美の五色 bino_gosiki ~ 美しい空間,モノ,コトをリスペクト

展覧会,美術,お寺,行事,遺産,観光スポット 美しい理由を背景,歴史,人間模様からブログします

日本一有名な年末大掃除_12/20 京都 東西両本願寺 すす払い

2018年12月21日 | 祭・行事・季節の花

日本一有名と思える年末の大掃除を見物してきました。毎年12月20日に行われる、京都の東西両本願寺の「すす払い」です。一斉に竹の棒で畳をはたいて埃をたたき出す様子は、リズミカルなショーを見ているようで感動的でした。

  • 大掃除する御影堂(ごえいどう)の大きさは、東900畳/西700畳を超す木造建築では世界最大級
  • 畳をはたく音と、立ち込める埃は圧巻。日本の年末の大掃除を象徴する光景


掃除を見物して”すごい”と思える、世界的にも稀有なコンテンツです。見物すると「我が家でもがんばろう」と確実に元気が出ます。


早朝から西本願寺に続々と人が集まる

日本では一般家庭からオフィス、寺社とあらゆる施設で年末に大掃除が行われます。地域で著名な寺社の大掃除はローカルニュースとして報道されますが、全国ニュースとして取り上げられるのは東西両本願寺のすす払いくらいでしょう。

本願寺のすす払いの起源は500年以上前、本願寺中興の祖・蓮如の時代までさかのぼります。蓮如が築いた山科や大阪・石山の本願寺もかなりの大きさだったと想像されます。圧巻の光景は昔から変わっていないと思われます。


西本願寺の行事案内

東西両本願寺とも、すす払いは12月20日に行われます。スタート時間は西がAM7:00、東がAM9:00と、両方が見られるよう見事にすみ分けされています。見物はもちろん、メディアの取材陣にとっても廻りやすい心憎いスケジュールになっています。

先に行われる西本願寺では、冬至に近く一年で最も日の出が遅い頃でもあり、まだ暗い中で早朝から続々と人が集まってきます。すす払いを実際に行う参加者はAM5:30からの法要を終え、静かにすす払いのスタートを待っています。


西本願寺、埃を追い出す巨大な団扇

すす払いを実際に行う参加者は、東西両本願寺とも、基本は全国の門徒(=信者、檀家)で構成されます。西本願寺では近年、門徒以外の一般にも参加の機会を設けています。枠は限られますが、面白い試みです。

【西本願寺 公式サイト】 2018年 御煤払 一般参加者募集要項

竹の棒で畳をはたくスタイルは、東西本願寺で異なるもののとても興味深いところです。埃を外に出すよう、内陣から外陣に向かって畳をはたいていく方向は同じですが、はたくスタイルが異なります。東は横一列に並んだ参加者が一糸乱れず進みますが、西は集団が整列することなく進みます。見た目は東の方がわかりやすいですが、集団としての動きは人数が多い西の方に迫力を感じます。


西本願寺の畳をはたくスタイル

畳をはたきだすと、堂内には、まるで煙のように、埃がたちこめます。何百畳もの巨大な畳に一年で積もり積もった埃の量は尋常ではありません。その埃を外に押し出すべく、巨大な団扇を多人数であおいます。

原始的ですが、みるみるうちに埃が追い出され、堂内の空気が綺麗になっていくことがわかります。多人数で一斉に行うと、すごい威力を発揮します。デジタルでは感じることができない、究極のアナログ的な美しさです。


西本願寺

西本願寺の後、AM9:00から行われる東本願寺では、見物客・参加者とも西に比べ少ない印象があります。しかし横一列に並んで一糸乱れず埃をはたく光景は芸術的です。分派したにすぎないと思われがちな”東”の気位を示すべく、すす払いに臨んでいるようなオーラを感じます。積み重ねた時間の蓄積が、季節の風物詩にも伝わっていると感じます。


東本願寺に集まる報道陣

掃除を見物して”すごい”と思える日本の寺社はもう一つあります。真夏に行われる東大寺・大仏殿のお身拭い(おみぬぐい)です。こちらは天井からぶら下がった僧侶が大仏のお顔を拭いていくアクロバットな動きが圧巻です。

東京駅で折り返すJR東日本の新幹線が7分で社内清掃を完璧に行う光景は、神業として今や世界的に有名です。掃除の様子が美しいと思われる国は、なかなかないでしょう。



こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



TV通販で見て感動するような便利商品

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西本願寺(龍谷山本願寺)
【公式サイト】https://www.hongwanji.kyoto/

御煤払(おすすはらい)
会期:毎年12月20日(日付で固定)
開始:AM7:00

東本願寺(真宗本廟)
【公式サイト】http://www.higashihonganji.or.jp/

お煤払い(おすすはらい)
会期:毎年12月20日(日付で固定)
開始:AM9:00



◆おすすめ交通機関◆

西本願寺
JR・近鉄・地下鉄「京都」駅下車、烏丸口から徒歩15分

【西本願寺 公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料の駐車場があります。
※渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。

東本願寺
JR・近鉄・地下鉄「京都」駅下車、烏丸口から徒歩7分

【東本願寺 公式サイト】 アクセス案内

※この施設に駐車場はありません。
※渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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春日若宮おん祭 お渡り式&お旅所祭|美の五色 ~わざわざ行く価値あり

2018年12月04日 | 祭・行事・季節の花

奈良の年の瀬の一大イベント・春日若宮おん祭。前回に引き続き、お渡り式(おわたりしき)とお旅所祭(おたびしょさい)の様子をレポートします。12月17日の12:00から始まるお渡り式(おわたりしき)は時代装束が華やかな行列で、沿道は見物客で埋め尽くされます。続いて行われるお旅所祭では、田楽や舞楽と言った日本の伝統芸能を鑑賞することができます。

  • 京都の葵祭・時代祭と並ぶ、日本有数の時代装束の行列
  • ただ行列するだけでなく、田楽や競馬などのイベントが行列途中で行われる
  • お旅所で奉納される伝統芸能は、能・狂言より古い日本古来の芸能のフルコース
  • 一日で日本の古典芸能をあまねく鑑賞することができる


春日若宮おん祭は、何といっても日本の古典芸能を味わえることが祭見物の最大の目玉です。京都で葵祭・時代祭を見られた方は、若宮おん祭の「芸能」の素晴らしさにきっと納得されることと思います。


お旅所に置かれた鼉太鼓(だだいこ)

【春日大社公式サイト】 お渡り式のルートマップ、17日の日程

お渡り式は奈良県庁前を12:00にスタートします。登大路を下ってJR奈良駅に向かい、三条通からゴールのお旅所まで進みます。14:30までに全行列がお旅所に到着して終了します。行列とルートの長さは京都の葵祭・時代祭に比べて短く、先頭から最後までの通過に1時間もかかりません。

お渡り式は、芸能集団や武士ら、祭に参加する者がお旅所の神に参拝する行列です。山鉾や牛車といった乗り物はほとんど登場しませんが、平安時代から江戸時代にかけての時代装束や伝統芸能の装束が登場します。趣に富んだ行列を楽しむことができます。


野太刀

先頭は若宮おん祭を始めた関白・藤原忠通の使いである日使(ひのつかい)です。関白の格式を示す漆黒の束帯をまとって白馬にまたがる日使は、先頭を行くにふさわしい優雅さと威厳にがあふれています。例年、関西の大企業のトップが務める大役です。

行列は、以下の順で続きます。

  1. 巫女(みこ)
  2. 細男・相撲(せいのお・すもう):舞と相撲を奉納する
  3. 猿楽(さるがく):能楽を金春座が奉納
  4. 田楽(でんがく)
  5. 馬長児(ばちょうのちご):祭の主催者だった興福寺が出した稚児、日使と並ぶ行列の主役
  6. 競馬(けいば):一の鳥居とお旅所間で二頭が競争し、舞楽の順番を決める
  7. 流鏑馬(やぶさめ):競馬の後、三人の稚児が行う
  8. 将馬(いさせうま):神前に献上する白馬
  9. 野太刀(のだち):5.5mの大太刀を筆頭に太刀や槍が行列
  10. 大和士(やまとざむらい):興福寺に代わっておん祭を主宰するようになった地侍の行列
  11. 大名行列(だいみょうぎょうれつ):郡山藩などが江戸時代から行列に加わる


大名行列は、持ち物の箱や槍を振り上げる奴振り(やっこふり)を随所で行っており、見物客には大人気です。


競馬のスタート前

行列の途中、三条通りに面する興福寺の南大門跡地で、12:50頃から南大門交名の儀(なんだいもんきょうみょうのぎ)が行われます。行列の参加者が名を名乗りながら興福寺に敬意を表する古式ゆかしい儀式です。

13:00頃から一の鳥居そばで松の下式(まつのしたしき)が行われます。細男・猿楽・田楽はここで芸を披露しないとお旅所に入れないと定められており、順に1時間ほどかけて披露します。お旅所祭より先に鑑賞できるため人気で、参道はかなりの人手になります。

同じ頃、参道では競馬が行われます。間近を馬が駆け抜ける姿がとても迫力があり、こちらも人気です。お渡り式終了直前の14:30頃には稚児流鏑馬(ちごやぶさめ)が行われます。男の子が大人に支えられながら弓を放つ様子は愛くるしくもあります。

14:30頃に全行列がお旅所に到着し、お渡り式は終了します。行列途中にイベントがとてもたくさんあることがお分かりいただけると思います。


お旅所

ここからが若宮おん祭のメインイベントで、芸能を神に奉納するお旅所祭になります。お旅所には高さ3mを超える鼉太鼓(だだいこ)がペアで置かれています。中世を強く感じさせるデザインの鼉太鼓は、若宮おん祭のシンボル的存在です。

お旅所祭は14:30に鼉太鼓が打ち鳴らされて始まります。神職による儀式や行列参加者の拝礼が続いた後、15:30頃から以下の順で芸能が始まります。最初の神楽が終わるとかがり火に火が灯され、一層厳粛な雰囲気になります。

  1. 神楽(かぐら):美しい巫女が歌に合わせて舞う
  2. 東遊(あずまあそび):白装束の男の子が舞う、子供の舞は珍しい
  3. 田楽(でんがく):赤装束の男性がダイナミックに舞う
  4. 細男(せいのお):白装束で顔を隠して優雅に舞う、とても神秘的
  5. 神楽式(かぐらしき):新年や大切な行事で披露された能の演目・翁(おきな)の略式
  6. 和舞(やまとまい):奈良で古くから行われてきた風俗舞
  7. 舞楽(ぶがく):赤と緑の装束が交互に10曲を舞うロングラン



東遊

中世に行われていた日本の伝統芸能のフルコースです。現在目にすることができる能や狂言よりもさらに古い芸能であることがわかります。能や狂言の原始の姿はこうだったと思えるほどです。いにしえの伝統を見事に継承しています。それらをまとめて鑑賞できる機会はここにしかありません。

【春日大社公式サイトの画像】 舞楽

闇夜に包まれフィナーレに行われる舞楽は幻想的で圧巻です。舞楽は、飛鳥時代から朝鮮半島や中国大陸から伝えられた音楽である雅楽(ががく)に舞を加えたもので、大陸の文化が島国・日本でアレンジされた見事な芸能です。今に伝わる最古の芸能でもあります。

舞楽は装束の色が異なる二つのグループが交互に舞います。赤い装束のグループは「左舞」と呼ばれ、中国や東南アジアに起源をもつと考えられる演目を、一方緑の装束のグループは「右舞」と呼ばれ、朝鮮半島や沿海州に起源をもつと考えられる演目を担当します。仮面をつけて舞うため、実に神秘的です。


12/17の猿沢の池の周囲は屋台でぎっしり

これだけの伝統芸能を参道であれば自由に無料で鑑賞できますが、やはり写真撮影や見やすさには十分な環境ではありません。そのため松の下やお旅所など、ベストビュースポット三か所に有料観覧席が設けられています。写真撮影や伝芸能のじっくりした鑑賞にはこちらをおすすめします。

【奈良市観光センター公式サイト】 春日若宮おん祭特別桟敷(さじき)席

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



奈良にある平安美術の宝庫のヒミツ

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春日大社
若宮おん祭 お旅所祭
【神社による祭公式サイト】

会場:春日大社表参道(三条通)一の鳥居付近 お旅所
会期:中心神事は毎年12月15日~18日
   お旅所祭は毎年12月17日14:30~22:30

※小雨は決行、荒天は中止の場合があります。
※進行時間は当日の神事の進行や天候に左右される場合があります。

春日大社
【公式サイト】http://www.kasugataisha.or.jp/



◆おすすめ交通機関◆

近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札口C出口からお旅所(一の鳥居付近)まで徒歩15分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間15分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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京都 東福寺 The king of 紅葉 ~京都の多様性が集約

2018年11月14日 | 祭・行事・季節の花

京都に紅葉の名所は幾多もありますが、その質と量で東福寺をNo.1にあげる人が最も多いでしょう。東福寺の境内は東山からの清流が形成する渓谷を巧みに取り入れています。その渓谷・洗玉澗(せんぎょくかん)を紅葉が埋め尽くす光景はまさに圧巻です。

真赤な渓谷を、3つの橋で渡りながら楽しめるのも東福寺の紅葉の大きな魅力です。渓谷沿いに立体的に見える紅葉の光景は京都市内とは思えません。日光や箕面のような山でしか見られないような光景が東福寺にはあります。有名な通天橋(つうてんきょう)は、そんな立体的な紅葉が楽しめるベスト・スポットです。


臥雲橋から見た通天橋

京都の禅寺をその特徴を冠して「~面(づら)」と呼ぶ習慣が古くからあります。東福寺は伽藍面(がらんづら)と呼ばれています。境内が大きい、というのが特徴です。明治の廃仏毀釈で塔頭は半分以下に縮小されましたが、それでも25か寺が今に伝わる大寺院です。

そうした伽藍の大きさを象徴していたのが、明治まであった大仏でした。東福寺は、鎌倉時代初期の摂政関白で朝廷を牛耳っていた九条道家(くじょうみちいえ)によって創建されました。南都の二大寺院である東大寺と興福寺から一字ずつとって寺名とし、1236(嘉禎2)年から19年をかけて、東大寺とほぼ同じ高さ15mの大仏と伽藍を造営しました。

京都の大仏が、秀吉が造営した方広寺とともに東福寺にもあったことは案外知られていません。東福寺には、1881(明治14)年の火災で焼け残った2mの大仏の「手」だけがのこされました。文化財はのこされていれば記憶が受け継がれますが、なくなると忘れられます。その絶対的事実にはあらがえません。

九条道家は、鎌倉幕府3代将軍・源実朝が暗殺され、頼朝直系が途絶えた際に、頼朝の血縁があった子息を4代将軍に送り込んだ実力者です。鎌倉幕府の実権は執権の北条家が握っていましたが、将軍を出した家として九条家は京都で絶大な権勢をふるうようになります。

鎌倉幕府としても、京都を掌握するために新しい宗派である禅宗を利用したい思惑もあったと考えられます。そんな時代背景の下で創建されたことが、東福寺の巨大伽藍の原点でしょう。


洗玉澗の下から上を眺める

洗玉澗は3つの橋の上から見るだけでなく、渓谷におりて散策することができます。東福寺の紅葉は見る角度を変えて楽しめることが最大の魅力です。ぜひ渓谷沿いから上を眺めるよう散策することをおすすめします。頭を360度かつ上下に動かしながら愛でる紅葉はここでしか味わえません。


通天橋の人込み

通天橋はその絶景がゆえに混雑は避けられません。週末などピーク時には入場制限がかかることもあります。朝の通勤電車並みの混雑で、写真撮影もままなりません。ピーク時に橋の上では撮影禁止になります。人出の多い「ピーク時」「週末」「午前中」を避けて訪れることが肝要です。

通天橋は木造に見えるのでそんなに人が通って大丈夫なのかと不安になりますが、大丈夫です。史上最悪の被害を出した1959(昭和34)年の伊勢湾台風で倒壊した後、鉄筋コンクリート製で再建されています。


通天橋の北にある普門院

東福寺は京都の寺の中でも渓谷美を楽しめることが最大の魅力です。通天橋もそもそも渓谷を渡るのに不便なため、かけられたものです。通天橋を北に渡ると、九条道家が開山に迎えた聖一国師・円爾(しょういちこくし・えんに)を祀る開山堂と普門院の庭園が、禅寺らしいエキゾチックな趣を見せてくれます。

