【女教皇】
女皇帝のカードは、伝説上の人物とされる女教皇「ヨハンナ」がモデルだとされています。しかし、本来、カトリック教会には、女性の教皇はいません。そのため、女皇帝は、反ローマ教皇のシンボルではないかとされています。ちなみに、女帝のカードとは、同一人物です。
別の説では、女教皇は、キリストの母、聖母マリアだとされています。聖母マリアは、死後、天の女王となりました。大空と深い海の青が、聖母マリアを象徴する色です。そのため、女皇帝も青い衣装を着ています。それは、高い精神性の象徴でした。
【書物】
女教皇は「トーラー」という書物を持っています。トーラーとは、ユダヤ教の律法書のことです。それは、高度な知識や学問の象徴とされています。女教皇の持つ書物には、宇宙の情報が織り込まれていました。人間には、それを容易に読み解くことが出来きません。書物は、ベールで半分隠れています。それは、宇宙の謎を全て解き明かすことが出来ないことを意味していました。人間に理解出来ることは、ごく一部にすぎません。
知識とは、人類共通の財産です。女教皇は、その知識の管理しています。知識というものは、先祖から引き継いだものです。それは、自分だけの力で作り出せるものではありません。また、女教皇は、理性的で、慎み深く、冷静でした。そのため、公平なものの見方の象徴とされています。
【記憶の倉庫】
書物は、過去の記録を内蔵する図書館のようなものです。それは、必要なものをいくらでも出せる「データベース」や「記憶の倉庫」のようなものだとされています。記憶とは、物質的な宇宙そのものです。それは、万物の中に潜在的に眠っています。現在において、その全てが現れているわけではありません。時間の経過によって、その記憶は展開されていきます。それが現象として現れるのが、この世界です。人間の無意識の中にも、その記憶は内在しています。
【二元性】
女教皇のカードの番号は2です。2は、万物の二元性を表しています。しかし、2には、まだ方向性がありません。それは、均衡した状態を表しています。万物は、相反するものがあってこそ、バランスを保てるものです。そのため、片方だけでは、成立することが出来きません。カードの白黒の二つの柱は「光と闇」「陰と陽」「男女」などを表しています。それは、物事の二面性の表現です。柱が、黒と白なのは、無意識界への入り口だからだとされています。
【大地】
女教皇は、自然の神秘の象徴です。その自然は、大地として表現されます。安定した不動の大地は、永遠性の象徴です。そのため、女教皇は、椅子に座って、そこから動きません。大地を象徴するのが、女神ヘラやイシスのような大地母神です。大地母神が、女教皇のモデルだという説もあります。また、大地とは、自然の神殿のようなものです。神殿の奥は、不可侵の聖域とされています。それは、人間には、未知の領域があることを意味していました。
【月】
女教皇は、受動的な存在です。そのため、質料「素材」のようなものだとされています。女教皇は、自分から何か出来るわけではありません。外部からの刺激がないと動けないからです。そのため、受動的な女性として描かれます。
受動的なものを象徴するものが月です。月は、女性原理とされています。女教皇が被っているのが、三日月と満月をかたどった三重の冠です。月は、満ち欠けを繰り返します。それは、移ろいやすい女性の心情の象徴でした。女教皇には、天上界から、予言を受け取る能力もあったとされています。波立つ衣装が、これから起こる変化の予兆です。女教皇には、未来に関する予言を人々に提供する役目もありました。
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