ぼくが欲しいのはあっちなの原作 Charles Stanley
翻訳 polo181
昔、ある農夫が生まれた子犬を売りたいと思いました。彼はそのことを知らせるべく板に広告文を書いて敷地の隅の柱に打ち付けました。その板を釘でトントン打ち付けているその時に、誰かが彼の作業服の下のあたりを引っぱっているのに気付きました。そこには小さな子がいて、やや緊張気味に上を見上げて何かを手に握っていました。「おじちゃん、ぼくワンちゃんを買いたいんだけれど」と口ごもりながら言いました。すると農夫は「うん、でもこの子犬たちは親が血統書付きのいい犬だからかなり高いんだよ」と答えました。その子はちょっと頭を落として、気を取り直したように言いました。「ぼく、39セントあるんだけれど、見るだけじゃこれでいいでしょう?」 すると農夫は「いいとも」と答えました。
農夫は口笛を吹いて、大声で叫びました。「ドりー、ドりーこっちへおいで!」
すると犬小屋から小道へと飛び出してきました。そしてドりーお母さんのあとには、四匹の小さな小さな毛糸の手毬のような子犬が転がるようにして出てきました。少年はそれを見て飛び上がって喜びました。しばらく遅れて犬小屋からもう一匹の子犬が外を恐る恐るのぞいているではありませんか。駆け回る四匹よりは明らかに小さい。しかも歩けそうもない様子。でもドりーお母さんの方へ滑って転んでよろよろと歩き出しそうです。でも歩けませんでした。当時はそのような子犬を「出来そこない」と呼んでいました。
少年は顔をフェンスに押しつけて大声で言いました。「ボクはあの出来そこないが欲しいなぁ!」 すると農夫は膝を折ってこう言いました。「ボクちゃん、あれを欲しがっちゃいけないよ。あれは決して走れるようにはならないだろうし、将来けっしてお前さんと一緒に元気に遊ぶことができっこないのさ」 この言葉を聞いた少年はしゃがんで、ズボンの裾をまくり上げました。そして言いました。「おじさん、これを見てよ。ボクの足は偽足なんだ。分かる?ボクだって決して走れるようにならないんだよ」
翻訳もされるとは尊敬
昔読んだ翻訳本(イギリスだったと思います)の「犬になりたくなかった犬」を思い出しました。
あの中には題名になった変わった犬以外にもいろんな動物が出てきますが、ワクワクしながら楽しく読んだ記憶が蘇りました。
続きが楽しみです。
新しい仕事を見つけました。翻訳です。これは小品の読み切りです。続き物ではありません。上の物語は完結しています。ですから、明日は明日で全く別の物語が出てきます。笑
poloさんの違った面でのブログ最高です。生意気を云うようですが、これこそpoloさんに相応しいブログであると思います。
今後が多いに楽しみです。
足が悪いから、歩けないからと見捨てないで・・・
考えさせられる名作です。
素晴らしいショートショートです。
明日はどんなショートが出てくるんだろ、ワクワク。
農夫の考え方と、貧しい坊やのとった行動。
この坊やこそ、本当の優しさをもって
「ぼく、あっちがいいよ」
と言ったのですね。
優しさと、強く生きることが、坊やの前途を読者に伝えていますね。
このお話を選ばれたpoloさんに