東福寺のこれら紅葉の名所は通年公開されています。紅葉の名所は春から初夏にかけて新緑がまばゆい「青もみじ」としても楽しむことができます。冬の雪化粧も絶景です。紅葉期以外の四季ぞれぞれにも、東福寺は豊かな大自然の多様性を見せてくれます。紅葉期以外は通天橋が混雑することはなく、絶景をほぼ独り占めできます。京都の四季が見せる光景の多様性は実に奥深いのです。



通天橋の東・上流側にある偃月橋(えんげつきょう)を渡った先の塔頭・龍吟庵(りゅうぎんあん)では、紅葉期と春に現存最古の国宝の方丈が公開されます。次回は龍吟庵をレポートします。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



水野克比古が見た京都の紅葉

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東福寺
看楓特別拝観
【寺による特別公開案内サイト】

会期:2018年 11月1日(木)~12月2日(日)
原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:8:30~16:00(通常より30分早くスタート)

※この特別公開は毎年秋(11月頃)に行われ、通天橋・開山堂・方丈と龍吟庵が公開されます。
※龍吟庵以外の通天橋・開山堂・方丈は、看楓特別拝観期間中以外も常時公開されています。



◆おすすめ交通機関◆

JR奈良線・京阪電車「東福寺」駅下車、徒歩10分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:20分
京都駅→JR奈良線→東福寺駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料の駐車場がありますが、紅葉期間中は閉鎖されます。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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10/22は京都で時代祭 ~日本の歴史絵巻が一覧できる

2018年10月03日 | 祭・行事・季節の花

10月22日は毎年、京都でとても有名な祭りが2つも行われる日です。その一つ、京都御所から平安神宮まで時代装束が練り歩く時代祭(じだいまつり)は、5月の葵祭・7月の祇園祭と並んで三大祭といわれるように、京都らしい情緒を存分に堪能できます。

平安時代から幕末で、各時代の装束と歴史上の人物が練り歩く風景には、日本の歴史が凝縮されています。1,000年の都(みやこ)・京都でしかできない祭りです。彩られる都大路にぜひお出かけください。



10月22日のもう一つの祭り、夜空に松明が映える鞍馬の火祭(くらまのひまつり)は、今年2018年はとても残念なことに中止がすでに決まっています。9月初めに関西空港を閉鎖に追い込んだ猛烈な風台風の影響で、祭会場付近の大部分の立入禁止や最寄りの叡山電車運休の再開が見込めないためです。

京都市内の寺や街路樹には倒木の跡が多く見られます。鞍馬寺のように大部分が参拝できない寺はほとんどありませんが、爪痕だけは多く残されています。時代祭も昨年2017年は台風のため中止となりました。今年こそは秋晴れの晴天になることを祈ってやみません。


スタート地点の京都御所からは堺町御門を出る

時代祭は平安時代から続いている葵祭・祇園祭と比べ、とても新しい祭りです。平安遷都1100年を記念し、平安遷都を行った桓武天皇を祀る平安神宮が創建された1895(明治28)年から始まりました。新しい神宮の祭りとして時代装束の行列が市民組織によって行われるようになり、現在も京都市全域から集まった2,000人ほどの市民が行列を形作っています。

【公式サイト】 行列コース地図

時代祭は行列コースが長いことから大混雑に悩まされることもあまりありません。SNS映えするような写真も撮り放題です。なお牛馬が暴れるのでフラッシュ撮影は厳禁です。過去には逮捕者も出ています。オート設定には特にご注意ください。

ゆったり見物できる有料観覧席も、京都御苑・御池通・平安神宮の三か所に設けられています。

【公式サイト】 有料観覧席のご案内


豊臣秀吉の行列

行列は幕末から始まって平安時代まで時代を遡る順で行われます。2006年までは皇室が正統とした南朝・後醍醐天皇に足利尊氏が背いたことで、足利氏が治めた室町時代の行列は除外されていました。今はちゃんとありますので、時代が途切れることはありません。

行列は、いつ何(誰)の行列かを示す幕持ちが先導するためわかりやすくなっています。しかし「吉野時代」と書かれた幕が近づいてくると、「何?」と多くの人が思われるでしょう。南北朝時代のことです。時代祭ではあくまで南朝が正統なので、南朝が拠点を置いた地名で表現しているのです。平安時代も藤原時代/延暦時代に分割して行列が行われています。

行列には政治権力者だけでなく、時代を代表する女性や文化人も登場します。江戸時代には和宮や出雲阿国、平安時代には巴御前や小野小町など、まさに歴史の教科書です。

【公式サイトの画像】 江戸時代婦人列
【公式サイトの画像】 平安時代婦人列


大名行列の横を市バスが通る

行列はコースを車両通行止めにして行われますが、烏丸通(からすまどおり)と丸太町通(まるたまちどおり)だけは中央分離帯を境に片側だけを使って行われます。時代行列の横を市バスが通っていく様子は、何とも不思議な新旧折衷の光景で、私はどこか気に入っています。皆さんならいかがでしょうか?

時代祭は来年2019年のみ、10月26日にずらして開催されます。10月22日は東京で新天皇即位に最も大切な「即位礼正殿の儀」が行われるためです。京都らしい配慮です。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



縄文時代からの日本の男性衣装120通りを解説、スゴイ!


時代祭
【京都市観光協会公式サイト】

主催:平安講社(平安神宮の活動を支援する市民組織)
会期:毎年10月22日(日付で固定)
開催時間:京都御所建礼門(出発)12:00→14:30(到着)平安神宮応天門
      →時間はいずれも行列先頭の通過予定、すべての行列通過に所要2時間

※雨天は翌日順延、翌日も雨天の場合は中止


◆マナー教室◆

◇写真撮影の前に確認! 立入禁止でないか?
◇カメラのフラッシュがたかれないように設定、牛や馬が暴れます!

◆おすすめ交通機関◆

京都御所付近:地下鉄烏丸線「丸太町」駅下車
御池通付近:地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池」駅、地下鉄東西線「京都市役所前」駅下車
平安神宮付近:地下鉄東西線「東山」駅下車

※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄の方が、時間が早くて正確です。
※交通規制・渋滞・駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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奈良・東大寺「万灯供養会」 ~奈良の夏の夜を楽しむフィナーレ

2018年07月29日 | 祭・行事・季節の花

お盆が終わる8月15日に、東大寺の大仏殿が燈篭の灯りで包まれる万灯供養会(まんとうくようえ)が行われます。高円山(たかまどやま)では大文字送り火が行われ、奈良の夏の夜の一連のイベントがフィナーレを迎えます。

この日は大仏殿の正面上部の観相窓(かんそうまど)が開放され、大仏様のお顔を外から拝顔することができます。南大門の仁王様もライトアップされ、日陰で見にくくなる日中とは異なり、晴れ姿のように鮮明に美しく拝観することができます。

大仏殿からは大文字送り火もバッチリ見えます。年に一度のチャンスです。



毎年8/5頃から行われる奈良公園一帯で夜にろうそくを灯すイベント・なら燈花会に、東大寺は8/13-14の2日間のみ参加しています。大仏殿前の鏡池が幻想的な灯りに包まれます。この両日は大仏殿の夜間参拝ができ、大仏殿と南大門もライトアップされています。

東大寺の万灯供養会は、お盆に帰省できない人の先祖供養に1985(昭和60)年から始められた、比較的新しい行事です。大仏殿回廊内に並べられる燈篭は2,500基あり、参拝者が奉納するものです。「燈篭」を奉納するのではなく、法要時に名前と願い事を読み上げる「祈願」も行われています。

いずれも東大寺の公式サイトで事前に申し込みされることをおすすめします。なお2018年の今年は東回廊が工事中で、燈篭の設置数が限られているためすでに満杯です。



回廊の入口ゲートを通ると通常はわき目も降らずに大仏殿に向かっていきますが、当日は大仏殿正面で必ず一旦立ち止まって、観相窓から大仏様のお顔を見てください。普段と異なりとてもおおらかでぬくもりのあるお顔に見えます。元旦とお盆の夜、年に2日しか窓は開けられません。このお顔にお会いできるだけでも“来た価値があった”と感じるほどの美しさです。

回廊内に燈篭が並べられた光景は圧巻でもあります。燈篭の灯りだけも大仏殿がかなり明るく見えるほどです。



当日の20時には春日大社のやや南側にある高円山の大文字に点火され、奈良市内のほぼどこからでも30分ほど送り火を鑑賞できます。大文字の送り火が奈良でも行われていることは全国的には案外知られていませんが、京都の五山送り火以上にくっきり見えます。標高が高く、市街地の明かりに邪魔されにくいためです。京都より1日早く行われます。点火場所は京都のように5か所ではなく1か所です。

【奈良県観光公式サイト】 奈良大文字送り火


当日の燈篭申込者向け受付

奈良は“夜観光”のイメージがあまり持たれていませんが、有名なイベントは夜開催が案外多いのです。夜の灯りが見せるマジックのような光景はやはり魅力的です。ぜひお出かけください。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



東大寺が運営する高校は、全国有数の進学校でもあります


東大寺 「万灯供養会」
http://www.todaiji.or.jp/contents/function/08mantoukuyoue.html

開催日:毎年8月15日(日付で固定)
開催(拝観)受付時間:19:00~22:00
※拝観には大仏殿への入堂料が必要です。
※大仏殿は通常通り17:30に一旦閉場となり、19:00から再び入場可能になります。
※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。

東大寺
http://www.todaiji.or.jp/

原則休館日:なし
開館(拝観)受付時間:7:30~17:30(4-10月)
※8月13・14日の夜間参拝の受付時間は19:00~21:00です。



おすすめ交通機関:
近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札C出口から徒歩20分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:東大寺まで1時間20分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅
【公式サイト】 アクセス案内
※この施設に駐車場はありません。
※渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


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奈良・春日大社「中元万燈籠」 ~古都の夜に幻想的な灯りが連なる

2018年07月28日 | 祭・行事・季節の花

お盆の奈良の夜は燈籠の温かい灯りに包まれます。春日大社でも中元万燈籠(ちゅうげんまんとうろう)が行われ、平安時代から脈々と寄進が続いてきた燈篭3,000基に一斉に火が灯されます。本殿や若宮に至る参道に延々と灯りがともる姿は幻想的で、商売繁盛・武運長久・鎮魂など燈篭を寄進した人々の思いがこの世に現れています。

毎年8/14と8/15の奈良の夜は、夏の終わりを告げる風物詩が随所で見られます。いつもと違うお盆の夜を体験してみてください。



日本の古都・奈良と京都では、夏と冬は観光イベントが少ない時代が長らく続いていました。「非観光シーズンだから観光客は来ない」という固定観念的なムードから、集客を仕掛ける側、観光に出かける側、双方で足が鈍っていたことは全国的な傾向です。

しかし平成になってバブル経済が崩壊した頃から、こうした固定観念は崩れていきます。観光シーズンの集客だけに頼っていては持続的な経営が難しくなることに、多くの人が気付き始めたためです。

スキー場ではピーク時とは真逆の夏の集客に力を入れます。高原リゾートや川遊びの魅力を訴求した北海道のニセコや長野の白馬が、通年楽しめるリゾート地として外国人観光客を引きつけていることはよく知られています。



奈良でも観光シーズンとして見向きもされていなかった頃から、夏の宗教行事は細々と行われていました。春日大社の中元万燈籠は1929(昭和4)年、高円山(たかまどやま)の奈良大文字送り火は1960(昭和35)年、東大寺の万灯供養会(まんとうくようえ)は1985(昭和60)年から、それぞれ始まっています。この3つの宗教行事は、現在では奈良のお盆の三大風物詩としてすっかり定着しています。

奈良公園一帯で夜にろうそくを灯すイベント・なら燈花会(とうかえ)が1999年から行われるようになると、お盆の三大風物詩と相まって奈良の8月の夜がとても賑わうようになります。奈良公園周辺で夜に営業する飲食店が増えたのは、なら燈花会の成功が大きなきっかけになっています。

【公式サイト】 なら燈花会

なら燈花会は例年、8/5頃~8/14の日程で行われており、8/14-15に行われる春日大社の中元万燈籠は、いわば奈良の夏を締めくくるイベントになっています。



夕方、日が傾き始める頃から人出は徐々に増えていきます。暗くなって火が灯るイベントが始まるまでは、鹿たちが観光客を楽しませています。


仏教美術資料研究センター

春日大社に向かう参道の奈良国立博物館の裏では、重文の仏教美術資料研究センター(旧奈良県物産陳列所)のライトアップが、陽が沈みゆく空にとても映えています。1902(明治35)年の和洋折衷の建築のデザインには、一等国になることが悲願だった明治の人々の意気込みが込められています。

本殿が近づくにつれ、参道の人波は増していきます。春日大社は参道や境内が広いため、窮屈感は感じさせません。ほとんどすべての人が燈篭の写真を撮っていますが、一脚・三脚にデジカメを固定して撮影しないとなかなか手ぶれは解消できません。本殿回廊内など混雑のため一脚・三脚使用禁止以外のエリアで楽しんでください。

春日大社には、若宮などの摂末社がたくさんあります。いろんなご利益がありますので、ぜひ順に参拝してください。本殿より奥にあることもあって比較的すいています。



春日大社の万燈籠は、真冬の節分にも行われます。張り詰めた低温の空気を通じてみる灯りの姿は、夏とは異なりとても鮮明に見えます。夏冬両方を見ると、季節の違いが味わえてとてもよい思い出になります。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



川瀬巴水は春日社を版画でこう表現した


春日大社 「中元万燈籠」
http://www.kasugataisha.or.jp/calendar/summer08.html#1

開催日:毎年8月14・15日(日付で固定)
開催(拝観)受付時間:19:00頃~21:30

※有料の回廊内特別参拝以外は、無料で拝観できます。
※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。

春日大社 本殿回廊・夫婦大国社・国宝殿・萬葉植物園の参拝可能日時
http://www.kasugataisha.or.jp/about/basic.html
※上記以外の境内の拝観・見学に条件はありません。いつでも無料で拝観・見学できます。



おすすめ交通機関:
近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札C出口から徒歩25分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間25分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅
【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には有料の駐車場があります。
※渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


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京都・六道珍皇寺「六道まいり」 ~お盆を迎える京都人の必須行事

2018年07月24日 | 祭・行事・季節の花

京都でお盆を迎える行事として欠かせない精霊迎え(しょうらいむかえ)が、まもなく8月7日から始まります。お盆に冥土から現世に戻ってくる先祖の霊である「精霊」を迎えるための行事です。京都・東山、清水寺近くにある六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)で行われる六道まいりが特に有名です。

精霊を迎えるためにやってきた人たちのほとんどは迎え鐘(むかえがね)をつきます。鐘の音が冥土まで響くことで、精霊が現世に戻る合図になると信じられています。平安時代から脈々と受け継がれてきた京都のお盆のしきたりです。



六道珍皇寺の付近は、現世と冥土との境界・出入口である「六道の辻」と呼ばれていました。京都には六道の辻はもう一か所、西の嵯峨にもあります。東山は鳥辺野(とりべの)、嵯峨は化野(あだしの)と呼ばれたエリアで、いずれも中世には風葬、近世には火葬を行うエリアでした。

寺の開創には複数の説がありますが、平安時代初めには成立していたと考えられています。もとは真言宗でしたが、室町時代に建仁寺の僧によって再興されたため、現在は臨済宗です。

平安時代初期の公家で、漢詩や書道に秀でた小野篁(おののたかむら)の有名な伝説が、六道珍皇寺には平安時代から言い伝えられています。篁は、昼は朝廷に、夜は冥土で閻魔大王に仕えていた、というものです。

篁が冥土への入口に使ったとされる「冥土通いの井戸」が境内にあり、有名な観光スポットになっています。また近年境内で発見された井戸を、寺では「黄泉がえりの井戸」と呼んでいます。篁が冥土から現世に戻る出口に使ったとされる井戸は、もう一つの六道の辻・嵯峨にあったとする伝説もあります。大覚寺の南の福生寺跡に石碑がたてられています。



六道まいりの期間中は、寺の前を通る松原通に露店が並び、夜遅くまでとても賑やかになります。

境内に入ると両側で、仏花として供えられる高野槇(こうやまき)が売られています。精霊が高野槇に乗って現世に戻ってくると信じられています。塔婆や御朱印を買い求める人もたくさんいます。


