美の五色 bino_gosiki ~ 美しい空間,モノ,コトをリスペクト

展覧会,美術,お寺,行事,遺産,観光スポット 美しい理由を背景,歴史,人間模様からブログします

京都の春は下鴨神社の流し雛から_3/3にお内裏様とお雛様が登場

2019年02月17日 | 祭・行事・季節の花

節分やバレンタインデーといった2月の風物詩が過ぎて行くと、関心は早くも春に向かってしまいます。まだ寒い日も続きますが、春の早い訪れを祈って3/3に京都・下鴨神社で行われる「流し雛(ながしびな)」をご紹介したいと思います。

  • お内裏様・お雛様や舞妓など、雅な衣装の人たちが雛を流す光景は京都に春の訪れを感じさせる
  • 雛流しは一般参加ができることも人気の秘訣
  • 糺の森(ただすのもり)の清らかな水の流れが、流し雛の優美さを盛り上げる


京都の「流し雛」は、松尾大社など他でも行われますが下鴨神社が圧倒的に有名です。みたらし団子をほおばる人でも一杯になります。



ひな祭りは、五節句の中で2番目に訪れる上巳(じょうし)の節句、3月3日を祝う行事です。平安時代に貴族階級が行っていたと考えられていますが、定着したのは江戸時代になってからです。

上巳の節句は桃の節句とも呼ばれて女の子の節句に、5月5日の端午の節句が男の子の節句に定着したのも江戸時代からです。桃の節句と呼ばれるのは桃の花が咲く季節にあたるためです。旧暦では現代より約1か月後の4月上旬の季節に行われていました。

流し雛はひな祭りの原型になった儀式と考えられており、お祓いをした人形を水に流すことで身を清め、災厄除けを祈ったものです。ひな人形にも人の身代わりとなって災厄を受け止めるという意味があります。


会場の御手洗池付近

下鴨神社の3月3日は朝早くから賑わいます。流し雛神事は11:00からスタートしますが、写真撮影しやすいベストポジションを確保する人や、100名限定の無料流し雛を求める人たちが続々押しかけます。11:00が近づくにつれ、会場の御手洗池付近は黒山だかりの人になります。後方からでは雛が流れる様子を見たり、写真撮影することはほぼできなくなります。

10:30から会場の御手洗池(井上社)のすぐ近くにある橋殿(はしどの)で、お雛様に十二単を着付ける様子を見ることができます。こちらはさほど混雑しませんのでじっくりと見ることができます。金屏風を背に飾られたひな人形も絶好の撮影対象になります。晴れた日には特に輝くように見えます。行事を主宰する京人形商工業協同組合による展示です。


お内裏様とお雛様が揃って神事を受ける

11:00になると主役のお内裏様とお雛様が登場し、神事が始まります。二人が並ぶ席は川の水面より高いところにあるので、この時点では後方からでも何とか様子を確認することができます。黒枠に囲まれた二人の背後の幕のデザインがとても優雅なのが印象的です。

【下鴨神社公式サイトの画像】 会場:御手洗池(井上社)

雛流しは水面近くに下りて行われるため、後方からではほぼ見えません。有料観覧席を設けるようなスペースもないため、やむをえないでしょう。

しかしあきらめてすぐ帰るのではなく、少し待ってみると人は徐々に少なくなっていきます。園児たちや役員が流す姿に限られますが、確認できるかもしれません。また流された雛はすぐに回収されてしまうので、御手洗池すぐ近くの橋殿あたりまでしか流れる様子は見ることができません。南側の糺の森を流れる奈良の小川付近までは流れていきません。



会場の御手洗池からは湧水が出ており、奈良の小川につながっています。とても神聖な佇まいで、葵祭の斎王代禊(みそぎ)の儀など、下鴨神社の数々の重要行事の舞台となる聖地のようなところです。行事が行われていない時に訪れてみるとこの空間の魅力を堪能することができます。行事をあえてはずして訪れるのも、会場の雰囲気や魅力をじっくりと味わえるので乙です。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



下鴨神社に行くとなぜ心が洗われるのか?

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下鴨神社
流し雛
【下鴨神社による行事公式サイト】
【京人形商工業協同組合による行事公式サイト】

主催:京人形商工業協同組合
会場:御手洗池(井上社)
会期:毎年3月3日(日付で固定)
開催時間:
流し雛無料配布 10:20~10:30頃(100名限定)
流し雛有料販売 10:30頃~
十二単の着付け 10:30~11:00頃
神事      11:00~11:20頃
雛流し(来賓) 11:20~12:00頃 お内裏様・お雛様、役員、園児、舞妓
雛流し(一般) 12:00~12:30頃

※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。

※写真撮影に最適な最前列を確保するには、目安として神事開始2時間前から待つ必要があります。
※この神社は観光目的で常時公開されています。

下鴨神社
【公式サイト】 http://www.shimogamo-jinja.or.jp/
開門時間:6:30~17:00



◆おすすめ交通機関◆

京阪電車「出町柳」駅下車、5番出口から徒歩15分
叡山電鉄「出町柳」駅下車、徒歩15分

JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:45分
京都駅→JR奈良線→東福寺駅→京阪電車→出町柳駅

【公式サイト】 アクセス案内

※京都駅から直行するバスもありますが、鉄道を乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には有料の駐車場があります。
※道路の狭さ、駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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京都 醍醐寺の原点が集約された行事_2/23 五大力さん

2019年02月07日 | 祭・行事・季節の花

まもなく2月23日(土)、京都・醍醐寺(だいごじ)最大の年中行事「五大力(ごだいりき)さん」が行われます。終日続く護摩の火と、京都の2月の風物詩となった餅上げ大会で盛り上がる境内がとても賑わいます。

  • 平安時代の初め、醍醐寺開創直後から1,100年以上に渡って続く日本有数の歴史のある行事
  • 五大明王の化身である五大力尊に力を授けてもらうことを祈って終日続く護摩の火は圧巻
  • 当山派修験道の盟主である醍醐寺らしい、密教色が色濃く出た行事


当日授与されるお札「御影」は、幾多ある京都の神社仏閣のお札の中でも愛宕山の「火迺要慎」と並んでトップクラスの人気を誇ります。建物の入口や台所に貼ることで、盗難/災難除けになると信じられています。



醍醐寺は874(貞観16)年、空海の孫弟子・理源大師聖宝(りげんたいししょうぼう)によって創建されました。現在の中心伽藍である下醍醐(しもだいご)の背後の山の頂にある上醍醐(かみだいご)が当初の境内で、913(延喜13)年に醍醐天皇の祈願寺として薬師堂と五大堂が完成して以降、下醍醐にも伽藍が拡がっていきます。

現存する薬師堂は平安末期の1121(保安2)年の再建ですが、もちろん国宝です。五大堂は幾度も焼失しており、現在の建物は1940(昭和15)年の再建です。



五大力さんは、913年に完成した五大堂の五大明王に祈ったのが始まりです。醍醐寺の原点に立ち戻るようなとても大切な行事です。行事が長く続いているのは、醍醐寺が伝統的に時の政治権力者と良好な関係を保ち続けていたことが大きいと思われます。

その代表的なケースが醍醐寺創建時に絶大な影響力を及ぼした醍醐天皇です。天皇の固有名詞は、死後に付けられる諡号(しごう)です。中には生前に自ら諡号を付ける天皇もいました。醍醐天皇は醍醐寺への帰依心が深く、自らの諡号に寺名を付けました。長い天皇の歴史の中でも、寺名を諡号にしたのは醍醐天皇だけです。


五大力さん授与品の”メニュー”

五大力さんには毎年、全国から10万人を超える参拝客が集まります。多くの人のお目当ては、お札の「御影」です。当日しか授与されないためこれだけの人が集まります。現在は寺の公式サイトで年中、通販形式で授与を受けることができます。わざわざ足を運ぶことに価値を見出す人が多数派のようです。

【行事の見どころ 醍醐寺公式動画】 五大力さん

「御影」を授与されると、多くの人が授与会場の近くで行われている柴燈護摩(さいとうごま)に向かいます。山伏姿の僧侶に護摩の煙を「御影」にあててもらい、五大力さんのご加護のさらなるパワーアップを祈ります。この護摩祈願は朝から夕方まで延々と続けられています。ほら貝も鳴りやみません。強烈な非日常空間です。


四角が男子の部150kg、丸が女子の部90kg

正午からは全国ニュースでも報道される「餅上げ」が始まります。お供えにも苦労した終戦直後に、大きな鏡餅を抱えて長時間耐えることで、”力”を奉納できるとして始められたのが原型です。

山伏姿の審判役の僧侶5-6人が時間計測と安全確保に目を光らせながら行われます。長く続くと、大相撲の水入り取組のように会場はとてもヒートアップします。最長記録者は”横綱”として会場内に、記録と共に名前を掲示され、栄誉を称えられます。

平成になってからの横綱の最長記録は男子で12分4秒、女子で12分5秒です。一方最短記録は男子で2分18秒、女子で1秒です。最長記録には男女60kgの重量差が影響していると思われます。女子の最短記録1秒というのは、参加者ほぼ全員が持ち上げられなかったのでしょう。


