に評価されようがしっかり彼女の身に沁みついているように感じる。
持って生まれたものなのかもしれない。

<すばる>

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