迎え鐘

迎え鐘をつく順番待ちの行列が長く伸びています。自分でついた迎え鐘の澄んだ音を聞くと、行列の疲れも吹き飛ぶでしょう。ただし熱中症にはご注意を。

精霊迎えが終わると、精霊が自宅に滞在する盂蘭盆(うらぼん)の期間となります。「お盆」は盂蘭盆を省略した言い方です。盂蘭盆の最後に、精霊送りが行われます。全国的には灯篭流しが多いですが、京都では五山送り火(ござんおくりび)です。いずれも精霊が冥土に戻ることを導くための火です。

迎え鐘があるので送り鐘もあります。寺町三条の矢田地蔵がとくに有名で、8月16日はこちらも大行列になります。

精霊迎えと精霊送りの行事は他にも各所のお寺で行われますが、千本今出川の千本釈迦堂と千本ゑんま堂もよく知られています。こちらは蓮台野(れんだいの)と呼ばれた風葬地の近くです。六道の辻と同様の信仰が行事になったものと考えられます。

先祖を大切にする京都人にとって、最も重視する行事の一つです。精霊送りが終わると、京都の夏も終わります。


夏の夕方の鴨川、毎年恒例のカップル並び

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



柏井壽が届ける京都らしい夏グルメ


六道珍皇寺「精霊迎え 六道まいり」
http://www.rokudou.jp/visit/

会期:毎年8月7日〜10日(日付で固定)
開催時間:6:00~22:00(10日~21:00)
※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。

六道珍皇寺
http://www.rokudou.jp/

開館(拝観)受付時間:9:00~16:00
※仏像や井戸などは「特別拝観 寺宝展」開催日のみ有料で拝観できます。
※「六道まいり」期間中は「特別拝観 寺宝展」は行われません。
  【公式サイトの画像】 「特別拝観 寺宝展」開催日
※「特別拝観 寺宝展」開催日以外は、無料で境内を参拝できます。



おすすめ交通機関:
市バス「清水道」バス停下車、徒歩5分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15~25分
京都駅烏丸口D1/D2バスのりば→市バス86/100/106/110/206系統→清水道バス停
【公式サイト】 アクセス案内

※休日の午前中を中心に、京都駅ではバスが満員になって乗り過ごす場合があります。
※休日の夕方を中心に、渋滞と満員乗り過ごしで、バスは平常時の倍以上時間がかかる場合があります。

※この施設に駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


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東大寺「大仏お身拭い」 ~白装束がアクロバットに神業を見せる

2018年07月21日 | 祭・行事・季節の花

東大寺の大仏様の一年分の埃を落とすお身拭い(おみぬぐい)がまもなく行われます。寺社の建物や仏像の大掃除のことであり、全国的にほとんどの寺社では年末に行われますが、東大寺では夏の盛りです。

たくさんの白装束の人が天井からぶら下がり、また下からよじ登って大仏様の全身を拭いていく光景は、サーカスを見ているようでもあります。お身拭いが終わった後はお顔や肌が輝いて見えます。とてもすがすがしい奈良の夏の風物詩です。



奈良の寺ではお身拭い、京都ほか全国の寺社では御煤払(おすすはらい)と呼ぶことが多くなっています。奈良では仏様を重視した呼び方、全国では建物全体を指した呼び方と言えます。

京都の東西本願寺では1,000枚ほどもあるお堂の畳敷きで、数百人の信者や僧が竹の棒で埃をたたき出し、巨大なうちわで外に出します。年末の風物詩としてとてもよく知られています。

東西本願寺は巨大な平面の掃除が圧巻ですが、東大寺は巨大な立体の掃除になるためとてもアクロバットです。120人ほどの僧や関係者が早朝から湯屋で身を清め、朝7:00から作業を開始します。下からよじ登っていく光景にはハラハラしますが、昔ながらの藁草履をはいているため、すべらないそうです。

見ていても慣れている方が多いようで、作業はとてもスムースです。天井から板のゴンドラでぶら下がっている人も、とび職のように手際よく作業をされています。頭の先では15mほどの高さがあるため、熟練者でないとできない神業です。



お身拭いが毎年行われるようになったのは1964(昭和39)年とまだ歴史は新しく、それまでは住職一代に一回(数年に一回)しか行われていませんでした。現在と異なり参道が砂利道だったこともあり、埃の量はかなり多かったようです。

今では参道が石畳になり、毎年開催となったため埃の量自体は減りましたが、埃に含まれる自動車の排ガスなどの化学物質を除去することで、金銅の腐食防止に効果があるようです。

お身拭いが終わり、お盆の8/15の夜には万灯供養会(まんとうくようえ)が行われます。先祖供養にたくさんの灯籠をお供えするもので、大仏殿の周辺は幻想的な姿に包まれます。

奈良の夏が終わりを告げる日となります。


8/15 万灯供養会の夜

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



世界の巨大宗教建築には共通の謎を解くカギがある


東大寺 「大仏さま お身拭い」
http://www.todaiji.or.jp/contents/function/08ominugui.html

開催日:毎年8月7日(日付で固定)
開催(拝観)受付時間:7:30~9:30頃(作業は7:00開始)
※拝観には大仏殿への入堂料が必要です。
※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。

東大寺
http://www.todaiji.or.jp/

原則休館日:なし
開館(拝観)受付時間:7:30~17:30(4-10月)

おすすめ交通機関:
近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札C出口から徒歩20分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間20分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅
【公式サイト】 アクセス案内
※この施設に駐車場はありません。
※渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


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京都・安楽寺・鹿ケ谷かぼちゃ供養 ~優しさのある境内で夏の元気注入

2018年07月06日 | 祭・行事・季節の花

京都・鹿ケ谷(ししがたに)にある安楽寺(あんらくじ)の名物行事、「鹿ケ谷かぼちゃ供養」の季節が近づいてきました。緑に囲まれた東山に佇む静かな境内で、京都らしい絶妙の薄味に煮込まれたかぼちゃをいただけます。夏の盛りの土用の時期ですが、どこか体がはんなりと落ち着きます。

席に着くと子供たちがかぼちゃをサーブしてくれます。サポートする大人たちも含めて檀家の人たちの心温まるもてなしが印象的です。猛暑の中ですが、「行ってよかった」と感じられる催しです。



京都のかぼちゃ供養は、年末に寺町三条の矢田寺や大原の寂光院でも行われますが、夏は安楽寺だけです。京都の寺の飲食物の提供イベントである「接待」は、他にこんにゃくや甘酒もありますが、多くが冬です。



江戸時代の住職が「夏の土用にかぼちゃを食べれば中風にならない」とのお告げを聞いたことで始まったと伝えられています。以来、200年以上行事として続けられており、夏の盛りを乗り切る名物行事として京都市民にすっかり定着しています。



安楽寺は観光目的では常時公開されていませんが、このハレの日には虫干しも兼ねて絵巻など寺宝も公開されます。境内は東山の中腹にあることから、山荘のような趣があります。縁側で、街中よりも涼しさを感じる風にあたって緑を眺めていると、とても心が洗われます。



鹿ケ谷と言えば、僧・俊寛が平家打倒の陰謀を練っていたところとして知られていますが、安楽寺の起源も同じ時代にあります。寺を開いたのは、浄土宗の開祖・法然の弟子の住蓮・安楽両上人です。両上人に帰依する人は多くおり、その中には後鳥羽上皇の女官であった二人の美女・松虫と鈴虫もいました。二人は後鳥羽上皇の熊野詣中に無断で出家し、両上人との密通を疑って激怒した後鳥羽上皇が両上人を斬首、法然や親鸞を流罪にしました。いわゆる建永の法難です。



寺には両上人や美女・松虫にゆかりの品も残されており、境内は女性的なやさしさを感じさせます。接待の日に床の間に行けられていた花にも、そうした女性的なセンスを感じます。



かぼちゃ供養で供されるのは、京都の伝統野菜にも認定されている「鹿ケ谷かぼちゃ」です。ひょうたん型をしており、煮崩れしにくいため煮物に合います。通常は百貨店などごく一部の店でしか販売されていませんが、鹿ケ谷かぼちゃ供養の日には門前で販売されています。京の伝統野菜の生産者である「かね正」による販売です。夏の元気注入には最適なお土産になります。

【公式サイト】 かね正

夏の土用には、ウナギもよいですが、かぼちゃもぜひ。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



こんなキューピーもいかが?