「餅上げ」ステージ

一度横綱になると、以降は参加できないそうです。参加は誰でもでき、当日の午前中に受付が行われます。”我こそは”とチャレンジする人の中には、外国人も結構いました。

五重塔の前の広場ではテントが張られ、「五大力餅」が販売されています。五色のカラフルな餅で、飛ぶように売れていました。ブランド菓子店のテントもあります。参道も初詣のように屋台で一杯になります。


金堂前、餅上げ会場

昨年2018年9月の台風の被害で上醍醐エリアはまだ閉鎖されていますが、この日は普段有料の下醍醐伽藍/霊宝館/三宝院(室内拝観不可)が無料開放されます。桜の頃と並んで、醍醐寺が最も華やぐ日です。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



フレンチ料理人がタクシードライバーになって京都のグルメを案内

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醍醐寺
五大力さん(五大力尊仁王会)
【寺による行事公式サイト】

会場:金堂
会期:毎年2月23日(日付で固定)
原則休館日:月曜日
開催時間
09:00 五大力さん「御影」「お守り」授与、柴燈護摩祈願 開始
10:00 奉納「餅上げ」小学生の部 開始 〜10:30頃まで
12:00 奉納「餅上げ」女性の部  開始 〜12:40頃まで
13:00 奉納「餅上げ」男性の部  開始 ~14:30頃まで
16:30 柴燈護摩祈願 終了
17:00 五大力さん「御影」「お守り」授与 終了

※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。
※この寺は観光目的で常時公開されています。

醍醐寺
【公式サイト】 http://www.daigoji.or.jp/



◆おすすめ交通機関◆

市営地下鉄東西線「醍醐」駅下車、2番出口から徒歩10分

JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→JR琵琶湖線→山科駅→市営地下鉄東西線→醍醐駅

【公式サイト】 アクセス案内

※京都駅から直行するバスもありますが、鉄道を乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には有料の駐車場があります。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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2月は大阪城の梅がおすすめ_施設が充実した大阪城にビックリ

2019年01月30日 | 祭・行事・季節の花

大阪城公園の梅が咲き始めています。関西近郊では京都の北野天満宮や宝塚の中山寺と並ぶ梅の名所です。

  • 梅の本数1,270本、関西近郊ではトップクラスの多さ
  • 梅の品種も100種類を超え、様々な色や形を楽しめる
  • 公式サイトで品種別に開花状況が掲載されており、見頃を見逃さない
  • 大阪城公園には飲食施設やイベント会場が続々オープン、一日中楽しめとても便利に


大阪城は天守閣を訪れる外国人観光客にけん引され、とても賑やかになっています。昔のように天守閣以外何もなかった時代とは隔世の感があります。


梅に鶯

大阪城公園は、文字通り大阪城の跡地を公園にしたものです。公園としての歴史は大正時代に始まりますが、1931(昭和6)年に再建された現在の天守閣がある本丸など敷地はごく一部でした。大阪城の跡地、すなわち現在の大阪城公園の大部分は、他の都市の城でも見られたように陸軍が使用していました。

【大阪城パークセンター】 公園案内図 PDF

戦後に公園としての整備が始まり、1970(昭和45)年に現在の公園が完成しました。梅林は1973(昭和48)年に大阪府で有数の公立進学校・北野高校同窓会からの寄贈でオープンしました。1983(昭和58)年には、JR環状線の大阪城公園駅・大阪城ホール・大阪ビジネスパークが完成し、ほぼ現在の一帯の姿になりました。

大阪城公園の面積は105万平米で、92万平米の京都御苑より一回り大きいですが、江戸城の内濠の範囲に相当する皇居と外苑を合わせた230万平米の半分以下です。ただし立入禁止の皇居エリアが面積の半分を占め、立ち入ることができるエリアも皇居前広場のある皇居外苑/天守閣跡の皇居東御苑/北の丸公園の三か所に分かれています。

大阪城公園には立入禁止エリアはないため、実質的にはその大きさを最も感じることができます。


天守閣は梅林の西側

梅林は天守閣の東側にあります。天守閣のある地面からはかなり低くなっており、南の森ノ宮駅方面からはなだらかな坂を下りて梅林に入ります。大坂城が上町台地の尾根上に造られた地形の名残です。天守閣や石垣、OBPの高層ビルが、この梅林の借景となります。この新旧合わせた不思議な借景は、他にはまず見られません。

梅の木の高さは全体的に低めです。そのため花をとても間近で見ることができます。カメラで花弁を接写している人もよく見かけます。スケッチする人、お弁当を広げる人、様々な梅の楽しみ方を満喫しています。人出はかなり多いですが、面積が広いため混雑感はさほど気になりません。



最近はやりのライトアップは梅林では行われませんが、真横の天守閣がほぼ一年中ライトアップされているため、これを目当てに夜間の見物客も少なからずいます。梅林は公園なので24時間出入り自由です。

【JO-TERRACE 公式サイト】
【MIRAIZA 公式サイト】

梅林の中央にはローソンもできています。日中だけの営業のようですが、とても便利です。今まで皆無だったレストランやカフェも充実しました。梅林の北側の大阪城ホールと大阪城公園駅の間にJO-TERRACEが、天守閣の横にMIRAIZAが、ともに2017年にオープンしています。

MIRAIZAは、1931(昭和6)年に天守閣と共に市民の寄付で建てられた陸軍第四師団司令部だった建物に設けられており、館内は戦前のモダニズムを感じさせる趣ある空間です。


MIRAIZA

JO-TERRACEとMIRAIZAは様々なイベントが頻繁に行われています。まもなく2019年3月には森ノ宮駅寄りの公園内に3つのホールを持つ劇場「COOL JPAN PARK OSAKA」がオープンします。伝統芸能からお笑い、ミュージカルまで多様な公演が行われます。大箱の大阪城ホールでは対応できない、小回りの利く柔軟なコンテンツの提供を目指しているようです。

大阪城は、人を集めることができる魅力をどんどん増しています。春の訪れを感じる梅から、そんな新しい大阪城を体験してみてください。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



大阪城の楽しみ方が縦横に増すすごく濃いガイド

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大阪城公園
梅林
【大阪城パークセンター公式サイト】 梅林 開花状況

会場:大阪城天守閣・内濠 東側 梅林
見頃:例年1月上旬~3月中旬頃(品種によって異なります)

※梅林の散策に条件はありません。いつでも無料で散策できます。
※大阪城公園は、天守閣と西の丸庭園だけが入館有料で営業時間も定められています。



◆おすすめ交通機関◆

JR大阪環状線「大阪城公園」駅下車、徒歩10分
JR大阪環状線「森ノ宮」駅下車、北口から徒歩10分
大阪メトロ・中央線/長堀鶴見緑地線「森ノ宮」駅下車、3B出口から徒歩10分
大阪メトロ・中央線「谷町四丁目」駅下車、9番出口から徒歩20分
大阪メトロ・谷町線「谷町四丁目」駅下車、1B出口から徒歩20分
京阪電車「天満橋」駅下車、東改札から徒歩25分
大阪メトロ・長堀鶴見緑地線「大阪ビジネスパーク」駅下車、1番出口から徒歩10分

JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:20分
大阪駅→JR大阪環状線→大阪城公園駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には有料の駐車場があります。
※駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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目の前で大松明と鬼が暴れまわる_奈良 長谷寺 だだおし 2/14

2019年01月29日 | 祭・行事・季節の花

冬の奈良は、奈良時代や中世から行われている火祭りが各所で目白押しです。毎年2/14に行われる長谷寺(はせでら)の「だだおし」も、奈良の冬の火祭を代表する行事です。

  • 三匹の鬼が本堂で大声を出しながら暴れ回る
  • 火の粉がふりかかるほど松明を間近に見ることができる、有数の迫力ある火祭り
  • 鬼払いと火祭りが同時に行われる珍しい宗教行事


だだおしは、昨年の行いを懺悔する修二会(しゅにえ)法要の最終日に行われる行事で、鬼を追い払う追儺会(ついなえ)です。魔除けになる牛玉札(ごおうふだ)を求める人も多くいます。観音霊場の聖地にふさわしく、とても厳粛な行事です。


鬼は巨大な松明を引き連れる

日本の寺では、昨年の行いを懺悔する法要として1月に修正会(しゅしょうえ)、2~3月に修二会のいずれか、もしくは両方を行うことが一般的です。奈良の寺では他地域と異なり、修二会の方が大々的に行われる傾向があります。法要の最終日である結願(けちがん)の日には著名な行事が行われることも多く、2~3月の奈良は著名な行事が目白押しです。だだおしやお水取りは代表例です。

長谷寺のだだおしがいつから行われているかは定かではありません。「だだおし」という名前が何に由来するのかも定かではありません。長谷寺は奈良時代には創建されていたと考えられていますが、幾度も火災にあっており、記録が失われてしまったのでしょう。わからないことが多く神秘的でもあります。


