息子が必要だったのだ
作者:不詳 翻訳:polo181
看護士は、見るからに疲れ果てて不安げな様子の青年を見つけて、老人のベッドの処へ案内してきました。「息子さんが来られましたよ」と彼女は患者の耳元で囁きました。患者が目を開くまで何度も何度も同じ言葉を繰り返しました。老人は心臓の痛みを和らげるために、かなりの量の鎮静剤を投与されていたのです。でもそのうち、虚ろな目を重そうに開いて、酸素テントの外に立っている若者の方を見ました。老人は右の手をテントの外に出しました。すると、その若者はまるで喉から絞り出すような声で励ましの言葉を述べながら、老人の手を包み込むようにして握りしめました。看護士は青年のためにイスを持ってきました。
その夜、一晩中青年は老人の手を握って励ましの言葉をかけ続けました。青年がしっかりと手を握っていたので、老人はすやすやと眠り続けたのでした。夜明けが近づいた頃に、老人は息を引き取りました。青年はぐったりとした老人の手を胸の上に置いてあげてから、そのことを看護士に告げに行きました。
看護士が死後の処置をほどこしている間、青年は無言で待っていました。看護士は仕事を終えてから、青年に向かって丁重なお悔やみの言葉を述べました。でも、彼は彼女の言葉をさえぎって、「このご老人はだれなのですか?」と尋ねました。驚いた看護士は「貴方のお父様でしょう!」と大きな声で言いました。
彼は、「いいえ、私の父ではありません。一度も会ったことがない人です」と答えました。「それじゃ、何故私がここへ連れて来たときに、そのことを言わなかったの?」と看護士が尋ねました。「だって貴女が強引に・・。あの時、私も貴女と同じようにご老人には息子さんが必要なのだと思いました。でも本当の息子さんはいらっしゃいませんでしたよね。」と青年は答えました。
本日こちらは快晴で照りつける太陽は真夏並です。でも吹き込んでくる風は涼しい。もう少しで快適な秋が訪れることでしょう。
父親が亡くなった時のことを思い出しました。
臨終を看取ることができなかった後悔があります。
この老人はなんと幸せなのか、思わず青年に手を合わせたくなりました。
バークレー君をお大事に!
死の間際になって、全ての不幸せを払拭してやれたのは、その青年であり、孤独な老人にとって、終わりよければ全て良しの、最期のときを迎えることが出来たのですね。その青年の優しさで・・・
黒ラブちゃん日にち薬で元気な様子。poloさん、安らいでいらっしゃることでしょう。