鹿ケ谷かぼちゃ供養
http://anrakuji-kyoto.com/archives/6571
会期:毎年7月25日(日付で固定)
開館(拝観)受付時間:9:00~15:00頃

安楽寺
http://anrakuji-kyoto.com/
※この寺は観光目的では常時公開されていません。公開は毎年春(月頃)と秋(月頃)の土日祝日、および鹿ケ谷かぼちゃ供養の日に限られます。公開日程は公式サイトにてご確認ください。

おすすめ交通機関:
京都市バス「真如堂前」「錦林車庫前」「上宮ノ前町」下車、徒歩15分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:45分
京都駅→市バス5系統→真如堂前
【公式サイト】 アクセス案内
※この施設に駐車場はありません。
※道路の狭さと駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


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祇園祭・前祭の山鉾巡行 ~京都の夏空に映える巨体の晴れ姿

2018年07月02日 | 祭・行事・季節の花

毎年7月17日は、京都人ならだれでも知っている日、祇園祭の前祭(さきまつり)の山鉾巡行の日です。2014年から古来のように後祭(あとまつり)と分離開催されるようになりましたが、前祭の参加山鉾数は後祭の2倍以上あります。

日本の美術工芸の粋を集めたような山鉾の装飾は、まさに動く美術館です。縄だけで組み上げた最大12tにもなる鉾が、交差点できしみながら方向転換する光景は圧巻です。祇園祭の山鉾巡行は、日本を最も感じさせる祭です。


船鉾

前祭の山鉾巡行は、9:00に四条烏丸交差点を先頭の長刀鉾が出発します。各山鉾は2時間ほどかけてゴールの新町御池交差点にたどり着き、新町通りを通って各町内に戻っていきます。

【京都市観光公式サイト】 祇園祭 山鉾巡行コース

見物はスタート直後の四条通が最も混雑しますが、2015年に歩道が拡幅されたため以前よりもましになりました。山鉾との距離が近いため迫力があります。町の中心部でもあり、他の箇所での見物に移動しやすい通の北側が混雑します。

一方南側は、混雑は幾分穏やかで直射日光も避けられます。ただし巡行中は四条通の地上横断はできず、地下道を通っても烏丸通か河原町通付近まで迂回しないと横断できません。鉄道で駅を降りた際の地上への出口も同様に制限されます。見物後の行動を考えた上での場所の選定をおすすめします。

河原町通りは四条通より人手は少ないですが、歩道が狭いため混雑が目立つ場合もあります。すいていて直射日光を受けない東側がおすすめですが、四条通か御池通付近の地下道まで迂回しないと西側の街の中心部に横断できないのが難点です。

御池通は歩道幅が広く、最も余裕をもって見物できます。車道幅が広いため山鉾とはやや距離がありますが、山鉾の全体像を写真撮影するにはむしろ適しています。町の中心部とは逆側で直射日光を受ける北側がすいています。こちらも横断は烏丸通か河原町通付近の地下道経由に限られます。

四条河原町と河原町御池交差点は、山鉾が向きを変える辻回し(つじまわし)の見物客で特に混雑します。辻回し見物はゴールして各町内へ戻るために行う新町御池交差点がおすすめです。


御池通北側の有料観覧席からの光景

有料観覧席は御池通の巡行コース全域の南北両側に設けられています。葵祭や時代まつりの人間の行列とは異なり、山鉾は高さがあるのでとてもよく見えます。

山鉾巡行の詳細パンフレットと、折り畳み式のキャップが配布されます。日傘は禁止です。有料観覧席以外の公道上でも日傘は後方の方を遮りますのでマナー違反です。帽子を持参するか、直射日光を受けない側で見物すべきです。

【京都市観光公式サイト】 祇園祭 有料観覧席のご案内



見ている方も暑いですが、山鉾の曳き手や搭乗者はもっと暑いです。曳き手は学生風の若者が多いですが、近年は外国人も目立ちます。アルバイトなら一生の思い出になることは間違いないでしょう。

本当に汗だくですが、運行を指揮する音頭方の掛け声にあわせて一生懸命曳いています。そんな努力があって、色とりどりの見事な芸術品を23基も鑑賞することができます。


祇園祭名物の信号廻し

山鉾巡行にはトリビア的楽しみ方もあります。山鉾が通過する直前に、こんな時に電気工事をするのかと思わせるクレーン車が、なぜか通行止めになった大通りを行き交います、背の高い鉾がぶつかってしまうため、信号を回転させて道路に出っ張らないようにするのです。

山鉾巡行は、宵山と同じく毎年同じことを繰り返しますが、不思議なことに毎年見ても飽きません。それほど飾り付けが美しく、これがないと夏を迎えた気分にもならないのです。山鉾巡行がないことはありえないのです。

宵山と同じく酷暑の中での見物になりますが、京都の夏を感じるにはこれしかありません。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



祇園祭の巡行ルートや参加山鉾は時代に応じて変遷してきた


祇園祭 前祭 山鉾巡行
https://www.kyokanko.or.jp/gion/(京都市観光協会)
主催:祇園祭山鉾連合会
会期:毎年7月17日(日付で固定)9:00~13:30頃
※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の神事の進行や天候に左右される場合があります。

おすすめ交通機関:
地下鉄烏丸線「四条」駅、烏丸線・東西線「烏丸御池」駅、東西線「京都市役所前」駅、阪急京都線「烏丸」「河原町」駅下車
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:10分
JR京都駅→地下鉄→四条駅もしくは烏丸御池駅
山鉾巡行中は駅の出入り口が混雑により制限されます。
【阪急電車公式サイト】祇園祭期間中に制限される駅出入口

※渋滞・通行止め・駐車場不足により、クルマでの訪問は全く非現実的です。


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京都・祇園祭・前祭の宵山 ~京都の夏を堪能できるのはこの日

2018年07月01日 | 祭・行事・季節の花

一年で最も京都の町が盛り上がる日と言っても過言ではない、祇園祭の前夜祭、宵山(よいやま)が間もなくです。日中の最高気温は35度以上、夜でも30度は下回らない酷暑の中、夜の歩行者天国には30万人の人手で埋め尽くされます。

町内には近づく巡行を待つ山鉾が立ち並び、見物客が搭乗して楽しみます。町屋の中には着飾った男女や屏風の展示でとても京都らしい光景が現れます。暑さを忘れてしまうほど、京都らしい夏を楽しめるのが宵山です。



宵山は、厳密には山鉾巡行の前日だけを指しますが、前夜祭の期間として山鉾巡行前の3日間、14~16日を指す表現として一般的になっています。14日までに各町内で山鉾の組み立てが完了し、巡行前に晴れ姿を披露する3日間でもあります。

14日の朝から見物客の町内巡りは始まります。四条通のような大通り以外の道路では、10日から山鉾の組み立てが始まるため、近辺は多くが歩行者天国になります。長刀鉾や函谷鉾が組み立てられる四条通も車線が規制されます。


四条通の函谷鉾

各町内では山鉾搭乗が人気です。ごく一部の女人禁制の山鉾を除いて誰でも搭乗できます。囃子方が搭乗するスペースはほぼ建物の2Fに相当するため、縁に腰掛けると爽快な眺めです。胴体の豪華な飾りつけも間近で鑑賞できるため、3日間限定のミュージアムとしても特におすすめできます。タペストリーや衣装には重要文化財も少なくありません。

芽の輪くぐり体験や屏風などの美術品展示も人気です。かき氷販売などの露店も楽しめます。なお前祭だけでも23基の山鉾がありますので、一日で全部見て回るのは無理です。


山伏山のイベント会場

土産物としては、各町内で厄除けになると信じられている「ちまき」や、御朱印が人気です。巡行順で一番くじを引き当てた山鉾のちまきは平常の3倍は売れるそうです。


祇園祭名物の厄除ちまき

15~16日の2日間は、大通りの四条通と烏丸通が歩行者天国になります。露店も多く出るため、特に人手が多くなります。うちわ・扇子や濡れタオル・デオドラントシートは必需品です。山鉾鑑賞をじっくり行いたい方は、人手の少ない午前中から訪問されることを強くおすすめします。



祇園祭期間中は京都で最も暑い時期でもあり、加えて霧の中を歩いているように感じる湿度の高さが見物客を容赦なく襲ってきます。河原や海辺で行われる花火大会のような心地よい風はまったく期待できません。しかしこの蒸し暑さが逆に、たまらなく京都の夏らしくもあるのです。