霜囲いが施された長谷寺名物の寒牡丹

だだおし法要は15:00から始まりますが、鬼が登場するまで2時間近く法要が続きます。読経だけが続くのではなく、かなりのアクションがある厳粛な法要です。牛玉札を求めた人は内陣に入ることができ、巨大な本尊の前で行われる法要と、松明・鬼の豪快な動きを間近で見ることができます。内陣で法要を見ていると、鬼の登場まで待ち疲れないほど盛りだくさんです。法要の様子はYou TubeにUpされています。




鬼の登場を本堂の外で待つ人

太鼓・法螺貝が鳴り響くと鬼の登場です。赤・青・緑の三匹の鬼は、最初は本堂内をこん棒を振りかざして暴れまわります。僧侶がかざす牛玉札の力で堂外に追い出され、松明を引き連れて本堂の周囲を回えいます。これがだだおしのクライマックスとなります。

松明は長さ4.5m重さ120kmあり、5人の男がかつぎます。三匹の鬼は松明を引き連れ、本堂をゆっくり3周ほどします。暴れまわりながら歩くので、松明の担ぎ手はその都度振り回され汗だくです。火の粉は廊下に落ち、見物客にもふりかかります。火の粉がかかると縁起が良いとされていますが、服の素材によっては穴が開きます。



松明が目の前を通るとすごい熱を感じます。火の粉は廊下にもものすごい勢いで落ちていきますが、僧侶が水をかけて消しています。この本堂はちなみに国宝です。本堂横では消防団が待機していました。



鬼はいつの間にかいなくなります。牛玉札の力で堂外に追い出された後に、本堂の周りを捨て台詞を吐きながら暴れまわっているようにも見え、とても滑稽でした。

松明は本堂前の広場で消化された後、見物客が燃えカスを拾っていきます。燃えカスを家に飾っておくと無病息災になると、信じられているためです。


鬼のお守り

東大寺のお水取りは遠くから見物するため、暗闇の中を動く松明の灯りが幻想的です。一方長谷寺のだだおしは、本当に目の前です。激しく動く松明を間近で見ると物凄い迫力です。鬼を追い払う追儺会として、日本でも有数の見応えです。スカッとします。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



奈良の清らかな行事や風習を訪ね歩く

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長谷寺
修二会結願 だだおし法要
【寺による行事サイト】

会場:本堂
会期:毎年2月14日(日付で固定)
 法要 :15:00
 鬼登場:16:45頃~17:15頃

※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。
※この寺は観光目的で常時公開されています。



◆おすすめ交通機関◆

近鉄大阪線「長谷寺」駅下車、徒歩15~20分

JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間40分
大阪駅(東梅田駅)→大阪メトロ谷町線→谷町九丁目駅(大阪上本町駅)→近鉄大阪線→長谷寺駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には有料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約をおすすめします。


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奈良 元興寺の節分はとても温かい_2/3 護摩供 火渡り 豆まき!

2019年01月25日 | 祭・行事・季節の花

奈良でも節分は数多くの寺社で行われますが、地元で一二を争う人気なのが、ならまちのど真ん中にある元興寺(がんごうじ)の節分です。

  • 護摩供(ごまく)・火渡り・豆まきと、誰でも参加できる人気の行事が揃っている
  • 地元の蔵元による日本酒の無料の振る舞いも人気
  • 東大寺二月堂や興福寺の節分とはしごする人も少なくない


昔から庶民信仰に支えられた元興寺らしい、とても温かみのある節分です。行事をすぐ近くで見物できることも魅力です。


護摩供の始まり

元興寺は当初飛鳥に創建された日本最古の仏教寺院です。平安時代から広大な境内に少しずつ商工業者が住み着くようになり、現在のならまちが形成されていきます。元興寺は長い間、ならまちの人たちに愛されてきました。

節分会の日は、国宝の本堂の内部は拝観できませんが、境内が無料開放されます。節分会が始まる12:00になると続々人が集まってきます。外国人など観光客に見える人も少なからずいますが、多くは普段着の地元の人のようです。互いに顔見知りのため、あちこちで話の輪ができています。


豊祝のふるまい

地元の蔵元・奈良豊澤酒造が奈良の日本酒ブランドでは著名な「豊祝(ほうしゅく)」を無料でふるまっています。真冬ですので体が実によく温まります。すぐ横には焚火がたかれており、待っている間の寒さを充分にしのぐことができます。

このふるまいを受けるために、クルマでの訪問は避けるべきです。酒をふるまうテーブルにはザルが置かれており、そこに”感謝の気持ち”として硬貨を置いていく人がいます。美しい行いです。

境内のテントでは様々な縁起物が販売されています。

  • 入学・就職を控えた子供を持つ家庭のお守りとして人気の元興神(がごぜ)の絵馬
  • かなえてほしい願い事を書く護摩木、護摩供で燃やしてもらうとかなう
  • 家庭の豆まき用の福豆
  • 火渡りへの申し込み

行事の待ち時間や合間に境内は多くの人手ごった返します。コンパクトな境内がとても活気づきます。


護摩供に点火

13:00になると護摩供が始まります。正式には柴燈大護摩供(さいとうおおごまく)と呼ばれ、真言宗の当山派修験道の流れをくむ寺でよく行われます。山伏姿の行者が現れ、矢を放ちます。場を清める意味があるのでしょう。魔除けの矢になるため、見物客はキャッチするのに一生懸命です。

続いて護摩に点火されます。最初は壇木の上にのせられた木の葉が燃えるため、白い煙がもうもうと立ち込めます。風下に陣取らないよう注意が必要です。行者は読経を唱え続けるとともに、次々と護摩木を投げ込んでいきます。ものすごい数です。元興寺の節分の人気がうかがえます。

【奈良県観光公式サイトの画像】 火渡り

火渡りは、護摩供で焼けた壇木を道のように並べ、その上を裸足で歩く行事です。厄除・招福のご利益があると信じられており、女性の参加者が目立ちます。普通のスピードで歩く限り、やけどはしないとのこと。



豆まきは、せんとくんらのマスコットや地元の名士、福男・福女によって行われます。元興寺の掛け声は「福は内、鬼も内」です。「鬼は自分の内から出るように」という意味だそうです。

なお今年2019年から、豆まき会場へは元興神絵馬購入者・火渡り秘供修行者しか入場できなくなります。


東大寺二月堂 豆まき


興福寺東金堂 鬼追い式

東大寺二月堂の豆まきは14:00から行われます。元興寺までは徒歩30ほどかかりますが、15:00からの元興寺の豆まきには間に合います。興福寺は、豆まきはありません。東金堂の舞台で19:00から毘沙門天が三匹の鬼を退治する鬼追い式が行われます。冬の夜空の下、幻想的な節分らしい光景を楽しめます。はしごが十分可能なスケジュールです。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



わが家の節分を盛り上げてくれるタペストリー

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元興寺
節分会
【寺による行事公式サイト】
【寺からの節分会に関するお知らせ】 2019年度からの変更点

会期:毎年2月3日(日付で固定)
 法要特別祈願:12:00~12:30頃
 古武道奉納 :12:30~12:40頃
 柴燈大護摩供:13:00~14:00頃
 火渡り秘供 :14:00~14:30頃
 福豆まき  :15:00~15:20頃

※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。
※節分会当日は境内を無料で拝観できます。

元興寺(真言律宗、奈良市中院町)
【公式サイト】https://gangoji-tera.or.jp/

原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:9:00~16:30



◆おすすめ交通機関◆

近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札口C出口から徒歩20分

JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間20分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料の駐車場がありますが、節分会開催日は閉鎖されます。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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春はもうすぐ、京都 城南宮で2/11に七草粥

2019年01月23日 | 祭・行事・季節の花

京都駅と伏見のほぼ中間、鳥羽(とば)にある城南宮(じょうなんぐう)で、七草粥が2月11日にふるまわれます。節分が終わり、春の訪れを実感するにはピッタリの、京都の早春の風物詩です。

  • 塩味のシンプルな白い粥に、七草の美しい緑がのせられた椀の表情はとても美しい
  • 昭和の名庭師・中根金作が作庭した神苑(しんえん)は、京都でも有数の四季の花を楽しめる名園
  • 旅行や建設工事の厄を払う方除(ほうよけ)では平安時代から著名
  • 近隣は鳥羽伏見の戦いや鳥羽離宮の跡地、歴史ファンにもたまらないエリア


京都でよく知られる方除けの参拝とともに、神苑を訪れる人がとても多い人気の神社です。



城南宮の創建はよくわかっていませんが、平安時代後期の院政で絶大な権力をふるった白河(しらかわ)上皇が、神社を含んだ付近一帯に鳥羽(とば)離宮を造営する頃になると、天皇の行幸や貴族の参拝が増えていきます。京都の裏鬼門と熊野詣のルートにあたるためです。今も呼ばれる「方除の大社」の名が定着したのはこの頃です。

