【魔術師】
魔術師は、愚者と同一人物とされています。愚者は、純粋無垢な状態で、まだ何者でもありません。そのため、手付かずの楽園にいます。魔術師は、愚者がその楽園から出てきた最初の姿です。魔術師のカードには、ようやく旅への準備が整い、新しい世界への扉が開かれてる状況が描かれています。1という数字は、これから新しいことを始める最初のカードです。ゼロは、世界の全体性を象徴しています。それは、まだ何も表現されていません。数字のカードから、始めて世界は展開されます。
【商人】
魔術師は、ゼロと1を行き来することが出来る「越境者」です。越境者は、商人にたとえられます。商人とは、旅をしながら生活をする異邦人です。外で得たものを他のところに持ち込み、いろんなものを移動させました。例えば、異国の新しい文化などです。時には、古い慣習を破壊し、新風を巻き起こしました。
商人の神とされるのが、ギリシャ神話のヘルメスです。惑星では「水星」が、金属では「水銀」がヘルメスだとされています。ヘルメスは、全ての変化するものの象徴です。また、死者の魂を導く者として、あの世とこの世をつなぐ仲介者とされています。時には、神々の伝令役として、人間に天からのメッセージを届けました。ヘルメスがその役目に適任だったのは、コミュニケーション能力が高かったからだとされています。
【錬金術師】
魔術師とは、錬金術師のことです。錬金術師は、他人から言われた仕事をする労働者ではありません。創造力によって、新たに世界を作り出す者です。錬金術師は、ゼロから1を生み出す者とされています。カードでは、天と地を指し、錬金術の儀式を行なっています。錬金術師とは、天上から情報を受け取って、それを具現化する者です。それまでの世界は、具体的でありませんでした。錬金術師は、それを具現化し、地上に新たなものを作り出そうとしています。
【四元素】
絵柄の机は、大地の象徴です。その上には「棒」「剣」「聖杯」「金貨」が置かれています。それらは、四元素の象徴です。棒「ワンド」は火、剣「ソード」は風、聖杯「カップ」は水、金貨「ペンタクルス」は地を表しています。その四大元素は、世界の構成要素です。魔術師は、その4大元素をもとに新たな物質を作り出そうとしています。それらを自由に使いこなすことが出来きるのが魔術師という存在です。ただし、道具を使わないと、物質を生成することが出来きませんでした。左手は、大地を指差し、足が大地に接触しています。それは、四元素が、大地から引き出されていることを意味していました。その大地とは、世界のことです。
【ウロボロス】
魔術師の頭上、または帽子にあるのが、無限大のマークです。無限大のマークは、メビウスの輪とも言います。それは、宇宙の真理を表しています。無限大のマークは、魔術師が、あらゆるものを生み出せることを意味していました。それは、ウロボロスで表現されます。ウロボロスとは、自分の尾を飲む蛇です。それは、始めも終わりもない永遠を象徴しています。蛇は、脱皮するので「生と死」「不老不死」の象徴とされました。ウロボロスは、循環性を表しています。循環性とは、周期的な生成過程の繰り返しです。また、ウロボロスは、全一の象徴でもあります。全一とは、全体が一つだという意味です。全体の中では、対立原理が同時に存在し、それらが調和していました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます