江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

政権批判と地域の日常ー1(「御即位記念事業」に自治会は…)

2020-01-02 | 随想
少なからぬ人々が指摘しているように、現在の安倍晋三政権は問題点やら矛盾点が山積しており、それらを真面目に指摘し批判するのもバカバカしくなるほどの酷さである。
核心を突いた質問や批判には「丁寧にご説明」出来ずにマヌケな言葉でかわしたり、逃げてしまったりする。

知性と理性に欠け誠実さも持ち合わせないこの長期政権は、歴代政府の中でも群を抜く異常な政権であることはたしかだ。

しかし、「批判するのもバカバカしくなる」のを待っているのもこの政権なのでしょう。
まさかそのために故意に稚拙な文言を発し続けるわけではなかろうが、こうした状況が常態化すると、批判する側までが同じレベル化してしまう…。

まともな人々が心配するのは、まさにそのことである。
結果的にはこうした政府の戦略にはまって批判の本質が失われたり、批判そのものもやめてしまうことが最悪パターンではある。


そんな思いを新たにした新年、晋三の動きばかり気にしていては心臓に良くない(洒落に使うのも訝る名)ので、全く違う所に目を向けてみた。
地域の任意組織である自治会である。

私は退職後、お隣さんが「辞めるので代わりに一期だけでも務めてほしい…」と言うので自治会のブロック長(理事)という役を引き受けた。
輪番で務める班長のまとめ役程度だと思って気軽に引き受けたものの、これが実はけっこう大変な役回りだった。

毎月一回の役員会(理事会)とその晩のパトロールが最低限の活動であり、その他にも回覧板で回す文書を班長に届けたり、年数回の恒例行事にも参加しなければならなくなった。

理事になって3年が過ぎようとしているが、実はこの役は輪番でも一年限定でもない常任委員の様なものであった。
後釜が見つからない限り辞めることのできない不文律があるようだ。

この間にも色々と考えさせられる場面に遭遇した。
初めの頃は理事会にも一歩引いて参加、できるだけ関わり合いは持たないようにしていたが、発言せざるを得ない事案が発生した。
地域一番の大きな神社の大規模修繕工事に関わる寄付金集めの案件だ。



私たちの自治会はこの神社の周辺に位置しているが、他にも数個の自治会・町会があり連合自治会を形成している。
今回の案件の出所は連合自治会の会長でもある神社の氏子代表だったのである。
氏子たちが自分たちの神社を修理するのに金を出すのは何の問題もないだろうが、これを周辺住民全てに投げ掛けてきたのだ。
それも、半ば強制的に各自治会に割り当てるような依頼文書があったから黙っているわけにはいかなかった。

それにしてもこの案件は事前に用意周到のもと出されたに違いない。
「平成から令和への天皇代替わり」の祝賀を記念しての大改修工事という銘打って出されてきたのだ。
それは当該神社の宮司と氏子代表が連名で「御即位記念事業御奉賛のお願い」と記された案内文書で明らかである。

これを自らが会長を務める連合組織に下ろすといういかにも…というやり方だった。

私たちの自治会もたしかにこの神社に無縁ではない。
境内にはいくつかの自治会と共同で地域の氏神を祀った祠があり、最近新たに改修工事をしたばかりだ。
また、この神社の起源・変遷を辿れば様々な歴史的事実にぶつかり、地域の歴史に欠くことのできない内容を含んだ重要な存在ではある。

しかし、これと修理費の強制徴収とは別の問題である。
まして天皇代替わりをお祝いして云々となれば黙認するわけにはいかない。

理事会で会長から初めて提案された時、ほとんど皆さん沈黙…。
重苦しい空気が流れていた。
これは皆さんが決して賛成している雰囲気ではないと感じたが、会長等の三役がしきりに理事からの発言を求めて補足説明などを続けるだけだった。

満を持して私は発言した。
・氏子内で資金集めに協力要請するなら問題ないが、氏子代表が自ら会長を務める自治連傘下の自治会に要請するというのは職権濫用だ。
・それも単なる協力要請ではなく、各自治会を通して奉賛のお願いパンフレットを配布させたりして、暗に寄付金集めをさせようとするねらいが感じられる。
・前面に「御即位記念事業」と出しているが、これには大きな違和感を持つ。自治会員の中には色々な考えがあるのだから、これを自治会執行部がそのまま下ろすのは反対である。

私の発言の後には堰を切ったように色々な意見が続いて出された。
概ね私同様にこの寄付金集めに批判が集中した。
それにしても、こうした案件に意見が出にくいのは何故なのか?
結果的には他の理事たちも「常識的感覚」を持っていたわけだが、古くから三役や理事を務めていると、変に忖度や遠慮が加わり自分の意見が出しにくくなるのであろうか…。

会長も80代の「土地っ子」ではあるが、スタンス的には地域ボス的な氏子代表を始めとする他の自治会長とは違う感覚を持っている。
それでも、日常的には自治連の副会長を務め敢えて波風を立てるような存在ではない。
要は周りを見ながら当自治会を運営しているように思う。
だからこそ、今回の案件は謂わば下からの強い意見が必要だったに違いない。

最終的にこの案件は全く無視するのも謀反を起こした様で会長の顔を潰すことになるので、予備費の中から自治会名で最小限の寄付をして、各会員には寄付を求めず氏子代表からこの様な要請があったいう文書だけを回覧し、寄附をしたい方は所定の用紙があるので要求するよう伝えたが、一件の申し出もなかった。

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