幕末には14代将軍に嫁ぐ皇女・和宮(かずのみや)が江戸までの道中安全を祈願し、孝明天皇も譲位を祈願して行幸しています。神社への参道は、その後の鳥羽伏見の戦いがまさに勃発したところです。幕府軍の進軍を阻む薩摩軍にとっては、皇室ゆかりの神社の前で負けられない気概が強かったのだろうとしのばれます。



神社は名神高速の京都南ICのすぐそばにあり、国道1号線にも面しています。クルマの便のよさもあり、現代では旅行の安全を祈る方除が転じて、交通安全を祈る参拝者も多くなっています。夏には全国でも珍しい、クルマに乗ったまま茅の輪をくぐって交通安全を祈る神事が人気です。

【神社公式サイトの画像】愛車(おくるま)の茅の輪くぐり



七草粥は古来より、五節句の最初・人日(じんじつ)の節句である1月7日に食べられていました。人日とは、中国の古い暦では、正月の1~7日に順に動物の名を付け、その日はその動物を殺して肉を食べない習慣がありました。7日は人間で、罪人の刑罰を行わないようにし、7種の野菜を煮たスープを食べていました。これが日本に伝わって七草粥となります。

現在の日本では、新暦の1月7日に七草粥を食べることが多くなり、京都でも1月7日にふるまう神社が多くなっています。城南宮がふるまう2月11日は旧暦の1月7日に近く、春の訪れを感じる実際の季節感に合っています。城南宮の七草は、粥と混ぜるのではなく、粥の表面にのせます。七草の輝くような緑を見ると、春の近づきを強く感じます。

写真のようにとてもシンプルで、粥の温かさと七草の瑞々しさが体にしみます。一杯500円です。会場の斎館からは美しい神苑の緑が見えます。さらに春を感じさせてくれる光景です。


神苑 入口

神苑は境内を取り囲むように設けられており、かなりの面積があります。時代や季節に応じて5つのテーマで構成されており、とてもたくさんの種類の花を楽しむことができます。そのうち「平安の庭」は寝殿造りの庭をイメージして造られています。春と秋に行われる平安装束の歌会「曲水の宴」の会場です。



城南宮の西側、徒歩5分ほどのところにある公園には、鳥羽離宮の遺構の一つ「秋の山」や、鳥羽伏見の戦いの勃発を示す石碑があります。城南宮の東側、竹田駅との中間には、鳥羽離宮の仏堂だった安楽寿院や、鳥羽離宮で過ごした白河・鳥羽天皇と近衛天皇の陵があります。近衛天皇の陵は、天皇陵としては唯一、多宝塔が建てられています。大きな青い空に映える多宝塔です。

鳥羽は、京都の観光エリアとしては決して著名ではありませんが、京都の歴史においてとても重要なエリアです。一味違う京都の魅力をお楽しみください。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



毎日おかゆに誘惑されてしまう一冊

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城南宮
七草粥の日
【神社による行事公式サイト】 祭礼と年中行事 1月~3月

会場:斎館
会期:毎年2月11日
受付時間:10:00~16:00

※神苑を除く神社の参拝に条件はありません。いつでも無料で参拝できます。



◆おすすめ交通機関◆

地下鉄烏丸線・近鉄京都線「竹田」駅下車、6番出口から徒歩15分

JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
京都駅→地下鉄烏丸線→竹田駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料の駐車場があります。


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京都 須賀神社 節分とっておきのお守りは、中身を見てはいけない恋文

2019年01月22日 | 祭・行事・季節の花

京都の多くの神社や寺でまもなく行われる節分の中でも、平安神宮の北にある須賀(すが)神社でとっておきの演出があります。中身を見ずにタンスにしまっておくとご利益があるという一風変わったお守り、懸想文(けそうぶみ)が売られています。いわゆる恋文、ラブレターにあたります。

  • 懸想文は、平安装束で烏帽子をかぶり、覆面をした怪しげな男性から買い求める
  • 同じ本殿に、交通安全にご利益がある交通神社が同居する珍しい神社
  • 京都有数の節分の名所・吉田神社と聖護院門跡は徒歩圏内、節分巡りに便利


お正月、十日ゑびすに続いて節分です。濃厚な京都の冬の風物詩をお楽しみください。



須賀神社は平安時代の創建で、近隣の岡崎神社が東天王社と呼ばれるのに対し、西天王社(にしてんのうしゃ)とも呼ばれています。北の京都大学と南の平安神宮の中間、聖護院(しょうごいん)と呼ばれるエリアにあります。


懸想文を売る”怪しげな”平安装束の男

懸想文は、平安時代の貴族が小遣い稼ぎのために、身分がばれないよう覆面をして、字が書けない人のために恋文を代筆したのが起源と言い伝えられています。中世には懸想文を売る商売が定着し、男女の仲はもとより様々な良縁を求める縁起物として知られていたようです。

一見”怪しげな”平安装束の覆面姿は、この言い伝えに因んだものです。その後長い間途絶えていたようですが、戦後になって須賀神社が復活させました。現在京都で他に懸想文を売っているところは、ほとんどないと思われます。

懸想文は1通1,000円で、良縁・容姿端麗・商売繁盛に効くと言われます。女性に人気なようですが、男性の私も買い求めました。「中身を見ない方が効く」と言われてはいましたが好奇心に負け、中身を見てしまいました。和歌で気持ちを伝えるような内容が古文調でつづられています。雅な香りが漂う名分でした。「中身を見るとばちが当たる」とまでは言われませんでしたので、よしとしています。



境内はコンパクトで、京都らしい地元の氏子に親しまれる雰囲気を感じます。2日(土)15:00から始まる追儺招福豆まきの前には、境内が人であふれかえります。豆をまく人との距離が近いため、とても親しみを感じます。

節分祭そのものは毎年2日間行われ、参拝と懸想文の販売が行われます。本殿は左側が須賀神社、右側が交通神社という珍しい構造です。2005年に焼失し、再建後に同居するようになりました。そもそも交通神社は、戦後に須賀神社の祭神から分祀され、創建されました。元の同居状態に戻ったと思えると、どこか心がホッコリします。



須賀神社は、京都御所の南端を東西に走る大通りの丸太町通(まるたまちどおり)の一本北側・春日北通(かすがきたどおり)に面しています。春日北通という通り名はほとんど知られていませんが、京都の有名観光スポットが凝縮された通りでもあります。

東大路から東へ向かうと、西尾八つ橋本店→聖護院八つ橋本店→聖護院門跡→須賀神社→金戒光明寺と徒歩10分ほどの間に目白押しです。金戒光明寺から真如堂を通って北へ進めば吉田神社があります。

節分の日は、西尾/聖護院の両八つ橋本店も店頭が華やかになります。京都でも際立って濃厚に節分を楽しめるのが、聖護院エリアです。


門前の八つ橋の二大老舗「西尾」本店(節分の売り出し)


門前の八つ橋の二大老舗「聖護院」本店(節分の売り出し)

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



大人も癒されるせなけいこの絵本

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須賀神社
節分祭
【京都市観光協会サイト】 節分祭 須賀神社

会期:2019年2月2日(土)~3日(日)15:00
※暦によって日付がずれる年もあります。
入館(拝観)受付時間:10:00~20:00
※追儺招福豆まきは、2日(土)15:00スタート

※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。

須賀神社
【京都市観光協会サイト】 須賀神社




◆おすすめ交通機関◆

京阪電車「神宮丸太町」駅下車、5番出口から徒歩15分
京都市バス「熊野神社前」バス停下車、徒歩5分

JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→地下鉄烏丸線→丸太町駅→1番出口から烏丸丸太町バス停→市バス93/202/204系統→熊野神社前

※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄とバスを乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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京都で最もぬくもりのある節分_2/3 千本釈迦堂 おかめ節分

2019年01月19日 | 祭・行事・季節の花

京都・北野天満宮の近くにある千本釈迦堂(せんぼんしゃかどう)は、洛中最古の建造物や数多くの美仏で知られていますが、京都を代表する庶民信仰の寺でもあります。正月が終わると次は節分とあわただしく日が過ぎてきます。千本釈迦堂の節分はそんな京都の日常の中で、背伸びすることなく行われているのが最大の魅力です。

  • おかめ福節分と呼ばれ、夫婦円満や縁結びを祈る女性に特に人気
  • 豆まきだけでなく、上七軒の舞妓の舞なども披露され、演目が充実
  • 鬼を追いかける様子は狂言で演じられ、とてもコミカル
  • 北野天満宮・千本ゑんま堂は徒歩圏内、京都の著名な節分祭をはしごできる


洛中最古の建造物・本堂が鎮座する境内は、歴史の重みの割にはかしこまっておらず、とても入りやすく親しみを感じます。とてもぬくもりのある節分祭です。


豆まきの前に狂言で鬼を追い払う

千本釈迦堂は、正式には大報恩寺(だいほうおんじ)と言います。正式名は、昨年2018年秋に東博で話題を呼んだ大報恩寺展で記憶した方も多いかもしれません。京都では覚えやすい通称が定着している寺が多く、庶民信仰がとても盛んだったことがうかがえます。