かき氷やジェラートがこれほど美味いと感じる時はありません。コンチキチンの祇園ばやしがあちこちから聞こえる中、ライトアップされた山鉾や提灯が目に入ると、いかにも日本の古都にいる気分になります。老若男女の浴衣姿の見物客も街並みにとてもマッチします。近年は外国人がとても多くなり、一層華やかです。



強烈な蒸し暑さの中で京都の街を歩いていると、夏本番を感じ、夏を楽しもうという元気が出てきます。祇園祭の宵山には、そんな不思議な力が潜んでいます。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



コンチキチン、コンチキチン、心地よい音色


祇園祭 前祭 宵山
https://www.kyokanko.or.jp/gion/
(京都市観光協会)
主催:各山鉾町
会期:毎年7月14~16日(日付で固定)

  • 各町内の山鉾展示やちまき等の販売は終日
  • 四条通と烏丸通の歩行者天国と露店出店は15-16日の18~23時

※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の神事の進行や天候に左右される場合があります。

おすすめ交通機関:
地下鉄烏丸線「四条」駅、阪急京都線「烏丸」駅下車
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:10分
JR京都駅→地下鉄→四条駅
※渋滞・通行止め・駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。


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京都・護王神社「夏越大祓」 ~茅の輪のお守りをもらって厳かにくぐる

2018年06月19日 | 祭・行事・季節の花

京都御所の西隣にある護王神社(ごおうじんじゃ)の夏越大祓(なごしのおおはらえ)は、地主神社とは大きく雰囲気が異なります。とても厳粛で、茅の輪くぐりもどこか凛としています。

護王神社は戦前の教育で天皇の忠臣の鏡とたたえられていた和気清麻呂(わけのきよまろ)を祀っており、ご利益も縁結びではなく「足腰の守護」です。参拝者層は、足腰の病気・ケガの回復を祈る老若男女や、足腰の守護を祈るスポーツ選手が多く、若者中心の地主神社とは大きく異なり多様です。

厳かな神事としての夏越大祓に参加したい、そんな方はぜひ護王神社を訪れてみてください。


ここは狛犬でなく狛猪

護王神社は境内にやたらとイノシシ(猪)が目立ちます。イノシシは和気清麻呂を救った神の使いなのです。

清麻呂は、奈良時代末期に権勢をふるった僧・道鏡が天皇になろうとした野望を打ち砕いた宇佐八幡宮神託事件の影響で、流罪になります。その道中に現れたイノシシが道鏡による刺客から清麻呂を救うとともに、清麻呂の足の病も治癒させて歩けるようにしたという伝説に基づくものです。


御千度車

参拝者の多くは表門に設置された「御千度車」を手で回し、境内に入ります。これを回すと足腰の病気・ケガの回復や備えにご利益があると信じられています。

境内で売られているお守りも、足腰やイノシシにちなんだデザインです。ピンポイントに訴求しているからでしょう、とても“ご利益があるように見える”のは不思議です。亥年生まれの人にとっても、とてもわかりやすいです。

【公式サイト】御神札・お守り



15:00から百度祓(ひゃくどはらえ)と呼ばれる、参列者全員によるお祓いの祝詞の唱和が始まります。祝詞は当日配布されます。この唱和があることで厳かな気持ちがぐっと引き締められます。続いて神事が行われ、茅の輪くぐりが始まります。



神事に参列すると「茅の輪のお守り」がもらえます。無料ですが、相応の志をする(賽銭を入れる)ことをお忘れなく。

夏越の祓の日は、和菓子・水無月(みなづき)を食べて残り半年の無病息災を祈ります。三角形の白いういろうの上に甘い小豆がのせられていて、ひんやりと初夏らしい趣のある和菓子です。

京都の和菓子店ではこの日に一斉に水無月が販売されます。数日前から出すところもあれば、当日限り、完全予約制と様々です。有名店が一堂に揃うデパ地下は、ものすごい行列になります。有名店は事前に販売方法を確認してからお求めになることをおすすめします。

【Wikipediaへのリンク】 水無月(和菓子)

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



京都の神様・仏様や織田信長など偉人に関するスピリチュアル話が満載


護王神社
http://www.gooujinja.or.jp/
原則休館日:なし

夏越大祓
会期:毎年6月30日(日付で固定)15:00
※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の神事の進行や天候に左右される場合があります。

おすすめ交通機関:地下鉄烏丸線「丸太町」駅下車、北改札2番出口から徒歩7分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:20分
JR京都駅→地下鉄烏丸線→丸太町駅
【公式サイトのアクセス案内】
※この施設に無料駐車場がありますが、夏越大祓当日は利用できません。


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京都・地主神社「夏越の大祓」 ~縁結びと厄払いの一挙両得

2018年06月18日 | 祭・行事・季節の花

本格的な夏の訪れを告げる風物詩、夏越の祓(なごしのはらえ)が近づいてきました。京都ではほとんどの神社で毎年6月30日に行われます。茅の輪(ちのわ)くぐりをして半年間の厄を落とし、和菓子の水無月(みなづき)を食べて残り半年の無病息災を祈ります。

清水寺に隣接する地主神社(じしゅじんじゃ)の夏越の祓は、毎年若者を中心に大人気です。何といっても縁結びと厄落としが一緒にできるからです。


茅の輪くぐりの前に行われる神事

地主神社は、清水寺の舞台の裏山に位置します。構造上、清水寺の有料参拝エリア(清水の舞台)を経由しないとたどり着けません。そのため地主神社の拝観料は不要ながら清水寺の拝観料が必要という、一見トリッキーな神社です。しかしこの事実に対するクレームは今まで聞いたことがありません。なぜなら地主神社に参拝したい観光客で、清水の舞台を見たくない人はいないからです。

清水寺は年間1,000万人の有料参拝客があるといわれます。パリのルーブル美術館は年間900万人です。有料観光施設の入場者数としては京都のみならず、おそらく世界でもトップクラスでしょう。

それにあやかってと言うと叱られますが、地主神社もいつも参拝客で活気にあふれています。地主神社は江戸時代までは清水寺の鎮守社(守り神)でした(現在は別法人)。「あやかっているのではなく、鎮守としての役目を立派に果たしている」と説明すると、あたかも京都人らしく聞こえます。

地主神社という名の神社は全国に多くありますが、その土地の守護神を意味し、多くが隣接するお寺の鎮守社でした。そんな中で清水寺の地主神社は「縁結び」で全国でも特に有名になったのです。


恋占いの石

有名な「恋占いの石」は、神社によると室町時代の記録に所在が確認できるそうです。片方からもう一方の石へ目を閉じたまま歩いてたどり着ければ恋がかなう。誰かの助けを借りれば人のアドバイスを受けて恋が成就する、という伝承があります。この恋占いをするために行列ができることがしばしばです。近年は特にアジアの観光客の姿が目立ちます。



コンパクトな境内には特に若者が目立ちます。お守り売場がでんと構えており、客が絶えません。普通のお店と同じく、これだけ人だかりがあると「自分も買ってみよう」という気になります。とても活気があって楽しい売場です。



茅の輪くぐりは、京都の大半の神社では8の字を描くように輪を3回くぐります。それぞれの神社でくぐり方が立て看板で案内されていますので安心です。歩くだけで汗をかくくらい暑いですが、とてもシンプルなだけに、一年の中間に本格的な夏の到来を感じさせる行事です。

京都の多くの神社で行われ、特定の神社に人気が集中することはありません。茅の輪くぐりだけをできるよう、6月20頃から設置している神社もあります。それぞれの神社の個性的なご利益を楽しめるよう、複数の神社を廻ってみるのも楽しみの一つです。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



京都名物たまごサンドなど意外な伝統を紹介


地主神社
http://www.jishujinja.or.jp/
原則休館日:なし

夏越しの大祓祭
http://www.jishujinja.or.jp/gyouji/nagoshi/
会期:毎年6月30日(日付で固定)15:00
※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の神事の進行や天候に左右される場合があります。

おすすめ交通機関:
京都市バス「五条坂」もしくは「清水道」バス停下車いずれからも徒歩15分、京阪電車「清水五条」駅下車徒歩30分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:45分
JR京都駅→市バス100/206系統→五条坂バス停
【公式サイトのアクセス案内】
※この施設に駐車場はありません。
※渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。

<注意>

  • 自主神社へは清水寺境内を通らないと行けません。そのため地主神社の拝観料は不要ですが、清水寺の拝観料(大人\300)を支払う必要があります。この事実は地主神社・清水寺双方の公式サイト上で明確に説明されていませんのでご注意ください。