節分の一連の行事は、洛中最古の建造物である国宝の本堂で行われます。本堂は鎌倉時代初めの寺創建直後、1227(安貞元)年の上棟です。応仁の乱では寺付近は主戦場であり、それを生き抜いた本堂はまれにみる強運の持ち主なのです。本堂の本尊や東博の大報恩寺展で鑑賞者を魅了した快慶・肥後別当定慶らによる十大弟子と六観音も、創建時の制作ですが完存しています。

【寺公式サイトの画像】 十大弟子、六観音(寺宝・文化財)

日本では十大弟子や六観音が完存していること自体が極めて貴重です。しかも京都の文化財の多くがリセットされた応仁の乱を生き抜いています。寺の僧だけでなく、周囲の民衆の協力なくして守り続けることはできません。こうした状況からも千本釈迦堂が、昔から庶民にいかに愛されてきたかをうかがうことができます。



15:00が近づくにつれ続々と人が集まってきます。先に行われている北野天満宮からはしごしてきた人も少なくありません。

節分祭の前後で華やかな晴れ着を着せてもらったおかめの像に、夫婦円満や縁結びを祈る人がたくさんいます。おかめは、主に関東では「おかめ・ひょっとこ」の道化として知られていますが、京都では由来が異なります。

おかめは、鎌倉時代初め、千便釈迦堂の本堂建立大工の棟梁の妻の名前です。仕事のミスに頭を抱えた夫に名案を伝授して窮地を救いますが、それが明るみに出れば夫の恥と、上棟直前に自害してしまいます。夫の棟梁は上棟式にあたって妻の冥福と本堂の加護を願い、妻に似せた福の面を柱に飾りました。

本堂は実際に応仁の乱を生き抜いたことで、おかめ伝説は瞬く間に有名になりました。現在でも京都の建造物の上棟式では、大工たちはおかめの面を柱に飾ります。女性たちはおかめ塚を訪れることを絶やしません。千本釈迦堂の庶民信仰を象徴するのが、おかめ伝説なのです。



節分祭のフィナーレを飾る豆まきに至るまで、様々な奉納が行われるためとても華やかです。変化に富んでいるため見ていて飽きません。

近隣の花街・上七軒の舞妓による舞で節分祭は始まります。外気に触れる屋外の舞台で見る舞は、屋内以上に伝統が積み重ねた美しさ感じます。中世までは屋外の舞台で舞うのが通常でした。これから本堂が特別な空間になっていくことを見事に知らせているようです。

ただしこの舞は公式プログラムには記載されておらず、行事スタート時間15:00の10分ほど前から始まります。行事の詳細演目のスケジュールを詳細に公表しないことは、京都の行事では珍しくありません。世界レベルの観光都市としては、大いに疑問を感じる習慣です。



鬼を追い出す追儺式(ついなしき)は、千本釈迦堂では狂言の演目として行われます。これも実に京都らしい演出です。着ぐるみを着て大声で叫ぶのではなく、コミカルな動きで笑いを取るような鬼の動きは実にすばらしい日本の古典芸能です。これだけでも見る価値が充分にあります。

豆まきは近隣の名士や舞妓により行われます。豆をまく人の数に比べて、豆を受け取る参拝客の数の多さが目立たないため、手を伸ばしていると結構豆をキャッチすることができます。こじんまりした豆まきも実に乙なものです。



千本釈迦堂の節分祭は15:00スタートです。ただし舞妓の舞はその10分ほど前から始まります。以下のスケジュールで3か所の節分をはしごすることができます。

  1. 北野天満宮  13:00 狂言・舞妓の舞・豆まき(千本釈迦堂から西へ徒歩5分)
  2. 千本釈迦堂  15:00 狂言・舞妓の舞・豆まき
  3. 千本ゑんま堂 19:00 狂言・豆まき(千本釈迦堂から北へ徒歩5分) ※こんにゃく煮きは9:00~20:00


今年2019年の2/3は日曜日です。京都の節分三昧をたっぷりとお楽しみください。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



節分からハロウィンまで、日本の定番行事を易しく解説

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大報恩寺(千本釈迦堂)
節分会(おかめ福節分)
【寺による行事公式サイト】

会期:毎年節分の日、2019年は2月3日(日)
催行時間:15:00~16:00頃

※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。
※この堂宇は観光目的で常時公開されています。
※節分祭当日、本堂は終日拝観できません。霊宝殿は午後から拝観できません。



◆おすすめ交通機関◆

地下鉄烏丸線「今出川」駅下車、3番出口から烏丸今出川バス停、京都市バスで「上七軒」下車、徒歩3分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:35分
京都駅→地下鉄烏丸線→今出川駅→烏丸今出川バス停Bのりば→市バス203系統→上七軒

【公式サイト】 アクセス案内

※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄とバスを乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には無料の駐車場があります。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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稲荷の総本宮で福をもらう冬の風物詩_伏見稲荷で2/2 初午大祭

2019年01月18日 | 祭・行事・季節の花

関西の初詣参拝者トップの伏見稲荷大社では、正月の約1か月後に、再び多くの参拝者で賑わう行事が行われます。初午大祭(はつうまたいさい)です。多くの人が思い浮かべるであろう”節分”は伏見稲荷でも行われますが、初午大祭の方が目立って人手は多くなります。

  • 伏見稲荷の祭神が降臨した日に、五穀豊穣を祈る重要な行事
  • 全国で行われる初午祭の中で、稲荷社の総本宮・伏見稲荷が最も著名
  • 持ち帰ると家や商売が繁栄すると信じられる「しるしの杉」を求めて全国から人が集まる
  • 参道ではいなり寿司が飛ぶように売れる


身動きが取れないほど混雑する初詣よりも、伏見稲荷の魅力がたっぷりと味わえる冬の風物詩です。2月は節分だけではありません。初午にもぜひお出かけください。



初午とは、毎月最初に迎える午の日のことですが、通常は稲荷社が祭りを行う2月の初午の日を指します。毎月の日数は十二支の公倍数にはならないため、毎年日付は変わります。2018年は2/7、2019年は2/2、2020年は2/9と節分の前後で変動します。江戸時代までは旧暦の2月に行われていましたので、現在よりも1か月ほど遅い春の訪れを感じ始める頃でした。

十二支の午は、時間では昼の12時の前後2時間、方角では真南を指します。昼の12時の正午、南極と北極を結ぶ子午線、のそれぞれ由来になっています。子(ね)は深夜0時、真北を指します。午は、時間や方角のイメージのように、成長のピークと衰退の始まりを示す転換点と考えられています。初午大祭は、成長のピーク時に福を授かろうとする行事なのです。



伏見稲荷の初午大祭は、江戸時代には現在のように町人や商人に定着していたようです。商いに成功したものはこぞって鳥居を奉納しました。現在の壮麗な千本鳥居の風景は江戸時代からできていたのです。

そうした伝統が現在も続いていることを如実に感じます。初詣のように屋台が参道を埋め尽くします。普段は外国人観光客が目立つ伏見稲荷も、この日は圧倒的に日本人が多くなります。純粋に信仰目的で来ているのです。



境内のあちこちで、食品を中心とした奉納品が山積みされている光景が目に入ります。とても活気を感じます。今年もこれだけたくさんの野菜が実りますようにという熱い思いを、目で感じることができます。

同じく商売の成功を祈る関西のもう一つの冬の風物詩・十日えびすでは「商売繁盛で笹持ってこい」の掛け声で元気が出ます。こちらは熱い思いを耳で感じます。この違い、とても面白いです。


しるしの杉の授与

この日の参拝者の多くが、初穂料1,000円を納めてお目当てのしるしの杉を手に入れます。験(しるし)の杉とは、平安時代に流行した熊野詣の途中に、伏見稲荷に立ち寄って杉の小枝を身に付けると縁起が良い、と流行したのが始まりとされています。

十日えびすの笹と同じく、持ち帰って家や会社に飾ります。杉の葉の緑は正月の松飾りのように、冬の冷たい空気の中ではとても美しく見えます。しるしの杉を持つ人々の手の多くに、いなり寿司の手提げ袋が後で加わることになります。



2019年の初午は土曜日で、例年よりも混雑が予想されます。しかし遠方の人にとっては訪れやすい曜日になります。混雑といっても初詣よりはかなりましです。伏見稲荷の初午は、福をもらえる冬の行事のメインイベントです。



こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



しきたり三部作、祝いごととお祭り編

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伏見稲荷
初午大祭
【神社による行事公式サイト】

会期:毎年2月初午の日、2019年は2月2日(土)
しるしの杉授与:8:00~夕方ごろ

※参拝に条件はありません。いつでも無料で参拝できます。



◆おすすめ交通機関◆

JR奈良線「稲荷」駅下車、徒歩2分
京阪電車「伏見稲荷」駅下車、徒歩5分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:10分
京都駅→JR奈良線→稲荷駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料の駐車場があります。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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1/8から京都で初ゑびす|舞妓から福笹がもらえる優雅なえべっさん

2019年01月02日 | 祭・行事・季節の花

正月明けと言えば、関西では「えべっさん」です。1/10の「十日戎」で商売繁盛を祈ります。今宮や西宮に比べてニュースになることが少なく知名度は低いですが、京都・祇園にある京都ゑびす神社も大いに賑わいます。

  • 京都ゑびす神社では他より長い5日間の開催
  • 京都では「十日戎」ではなく「初ゑびす」と呼ぶ
  • 京都らしく東映太秦映画村の女優や舞妓からの福笹の授与がある


祇園がとても賑わう5日間です。初詣の後は、えべっさんです。



京都ゑびす神社は、日本に臨済宗を伝えた栄西(えいさい)が1202(建仁2)年に建仁寺(けんにんじ)を建立する際に、鎮守社として創祀されました。現在の神社境内も大和大路を挟んで建仁寺の西隣にあります。

関西の他のえべっさんより開催期間が2日間長いですが、最も人出が多く、夜通し開催されるのは他と同じく1月9日~11日です。


大和大路への四条通からの入口

京都ゑびす神社は、観光客がとても多い花見小路と鴨川の間にある大和大路沿いにあります。神社の周囲は宮川町の花街で、普段の日中は祇園エリアとは思えないほどとても静かなエリアでもあります。その大和大路も、初ゑびす開催中は四条通から境内まで屋台が立ち並び、とても賑やかになります。



初日の1/8から東映太秦映画村の時代劇俳優によるかごの行列が四条河原町や祇園の繁華街を練り歩き、祭りムードが徐々に盛り上がっていきます。1/10には午前と午後の2回、東映太秦映画村の女優による福笹の授与が行われます。翌1/11には午後に祇園町の舞妓、夜に宮川町の舞妓による福笹の授与が行われ、境内が最も華やぎます。

【公式サイト】 授与時間ほか初ゑびすの詳細日程

授与される福笹は、参拝者に渡される前に巫女の神楽舞により清められます。そのため神楽舞はほぼ終日行われています。この神楽舞も西宮や今宮にはありません。京都でしか体験できないえべっさんの演出です。

西宮神社今宮戎神社のえべっさんほどの人手はないため、参拝や福笹につける縁起もの選びもゆったりできます。京都らしい優雅なえべっさんを体験できます。



1月中は、都七福神めぐりの期間でもあります。正月に参拝すると福がもたらされると信じられているためです。七福神めぐりは全国にありますが、室町時代に始まった京都が日本最古と考えられています。一例として弁財天を祀る六波羅蜜寺は、京都ゑびす神社から歩いて3分くらいの近くにあります。1月中にしっかり福をゲットしましょう。

【京都市観光公式サイト 京都観光Navi】 都七福神めぐり

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



めでたい提灯

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京都ゑびす神社
十日ゑびす大祭
【神社による祭公式サイト】

会期:2019年
1月8日(火)9:00~23:00
1月9日(水)9:00~24:00
1月10日(木)0:00~24:00
1月11日(金)0:00~24:00
1月12日(土)9:00~22:00



◆おすすめ交通機関◆

京阪本線「祇園四条」駅下車、1番出口から徒歩4分
阪急京都線「河原町」駅下車、1番出口から徒歩8分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
京都駅→地下鉄烏丸線→四条駅(烏丸駅)→阪急京都線→河原町駅

【公式サイト】 アクセス案内

※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄を乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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大阪 四天王寺で1/14にどやどや|真冬の勇壮な裸祭り

2018年12月30日 | 祭・行事・季節の花

大阪・四天王寺で新春の恒例行事「どやどや」が年明け1月14日(月)に行われます。ふんどし姿の男たちが札を奪い合う勇壮な祭りです。

  • 水をかけられた体から湯気があがる様子に人気がある
  • 裸の男たちがぶつかり合う祭では、同日に行われる京都・法界寺の裸祭りと並んで関西では有名


この日は全国でも多くの裸祭が行われます。まさに真冬の風物詩です。


会場の六時礼讃堂

どやどやは、新年の天下泰平・五穀豊穣を祈って元旦から続く法要・修正会(しゅうしょうえ)が完了する結願(けちがん)の日に行われます。修正会の期間は寺によって異なりますが、1週間もしくは2週間です。1/7と1/14に全国で裸祭が多いのは、修正会の結願日にあたるためです。

四天王寺のどやどやの起源ははっきりしないようですが、江戸時代には行われていた記録があるようです。四天王寺は飛鳥時代の創建で、奈良の元興寺に次いで古い寺です。祭り自体も相当に古いことは間違いないでしょう。


幼稚園・保育園児のどやどや

どやどやは、幼稚園・保育園児と男子高校生の二部構成です。先に幼稚園・保育園児から始まります。男の子は上半身裸ですが、女の子は服を着ています。札の奪い合いや水かけはありませんが、子供の黄色い掛け声が冬空に響く光景は、とてもほのぼのとしています。



続く男子高校生の部は圧倒的な迫力があります。近隣の真言宗系の進学校である清風高校と清風南海高校の生徒が紅白に分かれて札を奪い合います。600人ものふんどし姿の男がぶつかり、水をかけられて湯気がたちのぼる光景は幻想的でもあります。温泉場の近くにいるようで熱気を感じるほどです。


太子奥殿の借景にあべのハルカス

四天王寺はこの日、多くの行事が行われるため、たくさんの人で賑わいます。とんど焼きは火祭りで、正月の飾り物や御札・御守りなどを焚き上げる(燃やす)行事です。大量の品が持ち込まれるため、燃え上がる炎はとても大きく、こちらも冬空にとてもよく映える伝統行事です。

例年元旦から2月上旬まで行われる宝物館での名宝展には、通常非公開の文化財が多く展示されます。1/15までは国宝の「扇面法華経冊子」も公開されます。四天王寺は歴史があるだけに展示はとても充実しています。

とても冬らしいこの日、ぜひ天王寺までお出かけください。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



聖徳太子に数々伝わるミステリーが小説に

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四天王寺
修正会結願(どやどや)、とんど焼き
【四天王寺公式サイトの案内】

会期:毎年1月14日

修正会結願(どやどや)
会場:六時礼讃堂
開催時間:幼稚園・保育園児14:00~14:30、男子高校生15:00~15:30

とんど焼き
会場:中門(仁王門)~南大門間の広場
開催時間: 9:00~14:00

※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。

新春名宝展
会期:2019年1月1日(火)~2月4日(月)
【四天王寺公式サイトの案内】

四天王寺
【公式サイト】 http://www.shitennoji.or.jp

中心伽藍・庭園
原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:8:30~16:00(10-3月)

※境内の参拝に条件はありません。いつでも無料で参拝できます。



◆おすすめ交通機関◆

大阪メトロ 谷町線「四天王寺前夕陽ヶ丘」駅下車、4番出口から徒歩5分
大阪メトロ 谷町線・御堂筋線「天王寺」駅下車、17番出口から徒歩15分
JR大阪環状線・大和路線・阪和線「天王寺」駅下車、北口から徒歩15分
近鉄 南大阪線「大阪阿部野橋」駅下車、1F西改札口もしくはB1F中改札口から徒歩20分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:00~00分
大阪駅(東梅田駅)→大阪メトロ・谷町線→四天王寺前夕陽ヶ丘駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には有料の駐車場があります。
※渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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京都 三十三間堂で1/13に通し矢|華やぐ当日は堂内も無料開放

2018年12月29日 | 祭・行事・季節の花

京都の新春は名物行事が目白押しです。三十三間堂の「通し矢」はその最たるものです。2019年は1月13日(日)に行われます。晴れ着や袴姿の新成人男女が長いお堂にそって矢を的に当てる競技大会で、新春を彩る華やかさが全国ニュースでも恒例になっています。

  • 境内は晴れ着の選手で一杯、成人式のような華やかさ
  • 通し矢は江戸時代から行われている歴史的な競技大会
  • 当日は三十三間堂が無料開放される
  • 病気に効く聖水を授かる楊枝(やなぎ)のお加持も人気


真冬の京都はとても空気が冷たくなりますが、晴れ着や袴姿で長い弓を手にする選手を見ると、背筋が伸びて凛とします。この日の三十三間堂は、まさに新春にふさわしい空間になります。


※写真は2018年の様子

通し矢は安土桃山時代から人気が出始めたと考えられており、江戸時代の前半に尾張藩士と紀州藩士の一騎討ちが人気を博しました。江戸時代は121mある三十三間堂の南端から北端まで、一昼夜で矢を射通した数を競う「大矢数」が人気でした。

1686(貞享3)年に紀州藩士が13,053本中8,133本を射通したのが最高記録としてのこされています。24時間ぶっ続けで、平均して1分に9本放ち5本強を射通したことになります。現代の常識では理解に苦しむような数字です。

奈良の東大寺や江戸の浅草でも行われていましたが、江戸時代後半には下火になり、明治になるとほとんど行われなくなります。会場となる三十三間堂の西側の壁には今でも、無数の失敗した矢の傷が残っています。