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下鴨神社「流鏑馬」 ~射手のパフォーマンスが京都の春を彩る

2018年04月28日 | 祭・行事・季節の花

京都の5月3日と言えば、下鴨(しもがも)神社の流鏑馬(やぶさめ)です。5月15日の葵祭(あおいまつり)に先立って行われる、前儀(ぜんぎ)と呼ばれるプログラムの一つです。

青もみじの新緑が美しい糺の森(ただすのもり)を勇壮に駆け抜ける馬の蹄の音や、的に矢が当たって「パァーン」と割れる音は、とてもすがすがしく聞こえます。中世の貴族や武家の最先端ファッションを彷彿とさせる射手(いて)の装束も見ものです。



葵祭は日本で最も古い祭の一つで飛鳥時代に起源がさかのぼると考えられています。平安時代初期には国家的行事として定着します。

現在は天皇が使者である勅使を派遣して行われる「勅祭」の中でも最高格式の一つとして行われています。いずれの神事も故実にのっとった装束でとても厳かに行われており、中世の趣を強く感じさせる祭です。

下鴨神社の流鏑馬は数多く行われる葵祭の前儀の中でも、最もよく知られています。飛鳥時代から行われていたと考えられており、現在の神事は明治維新直後からの100年間の中断を再開した1973(昭和48)年から行われています。保存会の有志がパフォーマンスの維持に努めています。



最高格式の勅祭だけあって、デザインが見事な装束を身に着けた射手が馬にまたがりスタート地点に向かう姿は、場をまさに中世にタイムスリップしたように見せてくれます。会場の糺の森の木々はとても背が高く、神聖な雰囲気をより強調しています。

会場の馬場は400mほどの長さがあり、かなりの見物客を収容できます。3か所ある的の前には1人2,500円の有料観覧席が設けられています。チケットの予約・前売りはなく、当日12時からの現地販だけです。写真撮影にベストな最前列を確保するにはチケット販売2時間以上前から並ぶことをおすすめします。

なお有料観覧席についての公式サイトはありません。京都の寺社のベントはこうした情報発信が充分でないものがよくあります。皆さん声をあげましょう。

有料観覧席以外は無料の立見です。こちらも最前列を確保するには午前中の早い時間から場所取りが必要です。三脚・一脚は使用禁止、前が見えなくなるので日傘も禁止です。フラッシュ撮影は馬が興奮するので厳禁です。過去にフラッシュ撮影して事故を引き起こし、逮捕された人もいます。



1時間ほどかけて、5頭の馬が3回走ります。回数は多いですが、かなりの高速で駆け抜けるため、最前列でないと構図の決まった写真をゲットすることは難しいでしょう。私が撮影した写真も他の見学者がどうしても大きく写ってしまっています。

写真撮影は馬にまたがった射手がゆっくり歩きながらスタート地点に向かう時がおすすめです。借景の新緑とカラフルな装束がとてもインスタ映えします。

射手の方は相当の訓練を積んでいると思われます。私の見た限りでは7割方的中させており、「パァーン」と割れる音の後に一斉に歓声が上がる光景は、とても雅(みやび)な瞬間です。

目の前を高速で馬が駆け抜けていくと風を感じ、とても迫力があります。競馬場ではこんな間近で馬が走っている姿を絶対に見ることはできません。



的の背後には射手が的を見やすいよう浅葱(あさぎ)色のパネルが設置されています。この色も新緑と絶妙にマッチしています。的を交換するスタッフの衣装も中世を思わせる山吹色で、イベントの視覚効果を盛り上げる演出は完璧です。

京都で行われる唯一の流鏑馬でもあります。ぜひお出かけください。

こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさん。



京都の祭り・行事の365日、年が変わっても大まかな日程把握に便利


下鴨神社 葵祭の神事 ←内容説明
http://www.shimogamo-jinja.or.jp/rituals#03
葵祭の前儀「流鏑馬神事」(京都新聞サイト)
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/koto/aoi/zengi.html
開始日:毎年5月3日(日付で固定)13:00~15:30
※見学に条件はありません。無料で自由に見学できます。
※流鏑馬開催時間はおおむね14:00頃から1時間程度です。13:00からはまず神事が行われます。

 

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京都・壬生狂言 ~中世の雰囲気をコミカルに楽しめます

2018年04月26日 | 祭・行事・季節の花

京都のゴールデン・ウィークを代表する風物詩「壬生狂言(みぶきょうげん)」が間もなく始まります。

鎌倉時代に融通念仏の布教のために始められたパントマイム(無言劇)で、中世の芸能の面影を色濃く残しています。コミカルな演者の動きはわかりやすく、ストーリーも理解できます。能や狂言のように肩ひじ張らず、気軽に伝統芸能の美しさを楽しむことができます。


右側の観客席から左側の舞台を鑑賞

壬生は知らなければ絶対に発音できない京都の難読地名の代表例ですが、幕末に新選組が壬生寺近くの八木家と前川家の屋敷を本拠としたことから全国的に案外知られています。寺の境内には局長・近藤勇の銅像や芹沢鴨ら志士の墓があり、若い女性を中心に普段から訪れる人が少なくありません。

壬生寺は平安時代の創建ですが、鎌倉時代の後期に融通念仏の布教に成功した円覚上人(えんがくしょうにん)が中興の祖とされています。不況の成功のカギが現在まで700年間行われ続けている壬生狂言です。

円覚上人は人気を集め、とても大勢の人が境内に押し寄せます。そのため教えを説く声が全員に届かなくなり、動きを見るだけでわかるようパントマイムが考え出されたといわれています。

融通念仏の布教のために始まったことから「大念仏(だいねんぶつ)狂言」とも呼ばれます。円覚上人に起源がある大念仏狂言は京都の各地で現在も伝えられており、壬生寺の他に清凉寺・千本ゑんま堂・神泉苑のものがよく知られています。

大念仏狂言はプロが行う「狂言」とは性格が異なります。演者は地域の有志で作る保存会の人たちで、プロのような研ぎ澄まされた動きでないことが、かえって大衆芸能のとしての味を出しています。

また狂言とは異なり仮面をつけるため、仮面で登場人物の役割や感情を表すこともあります。リズミカルで聞いているだけで楽しくなるような鐘・太鼓・笛の囃子も「狂言」にはない魅力です。

元来は布教のための演目だけでしたが、徐々に娯楽性の強い演目が増えていきます。勧善懲悪など誰にでもわかりやすいストーリーが増え、それが長続きする要因になったのでしょう。


狂言舞台のある大念仏堂の入口

上演は期間中の毎日13時から行われ、現在伝わっている30演目が入れ替わり演じられます。ただし毎日初演の13時からの演目は、最も人気のある「炮烙割(ほうらくわり)」に固定されています。

節分に壬生寺で買い求めた炮烙という焼き物に家族の名前を書いて奉納し、壬生狂言の上演中に割ってもらうと厄除け開運になるとされています。奉納した人が多く訪れます。

「悪いことをしてはいけない」という因果応報がよくわかる名作です。炮烙割の瞬間はとても迫力があります。ただし30分以上前から並ばないと入れない可能性がありますのでお早めに。
すべて自由席です。1回の入場料金1,000円で、その日のすべての演目を鑑賞できます。定員400人の座席は2演目目まではかなり混雑しますが、以降は徐々にすき始めます。

【壬生寺公式Twitterのトップ画像】 炮烙割の瞬間



大衆向けの壬生狂言は、上流階級向けの狂言にはないリズム感とコミカルさが魅力です。能・狂言と比べると入場料金はかなり安いです。春の京都観光の話題作りにはもってこいの伝統芸能です。

こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさん。



全演目の登場人物やあらすじを解説する公式ガイド


壬生狂言について(壬生寺公式サイト)歴史と30演目の簡単な解説
http://www.mibudera.com/kyougen.htm
壬生狂言 春の公開(壬生寺公式サイト)詳しい上演案内
http://www.mibudera.com/k_annai.htm
会期:毎年 4月29日~5月5日(日付で固定)、
時間:毎日13:00~17:30の間に5演目上演、最終日5/5のみ18:00~22:00の間に6演目上演
期間中休演日:なし
※壬生狂言は節分の2日間と、10月の体育の日を含む三連休にも上演されます。

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