無料開放されている三十三間堂の入口ゲート

現在の通し矢は、戦後から行われるようになった大的(おおまと)大会と呼ばれる競技大会です。江戸時代とは様子がずいぶん異なります。矢を射る方向は逆で北から南に射ます。距離は半分の60mで、射通すのではなく的に当てることを競います。参加できるのは弓道の有段者の新成人と称号を持つ人です。


垂れ幕の中が競技会場

10:50から始まる新成人女子の部が、晴れ着姿が華やかなこともあり、最も混雑します。なお競技そのものの見物や写真撮影は非常に困難です。的のある南側は危険なため全く会場が見えないようになっています。矢を放つ北側も選手が集中力を保てるよう近づくことはできません。見通しの効く有料の観覧席もありません。華やかな選手が集う雰囲気を楽しむことに割り切るのが現実的です。弓道という競技の性格上やむを得ず、お堂の横に見物できるスペース自体もほとんどありません。


三十三間堂の東側には屋台が出る

【三十三間堂公式サイトの画像】 楊枝のお加持、通し矢

堂内では楊枝のお加持が行われます。楊枝は”ようじ”と読みそうになりますが、シダレヤナギのように枝が垂れ下がるのではなく、ネコヤナギのように枝が建つ種類のヤナギにこの字を用いるのが厳密には正しいようです。

高僧が参拝者の頭に楊枝で聖水を振りかけます。病気や頭痛に効くと信じられており、冷たい水が頭皮にかかった瞬間には、確かに頭がシャキッとします。長い行列ができますが、一人当たりの時間は短いので回転は悪くありません。



この日は拝観が無料になる上に、楊枝のお加持を求める人も加わり、境内はとても混雑します。しかし三十三間堂がこれほど華やかになるのはこの日の他ありません。

三十三間堂の東隣の後白河法皇ゆかりの法住寺では、この日「大根焚き」も行われます。京都の各地の寺で冬に行われる恒例行事で、寒空の下でいただく”ホクホク”感はたまりません。

ぜひ東山七条までお出かけください。三十三間堂向かいの京博のお正月の展覧会もおすすめです。

【法住寺 公式サイト】


東山が雪化粧すると七条通りから見えます

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



日本の弓道の歴史が三十三間堂に詰まっている

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蓮華王院 三十三間堂
楊枝(やなぎ)のお加持と通し矢

会期:毎年1月中旬の日曜日、2019年は1月13日(日)
入館(拝観)受付時間: 9:00~15:30
※新成人男子の部は8:30競技開始、新成人女子の部は10:50競技開始

蓮華王院 三十三間堂
【公式サイト】http://sanjusangendo.jp/

原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:9:00~15:30(11/16-3/31)



◆おすすめ交通機関◆

京都市バス「博物館三十三間堂前」下車、徒歩0分
京阪電車・七条駅下車、3,4番出口から徒歩7分
JR京都駅から徒歩20分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:10分
京都駅烏丸口D1/D2バスのりば→市バス86/88/100/106/110/206/208系統→博物館三十三間堂前

【公式サイト】 アクセス案内

※休日の午前中を中心に、京都駅ではバスが満員になって乗り過ごす場合があります。
※休日の夕方を中心に、渋滞と満員乗り過ごしで、バスは平常時の倍以上時間がかかる場合があります。
※この施設には無料の駐車場があります(公道に停車した入庫待ちは不可)。
※渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


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奈良でいつもと違う初詣を|美の五色 ~東大寺 二月堂

2018年12月28日 | 祭・行事・季節の花

京都・奈良の初詣3回シリーズの最後は東大寺です。東大寺と言っても大仏殿ではなく、あえて二月堂です。新年を祈るだけではない二月堂ならではの体験が、いつもと違う初詣を演出してくれます。

  • お水取りの会場で有名な二月堂は、親しみを感じる空間がほっとさせてくれる
  • 高台にあり、大仏殿の屋根や奈良市内の絶景が楽しめる
  • 初詣も大仏殿に比べ空いており、ゆったりと祈ることができる
  • 隣の法華堂で、天平の美仏に新年早々からお会いできることも魅力


大仏殿からは横の山の斜面を5分ほどのぼるだけです。奈良の優雅な初詣は二月堂です。


奈良市内の絶景、大仏殿の屋根も見える

二月堂のある高台は東大寺の中でも上院(じょういん)地区と呼ばれ、東大寺の原点のようなところです。二月堂の南隣にある法華堂が大仏殿より古い建物で、東大寺の前身寺院である金鐘寺(こんしゅじ)の堂宇と考えられているからです。

二月堂は大仏開眼の年の752(天平勝宝4)年、お水取りが始まった頃の建立と考えられています。大仏開眼の6年後に完成した大仏殿よりも古いことになります。ただし現在の二月堂は、1667(寛文7)年のお水取りが行われている際の失火で焼失し、2年後に再建されたものです。

江戸時代の再建とは言え、1,200年以上に渡って続けられているお水取りを行う堂宇として、複雑な間取りが再現されています。東大寺の建造物としては最も新しく、2005年に国宝になっています。


二月堂

二月堂へは大仏殿付近から斜面を登るルートがメインですが、春日大社から若草山の山麓を通ってくる人も少なくありません。初詣の頃は、毎年1月下旬に行われる山焼きを待つ枯れた芝生が、黄金色になって山肌を包んでいます。とても美しい風景です。

二月堂は懸造(かけづくり)の正面にある舞台には、24時間いつでも自由にのぼることができますが、元旦に日付が変わった深夜が幻想的です。日付が変わってから撞き始められる除夜の鐘の音色と共に、大仏殿から二月堂に至る参道の灯篭に火が灯されていきます。舞台からは奈良の夜景が見えます。

除夜の鐘を聞きながら過ごす二月堂での時間は、神秘的でさえあります。とても寒いですが、とても至福の一時です。

元旦の深夜は幻想的になりますが、普段の二月堂は東大寺の中でもいたって親しみやすい堂宇です。正面では線香が常に黙々と炊かれており、参拝する人が絶えません。大仏殿は参拝目的より観光目的の人が圧倒的に多いですが、二月堂は両方を兼ねた人が多い印象を受けます。

人気の秘密は、日本有数の絶対秘仏として知られる大観音(おおがんのん)・小観音(こがんのん)の二体の本尊の存在もあるでしょう。誰も見たことがないため、いわゆる存在すら疑われるような仏様ですが、日本人にはそうした神秘性を好むところがあります。

しかし、善光寺・浅草寺・三井寺本尊と共に日本最強の誰も見たことがない絶対秘仏について、いつかは見てみたいと願う人はたくさんいるはずです。仏様に祈りが通じることをひたすら待ちます。


二月堂北側にある無料休憩所

二月堂の舞台の横には無料休憩所があり、温かいお茶を無料でいただくことができます。とても寒い奈良の冬の参拝には、とてもありがたいふるまいです。内部にはお水取りで使われる巨大な松明も展示されており、興味深い時間を過ごすこともできます。



三が日とも日中は法華堂が開かれており、不空羂索観音を中心とした日本最古の仏教美術空間を味わうことができます。二月堂と法華堂が並ぶ東大寺・上院ならではの贅沢な一時です。


鎖を食べる鹿は珍しい(写真加工してません、本当です)

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



日本人の定番行事も時代と共に変わってきた

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東大寺
初詣
【東大寺公式サイトの案内】 初詣

※二月堂の参拝に条件はありません。いつでも無料で参拝できます。
※大仏殿は、毎年1/1の0:00~8:00は無料で参拝できます。

※1/1の8:00以降の大仏殿・法華堂(三月堂)・戒壇堂・東大寺ミュージアムの
 開館(拝観)時間は以下の通りです。
原則休館日:なし
開館(拝観)受付時間:8:00~16:30(11-3月)



おすすめ交通機関:
近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札C出口から徒歩20分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:東大寺まで1時間20分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅

【公式サイト】 アクセス案内


※この施設に駐車場はありません。
※渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


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京都のゆったり初詣は平安神宮|美の五色 ~大きな青空と神苑を楽しむ

2018年12月27日 | 祭・行事・季節の花

京都の初詣は、著名であるがゆえに混雑も目立つ伏見稲荷大社と八坂神社を避けるのも手です。北野天満宮や下鴨神社、松尾大社と並んでおすすめが、平安神宮です。

  • とにかく境内が大きいため、混雑感を感じることは少ない
  • 賽銭の順番待ちの行列の流れもスムースで、気兼ねなくじっくりと新年を祈ることができる
  • 街中にあって地下鉄の駅が近く、行きやすい
  • 境内にある神苑は京都でも有数の大きさを誇る名園


平安神宮のある岡崎公園の周りには高い建物がなく、晴れた日にはすがすがしい大きな青空が楽しめます。赤い社殿や鳥居が大きな空に綺麗に映える光景も、今となっては京都ではここだけです。



平安神宮は、1895(明治28)年に創祀された新しい神社です。平安遷都1100年を記念した内国勧業博覧会開催にあたって、平安京の政治の中心である朝堂院(ちょうどういん)を5/8に縮小して復元したものを神社としました。

祭神は平安遷都を行った桓武(かんむ)天皇です。明治から戦前にかけて各地で、歴史上著名な天皇を祭神とする神社の設立が相次ぎました。神武天皇を祀る橿原神宮、天智天皇を祀る近江神宮、後醍醐天皇を祀る吉野神宮と明治天皇を祀る明治神宮です。まさに天皇の神格化が進んでいた時代でした。

平安神宮は当初、実際にあった千本丸太町付近に建設が計画されましたが、市街地化が進んでいたため買収をあきらめています。そのため当時は郊外で市街地化されていなかった岡崎の地が選ばれました。皇紀2600年の1940(昭和15)年には、京都で在位した最後の孝明(こうめい)天皇も祭神に加えられました。

平安神宮の創祀とともに始められた時代祭のイメージもあり、岡崎は京都にとってすっかり平安時代をしのばせる地として定着しました。


白川から見える鳥居はいつも美しい

地下鉄・東山駅から平安神宮を目指すと、平安神宮の真赤な大鳥居が見えてきます。岡崎の大きな青空に映える姿が私は大好きです。大鳥居をくぐってロームシアター京都のある二条通を過ぎると、広い参道は歩行者天国になります。両側には屋台がびっしりですが、とにかく道が広いので屋台のグルメ選びもゆったりできます。参拝前の腹ごしらえ。参拝後の一服、どちらも楽しみは尽きません。


大極殿(外拝殿)

朝堂院の正門である応天門をくぐると、回廊に囲まれた広大な境内が拡がります。建物がない広大な広場でもあり、ここから青空に映える大極殿(だいごくでん)をのぞむ光景も絶品です。

平安神宮への通常の参拝は、外拝殿(げはいでん)でもある大極殿から行われます。さらに内部にある内拝殿(ないはいでん)や本殿には立ち入ることはできません。しかし大極殿は重要文化財に指定されており、平安京の面影を伝える美しく壮大な建築です。ここから参拝できるだけでもすがすがしい気持ちになります。

一方より聖なる建物である内拝殿と本殿は重文指定されていません。もちろん明治の創祀時に同時に建築されましたが、この2棟は1976(昭和51)年に起きた放火で焼失するという悲しい過去がありました。現在の内拝殿と本殿は放火から3年後に、全国からの募金を元に再建されたものです。


※写真は2018年のお正月

参拝が終わって振り返り、大極殿から境内の巨大な空間をのぞむと、平安時代にタイムスリップしたような錯覚も感じます。それだけ大きな青空と赤い社殿は見事です。このゆったり感は、京都の神社ではここだけです。

参拝の前後には、境内にある名勝指定の庭園・神苑(しんえん)もぜひおすすめします。近隣の南禅寺別荘群の庭園を手掛けた明治の名作庭家・7代目小川治兵衛の作品です。平安神宮の回廊の三方を取り囲むように造られた庭は巨大です。大きさを活かして様々な植物が植えられており、四季それぞれの表情はとても多様です。もし雪化粧していれば極上の光景となります。


泰平閣

東側の大きな池をまたぐように造られた橋殿である泰平閣(たいへいかく)からながめる光景は、天皇しか楽しむことができなかったと思わせる雄大さがあります。平安時代末の院政期に絶大な権力を誇った白河法皇も、現在の平安神宮のすぐ南にあった六勝寺(ろくしょうじ)から、同じような雄大な光景を楽しんでいたのでしょう。

【平安神宮公式サイト】 神苑拝観について

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



京都一人旅に優しい一冊

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平安神宮
【公式サイト】 http://www.heianjingu.or.jp

※公開されていない建物・美術品があります。
※参拝に条件はありません。いつでも無料で参拝できます。
※神苑の拝観時間は8:30~16:00(11-2月)です。



◆おすすめ交通機関◆

地下鉄・東西線「東山」駅下車、1番出口から徒歩10分
京阪「三条」駅下車、8,9番出口から徒歩20分
京阪「神宮丸太町」駅下車、2番出口から徒歩15分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→地下鉄・烏丸線→烏丸御池駅→地下鉄・東西線→東山駅

【公式サイト】 アクセス案内

※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄を乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には駐車場はありません。
※道渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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実に京都的な八坂神社の初詣|美の五色 ~をけら詣り&かるた始め

2018年12月26日 | 祭・行事・季節の花

2018年もあと少し、お正月は間もなくです。京都や奈良の初詣の様子を3回シリーズでレポートしてみたいと思います。初回は京都の八坂(やさか)神社です。

  • をけら詣り(まいり)は、全国的に著名な京都のお正月の風物詩
  • 京都の中心繁華街・祇園にあるため、国内外の観光客が目立つ
  • 平安神宮や清水寺など、初詣の名所とも近く、回遊しやすい


関西では4番目に初詣の人出が多いと推測される人気の神社です。混雑しますが、参拝者の正月気分を盛り上げる場として欠かせない神社であることは間違いありません。



八坂神社では12/31の19:30頃から一気にお正月ムードが盛り上がります。”をけら”詣りのための「をけら火」の授与が始まるためです。”をけら”詣りとは、御神火を火縄に移して自宅に持ち帰り、神棚のろうそくや雑煮を炊く火に使う京都の伝統行事です。一年間無病息災で過ごせると信じられています。八坂神社のものがとても有名ですが、北野天満宮など他の京都の神社でも行われています。

【八坂神社公式サイト】 ”をけら”詣りの様子

「をけら(白朮)」とは薬草で、独特の香りを発することから、邪気を払うと信じられています。”をけら”火の授与は、灯篭の御神火を灯した”をけら”を地面に落とし、その”をけら”から素早く火縄に火を移します。この本来のやり方は、地面に落ちた”をけら”の火がすぐに消えてしまうため、案外難しいのです。そのため灯篭から直接火縄に火をともす人も少なくありません。

境内で販売されている火縄は、「火伏せ厄除け」のお守りにもなります。竹製なので、TVニュースでよく見るように、火縄をくるくる回しても火を消えません。

”をけら”詣りは、京都のお正月を味わえるとても美しい行事ですが、自宅まで徒歩で帰宅することができる人以外は、火を持ち帰ることができないのでご注意ください。電車など公共交通機関はもちろん火は持ち込み厳禁です。クルマもシートに燃え移る可能性があるので大変危険です。ホテルの部屋に持ち込むのも当然NGです。

なお”をけら”詣りの際に人気のあった”をけら”酒のふるまいは、2019年の正月から中止になりました。残念ですが、順番待ちの行列があまりにひどくなったことが要因だと思われます。



関西の三が日の初詣の人出は、伏見稲荷大社270万人、住吉大社230万人、生田神社150万人が、例年のベスト3で、100万人の八坂神社は三社に続く人手と推測されています。伏見稲荷大社と住吉大社は境内が大きいものの、人手も多いのでとても混雑します。

八坂神社は、人手は少なく見えますが、境内が大きくないため混雑イメージは上位二社と変わりません。そのため初詣は入口と出口が定められた一方通行になります。



境内では、熱々の屋台グルメを楽しむ人、おみくじに熱中する人、賽銭に祈りを込める人、日本のお正月の光景が凝縮されています。参拝者の印象としては外国人観光客が目立ちます。賽銭には世界中のお札やコインが含まれるようになっています。

1/3の13:00からは境内中央の能舞台で、平安装束に身を包んだ女性や子供による「かるた始め式」が行われます。現代の競技かるたのように超高速でかるたを払うのではなく、手で押さえつけて競います。とても雅(みやび)です。



参道となる四条通や東大路は人でごった返しますが、それも京都のお正月の風物詩です。京都市は2018年1月に、四条通の歩道の混雑緩和のために、烏丸通~四条大橋間の車線を1つ減らし、歩道幅を2倍に広げる工事を完成させました。車の渋滞で地元では賛否両論がまだ渦巻いているようですが、格段に歩行がスムースになったことは言うまでもありません。

四条通の四条大橋~東大路間や東大路の祇園~五条坂間も、危険に感じるほど混雑がひどいのが現状です。観光客との共存で、京都は世界をリードしてほしいものです。


お正月モードの四条通

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



よそ者が語る京都の魅力に納得

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八坂神社
【公式サイト】http://www.yasaka-jinja.or.jp

※参拝に条件はありません。いつでも無料で参拝できます。
※公開されていない建物・美術品があります。

【八坂神社公式サイト】 2109年正月 をけら詣り並びに元旦参拝の境内ご案内

※をけら火授与は、12月31日19:30頃~1月1日5:00頃の間です。



◆おすすめ交通機関◆

京阪「祇園四条」駅下車、7番出口から徒歩10分
阪急・京都線「河原町」駅下車、1-A出口から徒歩15分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→地下鉄・烏丸線→四条駅(烏丸駅)→阪急・京都線→河原町駅

【公式サイト】 アクセス案内

※京都駅から直行するバスもありますが、鉄道を乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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